株式会社 OVER DOOR様 代表取締役 山田 祐也 

株式会社 OVER DOORは、キャリアの可能性を最大限に引き出す人材紹介企業です。新卒から中途転職まで一貫して支援し、長期的な関係を構築。一人ひとりのキャリアストーリーを重視した支援を行なっています。代表取締役の山田 祐也氏に、事業内容や今後の展望なども含めて詳しくお聞きしました。

 

業界では珍しいオーダーメイド型の新卒就活支援を提供

事業の内容をお聞かせください

我々は新卒の就活支援と中途転職支援を展開しています。特徴としては、新卒、中途のどちらか一方に特化する会社が多い中で、私たちは両方に力を入れている点です。

 

我々が目指しているのは、候補者のキャリアLTVを高めることです。新卒時に関わった学生とその後も関係を続け、転職時にも支援できる体制を整えているためキャリアが上がっていく過程に寄り添うことができます。

 

新卒の人材紹介は業界で一時期流行しましたが、現在は多くの企業が撤退しています。収益化が難しく、入金までの期間が長いことが理由です。そのため、現在は効率的に多くのマッチングを行う企業が増えています。

 

一方、私たちが重視しているのは、キャリアLTVの向上です。学生の体験を大切にし、内定まで10〜15回ほど面談を重ねます。何をやりたいのか、3年後、5年後にどうなりたいのかをしっかり話した上でマッチングを行なっています。中途採用におけるブティック型、つまりオーダーメイドに近い形で学生に接していることが私たちの強みです。

 

中途転職支援においても、一人ひとりをしっかりと理解することを目指し、10回以上面談を重ねています。

 

独自のキャリアシートを用いて、その方の「キャリアストーリー」を共有しながら支援を進めています。なぜ1社目の会社を選んだのか、今後どうしていきたいのかなど、キャリアは点ではなく、過去から現在、未来へとつながる線で捉える必要があります。

 

一般的な人材紹介では、最初から40社ほどの多くの求人を送って選んでもらうスタイルが多く見られます。しかし私たちは、5社から多くても10社程度に絞り込み、その方の価値観や軸を踏まえた丁寧な提案を行なっています。

 

印象的だった事例の一つに、人材紹介会社を経て青年海外協力隊に参加された20代の方がいます。JICAに行く際、ボランティアに近い活動のため、帰国後にビジネスマンとして戻るのは難しいと周囲から言われましたが、彼は行くことを選びました。

 

活動終了後、当社以外のエージェントからアプローチはありませんでした。彼はアフリカで起業家支援をしており、開業支援や企業支援をすることが希望だったため、最終的に、医療・介護系の大手企業で開業支援コンサルタントという希少なポジションに入社が決まりました。

 

通常であればJICA出身者には再び人材紹介業を勧めることが多いでしょう。しかし、彼の思いを理解し、希望通りの企業に繋げられたことが、本当に嬉しかったです。

 

更に、不動産業界をメインに採用コンサルティングも行っています。新卒・中途の人材紹介で蓄積したノウハウを企業に提供し、人事機能が整っていない企業や採用経験の浅い企業を支援しています。私自身、人の可能性は無限大だと捉えています。その可能性を最も広げるのは仕事で誰と接し、どのような仕事をしているかだと考えています。

 

私は、福井県立大学という地方の大学から、縁があってリクルートに入社しました。リクルートに入社したからこそ、今起業する選択肢を持てています。仕事によって選択肢が広がった実感があるからこそ、この体験を多くの人にしてもらいたいと思っています。

 

学生にとって最初の一社は特に重要で、可能性を広げる第一歩です。だからこそ学生支援を行っています。

 

一方で、私自身は転職をしていません。リクルート一社でキャリアを重ねる中で、自分のキャリアを客観的に見直し、能力を確認する機会を持たなかったことを後悔しています。私のように、キャリアを一度も振り返らずに過ごしてしまう人をなくしたいと考えています。

 

そのため、転職支援では「キャリアの棚卸」といった観点で支援しています。

 

相談者が実際に転職するかどうかは重要ではありません。また何かあれば相談したいと思ってもらえれば十分です。見直しや振り返りができる場を提供することが、「人の可能性を広げる」というビジョンにつながり、それこそが私たちができる提供価値だと考えています。

 

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

リクルートで働く中で、30歳頃から漠然と起業をしたいと考えていました。ですが、起業は目的ではなく手段だと考えていたため、やりたいことが明確でなかった30〜35歳までは行動に移せずにいました。

 

35歳の時、コロナ禍で人生を振り返る機会ができました。リクルートでのマネジメント経験を通じて、人のキャリアに関わることが好きだと気づいたのです。自分の声かけで部下が成長する姿や、逆に他のマネージャーの接し方で落ち込む姿を見て、「誰からどう声をかけられるか」が重要だと実感しました。

 

また、自分のキャリアを振り返った経験も影響しています。私は新卒での就職以降、キャリアを見直す機会を持たずに働いてきました。その中で、振り返る機会がないまま時間が過ぎてしまう怖さと、もし早く向き合っていれば広がったかもしれない可能性の両方を痛感しました。だからこそ、人のキャリアに伴走する人材事業をやりたいと考えました。

