セブンセンスマーケティング株式会社 代表取締役 宮田 昌輝
セブンセンスマーケティング株式会社は、中小企業を支援する業務可視化SaaS「みえるクラウド ログ」を提供しています。このサービスは、従業員の業務を効率的に可視化し、管理することが可能であり、生産性向上に貢献する優れたツールです。今回はそのような「みえるクラウド ログ」を提供するセブンセンスマーケティング株式会社の代表取締役である宮田 昌輝 氏に、具体的な事業内容やサービスの特徴、今後の展望について伺いました。
「みえるクラウド ログ」の提供とWebマーケティング支援
さっそくですが、事業内容をお聞かせください。
当社は主に2つの事業を展開しています。
1つ目は、「みえるクラウド ログ」というサービスを提供しています。これは、企業内での業務の透明化を図るものです。特に、テレワークや複数拠点展開の企業では、「誰」が「何」をしているか把握することが難しいでしょう。当サービスを利用することで、パソコンの作業履歴を活用し、自動で業務のみえる化ができます。
2つ目は、Webマーケティング支援サービスです。企業が求職者を増やしたり、サービスを広く知らせたりする際にお手伝いをします。具体的には、ホームページの制作からECサイトの構築、そしてウェブ広告の展開まで幅広いサポートを提供しています。
コロナがきっかけでテレワーク利用者が増加したと思いますが、それによって「みえるクラウド ログ」の需要も高まりましたか?
まさに、みえるクラウド ログはコロナになってから作り始めたサービスで、私は過去10数年間で約5,000人程度の在宅ワーカーの方と仕事をさせてもらった経験があります。その経験から、テレワーク業務の透明性や労働者の信頼に関する問題を抱えることが想像できました。
特にコロナ禍で急速にテレワークが進む中で、会社を管理する側においては「本当に仕事をしているのか?」という業務が見えないことに対する不信感が、逆に仕事している側も「仕事しているのに疑われているのではないか?」と不安を抱えることが問題となりました。
そのため、これらの課題を解決し業務生産性を向上させるために「みえるクラウド ログ」というサービスを開発しました。
アピールポイントがありましたらお聞かせください。
テレワークの課題感をヒアリングしたところ、「従業員の業務状況の把握には課題がある」と仰られる方が多かったです。なぜそのような状況になっているのか尋ねると、「オフィスであればなんとなく業務状況はわかったが、テレワークになり雰囲気がわからなくなった。そして従業員に工数入力や日報を書いてもらうのは手間だから」と返ってきます。
確かに日報などの業務報告にかける時間と売上をあげる実務を比較すると、経営者としては実務に時間を費やしてほしいと思うものであり、リモートワークでの業務中に日報に時間を費やすことは望ましくないというのは当然のことです。そのため、「みえるクラウド ログ」では従業員に工数的な負担をかけないことを重視しています。
具体的には、従業員が日報などで報告しなくてもパソコンの業務の状況が自動的にクラウドサーバーにアップロードされ業務のみえる化ができます。つまり、日報などで報告をしなくても自動的に業務が報告される状況が生まれるのです。
従業員に手間をかけることなく業務が見える化され、業務の得意不得意や、どのお客様にどれだけ時間を費やしているかなどを定量的に把握できるため、作業の無駄を省き生産性を向上させることができます。
また、サービスの利用料も月額30,000円(税込33,000円)からと非常にお手頃と言っていただくことが多いです。初期費用は10万円(税別)で、31台以上の場合は1台あたり1000円(税別)となります。
現在の事業を始めた経緯を教えてください。
会社の始まりは、約10年前にセブンセンスグループとの出会いがありました。彼らは税理士法人グループとして、2,000を超える中小企業や個人事業主の税務を中心とした経営サポートを提供していました。
しかし、税務のみでは中小企業の支援に限界があると感じ、売上を伸ばす支援も提供できればと考えるようになりました。そこで、セブンセンスグループの中にマーケティング会社を立ち上げることになり、私は代表に就任させていただきました。
「みえるクラウド ログ」は、コロナ禍でのテレワークや働き方改革の推進に対応するために開発しました。テレワークは私自身も好きな働き方の一つですが、同時にさまざまな問題も抱えていると考えています。
こういった、時代の矛盾にこそITの力が重要であると考え、みえるクラウド ログを開発をスタートしました。
