株式会社STANDAGE 代表取締役社長 足立 彰紀

株式会社STANDAGEは、ITの力を活用して貿易におけるさまざまな課題の解決を目指す企業です。急成長中の「おまかせ貿易」は、海外進出に向けた戦略立案から営業活動の代行まで貿易業務を一括して支援し、中小企業のグローバル展開への強い想いを具現化するサービスとなっています。また、同社はブロックチェーン技術を活用した決済システムの開発にも注力しています。今回は、代表取締役社長・足立彰紀氏に、これらの取り組みについて詳しくお話を伺いました。

 

貿易の負をITで解決する3つの事業 

事業の内容をお聞かせください

弊社は、「革新的なビジネスを創造して、世界のすべての地域を豊かにする」をミッションに掲げ、「すべての国が、すべてのものに、平等にアクセスできる世界の実現」というビジョンのもと、3つの事業を展開しています。

 

1つ目は、ブロックチェーン技術を活用し、金融インフラが未整備の国や地域でも、安全安心に決済ができる次世代貿易決済システムの開発・提供事業です。

 

2つ目が大企業に向けた貿易業務の効率化を図るプラットフォーム「デジトラッド」の開発、運営を行っています。

 

3つ目が海外を目指す中小企業を全面的にサポートする「おまかせ貿易」になります。これが現在最も成長が著しいサービスとなっています。

 

海外進出への関心はあるけれど、その方法がわからず足踏みしている中小企業は少なくありません。「おまかせ貿易」は、海外進出に向けた戦略の策定から、商品を魅力的に伝える現地語版資料・パンフレットなどの制作、海外現地営業活動の代行までをパッケージ化し、一気通貫でサポートするサービスになっています。

 

「海外に挑戦したい!」という熱い意思をお持ちの企業とともに、私たちはフィジカルとデジタルの両面を使い、真のパートナーとして共に悩み、伴走しています。

 

「デジトラッド」は、物流費の見積りを取得する機能のほか、たとえば、運賃レートでの入札機能や紙ベースで行われることが多いB/L(船荷証券)の電子化など、必要な機能を選択して利用できるプラットフォームです。

 

従来1件あたり20〜30分かかっていた見積の取得が場合によっては1秒で完了します。貿易分野は企業ごと、社内の部署ごとにシステムが異なり、デジタルによる効率化ができていない現状があります。

 

このようなシステムを連携させることで、不要な作業が減り、営業活動など本当に注力すべき業務にリソースを集中できます。

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

2016年頃、「ブロックチェーン」に出会ったのがきっかけです。当時はまだ、ブロックチェーンや仮想通貨に対して怪しい印象が強い時代でしたが、実際に触ってみて、衝撃を受けました。デジタルのデータに価値を持たせ、金融機関を通さずに国境を越えたやり取りができる。これを貿易に活用すれば面白いことができると確信しました。

 

しかし、リアルなBtoB取引にインストールされ、大企業も含めて使うようになるには、レギュレーションやインフラの整備が不可欠です。ブロックチェーンを活用したペイメント事業には大きな夢と可能性を感じつつも、本格的な収益化にはまだ時間がかかります。

 

そこで、視点を巻き戻し、現在の貿易業務での課題解決に取り組もうと考えました。

 

大手企業では、貿易業務を一元的に管理できるSaaSプラットフォームが存在せず、極めて非効率なオペレーションをしています。

 

一方、中小企業は貿易を始める前段階で課題を抱えているケースが少なくない。そうした貿易の「負」をITの力で解決することを目指した結果、現在の事業構成となりました。

 

起業に関しては、祖母が地方で小さなビジネスを営んでいたこともあり、起業や経営に対する興味はありました。ただ、それは漠然としていて明確なものではなかったと思います。

 

新卒で入社した大手総合商社では学生時代に学んだことを活かして、仕事に取り組んでいました。仕事はとても楽しく、20代の間は多くのことを学ばせていただき、会社にはとても感謝しています。

 

ただ、30を過ぎて、より高い責任をもって仕事に取り組む段階に差し掛かり、自分に足りてない部分は何かを改めて考えるようになりました。

 

大学院を出て、大手商社で働いていると「エリートですね」と言われることがあります。20代の時は正直、そう言われてまんざらでもなかったのですが、次第に、そんな自分を嫌悪するようになったのです。

 

お客さんからは会社名で呼ばれていました。でも、私には足立 彰紀という名前があります。その時、私がすごいのではなく、会社がすごいのだと感じたのです。この看板が外れたとき、自分には何が残るのか?何も残らないのではないか?という焦燥感を強く抱くようになり、独立を決めました。

仕事をする楽しさは、成長にしかない

仕事におけるこだわりを教えてください。

僕自身がこだわっているのは「挑戦」と「成長」です。人に負けることは仕方がない。けれど、自分には絶対に負けたくない。足りないものがあるのであれば、それを1%でもいいから日々、改善していきたい。毎日走り回りながら仕事をする楽しさは、成長にしかないと考えています。

 

そして、その挑戦と成長の先に、STANDAGEを「社会の本当の『負』を解決できるサービス・商品を提供する、誰もが知る企業にしたい」と考えています。

 

私が何か特別に秀でたものをもっているかというと、そんなことはありません。ただ絶対に逃げない、やめない、諦めない人間ではあります。とにかく、しつこいのです。

 

ブロックチェーンに対してもそうで、9年前、多くのブロックチェーンの企業が立ち上がりましたが、今はもうほとんどいなくなりました。でも、弊社はまだ、この領域に取り組み続けています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

