【#596】世界が日本の才能に気付き、“推し活”という体験に熱狂する場を創る|代表取締役 奥井 颯平(株式会社CrossVision)

株式会社CrossVision 代表取締役 奥井 颯平
株式会社CrossVisionは、VTuberやネット配信者が“推され続ける活動”を築けるように、デジタルグッズと継続的な接点を設計するプラットフォームを提供しています。推し活を「その場の消費」で終わらせず、挑戦者の活動資金と、ファンの人生の豊かさに変えていく。代表取締役の奥井 颯平氏に、事業内容や今後の展望なども含めて詳しくお聞きしました。
配信者への推し活を「消費」ではなく、関係と成長が積み上がる体験にしたい
事業の内容をお聞かせください
VTuberやネット配信者向けに、デジタルグッズの企画・販売を行うプラットフォームを提供しています。
その中でも私たちがフォーカスしているのは、トップ層ではなく、ミドル・マイクロ・ナノインフルエンサーと呼ばれる中~小規模タレントです。彼らは才能や熱量を持ちながらも、「次のステップ」や「活動を積み上げる仕組み」が不足しがちです。
そこで、デジタルグッズを中心に“日常的な接点”を設計し、応援が継続し、成果として残る流れをつくります。
取り扱うグッズのほとんどがデジタルコンテンツであるため在庫を持たず、売上の多くを配信者にレベニューシェアできています。
高いレベシェアにこだわる理由は、タレントのキャラクタービジネスを支援したいからです。昨今、自分のキャラクターやストーリーを自分でブランディング・プロデュースして発信するYouTuberやVTuberが増えてきました。
私たちはその中でもミドル・マイクロ・ナノインフルエンサーと呼ばれる中〜小規模なタレントに利用いただくことにフォーカスしており、イラストを提供するだけで簡単にデジタルグッズを作成、企画コストも製造管理コストもかけない制作の手軽さを提供してます。
手元にカタチとして届かないデジタルグッズが売れる理由として、全てのタレントに担当者がついて、定期的にどうしたらグッズが売れるかを一緒に作戦会議しながら商品企画(マーチャンダイジング)を進めています。
製造や販管費にかからない部分の人的コストを商品企画に充てているため、デジタルでありながらファンが思わず買いたくなる仕組みを提供できています。
まだまだファンの少ないネット配信者におけるグッズ展開では制作コストがかかるため、原価のかかる商品では、クリエイティブへや商品企画にコストを割くことが難しいんですよね。
そこで私たちは、キャラクターを表現するグッズをコストをかけずに提供。グッズを売るだけでなく、ファンとの絆を作りながら、タレントがイラストなどのクリエイティブに投資できる力を生み出すビジネスを設計しているんです。
なので、デジタルグッズの販売だけでなく、イベントやクラウドファンディングの企画も手がけており、単なるグッズの販売会社ではなく、タレントと共に商品を企画し、彼らのキャラクタービジネスを一緒に作り上げるパートナーのようなお仕事をさせていただいてます。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
もともと私はNTTドコモで生成AIやLLMの研究開発を担当し、メタバース上でのキャラクター会話などに関わっていました。個人的にブロックチェーン開発にも取り組んでいた背景もあり、AI、Web3、XR領域を自身のキャリアの軸としています。
同時に、個人でイラストレーターとして活動しており、応援される側と応援する側の両方を経験していました。そんな中でNFTが盛り上がったことをきっかけに、身の丈に合わないほどの応援をファンからいただきました。また私自身も、他のイラストレーターに対して、強い思いで推し活動をする経験をしました。
そこで感じたのは、「比較的近い距離で夢を追いかけている誰か」のパーティーに入って推し活する楽しさでした。トップタレントのコンテンツを享受するだけでなく、自分も仲間になって推し活をする。マイクロインフルエンサーを応援するという、新しい消費価値を感じたのです。
そこで感じたのは、手の届く距離にいる主人公を中心としたコミュニティに参加し、推し活をする楽しさでした。
そうすることでトップタレントの完成されたコンテンツを一方的に享受するのではなく、自分自身もそのコミュニティの一員として関わりながら応援することができます。
マイクロインフルエンサーを応援するという体験そのものに、これまでにない新しい消費価値を感じたのです。この構想を事業化し、音楽アーティストのNFTプラットフォームを立ち上げましたが様々な要因により、持続困難と判断しました。
しかし、検証の中で「投機的にみられがちなNFTを買うという体験の中に無名のアーティストを応援したいという確かな熱量」を感じ、近い消費者心理で市場が膨らんでいるVTuber領域にピボット。前職で培った研究開発の知見を活かして、現在のプロダクトを作りました。