学生のときから起業を考えていたなど、これまで複数の起業経験があると伺いましたが、昔から起業する気持ちは強かったのでしょうか。
学生時代から起業したいという気持ちはありましたが、当時の自分を振り返ると起業したいと言いつつ大企業に就職するタイプの学生だったと思います。
ただ、同級生が起業したのを見て、負けず嫌いな性格から自分も起業しようと思いましたが、漠然とした不安ややり方がわからないことから仲間に入れてもらうことになりました。それが起業の1社目で、起業したというよりは仲間に入れてもらった形です。
その後、COO(最高執行責任者)となり会社の中枢メンバーとして働かせていただきました。
2社目以降は1社目の経験からも起業への漠然とした不安はあまりなく、起業することができました。会社を立ち上げるということ自体は大学生のときの一人暮らしを始めるのと同じくらいの感覚で、面倒くさいと感じることはありますが手間がかかる程度のものとして捉えています。
関わる人みんながバランス良く幸せであること
仕事におけるこだわりや譲れない軸を教えてください。
三方良しではないですが、関わる人みんなが幸せであることが大事だと思っています。例えば、経営者だけが儲かるのではなく、従業員やお客様も幸せでなければならないと考えています。
テレワークも同様で、従業員が幸せなだけではなく、会社やお客様にとってもプラスになるような仕組みであることが大切です。テレワークによって会社の交通費が減り、生産性が上がることは会社や従業員双方にとって幸せなことだと考えています。そういった従業員も会社も顧客も、そして地域社会も幸せな世界を創り上げていきたいです。
自社ブランドの世界観をお客様と構築していく
起業から今までの最大の壁を教えてください。
起業から今までの最大の壁として、1社目の起業が私にとってとても思い出深いと感じています。学生起業家の仲間と共にスタートし、大きな期待と夢を抱いて突き進んでいました。
しかし、売上が伸びず、結局私は退職を決断しました。そこから、夢や情熱はあっても現実とのギャップに直面し事業を立ち上げることの難しさを痛感しました。これが私にとって最大の壁でした。
SaaS事業の「みえるクラウド ログ」に関しては、資金面が最大の壁でした。IT事業以外の方からは、「装置も不要なので、お金はそんなに掛からないでしょう」と言われることがあります。しかし、実際はなかなかそんな簡単にはいきません。
開発当初から、エンジニアや営業などのメンバーが必要で毎月、数百万から数千万の投資が必要なのに、1社あたりの売り上げは数千円から数万円万円ということがほとんどです。立ち上げ当初のお客様が増えるまではこの投資をなんとか回していくことが大きな壁になります。自信を持って開発したサービスではあるけれども、お客様になかなか受け入れていただけず売上がなかなか伸びないという、矛盾の中で生きていくのには当初は苦労しました。
どのようにして乗り越えたのでしょうか?
乗り越えた方法は「粘り強さと攻めの姿勢」です。困難に直面した時に、粘り強く立ち向かいながら攻めの姿勢を保ちました。そして、お客様企業との対話を通じて、お客様のニーズに合ったサービスを一つずつ機能に落とし込みました。お客様との対話を通じてサービスの利点を伝え、営業を進めていくことでうまく乗り越えることができたと思います。
チームメンバーを裏切らないように最善を尽くす
進み続けるモチベーションはありますか?
私は本当に素晴らしい仲間に恵まれていると感じています。現在のチームには、私と同じ高専の同窓生が2人おり、そのうち1人は高校1年生に相当する高専1年生から5年間同じクラスでした。彼らを始め当社のような小さな会社に入ってくるメンバーはリスクをとって一緒に働いてくれていると思うので、私の失敗よりも彼らが困ることを避けたいと強く思っています。彼らを裏切らないように最善を尽くすことが私にとって重要であり、仲間がいてくれることが私のモチベーションの源になっています。
今後の展望をお聞かせください。
「みえるクラウド ログ」はまだ利用社数が100社を超えたばかりのサービスです。将来的には、さらに多くの企業に利用されるようなサービスに成長させたいと考えており、海外でも活用されるような事業展開を目指しています。
私は、良い会社の定義は人それぞれだと思っていますが、事業が安定し利益が生まれることで、従業員や地域に還元をしっかりしていける会社になっていきたいです。
「みえるクラウド ログ」を通じてたくさんの方から共感を得て、従業員や地域社会に還元できるいい企業を目指しています。
従業員や地域社会に還元していくという思いには、原体験があるのでしょうか?
