【#574】1日3時間から働ける。看護師のスポットワーク特化プラットフォーム『NURSY』ナーシィが変える、地域医療の未来|代表取締役CEO 福岡 厚志(株式会社NURSY)

株式会社NURSY 代表取締役CEO 福岡 厚志
株式会社NURSYは「日本の看護師不足」という社会課題の解決に挑む、医療特化型HRベンチャー企業です。看護師のスポットワークに特化したプラットフォーム「NURSY(ナーシィ)」を軸に、潜在看護師の復職支援と医療施設の人材確保を同時に実現しています。代表取締役CEOの福岡 厚志氏に、事業内容や今後の展望なども含めて詳しくお聞きしました。
スポットワークで看護師不足を解決する
事業の内容をお聞かせください
「日本の看護師不足を解決する」というミッションを掲げ、看護師のスポットワークに特化したプラットフォーム「NURSY(ナーシィ)」と医療現場に向けた採用コンサルティングサービス「NURSY REACH(ナーシィリーチ)」を運営しています。
看護師のスポットワークに特化したプラットフォーム「NURSY」は、看護師は1日3時間から働くことができるサービスです。施設側は初期費用や更新費用が無料で、マッチングが成立するまで一切費用がかかりません。双方にとってリスクのない仕組みです。
現在、2025年問題として最大27万人の看護師不足が各地域で深刻な課題となっています。一方で、資格を持ちながら働いていない潜在看護師が、70万人いると言われています。
潜在看護師が生まれる背景には、女性のライフステージの変化があります。結婚、出産、育児などで一旦病院を離れた後、ブランクがあることで復帰のハードルが高くなってしまうのです。
私たちのサービスは、復帰のハードルを下げることを目指しています。訪問看護、障害福祉、介護施設など、医療行為を伴わないプライマリーケアの業務から復帰できるため、比較的ハードルが低くなっています。
これまで競合がいなかったのは、病院でのスポットワークは施設側にとっても看護師側にとっても、心理的なハードルが高かったためです。しかし現在、病院で働く看護師は7割で、残りの3割はすでに病院以外で働いています。
国も在宅医療を推進しており、今後さらに働き方が多様になると考えられます。現在、看護師のプラットフォームへの事前登録者数は約1万人、施設側の登録も順調に増えており、確かなニーズを実感しています。
多くの企業に「NURSY」導入いただいている主な要因として私たちが提案できる選択肢の多さにあると考えています。「NURSY」をリリースする以前から採用コンサルティングサービスを提供しています。このサービスは月額制の採用RPOのビジネスモデルで現在200社との取引実績があります。
長期的な採用支援と人員不足に陥った際のスポットワークを掛け合わせることで企業側に多くの選択肢を持っていただけます。法人の開拓力と個人の集客力を両方持っているNURSYだからこそ、効果的なマッチングが実現できるのです。
また、医療業界は比較的アナログな業界で、デジタルを活用した採用のリテラシーが低い施設もまだまだ多いです。私たちは、採用ページの構築から始め、求人検索エンジンとの自動連携、GoogleマップでのMEO対策による地域住民採用へのアプローチ、さらにはInstagramやTikTokといったSNSの運用代行まで、一つひとつ丁寧に採用動線を整える支援を行っています。
こうした支援を通じて医療施設の採用課題を解決することで、着実に認知を広げてきました。

事業を始めた経緯をお伺いできますか?
父親が薬剤師だったこともあり、医師になりたいと思っていました。医師になる夢は叶えることはできなかったのですが、いつかは医療業界に貢献したいと思い続けていました。
看護師向けメディア事業も行っていたことがあり、看護師さんから現場の悩みを直接聞く機会がありました。この経験と、地域医療に貢献したい思いが重なり、ヘルスケア領域の人材事業をスタートさせました。
2025年問題として最大27万人の看護師不足が指摘されている一方で、資格を持ちながら働いていない潜在看護師が70万人います。さらに副業が可能な現役看護師も含めると240万人という大きなマーケットが存在しています。看護師が240万人もいるのに人手が足りていないといったギャップを埋めることで、社会課題を解決できるのではないかと考えたのが、事業を始めたきっかけです。