壁だらけでしたが、印象的な出来事のひとつをお話しすると、2017年頃、ある人気商材の輸入販売を手掛けていたときのことです。

 

その商品は爆発的に売れ、予約待ちの状態になっていました。輸入を拡大することができ、会社としても大きな収益源となっていました。

 

ところが、翌年になるとブームは急速に冷え込み、追い討ちをかけるように製造元の企業が倒産してしまったのです。支払った商品の代金は戻らず、商品も入ってきません。まさに危機的状況でした。

 

購入していただいたお客様のもとに謝罪に伺い、「どうするんだ!」と怒鳴られながら頭を下げて回りました。「必ずなんとかします」と伝え、数年かけて補償しました。一歩間違えていたら、会社は倒産していたと思います。

 

このとき、会社は、うまくいっていない時に潰れるのではなく、アクセルを踏んだときに潰れることがあると学びました。これは、今でも大事にしている教訓です。

Web3とリアルなビジネスの接点を創造する

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

何歳まで働けるかはわかりませんが、僕にとって人生は「リアルRPG」です。一度しかない人生というゲームで、自分の物語をどこまで大きくできるか。それが僕の命題であり、進み続ける理由です。

 

もしかしたら、破産して何もない部屋の畳の上で人生を終えるかもしれません。でも、全力で挑戦した結果がそれであれば、十分幸せだと感じるのです。

 

起業して、いまはスタートアップにいます。でも、「スタートアップ」だと注目される状況に満たされることはありませんし、新たなレベルへと進みたくなる。たとえ、「成功」と言われる場所にいたとしても、一度、到達してしまうと、再びまだ見ぬところへ行きたくなるのです。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

BtoBのリアルなビジネスシーンで採用されるブロックチェーンのアプリケーションはいまだ、世界中を探しても存在していません。これを、私たちが最初に実現したいと考えています。

 

Web3の世界とリアルのビジネスにおける接点、インターフェースになるようなサービスを生み出す。そのためにも、まず今やるべきは株式会社STANDAGEをもっと強く、大きくしていくことです。

 

例えば、誰もがよく知っている売上高1兆円超の企業は、社名を聞いただけでサービスや商品が思い浮かびます。それは、商品や提供しているサービスが世の中に浸透しているからですが、一方でスタートアップは社長の存在ばかりが注目されます。

 

それが私は嫌ですし、「STANDAGEはどんな事業をしているのですか?」と聞かれることが悔しくてなりません。「STANDAGEの商材っていいよね」「うちでも使っているよ」「社長誰だっけ?」と言われるような会社になりたいですし、そういうサービスを生み出したいと思っています。

最高につらくて、最高に楽しいのが起業家

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

ベンチャー企業の15%は設立から5年以内に姿を消すと言われています。僕もSTANDAGEを立ち上げてから、この9年間で多くの会社が消えていくのを目の当たりにしてきました。

 

今もSTANDAGEがここにあるのは奇跡だと思っていますし、今も、一歩間違えたらどうなるかわかりません。はじめたからには止まるわけにはいきません。一度、こちらに足を踏み入れたら走り続けるしかないのです。

 

もし誰かから「起業したい」と相談されたら、私はきっぱりと「やめたほうがいい」と言います。その言葉を聞いて臆してしまうのであればやめるべきです。

 

「やめたほうがいい」と言われても尚、覚悟があるのならやるべきです。

 

起業家は決して、かっこいい存在ではありません。お金がなくなれば、なんでもやらなくてはいけません。人に笑われても誰から裏切られても、たとえ一人になったとしても、それでも最後までやり抜く覚悟が必要です。

 

でも、挑戦をし続けることに喜びを感じられる人、信念がある人にとって、これほど楽しいことはありません。最高につらくて、最高に楽しいのが起業家です。

 

サービスの導入を検討されている方、志望者の方々へのメッセージをお願いします。

我々は、お客様のパートナーになり海外展開を一緒に進めていきたいという思いがあります。「海外に挑戦したい」と考えられている企業の皆様の熱い思いを全身全霊で受け止めて取り組んでまいりますので、アクセスしていただけたらと思います。

 

STANDAGEはこの9年間、挑戦と成長を繰り返してここまでやってきました。その中で、弊社に意思決定してくれた方が大きな結果を出してくれています。社員の方に3倍の成長速度をお約束します。それくらい成長の場を提供できる自信があります。成長志向の強い方には楽しくて仕方がない職場になっていると思うので検討していただけたら嬉しいです。

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:足立 彰紀

1984年生まれ。大分県出身。九州大学大学院を修了後、伊藤忠商事株式会社へ入社。医薬品の輸出入や、海外における工場建設などのプロジェクトマネジメントに従事。アジアや欧米を飛び回る日々を過ごし、2016年からは石油化学品の先物トレーダーとしてトレーディングに携わる。ビットコインと出会い、国際貿易の経験から銀行などを介さずに価値を移動できる仮想通貨に衝撃を受ける。フィンテックが世界を変えると確信し、2017年3月に伊藤忠の後輩で現副代表の大森と共に株式会社STANDAGEを設立。現在はブロックチェーン技術を使った新国際決済システムを含む貿易プラットフォーム「デジトラッド」の開発・運営を手掛けながら、国内中小企業の輸出進出支援にも取り組んでいる。

 

企業情報

法人名

株式会社STANDAGE

HP

https://wp.standage.co.jp/

設立

2017年3月7日

事業内容

ブロックチェーン・AI技術を基盤とした、デジタル貿易プラットフォームの開発・提供

 

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