株式会社スポンサーズブースト 西里 将志 氏

株式会社スポンサーズブーストは、企業が大学部活に小口でスポンサー出資できるプラットフォームを運営し、学生の挑戦を応援しながらリクルートにつなげる事業を手掛けています。

今回はそんな株式会社スポンサーズブーストの代表取締役の西里 将志氏に、具体的な事業内容や事業を始めた経緯、今後の展望について伺いました。

大学生の部活に対して企業が小口でスポンサー出資をできるプラットフォームを運営

さっそくですが、事業内容をお聞かせください。

当社は2023年の夏頃に立ち上げており、大学部活に対して企業が小口でスポンサー出資をできるプラットフォームを運営しています。企業側のメリットはリクルートです。就活解禁後ではなく、大学1年生や2年生などの早いうちからスポンサーという形で接点を持てます。

また、小口なので1企業が複数の部活に出資できたり、部員の詳細な情報(適性検査「ミキワメ」)も確認することができるので適性情報を理解した上で学生とコミュニケーションをとることが可能です。

 

箱根駅伝への出資と同じようなイメージでしょうか?

おっしゃる通り青山学院大学さんなどはスポンサーがたくさんいますよね。シンプルに認知拡大としても有効だと思います。ただ当社がしたいのは、有名ではない部活でも企業側にとっては接点を持ちたいと思えるほどの価値があるので、お互いに利益が出る関係性を築いてほしいのです。

 

例えば、私は九州大学のラクロス部に所属していましたが、部活にスポンサーはついていませんでした。しかし、就活解禁後は企業側から体育会系の学生が求められていることを実感しました。このように、有名ではない運動系の部活の出身者でも企業側からしたら採用する価値があると感じ、接点を持ちたいと思ってくれています。

 

大学生側も出資してもらうことができ、かつ企業側に認知してもらえることはメリットといえます。学生が入社したい企業さんと出会える可能性があります。

 

また、部活に熱中している学生も多いですが、熱中すればするほどに視野が狭くなっています。私も同じで、就活解禁してからやっと企業情報を調べ始めたくらいにラクロスに熱中していました。当社が提供しているプラットフォームはOB以外の社会人と早めにつながれるメリットもあるので、学生が主体的に将来のキャリアを考えるきっかけにもなると思います。

 

出資によって、企業は部活生1人ひとりと関われる

アピールポイントをお聞かせください。

 

 

当社が提供しているプラットフォームでは小口出資が可能なので、月3万円、5万円、10万円、15万円から支援できます。そのため1企業で10部活、20部活、それ以上の部活数と接点を持つことが可能となります。

 

出資した企業側には部員情報を閲覧できるメリットがあります。就活時にSPIに代表されるような適性検査を行うと思うのですが、当社は「ミキワメ」という適性検査を提供している株式会社リーディングマークさんと提携しています。

 

部活が出資を受ける場合には部員にその適性検査を受験してもらうため、出資したらそれぞれの学生の適性検査の結果を見ることが可能です。一般的に、適性検査は就活生が利用するケースが多いですが、当社のサービスでは1年生という早い段階からチェックできます。

 

つまり、企業は出資によって部活生1人ひとりの詳細な情報を理解した上で関わることが可能なので、企業と部活生のマッチ度を把握できるようになります。

 

ちなみに、適性検査「ミキワメ」では学生の特徴が分かるのはもちろん、企業側の社員さんにも受けてもらうことで、その企業で活躍している方と学生とのマッチ度も見ることが可能です。

 

社会性と経済性の両立を目指して

現在の事業を始めた経緯を教えてください。

 

個人的な背景としては、自己資本でやっている「株式会社ReproAccompany」という別の法人があり、そちらがだいぶ落ち着いてきたことがきっかけです。

もともとスタートアップ型の法人をしたいと思っており、この事業を考えていました。そこで去年(2023年)の夏から始めました。

 

