【#464】“想い”で心を動かす。TikTokで社長のリアルを届け、採用の新常識を創る。|代表取締役 窪井 耕(株式会社ctow)

株式会社ctow 代表取締役 窪井 耕
TikTokを活用し、社長の人生を伝えるメディアを運営する企業です。共感を呼ぶストーリーで社長の魅力を発掘し、採用支援に貢献しています。「伝わらない想いを届けたい」と語る代表取締役CEOの窪井耕氏に、起業までの経緯や今後の展望などを詳しくお伺いしました。
TikTokで社長の想いを届けるメディアの挑戦
事業の内容をお聞かせください
私はTikTokを活用して“経営者の人生”を伝えるメディア「社長の名は」を運営しています。さまざまな経営者に取材を行い、その想いやストーリーを動画にまとめて発信しています。
特に多いのは、地方の製造業や介護業といった、一般的な求人媒体では注目されにくい業種の企業です。本来魅力があっても、業種イメージだけで見られにくいという課題があるので、採用面の支援が求められていると感じています。
また、私たちは、単に社長を紹介するだけではありません。動画制作をする際に重視しているのが共感です。社長と視聴者との違いは、社長は経営の経験がありますが、視聴者の多くはそうではありません。
経営戦略の話ではなく、「営業1年目で上司に怒られた」といった、社長がまだすごい存在ではなかった頃のエピソードを通じて、視聴者が「自分と同じだ」と興味を持てる構成にしています。視聴者が自分ごとのようにイメージできるように、映像・ナレーション・シナリオにこだわっています。
また、現在はTikTokだけでなく、テレビCMや広告用の動画など、映像制作事業も手がけるようになりました。最近では市場全体でもショート動画広告のニーズが高まっています。
ただ、実際には社内にプロの動画クリエイターがいないケースも多く、作りたいけど自社だけでは難しい状況の企業もあります。そこで私たちは、これまで培ってきたノウハウを元に、企画を提案したり、構成を作ったりしています。
今は社長の人生がテーマですが、今後は社員や商品、会社のストーリーそのものにも広げていきたいと考えています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
私はもともとテレビ局で営業の仕事をしていましたが、ある時から、若者がテレビを見なくなってきていると感じるようになりました。そこで、どこに人が集まっているのかを考えたとき、TikTokだと思いました。
TikTokを見るとダンスやドッキリ系の動画ばかりが並んでいて、「若者はこれを見て育つのか?」と、正直危機感を覚えました。
テレビでは、たとえば親がつけていた番組を興味がない中で見ていても、ドキュメンタリーや社会派番組が流れて心を動かされたり、何かを考えさせられたりすることがあります。
ですが、SNSはアルゴリズムによって、興味のないものは一切表示されません。だからこそ、偶然の出会いや考えるきっかけがなくなっていると感じました。
そんな経験から、あえて多くの人が興味を持ちづらい社長をテーマに挑むことにしました。以前は、YouTuberの人生を紹介する動画を制作していましたが、それがバズったことで今の方向性が固まったこともあります。
「伝わっていない状態」をなくすことを目指して
仕事におけるこだわりを教えてください
視聴者に対して物事を伝えることを意識しています。本来は魅力があるのに、それがうまく伝えきれていない状況はすごく嫌で、特にこだわっています。
TikTokはもともとダンスやエンタメ系の動画が多いプラットフォームですが、だからといって派手な演出で引きつけることはしません。本当に伝えたいことを、しっかりと伝わる形にして届けることを意識しています。
そして、仕事にも強いこだわりがあります。やりがいだけでなく、社会に価値を生み、売上や利益をしっかりと出しながら、社員にもきちんと還元できる、そんな意味のある事業をつくりたいと考えています。
私は「年収日本一の会社をつくりたい」と本気で思い、目標にしています。年商何億を目指す企業は多いですが、「社員の年収を一番にしたい」と本気で言う社長にはなかなか出会いません。
ですが、働く人にとって大事なのは売上よりも日々の暮らしや自己実現の方だと思います。だからこそ、しっかりと向き合いたいと思っています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
一番大きな壁は、「TikTokで経営者の想いを発信する」というテーマ自体が、世の中にほとんど前例のない挑戦だったことです。
たとえば、大手の求人媒体にはすでに多くの企業が集まり、「掲載したい」というニーズが明確にあります。でも、TikTokで社長の考えや人柄を伝えるというアイデアは、まだ一般的ではなく、なかなか理解されませんでした。
