【#619】「光る植物」が電気を使わずに街を照らす!未来を創るバイオテクノロジー|代表取締役CEO 高元 丈治(株式会社LEP)

株式会社LEP 代表取締役CEO 高元 丈治
2025年の大阪・関西万博で展示された、自ら光を放つ植物。このバイオテクノロジーは大阪大学で開発され、株式会社LEPが社会実装を進めています。大学発のベンチャーとして、2人の教授の研究から始まった同社。現在は、元々アクセラレーターでスタートアップ支援に携わっていたという高元丈治氏が代表取締役CEOを務めています。今回は高元氏に、このテクノロジーが持つ可能性についてお聞きしました。
サステナブルライフの実現から防災・防犯まで、LEPの持つ可能性
事業の内容をお聞かせください
弊社は大阪大学で独自の技術を元に開発されたLight Emitting Plant (LEP)、の商品化を進めようとしております。LEPは「光を発する植物」という意味で、バイオテクノロジーを活用することで、本来自然界には存在しない「光る植物」を生み出しています。
電気を使わないサスティナブルな生活を実現する最先端技術として、LEPは2025年の大阪・関西万博でも展示されました。
現時点でも暗い空間であれば肉眼ですぐに認識できる明るさで、さらなる明るさの向上や多色化に向けて開発を行っています。
LEPでは、植物は自身の発光タンパク質によって光を放ちます。つまり、植物が生きている限り光り続けられるため、寿命の長い常緑樹に導入すれば、電力を使わずに何十年も照明の役割を果たせるようになる可能性を秘めています。
現実の社会にこの技術を実装するとなれば、いくつもの用途が考えられます。
まずは間接照明の代わりに、各施設や家庭で利用されるケースです。LEPは電気を使わず、しかもCO2も吸収できるため、サステナブルなライフスタイルを実現します。
加えて、植物が放つ優しい光は、観賞用としても魅力的です。電球よりもキャンドルの灯りを好む人もいると思いますが、LEPでも同様に独特の生きた光の揺らぎを楽しんでいただけるのではないかと思っています。
さらに、街灯の代わりに光る樹木を植えることで、社会のインフラとして活用することが可能です。災害時に停電が起きても、植物の光で夜間でも一定の明るさを確保できます。また、暗い場所での犯罪を抑止する防犯の効果も期待できるでしょう。
治安の良い日本では実感しにくいかもしれませんが、発展途上国をはじめとする海外諸国では、都市部の犯罪防止というのは大きな課題となっています。犯罪が起きやすい暗い場所を減らして治安を良くすることは、現状の社会課題解決にも繋がると考えています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
大阪大学教授の永井がLEPの開発者で、開発自体は私がこの会社に参画した2025年以前にすでに始まっていました。
永井が発光タンパク質や植物の研究を進める中で、LEPの開発に成功し、奈良先端科学技術大学院教授の出村との共同研究も経て、2023年に大学発のベンチャーとして事業を立ち上げたのが始まりでした。
その当時、私はアクセラレーターでスタートアップ支援に携わっていました。その仕事を通して起業に興味を持ち、特にディープテックの領域で事業を立ち上げたいと思い、プロダクトになりそうなものを探していました。
子どもの頃に海外で暮らしていた時期もあり、日本の技術力が諸外国から一目置かれていることは肌で感じていました。そのこともあり、社会に大きなインパクトを与える可能性があるディープテックに強い関心を寄せていました。
私自身は文系なので、自分で研究開発はできませんが、それでも何か新たなテクノロジーで日本の産業を盛り上げる仕事がしたいと考えていました。
そんなある時、LEPの事業を立ち上げた永井と出村に出会いました。2人も、大学で研究を続ける傍らで会社を立ち上げていたため、資金調達や営業を任せられる人材を探しているところでした。
そこで、まず1年ほどボランティアという形で手伝いつつ、最終的にLEPの技術には大きな可能性があると確信し、代表取締役CEOとして事業に参加することを決めました。

