【#409】新しいかたちのファクタリングマッチングプラットフォームで、業界イメージの変革につなげたい|代表取締役 中島 大地(株式会社WINWILL)

株式会社WINWILL 代表取締役 中島 大地
株式会社WINWILL は、今年2月にテスト版を発表したファクタリングのマッチングプラットフォーム「Cash Bridge」をはじめ、金融業界での知識や経験を存分に活かした各種事業を展開しています。「ファクタリングのクローズドで怪しいイメージを払拭したい」との想いを胸にプラットフォームサービスの構築を進める代表取締役の中島大地氏に事業内容や展望を聞きました。
国内初となるマーケットプレース型のファクタリングマッチングプラットフォームを開発
事業の内容をお聞かせください
私たちは、ファクタリングのマッチングプラットフォーム「Cash Bridge(キャッシュブリッジ)」のほか、金融領域の知見を活かした「FS(エフエス)パートナー」、新規事業開発・プロジェクトマネジメント支援や営業・アライアンス支援を展開しています。
Cash Bridgeは、国内初のマーケットプレース型ファクタリングマッチングプラットフォームです。2025年2月にテスト版をリリースし、ユーザーからの使用感などに対するフィードバックを収集している段階です。
Cash Bridgeが他のファクタリングサービスと異なる点は、主に3つです。
① マーケットプレース型であること
Cash Bridgeでは、売掛債権を迅速に資金化したい企業(売り手)と、その債権を購入したい複数のファクタリング事業者・投資家(買い手)をオンライン上でマッチングします。従来の1対1で閉鎖的な交渉とは異なり、売り手が一度の申請で複数の買い手から同時にオファーを受け取れるため、透明性が高く、公平で競争的な取引が可能となり、また資金調達のスペードを早めることが期待できます。
② 相互評価・レビューの仕組み
従来、ファクタリング業界はクローズドで情報が不足しており、取引相手の信頼性が見えづらい課題がありました。Cash Bridgeでは、この課題を解決するために、取引成立後に売り手と買い手が相互に評価を行い、その評価結果がプラットフォーム上で可視化される仕組みを導入しています。これにより、透明性がさらに向上し、安心して取引ができる環境を整えています。
③ チャット機能を活用した条件交渉
マッチング機能だけでなく、売り手・買い手双方がリアルタイムのチャットを通じて、契約条件の詳細な調整が可能です。従来のサービスよりも迅速で柔軟な交渉が行えます。
現在、テスト版を利用中のユーザーからは、これらの機能に対して、「直接やり取りできるのがいい」「取引相手の評価やレビューが参考になる」などの声をいただいています。正式版リリースに向け、さらなる改善を進めています。
FSパートナーは金融領域でキャリアを積んで独立された個人事業主や法人の方々に向けて、金融スキルや知見を必要とする企業案件を紹介するサービスです。金融といっても幅広いのですが、例えば投資銀行に在籍されていた方やアセットマネジメントで運用を担っていた方、メガバンクで法人営業をされていた方などが挙げられます。
特に、金融業界の知見に加えて、そのほかの分野の知見も求められることが多いコンサルティングの方は、弊社のサービスとの相性が良いのではないかと考えています。以前に金融商品の販売代理店から「金融知見がありマーケティングもできる人材が欲しい」との要望がありフィットした事例などがあります。
Cash BridgeとFSパートナーが弊社のメインのサービスなのですが、そのほかに新規事業開発と営業支援も行っています。私は金融業界と事業開発の両方のキャリアがあるため新規事業開発のご相談をいただくことがあります。営業支援に関しても、金融に関する知識を強みに商品・サービスの営業支援、協業やアライアンスのサポートを行っています。
前職で得た金融全般に関する知見が非常に役に立っています。金融業界は専門用語が多く、お客様が内容を理解しにくい場面もありますが、前職までに培った経験を活用して、なるべく分かりやすい説明を心がけています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
金融に関連した事業をいくつか行いたいという希望はありましたが、最初から具体的な構想があったわけではありませんでした。
ファクタリングに興味を持ち始めたのは、前職で消費者向け金融サービスに携わった際に、金融領域に対して負のイメージや課題感を強く感じたことでした。
また周囲の起業家や経営者と話す中で、常に「資金調達」という課題を抱えていることに気づきました。特にスタートアップや中小企業は、銀行融資がスピード感や柔軟性という観点でフィットせず、資金繰りに苦労しているケースが非常に多い状況でした。
そうした課題を抱える経営者たちに対して、ファクタリングという選択肢を提供することで、少しでも資金調達の負担を軽減できればと思い、この事業を立ち上げることを決意しました。
長期的な目線で気張りすぎず事業を進める
仕事におけるこだわりを教えてください。
挑戦し続けることを大事にしています。新しい分野に一歩踏み出すことは、皆が怖いと感じるところです。だからこそ、その一歩を踏み出すことが弊社の価値につながると考えています。
