株式会社Kamanova 代表取締役CEO 藤田 光児氏

株式会社Kamanovaが運営するのは、プロの料理人の手による日常食が購入できるという食のプラットフォーム。激務に追われて食生活が荒れてしまった自身の経験が起業のヒントになったと語る、代表取締役の藤田光児氏。今回は藤田氏に、「Kamanova」のサービス内容や今後の展望、進み続けるモチベーションについてお聞きしました。

 

日常食を豊かに!新たな食のプラットフォーム

事業の内容をお聞かせください

弊社は、自宅でハイクォリティな手料理を楽しみたいユーザーと、プロの料理人や栄養士をつなぐプラットフォーム「Kamanova」を運営しています。

 

プロの料理を自宅で楽しむという意味では、出張シェフのサービスが広く認知されていると思います。しかしこのサービス形態は、料理人側にとって「時間内で1つの家庭にしか料理を提供できない」「商圏が限られる」といったデメリットがあり、収益を増やすのが難しい側面があります。

 

対する「Kamanova」では、弊社が管理するシェアキッチンで料理人が複数家庭分の料理を一度に作って、冷蔵便で日本全国に届けることができます。料理人側の収益がしっかりと確保されることで、料理を注文するユーザーにもより手頃な価格で提供できる仕組みです。

 

弊社の顧客は共働き・子育て世帯が多く、「高品質で安全な日常食を食べたい」という点はもちろんのこと、仕事で忙しくて料理を作る時間はないけれど美味しい手料理が食べたいというニーズも上手く捉えられていると考えています。

 

弊社が「Kamanova」を通じてご提供しているのは、あくまでも普段使いの日常食です。ハレの日の特別なディナーのように肩肘を張らず、それでいて工場で作られている宅配食よりもずっと高品質な料理という点で、他社のサービスとの差別化を図りました。

 

Kamanovaでは様々な料理を提供しているシェフが活躍しています。現在では和食・イタリアン等定番料理はもちろんのこと、ヴィーガン向けや薬膳等、少し「尖った」料理を提供しているシェフも登録しており、出品の多様性もKamanovaの魅力の一つです。ユーザー側はプラットフォーム上で出品されている料理の中からお好みのものを選んで購入し、ご要望があれば料理のカスタマイズなども依頼できるようになっています。

 

お試しでサービスをご利用いただけるように、現在お得なクーポンも配信中です。事業の立ち上げに追われていて、ちゃんとした食事を摂る暇がない起業家の方もぜひ「Kamanova」で美味しいお料理を召し上がってください。

 

https://www.kamanova.com/

クーポンコード:ato2000 (25年2月末まで)

※料理を選択後、最後に注文内容を確認するページでクーポンコードを入力することで、割引が適用されます。また、現在サイトリニューアル中につき、タイミングによっては上記旧サイトがアクセスできない可能性がございます。

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

私自身、子どもの頃から食べることが楽しみの1つだったのですが、コンサルティングファームに就職して激務の中で食生活が荒れてしまったことが、食に関する事業を始めるきっかけになったと思います。

 

忙しい中で手軽に食事を済ませようとすると、必然的にコンビニ食やファストフードが増えます。美味しい料理を食べようと思えば有名なフードデリバリーのサービスもありますが、どこまでいっても「外食の味」に過ぎず、手料理の満足感とはまた別物に感じました。

 

どうしても求めるものが見つからず、そのようであれば自分の手で作ろうと決めたことが始まりでした。

 

そのため、当初はプロの料理人というより、料理上手の主婦が自宅で作った料理を宅配で取り寄せられるというサービスをイメージしていました。日本には昔からご近所さんによる「おすそ分け」の文化があったため、自然と受け入れられやすいと考えました。

 

現段階では衛生管理の面での法的問題があり、まずはシェアキッチンでプロの料理人が作ったものだけを提供する形になりましたが、私はまだ「一般の家庭で食べられている料理が購入できる」というサービスを諦めたわけではありません。

 

思慮深いファーストペンギンであれ

仕事におけるこだわりを教えてください。

何事でも、「一番乗り」でやってみることを大事にしています。特に、「思慮深いファーストペンギンであること」は、事業をやるうえで常に意識していることです。

 

未知の領域は誰にとっても怖いですから、なかなか誰も手をつけようとしません。しかし、誰かが最初の一歩を踏み出さないと、全体の進歩もそこで止まってしまいます。それはもったいないため、自分がそこに可能性を感じたら、先ず一番最初に飛び込んでみるというスタンスをとるようにしています。

 

もちろん、何も考えずにただ飛び込むだけでは後続の群れまで危険に晒すことになるので、スピード感を損なわない程度に思考を巡らせ、調査をしてから進めることも意識しています。

 

プロの料理人が作る日常食をプラットフォーム上で購入する「Kamanova」のビジネスモデルも、食の業界で初めてのスタイルで、まさに未知の領域でした。このプラットフォームは、単一の供給者が生産した製品を顧客に販売する、従来の「パイプライン型」のビジネスモデルとは異なり、売り手・買い手双方の参加が相乗効果を生み、プラットフォームの価値を高めるという特徴があります。

 

そして、このような特徴ゆえに、初期段階では「シェフが集まらないから買い手が集まらない」といったいわゆる「ニワタマ問題」が生じてしまいます。

 

そこで、我々はまず料理人側のリスクを下げて、気軽に登録してもらえるような仕組みを作り、プラットフォームを充実させる戦略を取りました。単発の注文しか入らないと料理人側の収益が少なくなるため、その場合はサービス料の負担がかからないようにして、安心して出品できる環境を整えました。

 