スタートアップ型の法人(スポンサーズブースト)を始めたいと思った理由を教えてください。

私は、世の中のためになる事業内容で、スタートアップ型でかつM&Aの事業をしてみたいと考えていたので、株式会社スポンサーズブーストを立ち上げました。起業する際は、目指す目標が大切だと考えており、株式会社ReproAccompanyはIPOを、株式会社スポンサーズブーストはM&Aをゴールに設定しています。

 

社会性と経済性の両立

仕事におけるこだわりや譲れない軸を教えてください。

株式会社ReproAccompanyとも共通するこだわりが、「社会性と経済性の両立」です。

どのような事業を立ち上げるにしても「社会性と経済性の両立」を軸に考えています。まず経済性ですが、法人はボランティアではないためきちんと利益を出すことを大切にしています。そうでなければ事業として伸びていきません。 ただ、それだけではやりがいを感じられないと考えています。世の中には稼げる事業がたくさんあり、成長を続けていますが、個人的にはそれだけだとモチベーションが続きません。

そのため、キャッシュの回る事業を構築すること(経済性)は前提として、その上で如何に社会的意義を盛り込むのか(社会性)を大切にしています。

起業から今までの最大の壁を教えてください。

株式会社Repro Accompanyの方での立ち上げからの壁は、数えきれないほど多くあります。一方で、株式会社スポンサーズブーストは去年(2023年)立ち上げたばかりなので、想定される壁についてお話します。業界としては新卒採用マーケットで、現在は主に人材仲介業の方が運営をしています。学生を集めてイベントをしたり、直接企業のサポートをして実際に入社したら収益が発生したりする仕組みです。

 

当社にとって最大の壁であり、かつこの事業が伸びるポイントといえますが、人材仲介業をライバル視するのではなく、いかに上手く協業するのかが肝心です。当社は手数料ビジネスであり、人材仲介業における手数料ではなくプラットフォームの手数料をいただきます。

 

仮に100万円の収益が出たら一定割合を運営費用としていただくイメージです。マーケットとしては新卒採用の人材仲介ですが、業種業態はSaaSとなっているため、キャッシュポイントは異なってきます。

 

というのも当社の提供するプラットフォームでは企業さんと学生さんが接点を持てますが、それを企業さんがどう活かすかはお任せしています。そこを人材仲介業の方々にサポートしてもらう部分で協業をしていきたいと考えています。

 

学生さんとの接点を持つツールとして当社を使っていただいて、サポートに関しては人材仲介業の方々に利用してもらうことをイメージしています。もしこの想定が上手くいかなければ最大の壁になってしまうかもしれません。

 

飽き性かつ好奇心旺盛な性格がモチベーションの維持につながっている

進み続けるモチベーションはありますか?

私は良い意味で飽き性かつ好奇心旺盛なのですが、その性格がモチベーションに繋がっていると思います。実はスポンサーズブーストは3社目で、その前の2020年4月に株式会社NBBを立ち上げ、2022年06月に株式会社ReproAccompanyを立ち上げています。それらが落ち着き、今の会社(株式会社スポンサーズブースト)を設立しました。このようにやりたいことが溢れ出てくることが、モチベーションになっています。

 

反対に、引退するまで一つの事業だけを続けるといったような考え方は苦手です。私は連続起業家が向いているタイプなのだと思います。だからこそ、毎回新鮮なモチベーションを維持できています。

 

飽き性で好奇心旺盛とのことですが、ラクロス部の前は何か違う部活をしていたのですか?

