【#539】工事写真業務をAI工事写真アプリで効率化!現場監督の経験を生かした業界変革への挑戦|代表取締役 森川 善基(株式会社verbal and dialogue株式会社様)

verbal and dialogue株式会社様 代表取締役 森川 善基
画像識別AIによるソリューションサービスの開発・提供を行い、プラント・建設業界の工事写真業務における時間・労力・コスト削減を実現するverbal and dialogue株式会社。現場監督経験者でチームを組み、建設事務 業務代行BPOサービスも展開するなど、プラント・建設業界の生産性向上に貢献しています。今回は、事業内容や仕事におけるこだわり、今後の展望について、代表の森川 善基氏に詳しくお話を伺いました。
AI工事写真アプリで工事写真業務の効率化を図る
事業の内容をお聞かせください
建設業界のお客様を対象に、AI工事写真アプリ「Cheez」を提供しています。建設業界の現場の中には、工事写真業務があります。工事写真を撮影するだけで、一瞬で業務を完結できるのが、AI工事写真アプリ「Cheez」の強みです。
工事写真業務は、現場で写真を撮影した後、事務所に戻ってから工種ごとに写真の整理や分類をします。さらに、工事の順番ごとに写真を並び替え、指定された工事写真台帳に一枚ずつ写真を貼り付け、最後に報告書としてまとめて提出しなければなりません。
建設業界は、業務の改善をする慣習が少なく、上司や先輩の行っている業務を受け継いでいくという実態があります。今まで、現場監督が大変な思いをしてこの業務を行っていましたが何十年も変わっていない状況です。
私が現場監督をしていた頃も、工事写真業務の一連の流れをすべて手作業で行っていました。「Cheez」だと、工事写真の撮影から報告書にするところまで、すべてAIが自動で作成できるようになります。
弊社のプロダクトはWebアプリで提供しているので、ダウンロードやインストールなどの作業が一切不要です。IDとパスワードだけで、すぐにログインして使用できます。
サービスの提供方法に関しては、お客様が希望する方法で柔軟に対応しています。建設会社は、案件ごとに予算を組んでいます。1つの現場で契約したいというお客様に対しては、案件ごとにプロダクトを提供しています。逆に、複数現場を抱えている大手企業のお客様に対しては、サブスクリプション形式で提供しています。
「Cheez」以外にも、人員配置アプリ「ハイチー」と自社専用カスタマイズ積算展開アプリを開発し、現在すでに提供中です。どちらも、実際にお客様からの要望があり、いち早く開発に取り掛かりました。
人員配置アプリ「ハイチー」は、現場監督の人員配置ができるアプリです。大企業のお客様は、200現場など多くの現場を抱えています。それぞれの現場に担当者を配置しなければならないのですが、Excelなどで組んでいるのが現状です。
さらに、現場ではトラブルなどが発生することもあります。別の現場に行かなければならないときでもダブルブッキングが発生しないように、簡単に人員配置ができるのが「ハイチー」の強みです。
現場では、特定の資格を持っている方、講習を受講した方でなければ担当ができない業務もあります。このような場合でも、現場ごとに自動で振り分けることができます。
これらのサービスについて、これまでお客様から邪険に扱われたことが一度もなく、たくさんのお問い合わせをいただいていています。プロダクトを開発しているときから「早く使いたい」というお声もいただいていました。

事業を始めた経緯をお伺いできますか?
私は以前、ゴミ焼却場の建設で現場監督をしていました。自分が現場監督をしていた頃、工事写真業務が本当に大変だと感じていましたが、自動で工事写真を自動で整理・分類・並べ替えができたら便利になるだろうと考え、起業してアプリを開発した経緯があります。
正直なところ、今までサラリーマンとして仕事をしていたので、起業に対しては少しネガティブなイメージを抱えており、自分にとってリスクがあると考えていました。
起業をしたいという思いは持っていなかったのですが、経済産業省の出向起業の事業に採択されたことがきっかけです。そこで、自分にとってリスクがないと感じ、思い切って起業することに決めました。
当初は、スタートアップのSaaS事業としてアプリの提供をしていたのですが、お客様と関わるうちに工事写真業務自体を丸投げしたいという課題があることがわかり、サービスを開発しようと考えました。