ディープテックをただの夢物語で終わらせない
仕事におけるこだわりを教えてください。
私はディープテックを手がけたいと思って事業をしていますが、その中でも現実的に社会実装が可能かどうかという視点には特にこだわっています。
ディープテックの中には、開発に何十年もかかるものがあります。それだけ革新的技術が生まれる可能性はありますが、商品として世に出せるかどうかは別問題です。
私がLEPを選んだ理由として、すでにプロダクトが形として完成していて、これなら社会実装できるという具体的なイメージがついたためです。
植物が光るというと、誰しもSFやファンタジーのような夢のある話だと感じます。しかし、それを単なる夢物語で終わらせるのではなく、いかにビジネスとして早く形にできるかが重要です。
スタートアップは実行がすべてです。今後も、夢のような技術を研究室の中で開発するだけで満足せず、現実の社会で行動していくことにこだわっていきたいと思っています。
現在は新たな人材の獲得にも力を入れていますが、やはり一緒に働く人にも同じようなこだわりを持ってほしいです。LEPの技術が現実の社会にインパクトを与えるものだという可能性を信じ、そのビジョンに熱中して取り組んでもらえる人を求めています。
我々のビジョンに共感し、弊社での仕事に興味を持っていただけた方はぜひ一度ご連絡ください!
起業から今までの最大の壁を教えてください
私は何事もポジティブに捉えるためで、苦労したことはあまり記憶に残らないタイプです。
ただ、昨年の資金調達は完了までに約半年を要し、客観的に振り返ると決して平坦な道のりではなかったと感じています。様々な投資家の方々から率直なフィードバックをいただき、その一つひとつと向き合いながら事業やストーリーを磨き込んでいくプロセスは、決して容易ではありませんでした。
また現在も、乗り越えなくてはならない壁は確かに存在しています。LEPは大学発の技術ですが、研究室と商品化して量産していく過程では、求められる条件がまったく異なります。
いかにして研究段階のLEPを製品化するかというのは、非常に挑戦的な課題として現在進行形で取り組んでいるところです。

「光る植物」で早く社会にインパクトを与えたい
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
私自身、光る植物の可能性を誰よりも強く信じています。ですから、早くこれを世界中に届けて、社会的に大きなインパクトを与えたいという気持ちが、仕事へのモチベーションになっています。
まだLEPを知らない人でも、実物を見てもらえれば、純粋な喜びを感じてもらえると思うのです。実際、2025年の万博会場では、1週間の展示期間中に3回もLEPを見に来てくださった方がいました。
その方は1年ほど前にLEPについての報道を耳にしてから、自分の目で見るのを楽しみにしていたと話してくださいました。その方に実際に見て感動しましたと言っていただいたことは今も私の心に残っています。
このようにLEPのファンになってくれる方がいることが本当に嬉しく、達成感がありました。きっと同じように感じてくれる方が他にもたくさんいると信じて、今後も仕事に邁進していきます。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
まずは、国内で一般の方々の目に触れる機会をもっと作っていきたいと考えています。
今後はそのためにも、宿泊施設や娯楽施設など暗い空間で、人が集まる場所での演出や展示を本格化させる予定です。すでに各事業者様向けに営業をスタートしており、2026年の後半にはこれらの場所でLEPを目にしていただけることが増えてくると思います。
また、海外展開もすでに視野に入れています。進出国に関しては検討中ですが、こちらも早ければ2026年か2027年には現地で生産・販売するネットワークを構築する計画です。

失敗を恐れずにチャレンジできる時代
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
とにかく恐れずに積極的にチャレンジするべきだと思います。
昔は、起業はリスクのある選択肢でした。けれど今は起業も一般的になってきて、失敗したとしてもその経験を生かした様々なキャリアを描けるでしょう。実際に、こうしてスタートアップを経営すると学ぶことが非常に多いと感じます。
起業という経験は決して無駄にはならないと信じて、意欲のある人はどんどん挑戦してほしいです。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:高元 丈治 氏
早稲田大学卒業後、事業会社にて海外営業、新規事業開発、 M&A、スタートアップ投資に携わる。2017年 Columbia Business School MBA取得。2019年よりPlug and Play Japanに参画、京都オフィス、並びにヘルスケア部門・ディープテック部門のアクセラレーターを立ち上げ、6年間で20名から60名への組織への成長を牽引。
企業情報
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法人名 |
株式会社LEP |
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HP |
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設立 |
2023年9月29日 |
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事業内容 |
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