【#610】探究×起業家教育で教育をアップデート。子どもの自律を育む、次世代の「アナログ教育」|代表取締役CEO 山本将裕(株式会RePlayce)

株式会社RePlayce 代表取締役CEO 山本将裕
「教育をアップデートする」のミッションを掲げ、キャリア教育・探究教育・起業家教育に特化した事業を展開する株式会社RePlayce。オンラインスクールと通信制高校サポート校を通じて、既存の学校教育ではカバーしきれない学びを提供しています。代表取締役CEO・山本将裕氏に、起業の背景や事業の強みについて伺いました。
探究教育・起業家教育に特化
事業の内容をお聞かせください
事業は大きく分けて二つあります。
一つ目はスクール事業で、キャリア探究オンラインスクール「TANQ BASE(タンキューベース)」と、通信制高校サポート校「HR高等学院」を展開しています。
「TANQ BASE」は、学生がキャリア観を育み、将来やりたいことを見つけることを目的としたオンラインスクールです。
夜の時間帯に全国の中学生・高校生がバーチャル空間に集まります。クラスは中学生・高校生別で、ほぼ毎日開講しており、参加者は累計で500名以上となりました。
ここでは、大企業で働く会社員や起業家、フリーランスなど、多様なバックグラウンドを持つ社会人とともに社会について議論し、実際の企業課題に取り組む機会を提供しています。
起業に興味のある学生には、起業に必要な考え方や多様な仕事を体感できるワークショップも実施しています。
こうした議論や対話を通じて、学生のコミュニケーション力や課題解決力、論理的思考力などの非認知能力が大きく向上します。学生からも「今までで一番良い習い事」などの嬉しい声が多く寄せられています。
もう一つのスクール事業が、2025年4月に開校した通信制高校サポート校「HR高等学院」です。通信制高校の単位を取得しながら、月曜から金曜まで通学し、午前は基礎教科、午後はプロジェクト学習や起業家教育、テクノロジー、デザインなど、個人の興味関心に応じた探究学習に時間を充てています。
進路としては、国内大学への進学や高卒での就職に加え、約70校の海外大学への推薦枠もあります。探究教育を含め、ここでの学びは総合型選抜との親和性が非常に高いのが特徴です。
自分の興味関心を深めてきた経験に加え、日常的に議論やプレゼン、プロジェクトに取り組んできた経験が、面接やグループワークの場で大きな強みになります。
HR高等学院に入学してから生活習慣や対人コミュニケーション力が改善し、興味を軸に学び続ける力などの非認知能力も上昇するなど様々な実績が出始めています。
また二つ目の事業として、スクール運営で培った教材と講師陣とのネットワークを活用し、自治体・学校・企業向けに教育プログラムを提供するBtoB事業も展開しています。
静岡県様には高校生向け起業家教育プログラム「FuJI」を、横須賀市様とは、市役所職員と高校生が協働して地域課題に挑むユニークな取り組み「はたらく課」を実施しています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
大手企業からスピンアウトし、2022年4月に事業を立ち上げました。会社在籍時は社内起業家育成プログラムの事務局として、約1000人の社員育成に携わっていました。
このようにスタートアップ支援に関わる中で、自ら事業を立ち上げたい思いが強まり、スピンアウト制度を活用して独立しました。
当初から教育分野で起業したいと考えていたわけではありません。都立高校の教師からご相談を受けたのが最初のきっかけでした。
その上で、人材開発の視点で教育現場を見たときに時代との乖離を感じ、社会人向け人材育成の経験と教育現場の課題を重ね合わせ、教育分野で起業することを決意しました。
既存の学校教育に違和感を持つ学生に多様なロールモデルを示し、将来に前向きになれる環境づくりを目指しています。