Win Winの関係を築き、相手を勝たせる
仕事におけるこだわりを教えてください。
事業を通じて社会課題を解決したいと考えているので、社会性とビジネスを両立させることを大切にしています。
地域医療にいかに貢献できるか、医療の提供体制を持続可能な形に変えていくことを常に意識しています。その中で、数の論理ではなく思いと質にこだわり、丁寧なヒアリングとマッチング、そしてマインドセットの教育を通じて、登録者のクオリティを担保していきたいと考えています。
社内では「部下の成功が上司の成功」、現場では「クライアントの成功が我々の成功」というポリシーを常に伝えています。Win Winの関係を築くこと、相手を勝たせるスタンスが重要だと思っています。一方的な関係は良い結果を生まないので、このバランスを大切にしています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
壁はいくつもありました。0から1を作る段階では、最適解が全くわからず、とにかく実行してPDCAを高速で回しながら、勝ち筋を見つけていく連続でした。
また、成長段階に応じて異なる壁が現れます。組織の壁、資金の壁など、ステージごとに課題が次々と出てくるので、ひたすら課題を解決していくことが経営の醍醐味だと感じています。解決策が見えて実際に解決できると面白いので、今では壁を楽しめるようになりました。
特に組織の壁については、採用段階では素直で真面目な良い人材を迎えられているのですが、育成することの難易度が高いと実感しています。以前は採用の壁にぶつかっていましたが、乗り越えた今は育成の壁に向き合っているところです。
また、ヘルスケア領域の採用コンサルとして200社以上の導入実績を積み上げてきましたが、最初から順調だったわけではありません。現在の半分の価格からスタートし、医療機関の採用課題を一つひとつ丁寧に解決していきました。
採用が成功するたびに新たな発注や紹介をいただけるようになり、少しずつ信用が積み上がっていったのです。信用残高をいかに積み重ねていくかが、ビジネスでは重要だと考えています。

地域医療へ貢献できていることが喜び
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
地域医療に貢献でき、役に立っていることを日々実感できていることです。
クライアントワークを通じて、組織やチーム全体が大きなやりがいを感じています。仕事の意義や価値を実感できることが、私たちのモチベーションに繋がっています。
実際にクライアントからは「採用がうまくいっているのは御社のおかげです」といった、ありがたい言葉を数多くいただいています。そうした声が、現場で働く私たちの大きな励みになっています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
医療ヘルスケアHR業界において、顧客満足度No.1のクオリティカンパニーを目指しています。これは当社のビジョンでもあります。
私たちは大阪の会社ですが、関西での成功に留まらず、日本全国でこのプラットフォームを定着させるという高い目標を掲げています。日本一の富士山をみんなで登るようなイメージで、チーム全体で頂点を目指して進み続けます。
また、地方の医療機関では人手不足に加えて事業承継の問題も深刻化しています。今後は、M&A支援なども人手不足を解決するソリューションの一環として、支援内容を広げていきたいと考えています。

起業の面白さを体験して欲しい
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
起業することで、人生で成し遂げたいことの解像度が格段に上がっていきます。人生は一度きりですから、チャレンジする意義は大きいと感じています。
それに加え、全く新しい自分を発見できる楽しさがあります。ビジネススキルを身につけながら自分のできることが増えていく中で、確かな成長実感も得られるので、本当に面白い経験だと思います。
ぜひ起業にチャレンジし、その面白さを今度は伝える側になってもらえたら嬉しいです。我々も社内起業制度を構築していく予定です。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:福岡 厚志 氏
1984年兵庫県姫路市生まれ。関西大学商学部を卒業後、不動産仲介会社を経て、看護師向けSNSメディア事業を展開。2021年には株式会社NURSYを設立し、医療・福祉業界の課題解決を目指し、採用支援・看護師向け転職支援、スポットワークなどのサービスを提供。
企業情報
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法人名 |
株式会社NURSY |
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HP |
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設立 |
2021年12月 |
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事業内容 |
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