【#618】離婚調停がスマホで完結!ビジネス戦略で司法のDXを加速させる|代表取締役 執行役員・CEO 的場 令紋(株式会社wakai)

株式会社wakai 代表取締役 執行役員・CEO 的場 令紋
最短1か月、利用料金18万円~という手軽さで離婚調停を解決に導く、スマホ調停プラットフォームサービス「wakai」。株式会社wakaiが提供するこのサービスは、離婚調停の心理的ハードルを下げ、養育費未払い問題の解決の糸口になると期待されています。今回は代表取締役CEOの的場令紋氏に、詳しいサービスの内容や今後の展望についてお聞きしました。
早く・安く・質が高い、オンライン調停の支援サービス
事業の内容をお聞かせください
弊社の提供する「wakai」は、これまで家庭裁判所で行われていた調停のプロセスを、スマホ上でいつでも完結させられるサービスです。
そもそも日本では、いきなり訴訟で裁判を行うのではなく、まず話し合いによる解決を目指す制度があります。特に離婚調停では、養育費や親権、財産分与、慰謝料など、多くの重要な点について合意を目指して議論を行います。
しかし、現在、裁判所は裁判官不足などの問題を抱えており、調停にも進行の遅れなどの支障が生じている状態です。次の調停が数ヵ月後になることは、珍しくありません。我々はそうした司法制度の問題もテクノロジーの力で解決したいと考えています。
通常の離婚の調停であれば一般的に8ヵ月ほどの時間を要しますが、「wakai」では1、2ヵ月での解決を目指しています。
「wakai」を利用していただくメリットの1つが、調停のプロセスが可視化されることです。サービスに登録していただくと、解決までに必要な手順がアプリ上ですべて表示されます。これによって、離婚の当事者の方々の「何をしていいか分からない」という心理的負担を取り除きます。
我々のサービスは離婚することに双方合意していて、財産分与や養育費などの条件を決めていくだけというケースなら、より手軽にオンラインで手続きを進めることも可能です。また、費用面も圧倒的に抑えることができます。
メリットの2つ目は、安心安全に利用できることです。株式会社wakaiは2025年4月1日に法務省から「かいけつサポート(認証紛争解決事業者)」として正式に認定された民間のADR機関としてサービスを提供しています。家庭裁判所では、調停人の役割を司法の資格のない一般人が務める場合が多いですが、「wakai」は調停人と呼ばれる話し合いの進行役も、経験の豊富な弁護士が務めています。
現在の「wakai」は主に離婚分野に注力していますが、今後は他の紛争解決にも利用していただけるよう、サービスの内容を広げていく予定です。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
自分で事業をすることを考えるようになったのは、祖父母の存在が大きく影響しています。私の祖父母は戦前戦後の環境の中、様々な活動を通してビジネスを始めており、とても才能がある人でした。叔母や兄も、祖父母の事業を受け継いで経営者として活躍していました。こうした家族の姿を見て、ゆくゆくは自分も家業を継ぐか起業するだろうと考えていました。
最初にコンサルティング会社に入社したのも、ITと経営・財務を同時に学べるため、将来に役立つと思ったからでした。そこで営業の基本を徹底的に学び、その会社と次に転職した会社でトップセールスとして実績を挙げることができました。
その後はベンチャー企業で社長直属となり、資金調達やIPOまでのプロセスを経験しました。こうしたキャリアを積み重ねていった後、日本の調停制度の課題を感じた出来事があり、本格的に起業に乗り出すことを決意しました。
当時から世の中に類似のサービスはすでにあったのですが、オンライン完結型の調停というのは、まだまだ世間に認知されていないのが実状です。