初期のころは、「なぜ社長がわざわざ顔を出す必要があるの?」という声も多く、苦労することもありました。でも、私が一番もったいないと思うのは、「本当は伝えるべき想いがあるのに、それが伝わっていない」ことです。
実際、多くの社長が熱い想いや哲学を持っているのに、それが社内外に届いていないケースが多いと感じます。だからこそ、「どうすれば動画が苦手な社長にも、自然体で出演してもらえるか?」を常に考えながら取り組んでいます。
経済を右肩上がりに、心を前向きに
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
進み続けるモチベーションは、強い物欲や成功願望というよりも、「もっと先に行けるはず」という内なる衝動のようなものです。
自分でも、修行僧のような性格だと思うことがあります。少し進んでも満足できず、「まだやれる」と感じてしまいます。自分の可能性に自分で限界をつくるのが、どうしても嫌なんです。
もしかすると、「やらなければならない」という強い思いに突き動かされているのかもしれません。
実は、私も昔はよく飲みに行ったり遊びに出かけたりしていました。でも、ある時ふと「自分は何のために生きているのか」と考えるようになりました。
半年ほど毎日カフェに通いながら、ノートに思いをひたすら書き続けました。あの時間が、今の自分の原点になっている気がします。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
広告は単にモノを売るための仕組みではなく、人の心を動かす力があります。私たちの発信に触れた人の気持ちが、上向きになるような仕事をしたいと考えています。
とくにTikTokでは、目を引くために可愛い女の子を起用して視聴者を釣るような広告があふれています。もちろんそれも一つの戦略です。ですが、私たちはもっと本質的に「このサービスは良さそう」と感じてもらえるような広告を作りたいと思っています。
視聴者が納得して自分の人生のプラスにするために買いたい、と思うような広告を作りたいと思っています。そうすることで、結果的に経済は右肩上がりになりますし、皆さんの心も上向きになります。
たとえば、消費者が「騙された」と感じてしまうような広告で企業が上向きになったとしても、消費者の気持ちは下を向いてしまいます。私たちはそうではなく、どちらにとってもプラスになる構造をつくりたいと思っています。
動画では、社長の想いや企業のストーリーを描いています。「この会社で働いてみたい」と思い、採用につながり、企業側も納得して人材を迎えられる、どちらにとってもプラスになることを広げていきたいと考えています。
後悔しない決断は、自分が納得できるかどうか
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
自分の経験から感じることを挙げるとすれば、「自分が納得できる生き方をしているかどうか」が何より大事だと思っています。
起業でも、会社員でも、フリーランスでも、働かない選択もいいと思います。ただ、どれを選ぶにしても自分がその選択に納得しているかどうかが、人生の満足度を左右すると思っています。逆に、今の環境に納得できていないなら納得できる選択肢を探せばいいと思います。
人生に正解はないと言われますが、自分が本当に納得しているなら、それが正解だと思います。逆に、どんなに成功していても心のどこかで納得していなければ、不正解に感じてしまいます。
自分がどう生きたいのか、何を大切にしたいのか、自分を誰よりも深く知ることが大切です。自分のことをしっかりと理解していれば、どんな選択をしても納得できて迷いも少なくなります。
情報が溢れている時代だからこそ、自分の軸が定まっていないと、あれもこれも良く見えてしまうものです。自分の納得する人生は何かをしっかり考えることが大事だと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:窪井 耕 氏
1993年山口県萩市出身。山口大学を卒業後、新卒でテレビ山口株式会社(TBS系列)に入社し、ローカル営業部で5年勤務。その後WEBマーケティング会社を経て、2022年4月に上京。全国の社長と繋がり続け、2023年6月に株式会社ctowを創業。
企業情報
法人名 |
株式会社ctow |
HP |
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設立 |
2023年6月 |
事業内容 |
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