約3年前に、私たちは本社を静岡県沼津市に移しました。私自身、沼津高専出身で、偶然、共同創業者である伊豆も沼津出身でした。
本社を移すにあたり、一緒に会社を立ち上げた共同創業者の伊豆が沼津出身だったこともありますが、私自身の地域への感謝の意も込めて沼津に決めました。沼津高専時代に起業のきっかけを地域の方々から得た経験があるというのも一つの理由です。
特に私は東北の震災ボランティアに参加したことがあります。経緯としては、私が震災ボランティアに行きたいと言っていたところ、地域の方から支援を受け、友人を集めて震災ボランティアに参加する機会を得ました。この経験は、やりたいことを実現することができるという学びとなり、それが後の起業や様々な経験につながったと感じています。
私たちは、地域の活性化に貢献できる取り組みを行っています。例えば、若者チャレンジファンドしずおかというイベントを主催しています。このイベントでは、静岡にゆかりのある大学生に10万円を配布し、大学生が面白いチャレンジを実践することを支援しています。
私自身が震災ボランティアに参加した経験が、人生の可能性を広げるきっかけとなったことを思い出し、同じような経験を地域の人々に提供したいと考えました。
地域の活性化に繋がると思いますし、仲間を増やして助け合っている感覚が私自身にも幸福感をもたらしてくれます。
小さな一歩でもまずは行動に移すことが重要
起業家へのメッセージをお願いします。
起業は大変なことも多いと思います。皆が起業すべきだとは思いませんが、起業したいと思う気持ちがあるなら、ぜひ挑戦してみてください。チャレンジすることや、まずは行動に移すことが重要だと私は考えています。
起業を考えているなら、オフィスを持つことや会社登記をすることに限らず、小さなステップから始めてみることも大切です。そうすることで、起業や会社を大きく動かす可能性が生まれると考えています。
私自身も最初はバイト気分で関わり始めた1社目でしたが、気づいたら事業責任者になっていました。一歩を踏み出すことで何かが大きく変わることを体験したのです。だからこそ、挑戦することの重要性を伝えたいですね。
採用も予定しているので、ご興味を持っていただける方はぜひご連絡ください!
「みえるクラウド ログ」の利用社数は増えており、既に100社を超えました。当初は私1人から始めた事業でしたが、現在はメンバーが委託先を含めて約15名にまで増えました。今後はさらに倍々で増やしていくことを目標にしています。
現時点ではCTO以外の役職もまだ埋まっていません。そのため、入社後すぐにチャレンジングな仕事に取り組むことができるでしょう。
私たちとともに成長していく会社の状況を見ていただけるような方を募集しています。エンジニアから事業を発展させる側や、営業、カスタマーサポートマネージャー、COO/事業部長候補など、幅広いポジションでの採用を考えています。興味のある方はぜひご連絡ください。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:宮田 昌輝 氏
筑波大学理工学群出身。セブンセンスマーケティング株式会社代表取締役。筑波大での出会いを通して、良い技術や良いエンジニアを世に出す仕事がしたいと一念発起。在学中の起業を始め、10年で4社を起業。現在は「みえるクラウド ログ」を通して世の中を豊かにすることに邁進している。
企業情報
法人名 |
セブンセンスマーケティング株式会社 |
HP |
|
設立 |
2020年3月4日 |
事業内容 |
業務可視化SaaS「みえるクラウド ログ」の提供 |
沿革 |
2020年3月 セブンセンスマーケティングを東京都にて創業。 2020年11月 静岡県沼津市に本社移転。 2021年11月 みえるクラウド ログの販売開始。 2024年1月 みえるクラウド ログの導入が100社を突破。 |
関連記事
RANKING 注目記事ランキング
- 【#063】すべての人に目標達成の喜びを伝えたい|代表取締役 李 佑記(イ・ウギ)(株式会社Humans)起業家インタビューインタビュー
- 【#055】顧客満足度世界NO.1の営業支援会社となる|代表取締役社長 鈴木 徹(株式会社アイランド・ブレイン)インタビューその他 インタビュー
- 【#176】継承と革新―給食サービスの家業を守り、進化させる3代目の挑戦|専務取締役 荻久保 瑞穂(株式会社東洋食品)インタビューその他 インタビュー
- 【#056】カットをもっと手軽にしたい。男性専用美容室にサブスク導入|代表取締役 大谷 優太(株式会社EN)起業家インタビューインタビュー
- 【#197】人財を大切に、介護業界で1兆円規模の企業を創る|代表取締役 山下 和洋 (株式会社ヤマシタ)起業家インタビューインタビュー