そして挑戦し続けるためにも、あまり気張りすぎないことも意識しています。起業してから事業を展開していくことは長期戦だと思っているので、短期で力を入れるというよりも気張りすぎずに続けていくことを大切にしています。
私にとって起業も大きな挑戦の一つでした。親族の大半が公務員で、経営者や起業家がいない家系だったため、起業するときにはとても勇気が必要でした。しかし、あの時一歩を踏み出したことが、今では何よりの経験となり、現在の事業の基盤になっていると感じています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
壁というほどではないのですが、昨年末に子どもが生まれ、仕事と家庭の両立に奮闘しています。ちょうどその時期はCash Bridgeのテスト版が出た時で、今までなら仕事に全力で集中すればよかったのが家庭の父親としての面も持ち合わせる必要が出てきました。
「会社を成長させたい」という気持ちと「子どもに向き合いたい」という気持ちがあり、そのバランスを保つのが難しいのですが、日々支えてくれている妻のおかげでやりくりすることができています。
また私自身が公務員の多い家系で育ったこともあり、周囲から十分な理解を得るのが難しい場面もありました。事業を推進していく責任と育児の時間確保というせめぎ合いに時に悩むこともありますね。
家族の存在、人との出会いが糧に
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
自分のためだけに行動するのには、やはり限界があると思うのです。子どもが誕生したことで「この子の成長をきちんと守っていきたい」、「家族のためにも頑張ろう」と強く感じるようになり、これらがモチベーションの維持につながっています。
また、Cash Bridgeの発展もモチベーションの一部です。多くのユーザーに使ってもらえるようなサービスになっていくと嬉しいですね。そのために尽力していきます。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
金融に関連した事業を複数展開していきたいという考えのもと、弊社を立ち上げました。Cash Bridgeはその第一歩ですが、今後もそれに関連するさまざまなサービスを検討しています。
将来的には、AIなど新しい技術を活用し、ユーザーにとってより利便性が高く安心できる仕組みを提供していきたいと考えています。
Cash Bridgeについては、2025年下半期頃に正式版リリースを目標としており、そのためにも今後認知拡大に向けた施策を積極的に行っていきたいです。
挑戦は若ければ若い方がいい
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
起業して得られるものは色々とあり、起業することそのものは良いことだと思っています。ただ起業は”タイミング”が重要で、挑戦するなら若いうちの方が良いと考えています。
年齢を重ねると、家族が増えたり、自分自身の状況だけでなく周囲の友人や同僚も会社での役割や責任が大きく変わってきます。そのため、リスクを取って環境を大きく変えることに迷いが生じやすくなります。
私もまさに今、仕事と家庭の両立のバランスを保つことの難しさを感じているところです。事業を始めたいと希望しているのなら、ぜひ早いうちに新たな一歩を踏み出してみてほしいです。
御社のサービスに興味を持つ方々に向けてメッセージはございますか?
Cash Bridgeに少しでも関心を持っていただけたら、まずは一度試してみていただけると嬉しいです。ファクタリングは比較的クローズドな業界であり、それによって一部には怪しいというイメージを持つ方もいるようです。
そのため、国内初のマーケットプレース型かつオープンなプラットフォームを体験してもらえれば、イメージが変化するのではないかと考えています。
「即日資金化したい」タイミングで利用したいという方だけでなく、「すでに別のファクタリング業者に申し込んだが、何度も断られた」という方にもCash Bridgeを利用してみてほしいです。買い手として複数の業者様からオファーがもらえますので、資金調達がしやすくなると考えています。
現在、利用してみたいと問い合わせいただいている企業も複数いらっしゃいます。皆様が使いやすいプラットフォームを目指して発展していきますので、ぜひご利用をご検討ください。
- 「Cash Bridge」テスト版
- 「Cash Bridge」LINE公式アカウント
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:中島 大地氏
新卒で国内証券会社に入社後、PwC コンサルティングにて⾦融コンサルティング、ソフトバンクのフィンテック事業開発( JVのJ.Score も兼務)、コインチェックの新規事業開発に従事。従来の⾦融から、フィンテック・WEB3 などの新しい⾦融領域における事業開発の経験を経て、2023 年に WINWILL を創業し、代表取締役に就任。
企業情報
法人名 |
株式会社WINWILL / WINWILL Inc. |
HP |
|
設立 |
2023年9月22日 |
事業内容 |
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