【#631】最終面接の涙から生まれたサービスと、生まれた時からのクラブへの愛。ABABAが描くスポンサーシップの新常識|代表取締役社長 久保 駿貴(株式会社ABABA)

株式会社ABABA 代表取締役社長 久保 駿貴
幼少期から地元・兵庫で親しんできたヴィッセル神戸への純粋な愛と、スポンサーシップをビジネスに昇華させる現実主義的な視点。この二つを違和感なく両立させる久保氏に、スポンサー契約に至った経緯から地域スポーツとビジネスの関係性まで、余すことなく語っていただいた。
「最終面接落ちの悔しさ」から生まれた、就活生の努力を正当に評価するプラットフォーム
事業の内容をお聞かせください
ABABAが手がけるのは、新卒向けのダイレクトリクルーティングサービスです。最終面接まで進んだにもかかわらず、惜しくも内定に届かなかった就活生が登録できるプラットフォームで、そのデータベースを企業側が閲覧し、スカウトを送る仕組みになっています。最終面接まで進んだという事実を高く評価していただき「二次面接から参加してください」といった選考優遇のご案内を送る企業様も多くいらっしゃいます。
創業のきっかけは、大学4年生のときの出来事でした。仲の良い友人が最終面接で不合格となり、落ち込むあまりうつ症状が出てしまったのです。最終面接まで積み上げてきた努力や時間、そして精神的なエネルギーが、何も報われないまま「また1からやり直し」という状況になってしまう状況に強い問題意識を覚えました。
「ここまで頑張った事実が、ちゃんと評価される仕組みを作れないか」という思いが、ABABAの原点です。最終面接まで進んだという実績は、その学生の能力や適性を示す確かな証拠になります。その実績を他の企業が正当に評価し、途中から選考に参加できるようにすれば、就活生にとっても企業にとっても双方にメリットがある。そうした考えのもと、現在のサービスを開発・運営しています。

支援に至るまでの背景を教えてください
ヴィッセル神戸は、阪神・淡路大震災が発生した1995年に誕生しました。私は、ヴィッセル神戸誕生の2年後に生まれたため、まさに物心ついた頃から身近にあった存在です。幼稚園の頃にはスタジアムに無料で招待していただいたり、試合前のピッチでミニゲームをした記憶もあります。ヴィッセルに在籍していた三浦知良選手と握手したことは今でも鮮明に覚えています。地元のクラブとして、自然とサポーターになっていきました。
パートナー契約に至ったきっかけは、ヴィッセル神戸のオフィシャルダイヤモンドパートナーである株式会社デジアラホールディングスの有本会長との出会いです。
会長は「今のABABAぐらいの規模の時からヴィッセル神戸のパートナーをしていた」とお話をしていただき私の背中を押してくれました。会長には何度か試合に招待していただき、銀行の頭取や神戸の経営者の方と名刺交換する機会を作っていただきました。沢山いただいたご恩をどのような形で返すべきかを考えたときに、パートナーになり、チームを一緒に盛り上げていくことだと考え意思決定をしたことを覚えています。パートナー契約をされている兵庫県を代表する企業との繋がりも見据えながら、稟議を通してパートナー契約を実現させました。地元紙の1面に掲載されるなど、広告効果だけでも相当反響があったと思います。

「共通言語」が壁を壊す。ヴィッセル神戸スポンサーシップが拓く新たな商機
支援するチームとのご関係は
パートナー契約を結んでいると、ヴィッセル側に「このパートナー企業と繋がりたい」とリクエストすれば、担当者を通じて紹介していただける体制が整っています。Jリーグと楽天という強力なバックボーンがあるヴィッセル神戸は、パートナー同士のネットワーク構築への対応がとても手厚いと感じています。
シーズン前のキックオフパーティーには、ほぼ全パートナー企業が集まります。そこでの名刺交換や商談の機会は、非常に密度が高いです。
また、ヴィッセル主催の採用説明会にも携わる機会をいただき、ABABAのサービスと親和性の高い場で存在感を示せています。他のJリーグクラブのパートナー企業と商談をする際に「うちもヴィッセルのパートナーをやっています」と言えば、サッカー好きの方はすぐに話が盛り上がります。スポーツスポンサーという共通言語が、ビジネスの壁を低くしてくれる感覚があります。さらに、楽天グループとのビジネスにも繋がっており、グループ各社にサービスを活用していただく機会も生まれています。
支援するチームに今後どうなってほしいですか
まず何より、選手全員が怪我なくシーズンを戦い抜いてほしいというのが一番の願いです。サポーターとして応援してきた立場から言えば、どんな結果よりも、選手たちが健康に全力を尽くせる環境が整っていることが大切だと思っています。
その上で、目標として掲げているアジアナンバーワンを実現してほしいです。天皇杯もリーグ戦も制してきた実績がありますから、次のステージはアジアの舞台で頂点に立つこと。そして将来的にはクラブワールドカップで世界一を目指せるチームになってほしいと、心から思っています。
創立30周年を超えて、かつて私が幼稚園の頃に無料でスタジアムに招待してくれたあのクラブが、今や日本を代表する強豪として世界に名乗りを上げようとしている。そのプロセスに、パートナーという形で少しでも関われていることを誇りに思っています。地域のクラブが世界を目指すという夢を一緒に追いかけていきたいです。

「効果が出るかは自分次第」——スポンサーシップを使い倒す覚悟を持て
スポンサー契約を検討している企業へのアドバイス
一番お伝えしたいのは、「スポンサーシップの効果を出すのは自分自身だ」ということです。私がシリーズBの資金調達発表もまだ出ていないタイミングでヴィッセルのパートナーになった時、試合観戦の様子をSNSに上げると「公私混同だ」「調子に乗っている」という声が聞こえてきました。しかし、パートナーとして試合を観戦するということは、ビジネスとしても有意義であると私は考えています。
「スポンサーシップに効果はあるのか」と聞かれることがありますが、効果が出るかどうかはスポンサードをした企業の動き方次第です。試合当日に自分のVIPシートに座って観戦を楽しむだけなら、確かに費用対効果は低いかもしれません。でも、ハーフタイムに挨拶回りをして、キックオフパーティーで名刺交換をして、紹介していただいた方に必ずフォローアップをすれば、スポンサー費用は容易に回収できます。
他クラブのスポンサーシッププランには50万円や100万円程度から参加できるものもあります。使い倒す気概があれば、ベンチャー企業にとっても十分に元が取れる投資です。地域のスポーツチームを応援することは、社会的意義もあり、ブランド向上にも繋がる。venture.jpをご覧の経営者の皆さんには、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。「使えるものはフル活用してネットワークを作り、顧客を増やす」というこれがベンチャー経営者の基本姿勢ではないでしょうか。
応援しているチームへのエールをお願いします
まずは怪我なく、全選手がシーズンを通じて最高のパフォーマンスを発揮してほしいと思います。そして、ぜひアジアチャンピオンの称号を勝ち取ってください。天皇杯もリーグ優勝も経験したヴィッセル神戸が、次に見据えるステージはアジアの頂点だと思います。神戸から世界への挑戦をこれからも全力で応援しています。

本日は貴重なお話をありがとうございました!
企業情報
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法人名 |
株式会社ABABA |
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HP |
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設立 |
2020年10月 |
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事業内容 |
新卒向けダイレクトリクルーティングサービス |
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