絶対的に面白いと思えるものを提供する
仕事におけるこだわりを教えてください。
「自分が良いと思ったもの」を作ることは譲れません。
今は経営者ですが、もともとは研究したりイラスト制作をしたりしてきた人間です。自分が世に出すものに対して、絶対的な面白さや誇りを持って送り出してきました。
お仕事としてコンテンツを届ける中で妥協が必要な場面もありますが、VTuberもファンも本気で取り組んでいます。
だからこそ、そこに伴奏する私たちは、その本気に応えられるシステムやクリエイティブを届けることにこだわっていきます。今後もこの想いを事業拡大、組織作りをしていくうえで大切にしていきたいです。
起業から今までの最大の壁を教えてください
シード調達後、プロダクトをPMFに近づけるまでの検証に高い壁を感じました。私たちのプロダクトで配信者がしっかり稼げて、翌月も継続して利用してもらえる状態に到達するまでが大変でした。
プロダクトが不十分だと、継続利用は見込めません。良いものを届けたいという思いは強くありましたが、システム開発に必要な工数や組織の成長段階を考えると、最初は市場が求めるレベルにプロダクトが到達していませんでした。
そんな中で、私たちの熱量や伴走する姿勢に可能性を感じてくれる配信者が現れました。大事なグッズ企画を私たちの可能性を信じ、依頼してくれました。
このような成功体験を何度も経験することで、これらの取り組みを仕組み化・システム化する必要性という、具体的な課題が明確になりました。
そうした課題に向き合いながら改善を重ねた結果、現在ではプロダクトの完成度も高まり、質の高いものへと進化しています。

ネット配信者と共に熱狂できるコンテンツを生み出す
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
ネット配信者と一緒にビジネスを作ることです。私たちだけでは届けられないエンドユーザーへの熱狂を、彼らが実現してくれます。
彼らが有名になれば、私たちが作ったプロダクトやイベントも浸透していくというような、正の相関があるからこそ一生懸命に取り組むことが出来ています。
私自身は、どちらかというと作家側の人間です。私が生み出したものだけではストーリーは生まれません。
一方、配信者はファンコミュニティの中心で常に挑戦し続け、自分たちをキャラクターコンテンツとしてプロデュースしています。私たちが作ったものを、世界や社会に受け入れてもらえるように着色し、変換し、面白くしてくれる存在です。
彼らと共に創ることで、私たちのプロダクトやイベントはエンドユーザーに届き、熱狂が生まれます。このように市場に受け入れられることは、大きなモチベーションの一つです。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
国内1万人の配信者を支援することが目標の第一段階です。
今のビジネスモデルの延長で1万人の配信者とクリエイターが集まる大きな箱を作れば、IPOという形で投資家に貢献しつつ、、1人のオタクとして多くの挑戦者への推し活ができることと、多くの同じ思いを持ったクリエイターの仲間を増やすことができます。
第二段階は、海外展開です。日本のコンテンツは海外で受け入れられており、さらに私たちがビジネスをしている、まだ有名じゃない配信者を応援したい方は世界中にいます。
この国において、トップオブトップのエンタメは世界に届ける仕組みがしっかり科学されており、興行としての規模も非常に大きいです。しかし、無名配信者のコンテンツに世界が熱狂する仕組みは、まだありません。
そんな中、VTuberを中心に、個人配信者でも海外ウケするIPコンテンツを運用する仕組み、生態系が整ってきています。
言語の壁も消えつつある今、推し活という体験を通じて、日本の才能ある挑戦者を投資的に応援する楽しさをもっと世界に知ってもらいたいと考えています。

挑戦しないことがリスクになる時代
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
私は根っからの起業家タイプではなく、大企業のリソースを活用して、より良いものを堅実に作ろう考えていました。ですが、たまたまスタートアップ起業とご縁があり、挑戦させていただいています。
起業して感じているのは、挑戦することで自分の可能性が確実に広がったことです。一見リスクがあるように見えても、時代が変わる中で、むしろ挑戦しないことがリスクになっていると強く感じています。
自分が「面白い」、「まだ社会にない仕組み」、「技術的に素晴らしい」と思ったものを世の中で検証し、形にしていくプロセスは本当に面白いです。それだけで起業家の道を選ぶ価値は十分にあると感じています。
日本には自分の殻を破れない優秀なサラリーマンがたくさんいるように感じます。迷っている方がいたら、ぜひ挑戦してください!
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:奥井 颯平 氏
企業情報
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法人名 |
株式会社CrossVision |
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HP |
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設立 |
2024年1月4日 |
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事業内容 |
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