【#211】日本、そして世界を背負って立つ子どもたちの“非認知スキル”を育む探究型修学旅行プログラムを提供|代表取締役 金井 隆行(株式会社TOKYO EDUCATION LAB)
株式会社TOKYO EDUCATION LAB 代表取締役 金井 隆行
教育関連のコンサルティングやプログラム開発を行っている株式会社TOKYO EDUCATION LAB。これからの日本・世界を背負って立っていく10代の生徒たちを対象に、学びと気づきを届けるサービスを展開しています。「子どもたち一人ひとりが自分のキャリアや将来を考え、選択肢を広げられる機会を提供したい」と笑顔で語る代表取締役の金井隆行氏に、事業を始めた経緯やモチベーションの源泉、さらに今後の展望などを詳しくお伺いしました。
子どもたちの“探究”にフォーカスし、教育にコミットした事業を展開
事業の内容をお聞かせください。
非認知能力を重視しながら、「探究」「SDGs」「アントレプレナーシップ」を軸に、全国の学校に学びと気づきを届けるサービスを提供しています。具体的には、全国の学校に出前授業をしたり、修学旅行を探究型にプロデュースしたりと、教育にコミットした事業を展開中です。
出前授業では、修学旅行先の魅力や課題、そして自分たちの住んでいる場所の魅力や課題をそれぞれ調べて比較し、「何が違うのか?」「行き先の課題をどうすれば解決できるのか?」といったアプローチから修学旅行先を学習します。
最近だと、修学旅行先として広島県尾道市を選択した事例があります。尾道市は空き家や野良猫の糞尿が課題となっており、その解決法を高校生に考えてもらうのです。そして解決法を用意した上で、修学旅行へ行き、シャッター街や空き家バンクを実際に見てもらいます。そうすると、自分たちが考えた解決法が机上の空論だと気付くのです。修学旅行中にさらに解決法をブラッシュアップしてもらい、最終日には市長や観光大使、地域の方を招いてプレゼン大会を開き、自分たちの提案を発表してもらいます。
当社の強みは教育旅行にも探究学習にも精通している点です。どちらも深く理解しているプロフェッショナルが在籍し、さらに学校の生態系も理解しているので、学校側も安心感を持って当社のサービスを利用できます。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
スマホ1台で旅行に行ける時代だからこそ、学校でしか体験できない旅行を作らないといけないと思い、起業しました。
もともと教育旅行の営業や添乗、企画提案などをしていたのですが、とある修学旅行に添乗した時に生徒が「先生、次どこいくの?」と発言していたのです。正直、そんな修学旅行はありえないと思いました。こうした受け身の修学旅行を無くしたいと思い、観光型ではなく探究型の修学旅行の造成に取り組み始めました。
どんな生徒でも熱中して取り組めるプログラムを開発したい
仕事におけるこだわりを教えてください。
生徒全員が興味を持ってくれるプログラムを開発することにこだわっています。私自身、高校時代はラグビーに夢中になっており、授業にあまり出席していませんでした。当時は勉強に必要性を感じていなかったのですが、今となっては非常に後悔しています。
私たちのプログラムを生徒たちに説明する際、居眠りしていたり、関心を示さなかったりする生徒もいます。こうした生徒は、私と同じように勉強の重要性を感じていないのです。こうした生徒を見ると逆にやる気が湧きます。なぜなら、最初は興味がなかった生徒を引きつけられるプログラムなら、全員が熱中するはずだからです。そのため、誰もが夢中になって取り組めるプログラムの開発を大切にしています。
起業から今までの最大の壁を教えてください。
優れた人材を確保するのは難しく、今でも大きな課題です。当社は常に挑戦を続けており、毎年新しいプロジェクトを立ち上げていますが、人手不足のために実行できないプロジェクトもあります。共通の目標に向かい、高い意識を持ち、一緒に働いて楽しいと感じられる人材を見つけることに非常に苦労しております。
観光型の修学旅行を無くし、すべて探究型の修学旅行にしたい
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
経営者として日々決断の連続ですが、それによって自分が成長していることを感じ、モチベーションにつながっています。自分の判断や自分の進む道次第で会社の色や形が変わっていくので、そこに面白さも感じています。
私は36歳まで会社員として働いていましたが、その頃と今では出会う人の種類が大きく異なります。仕事柄、会社員時代は主に旅行関係者や学校、観光業に携わる方々との交流が中心でしたが、現在は同じ悩みを抱えるスタートアップの代表や経営者など、多様な人々とつながることができました。こうした出会いは非常に良い刺激となり、士気を高める要因にもなっています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください。