はい。大学時代はラクロス部でしたが、小中高は野球をしていました。野球やサッカーなどはスポーツ歴の長さが影響しやすいですが、ラクロスはカレッジスポーツのためそれを完全にリセットして、周りと足並みをそろえてスタートできるので始めました。

 

今の話からも新しいことに挑戦するタイプの人間であることが分かると思いますが、他にも私が挑戦を続ける良いきっかけになった経験が、シドニー留学です。

 

私は、大学3年生から4年生になるときにシンプルに留年してしまっているのですが(笑)、そのタイミングでシドニーへワーキングホリデーをしに行きました。シドニーには多様な人種・価値観が共存しており、その環境が私に大きな影響を与えてくれたと思います。

 

ワーキングホリデーは就労が可能なのでそこで稼いだお金で、その後は東南アジアからずっと西を進んで、最後はアフリカまで行きました。1人でシドニーへ行き、最終的にアフリカまで行った経験は、好奇心につながり、挑戦することの大切さを改めて実感することができました。

 

努力したい企業が努力できる新しい土壌づくり

今後の展望をお聞かせください。

私はこの事業の世界観が好きで、「学生の挑戦を応援しながらリクルーティングする」ことは、素敵な世界観だと考えています。

 

企業側は学生と早い段階で接点を持つことができ、学生は自分がやりたいことを考えるきっかけにもなります。世の中にはたくさんの優良企業があるにも関わらず、埋もれてしまっていることが少なくありません。シンプルに認知されていないだけであるため、努力したい企業さんが努力できる土壌を作りたかったのです。

 

就活時期になると学生さんはありきたりな選択肢の中から選ぶ傾向にあると思いますが、色々な選択肢を知った上で自分の考えを基に選択してほしいと考えています。

 

また、現在は体育会系の部活が対象になっていますが、来年以降は、高校や高専、研究室やサークル等の価値あるコミュニティにも対象を広げていき、同様のスキームを構築していこうと考えています。

 

楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する

起業家へのメッセージをお願いします。

 

私が大事にしている考え方が稲盛和夫さんの「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」という言葉です。これは非常に本質をついていると感じています。

 

まず第一にやってみたいことを考えるときは楽観的でいいと思います。とはいえ、事業として成り立たせるにはそのまま進めると足元をすくわれてしまうため、数字などの細かい部分は慎重さが欠かせません。

 

しっかりと考えた後は実行するときには「なんとかなるさ」で楽観的に進めていく方が良いです。なぜなら、色々考えてしまうと「果たして自分にできるのかな?」と不安になってくるからです。まず挑戦するときは、稲盛和夫さんのこの言葉通りの精神でやってみることをおすすめします。

 

次に、実際に起業してみると実態は泥臭いことだらけなので、そこからは「意志あるところに道は開ける」という言葉が支えになります。意味は、自分がやりたいと思えば道は自然と開くというものですが、私はこれだけでは言葉足らずだと考えています。

 

意思があれば開けるほど人生は甘くありません。ですので、私は意志があり、なおかつ愚直にやり続けることで道は開けると考えています。

 

何かを始める上で「これを始めたい」、「こんな世の中を作りたい」といった意思は重要です。しかし、それだけでは壁に直面した際に、継続することを諦めてしまう可能性があります。つまり、「意思」と「継続」が重要です。

 

「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」

「意志あるところに、愚直にやり続けることで道は開ける」

 

 ぜひ、この2つの考え方を参考にしてみてください。

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:西里 将志 氏

◆2016年03月- 九州大学 芸術工学部卒業

◆2016年04月- 東京海上日動火災保険(株) 入社 

 (2016年10月〜2019年03月:福岡中央支店 博多支社)

 (2019年04月〜2021年09月:金融法人部 三菱UFJ室)

◆2020年4月- 株式会社NBB 代表取締役

◆2021年10月- 一般社団法人プロセールス協会 営業MG兼マーケティングMG

◆2022年06月- 株式会社ReproAccompany 代表取締役

◆2023年08月- 株式会社スポンサーズブースト 代表取締役

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企業情報

法人名

株式会社スポンサーズブースト

HP

https://sponsors-boost.com/

設立

2023年08月

事業内容

Sponsors Boost:企業が大学部活に小口スポンサー出資できるプラットフォーム

 

 

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