達成できないのは、本気じゃないから
仕事におけるこだわりを教えてください。
私の考え方の根底にあるのは、祖母譲りの「為せば成る」という信念です。自分がやると決めて本気で実行するならば、成し遂げられないことはないと信じています。祖母は、戦後お金も人脈もないところから日本女性で初めてアメリカ人兵士向けの土産店を始め、そこから的場真珠宝石店を立ち上げました。当時、マリリンモンローも来店した店として有名になりました。
そんな祖母が、「もしも、仕事で目標を達成できなかったとしたら、それは自分が本気でやりたいと思っていないからだ。」とよく言っていました。祖母から教わったその言葉が今もずっと自分の中にあって、仕事への姿勢を形づくっているのだと思います。
起業から今までの最大の壁を教えてください
ひとたび起業すれば、いつも何かしらの壁が目の前に立ち塞がっている状態と言えます。
幸いなことに、一般的に大きなハードルと言われている組織づくりと資金調達に関しては、現在、非常に順調に進んでいると思います。
だからこそ、これからは次のフェーズとして、サービスが多くの人に認知され、必要な人に届くことが重要だと考えています。そのために、現在はサービスの認知度を上げるため、広報活動に力を入れています。

「やっと前に進めた」という言葉が励みに
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
離婚に関して深刻な問題を抱えて苦しんでいる人たちは大勢います。だからこそ、その方たちの力になりたいという思いが、今の一番のモチベーションになっています。
たとえば、相手から養育費を受け取れていないシングルマザーの数は、約80万人にのぼります。そして、離婚後に子どもに会うことができなくなる親の数は、年間で15万人と言われています。
一方で、離婚時に調停をして契約を交わしていれば、こうした事態が避けられると、データが証明しています。
対面で話したり、家庭裁判所に行ったりするのは難しくても、スマホ上で済ませることができれば、適切な手続きをして離婚するケースはもっと増えるはずです。
実際に、我々のサービスを利用したユーザーの方から「4年間別居していましたが、スマホ調停のおかげで、時間、金銭、心理的負担が少なく停滞していた離婚について前に進めることができました。」と感謝の言葉をいただきました。我々のサービスを周知することで、必要な人の元に届き、1日も早い平穏な日常を取り戻して欲しいという思いで取り組んでいます。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
私が最終的に実現したいのが、司法のDXと調停制度の民営化です。
未だに弁護士とのやり取りはファックスが使われています。国内の司法の現場においては、圧倒的にDXが遅れているというのが実状です。
加えて、裁判官不足の問題もあります。調停は、調停委員だけでなく裁判官を含む「調停委員会」として運営されるため、裁判官が担当できる件数には限りがあります。そのため、裁判官不足により、申立てから初回の調停期日まで数ヵ月待つケースが珍しくない状況となっています。調停制度が不便であるほど、当事者たちには様々な問題が降りかかることになります。そして、それによって最も不利益を被るのは、立場の弱い子どもたちです。
私はこうした現状を打開するべく、調停制度を民間が担う仕組みを普及させ、スピード感を持って紛争を解決できる時代を実現したいと思っています。

「なぜ自分がやるのか」を追求する
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
起業のきっかけは些細なことでいいと思います。身近に尊敬する起業家がいるから、自分も挑戦してみたいという人もいるでしょう。
ただ、いざ起業したあとには、なぜ自分がその事業をやるのかという理由を明確にして行くことが大切です。
起業の道では必ず壁にぶつかります。そのときになぜ他の誰でもなくて、自分がやらなくてはならないのかという確固たる根拠がなくては、すぐに諦めてしまうと思います。
苦しいときに自分自身が最後まで粘り強く頑張れるような理由を、追求し続けてほしいと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ: 的場令紋氏
2002-2012年:株式会社オービックビジネスコンサルタントにて、ERPパッケージパートナー・ダイレクトセールスでトップセールスを達成。
2012-2020年:日鉄ソリューションズ株式会社にて、金融/医療向けクラウドセキュリティSaaS基盤のエンタープライズセールスで最優秀営業賞を受賞。
2020年-:INFORICHセールスマネージャーとして営業戦略策定と体制構築を担当(2022年12月グロース市場上場)。
その他:親子空手教室運営、宝石業、ラテン音楽普及活動も行う。
2024年11月:株式会社wakai(旧株式会社DDR)を創業。スマホ調停プラットフォーム「wakai」サービスを展開中。
企業情報
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法人名 |
株式会社wakai |
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HP |
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設立 |
2024年11月11日 |
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事業内容 |
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