 

同時期に知人の紹介を通して人材紹介業の副業を経験し、自分に非常にフィットすると感じました。また人材紹介は、代表の価値観がそのまま反映される事業だとも感じ、自分で事業を立ち上げました。

 

相手の期待を超え続けることが信頼に繋がる

仕事におけるこだわりを教えてください。

「期待を超える」ことです。

 

なぜなら、仕事は相手から期待をしてもらえるから成り立つものだからです。期待を1ミリでも下回れば価値はありませんが、1ミリでも超えれば価値は大きくなっていきます。相手が求職者であれ企業であれ、何を期待していて、どう超えるか、いかに早く超えるかには強いこだわりがあります。

 

実際、起業してリクルートの看板がなくなった時、不動産事業でお付き合いのあったお客様が「採用で困っているから助けてほしい」と、まだ専門性が十分に確立していない時期に声をかけてくれました。これまで期待を超え続けてきた実績があったからこそ、「この人なら領域が変わっても結果を出すだろう」と信頼してもらえたのだと思います。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

正社員を採用する決断でした。

 

2022年、2023年はリクルートに在籍しながら起業していたため、保険をかけた状態でした。2023年6月末に退職し、2024年は丸々1年間、リクルートの看板なしで事業を走らせました。ですが、社員は雇わず、基本的に業務委託のみで固定費もほぼかからない状態にしていたため、いつでも撤退できる体制だったのです。

 

2025年6月に初めて正社員を採用しました。そこから人を雇う責任や怖さ、結果が出ない場合の不安が大きくなりました。人を雇わなければ事業は伸びないとは聞いていましたが、やはり怖さはありました。現在は正社員6名の体制で、事業を進めています。

 

 

支援した方のキャリアと人生が大きく変わる瞬間に立ち会う

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

当社を通じてキャリアが大きく変わる様子を間近で見られることです。支援した方々の変化を手応えとして感じられることが、今のモチベーションになっています。

 

ただ、世の中全体で見ればまだ影響力は小さく、売上規模も限られています。現在目指しているのは10〜30億円の規模です。そこまで事業を伸ばして初めて、社会に還元できると考えていますし、人材業界である程度の影響力を持てるようになると考えています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

当社を通じて、キャリアを変えていく人たちをもっと増やしていくことです。

 

現在、年間で支援できているのは30〜40名程度です。お会いしている方は500〜1000人ほどいますが、実際に深く支援できている規模はまだこの程度にとどまっています。私たちが目指す「ヒトのキャリアに向き合い続け、可能性を広げること」を達成するためには、認知度を高め、社員数を増やし、事業を拡大していく必要があります。

 

そのために、私たちの支援スタイルを世の中に必要とされるサービスとして確立したいと思っています。一人ひとりに向き合い続けるブティック型の支援スタイルを、人材紹介業界のスタンダードにしたいです。

 

加えて、当社では誠実さを重視しています。社内では「ロマンとそろばん」という話をよくしますが、そろばんばかりに走って目の前の人をお金としか見なくなれば、目先の利益は得られても、その先の成長はないと考えています。

 

支援をいかに質高く広げていくか、支援数をどう増やしていくかというロマンの部分と、事業としての収益性のバランスを大事にしながら、信頼と安心を提供できる会社を目指していきます。

 

 

ファーストステップは、自分の過去を振り返ること

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

やりたいことは、自分の過去の経験からしか見つからないと思います。

 

流行に乗るだけの動機では、根っこや芯がないため、どこかで行き詰まります。起業は辛さや孤独がつきものです。支えとなるのは、これまで何を選択し、何をやりたいと思い、実際に何をやってきたかといった自分自身の原点です。まずは自分の過去を振り返ることが大切だと思います。

 

そして、小さな一歩を踏み出すことが重要です。「起業を考えている」ことと「実際に稼ぐ」ことの間には大きな差があります。

 

私自身、リクルートの先輩に「起業したい」と相談した際、「これまでの経験を生かして、まずは1円を稼いでから相談に来い」と言われました。起業を考えている方は、まずはそこから始めてみてほしいです。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:山田 祐也

愛知県豊田市出身。福井県立大学経済学部を卒業後、2008年に株式会社リクルート住宅領域企画営業部門に入社。マンションデベロッパー・ハウスメーカー各社の販売促進支援・ブランディング構築・組織コンサルティング業務を経験。全社MVP8回受賞。2018年から営業マネージャーとして、営業戦略策定・組織構築・人材育成業務等のマネジメントを担当。個人事業として、企業の採用面接代行、キャリアコーチング、キャリアアドバイザー等を経験。その後、リクルート在職中の2022年2月に株式会社OVER DOORを設立。

企業情報

法人名

株式会社 OVER DOOR様

HP

https://www.over-door.net/

設立

2022年2月

事業内容

新卒・中途人材紹介事業・採用コンサルティング事業

不動産VR事業/営業コンサルティング事業

 

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