当然ながらサービス料が入ってこない分は弊社側がリスクを引き受ける形になりますが、この取り組みも初めの一歩には必要なことだと覚悟を決めて踏み出しました。

 

リスクを恐れるよりも、「誰もやらないことがもったいない」という精神がスタートアップには必要だと思います。

起業から今までの最大の壁を教えてください

どの企業もくぐり抜けてきたことだと思いますが、資金調達の目途が立つまでは非常に苦しい道のりでした。

 

一番初めのプロダクトの検証までは自分たちの手持ちの資金で賄っていたのですが、それもすぐに底をついてしまって、そこからは何とか資金を出してもらえるところが見つからないか、ベンチャーキャピタルなどに片っ端から当たっていきました。

 

結果的にはご縁がありなんとかシードラウンドの資金調達には無事成功しましたが、そこまでの1年間は相当に泥臭い時期だったと言えます。

 

また、システム開発においても、苦労の連続でした。

 

実は、初期の「Kamanova」のシステムについても、すべて私が作ったものになります。私は元々プログラマーではないのですが、多少知識はあったこともあり、触ったことがない言語でも「どんな処理をしているかは何となくはわかる」くらいのスキルはあったため、生成AIを使いながら手探りでシステムを完成させました。「Kamanova」のシステム開発はAIをフルに活用しながら、手探りで完成させました。

 

資金が調達できたことで今では無事システム改修にも着手できましたが、創業時は、まったく専門ではないシステム開発まで手がけることになり、私にとってまさに苦労の連続でした。

 

自分を信じてくれた人たちの成功がモチベーションに

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

やはりユーザーや料理人の方に喜んでいただけることが、我々の一番のモチベーションです。ユーザーからの「家族で美味しい食事を楽しめた」「忙しくても、美味しい食事のおかげで充実した日々が過ごせている」といった感謝のお言葉は、とても励みになります。

 

そして料理人の方から「Kamanovaをやっていて良かったです」と言っていただけることには、さらに大きな喜びがあります。理由として、弊社が取り扱っている「日常食」というジャンルは、出張シェフにとって扱いが難しいジャンルであることが挙げられます。

 

やはり料理人であればハレの日の特別な料理を作りたいと考えますし、こちらのほうが一件あたりの報酬が高いことも事実です。それでも我々は「日常食でも、まとめて作ることで十分それ以上の収益を得ることができます」と、料理人の方々に懸命にお伝えしてきました。

 

その言葉を信じて登録してくださった料理人の方に「やって良かった」と言ってもらえることは、事業を進めていくうえで何よりのモチベーションになっています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

現状では「Kamanova」の拠点となるのは弊社直営のシェアキッチンのみのため、まずは大阪などに新たなシェアキッチンを開設して、エリアを拡大していきたいと考えています。

 

その取り組みと同時に、今後は飲食店と提携をして、厨房の空いた時間を活用して「Kamanova」に出品する料理を作ってもらい、弊社がそれを各家庭に届けるというサービス形態が実現できないか検討中です。

 

飲食店のオーナーシェフの場合、空いた時間で効率的に収益を増やす手段にもなりますし、弊社としては管理コストのかからない拠点を増やすことができて、どちらにもメリットがあります。

 

そしてゆくゆくは、プロの料理人による料理だけでなく、本当の意味での家庭の味を届けられるように一般の方の料理も提供するプラットフォームを目指しています。

 

国内では一般家庭で作られた料理を販売するには法の規制をいくつも乗り越えなくてはなりません。しかし、北米などではすでに提供が開始されているサービスですし、スタートアップも多数活躍している市場です。日本国内でも弊社がこの市場を新たに作り出すべく、行政やアカデミアの方々と協力しながら、仕組み作りに向けたアクションを取っていきたいと考えています。

 

当社の事業はいくつかの段階を経て最終形態へと向かっていく過程の、まだ初期段階にある状態です。今後さらに大きく事業を成長させていく中で、ゆくゆくは一緒に経営までを担ってくれる仲間を現在募集しています。

 

新しい食の可能性開拓に興味がある方は、ぜひ下記の弊社採用ページをご覧ください!

 

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盛り上がるスタートアップの世界、今こそがチャンス

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

現在はAIのようなツールや起業家を後押しする制度が充実してきていて、スタートアップ界隈がかつてなく盛り上がっていると肌で感じています。

 

そのため、チャレンジしてみるのであれば今はまさにベストなタイミングだと言えるのではないでしょうか。

 

今の時代は確実に起業のハードルが下がっています。今の仕事を辞めなくても、まずはコンパクトな形で事業を立ち上げることはできます。極端に言ってしまうと、アイデアを検証するだけならLP1枚を制作し、人が集まるかどうかを試してみるといいでしょう。

 

私もコンサルティングファーム出身ということもあり、本来は行動する前にフレームワークなどを持ちだして複雑に考え込んでしまうタイプの人間です。ですが今の時代は不確定要素があまりに多いため、かえって「とにかく行動してみよう」くらいの気軽さでチャレンジするのが正解だと思います。

 

起業に関心のある人は、あまり思いつめずにチャレンジしてみてほしいです。

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:藤田光児氏

早稲田大学卒業後、事業会社を経てアクセンチュア、デロイト、ドリームインキュベータにて戦略コンサルタントとして多忙な日々を過ごす。荒んだ食生活に嫌気がさす中、大好きな家庭料理のぬくもりを社会に取り戻すべく、Kamanovaを創業。

 

企業情報

法人名

株式会社Kamanova

HP

https://www.kamanova.com/

設立

2023年6月

事業内容

プロの料理人や経験豊富な栄養士等の料理人と、自宅で高品質な手作り料理を楽しみたいユーザーをマッチングするプラットフォームの運営

 

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