アナログな価値を武器に
仕事におけるこだわりを教えてください。
AIの時代だからこそ、私たちはあえてアナログな部分を大切にしています。
人の心が動くのは、人と人との関わりの中にあります。コミュニケーションを通じて感情が揺れ動き、想像力を働かせて何かを生み出す力は、AIやロボットには代替できない、人間ならではの力だと思っています。
当社では、そうした力を育むためのアナログな教育ノウハウを、再現性のある形で仕組み化しています。
そして最終的には、学生一人ひとりに自立してほしいと考えています。自分で人生を選び、前に進む力があれば、どんな道を選んでも生きていけるはずだと思っています。
学生自身が課題に気づき、主体的に行動できるよう、私たちも全力で向き合っていきたいですし、この思いは社員・講師全員で共有しています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
通信制高校のサポート校を立ち上げ、運営していくプロセスそのものが、起業してから最大の壁だったと感じています。
我々は誰もやったことのない教育の形を模索しているため、今もなお、壁の連続です。
制度面や運営面など、日々さまざまな課題に直面していますが、チーム全員がその壁を乗り越えること自体を前向きに捉え、面白さを感じながら、一丸となって取り組んでいます。
また資金調達も大きな壁の一つでした。まずはじめに、教育事業に関して理解を得ることが大変でした。また、アナログな部分に価値を重視する考えに共感してくださる投資家の方々とご一緒したい思いで、資金調達にもひたむきに向き合ってきました。

一度きりの人生、悔いなく生きる
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
学生の人生が変わる瞬間を目の当たりにできることです。目の色が変わり、生き生きと行動し始める学生の姿を見ると、私自身はもちろん、社員一人ひとりのモチベーションも自然と高まります。
自立とは、自分で人生の選択をすることです。幸福度に関する研究でも、年収や学歴よりも自分でキャリアを選んだかどうかが大きな要因になると言われています。
自分の人生を自分で決められる人が増えれば、個人も社会ももっと元気になると信じています。
そう考えるようになった背景には、東日本大震災の経験があります。その経験から、一度きりの人生を世の中や人のために使い、後悔のない生き方をしたいと強く思うようになりました。
その思いが、今も事業に向き合い続ける原動力になっています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
事業を拡大していきたいと考えています。HR高等学院の拠点を全国に広げ、より多くの子どもたちの目の色が変わっていくきっかけを作っていきたいと考えています。
そのためにも現在は、採用に力を入れています。当社のバリュー「愛と力で社会を変える」に共感してもらえることが大前提です。
その上で、子どもたちの成長に本気で伴走しながら、同時に事業としても結果を出してくれる方、そして教育的な視点とビジネス的な視点の両軸を持って働いてくれる方を求めています。
特に現場では、教えるだけではなく、コミュニティマネージャーやファシリテーターなど、コーチとして生徒の自発性や関係性を引き出せる方に来ていただきたいと考えています。
生徒と向き合い、場をつくることに価値を感じる方が増えれば、日本の教育はもっと変わっていくと信じています。
もう一つの採用軸が、BtoB事業です。自治体や企業など、教育のあり方に悩んでいる組織はとても多いです。そうした顧客に対して、教育を切り口にしたソリューション提案やコンサルティングができる営業人材も求めています。
▼お問い合わせはこちらから
https://replayce.co.jp/careers

「明日死ぬなら何をするか」
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
どんな事業で起業したいかが明確な人は起業するべきだとは思いますが、起業が目的となってしまっている人は一度考え直すべきだと思います。
そこで私自身が大切にしているのは、「明日死ぬとしたらどうするか」という考え方です。今日を後悔しないために、やれることはすべてやるようにしています。
本当にやりたいことがはっきりしている人は、迷わずやるしかないと思います。
実際に起業してみると、今の日本は起業家を支援してくれる人が多く、起業しやすい環境が整っていると感じます。
もし何かに迷っているのであれば、「明日死ぬとしたら自分は何を選ぶか」を自分に問いかけ、後悔のない選択をしてほしいと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:山本将裕 氏
2010年にNTT東日本に入社。 2015年よりNTTグループ内組織活性有志活動「O-Den」を組成。 2016年経産省のイノベーター育成プログラム「始動」2期生。2020年に独立し、フリーランスでスタートアップの支援を行う。NTTドコモへ中途入社。 2020年に企業内大学ドコモアカデミーを立ち上げ学長として1,000人以上の人材を育成。 2023年キャリアオーナーシップ経営AWARD2023優秀賞を受賞。教育事業のはたらく部を立ち上げ スピンアウトし株式会社RePlayceを創業。2025年4月にHR高等学院を開校。
企業情報
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法人名 |
株式会社RePlayce |
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HP |
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設立 |
2024年1月15日 |
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事業内容 |
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