観光型の修学旅行をこの世の中から無くしたいと考えています。その代わりに、私たちのサービスや在籍している学校ならではの体験ができる修学旅行を創造していきたいと考えています。具体的には、地域の課題にコミットしたり、地域創生につながったりする修学旅行を1つでも多く増やしていきたいです。
他の課題点として、公立学校では修学旅行の時期や予算があらかじめ決められているため、追加の体験にお金や時間をかける余裕がないことが多いです。しかし、それでも公立学校の生徒たちを見捨てることはしません。私たちはどんな学校でも最大限の体験ができるプログラムを開発したいと考えています。
私たちは基本的に中高生を対象にしたサービスを展開していますが、私が大学の教授を務めていることから、大学生のゼミ旅行をプロデュースすることもあります。また、社会人のリカレント教育の中で、社員研修を手がけたり、アントレプレナーシップ研修の構成を担ったりすることも増えてきました。最近では、物理的に修学旅行をしていない学校にもリーチすべく、メタバース空間を作りました。この空間では、交流や学び、アウトプットができる仕組みが導入されています。今後もこの取り組みを拡大し、より多くの生徒が新たな体験を通じて成長できるように努めていきます。
人生は一度きり。今すぐ起業に向けて動き出しましょう!
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします。
今すぐ起業に向けて動き出すことをお勧めします。挑戦は何度でも可能であり、たとえ失敗しても、それを続けて改善し、成功に繋げれば、それは単なる失敗ではなく成功のための種まきに過ぎません。人生は一度きりですから、思い切り挑戦してほしいと思います。そして、いつか一緒に働ける日を楽しみにしています!
採用を強化されているそうですね。どういった人材が理想でしょうか?
一緒に楽しんで挑戦できる人と働きたいです。私の父も72歳ですが、当社でアルバイトスタッフとして働いています。この時代においては年齢や経験を問わず、やりたいことに対してワクワクしながら取り組める人材が重要です。そのような想いを持っている方と一緒に楽しく働ければと思います。
当社の働く上での最大のやりがいは、生徒たちから贈られる感謝の言葉です。修学旅行が終わった後、生徒から「ありがとう」「楽しかった」と感謝の言葉をもらうと嬉しく感じます。特に印象に残っているのは、ある生徒が「最初は探究型の修学旅行に疑問を持っていたけど、実際に参加して意味が分かりました。この経験がなければ知らなかったことがたくさんあり、自分が拓けた気がします。明日からちゃんと学校に行って勉強しようと思います」と言われたことです。その生徒はスポーツを頑張っていたため授業にあまり参加していなかったのですが、修学旅行をきっかけに変わり、最終的に希望の大学に進学までしました。また、地域創生も実施するため、地域の方々からも喜ばれます。
当社では探究学習をメインにしており、非認知スキルを高めることを重視しています。答えのない問いに常に対峙するため、自分自身も生徒や先生と共にレベルアップできます。知らず知らずのうちに非認知スキルが飛躍的に向上する人材になれるでしょう。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:金井 隆行氏
1983年 大阪府生まれ
2007年 大手旅行会社勤務
2011年 個人営業成績全国1位グランプリ獲得
2019年 チーム営業成績全国1位グランプリ獲得
2020年 本社勤務にてSDGs推進担当
2021年 株式会社TOKYO EDUCATION LAB創業
iU情報経営イノベーション専門職大学客員教授 就任
2022年 大妻マネージメントアカデミー客員講師 就任
MISS GRAND JAPAN公式SDGsトレーナー就任
2023年 淑徳中学高等学校SDGs部顧問
企業情報
法人名 |
株式会社TOKYO EDUCATION LAB |
HP |
|
設立 |
2021年4月 |
事業内容 |
『探究』『SDGs』『アントレプレナーシップ』を軸に 全国の学校に学びと気づきを届けるサービス(LAB)を提供。 探究LAB:探究型修学旅行プロデュース/総合的な探究学習の提供 起業LAB:起業家精神の学習機会の提供 SDGsLAB:SDGsボードゲームなどを通じて自分ごと化する学習機会の提供 SCHOOL LAB:理想の学校創立を目指しながら、学校に通う意味を考え、創業する過程を「学校」という身近な題材で学ぶ機会を提供 |
沿革 |
2021年4月創業 |
関連記事