お客様の要望に柔軟に応えることが顧客満足度につながる
仕事におけるこだわりを教えてください
品質を担保してお客様にサービスを提供することです。お客様が要望することに柔軟に対応した結果、満足してもらえていると考えています。
現場監督は仕事が忙しいため、丸投げできるものがあったらお願いしたいと考えるものです。当社のサービスは、すべての業務を丸投げできるので、お客様にご好評いただいています。
建設業界の業務改善をするには、建設業界の現場に立ったことのある人間が対応していくことが一番の近道だと考えています。当社では前職が現場監督の方々に多く参画していただいています。それがサービスの品質担保に繋がっており、結果的にお客様の満足に繋がっていると思います。
起業から今までの最大の壁を教えてください
起業してからは、仲間づくりや組織づくりに大変苦労しました。会社を立ち上げたことも事業開発をしたこともなかったので、起業してからお金周りのことや人事労務、経営手法、スタートアップ業界についてを勉強し始めました。
会社の経営やVCからの資金調達においては起業当初から知人がいなかったので、組織づくりや資金繰りに本当に苦戦しました。
VCとの最初の接点もまったくなかったので、実際に資金調達の壁打ちなどをしていただいて、多くのアドバイスをもらい今に至ります。
事業計画を立てたこともなかったので、自分で勉強して作成するのも大変でした。出資していただいた株主の方に恵まれてたと感じているので、本当に運が良かったと思っています。

とにかく建設業界を良くしていきたい
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
私が現場監督の仕事をしていたときに工事写真業務に苦労してきたので、とにかく建設業界を良くしたい、仕事を楽にしたいという気持ちが、私にとって一番のモチベーションです。
最初のお客様は、前職で一緒に仕事をしていた方なのですが、実際にプロダクトを導入し使ってもらったときに、すごく楽になったと言っていただけたので、嬉しい気持ちになりました。
これからも、もっと多くの方に当社のサービスを利用してもらい喜んでもらいたいです。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
建設業界における工事写真業務に関しては、このAI工事写真アプリ「Cheez」が工事写真の業務プロセスになれるようにしていきたいです。皆さんに使っていただけることを目標としていきます。
さらに、代理店様にも協力いただいて、日本全国の方々にプロダクトを使っていただくことを目指していきます。
現在は、私一人でお客様の対応をしていることもあるため、限られたお客様しか対応できていない状況です。今後は、問い合わせをいただいたお客様に対して、満足してもらえるサービスを提供するために、組織拡大をしていきたいと考えています。
一緒に仕事をしたいと思ってもらえる方がいましたら大歓迎です。当社のプロダクトの性質上、専門的なサービスを扱うため、現場監督など建設業界出身の方に多く参画していただいています。いずれは、プロフェッショナルの集団にしていきたいと考えています。
また、組織拡大の観点から経営やファイナンスの領域、スタートアップ業界に精通している方にも、チームに入ってもらいたいという思いがあります。興味がありましたら是非お待ちしております。

まずは自分の軸を持つことが大切
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
会社を立ち上げたときから苦労してきたのですが、それでもここまでやってこれました。私の場合、建設業界を良くしたい、とにかく仕事を楽にしたいという思いが強かったです。
私は今まで自分の軸を持って事業をしてきました。軸を持つことは起業をするうえでとても大切な事だと思っています。
起業をするなら自分の中で明確な軸を持って、突き進んでほしいと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:森川 善基 氏
早稲田大学人間科学部を卒業後、三菱電機株式会社で自動車部品の開発・設計・工程管理・調達業務に7年間従事し、その後Goodyear Tire and Rubber Companyにて日本での工場立上げに3年間携わる。長年の現場監督・検査業務を通じて感じたプラント・建設業界の工事写真業務の課題を解決すべく、経済産業省「出向起業事業」に採択され、AI工事写真アプリの開発など建設テック領域の事業開発を行うverbal and dialogue株式会社を創業。
企業情報
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法人名 |
verbal and dialogue株式会社 |
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HP |
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設立 |
2022年4月21日 |
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事業内容 |
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