株式会社プロダクトフォース 代表取締役 浜岡 宏樹 氏

株式会社プロダクトフォースは、企業が消費者の声を聞くためのダイレクトリサーチプラットフォーム「ユニーリサーチ」を開発・運営しています。独自に抱える数万人規模のユーザーへ最短当日でインタビューやアンケートを実施でき、従来の調査会社と比べて約10分の1のコストでスピーディーに調査できる点が強みです。今回は、代表取締役である浜岡宏樹氏に、リサーチの民主化にかける思いや今後の展望について伺いました。

リサーチの民主化を掲げる調査プラットフォーム「ユニーリサーチ」

事業の内容をお聞かせください

当社の中核となるサービスが「ユニーリサーチ」です。目指しているのは「リサーチの民主化」で、誰でも手軽に消費者の声を聞き、事業づくりやプロダクト改善の意思決定に活かせる状態をつくることを掲げています。

 

「ユニーリサーチ」では、顧客の声を最短当日、従来の調査会社と比べて約10分の1のコストで聞ける環境を提供しています。現在は、インタビュー調査などの定性調査、アンケート調査、オフライン調査、POCやホームユーステスト、AIインタビューまで、幅広い手法を展開していて、累計4,000社以上の企業様に利用されています。

 

この事業の背景には、従来のリサーチが抱えてきた構造的な課題があります。調査会社では多くの人が介在するため、結果が出るまでに2カ月ほどかかったり、1回の調査に数百万円規模の費用がかかったりすることがあります。そのため、利用できる企業や実施回数も限られ、頻繁に顧客の声を聞くことが難しい状況がありました。

 

そこで当社は、企業と調査協力者を直接つなぐプラットフォームを提供しています。インタビューを中心とした定性調査で約10万人、アンケートサービスでは約2,800万人のユーザーを抱えており、企業は会員登録後すぐに募集を開始できます。対象者との日程調整や謝礼の決済もプロダクト上で完結するため、当社が人手で介在せず、スピードと低価格を実現できています。

 

特に我々が強みを持つインタビュー調査では、インタビュー協力者にも時給換算で平均5,500円相当の比較的高い謝礼を還元しています。参加意欲の高いユーザーが集まりやすいことに加え、AIを活用してユーザーの品質をスコアリングし、対象として相応しくない方を除外する仕組みも整えています。クライアントからも、対象者の質が高く、有益な情報を得やすいという評価をいただいています。

 

近年、特にインタビュー調査のニーズは高まっています。アンケートは事実を統計的に把握することには向いていますが、ユーザーがなぜそう考えたのか、その背景にある心理や生活までは捉えきれません。そうした一人ひとりの背景まで理解することで得られるインサイトが、企業独自の意思決定や差別化につながると考えています。

 

実際に、スタートアップや大企業の新規事業、メーカーのブランドリニューアルなど、さまざまな意思決定に活用いただいています。

 

直近では、AIが人に変わって100名規模のインタビューを行う『ユニーリサーチ AIインタビュー』にも力を入れています。誰もがリサーチそのものに詳しくなる必要はなく、大切なのは顧客理解につながる情報を得られることです。調査の手段や工程をAIで効率化し、より多くの企業が日常的にユーザーの声を聞ける状態をつくることで、さらに「リサーチの民主化」を進めていきたいと考えています。

 

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

この事業の原点は、前職での経験にあります。そこでは、ボトムアップ型で事業提案を行い、事業検証を経てうまくいけば子会社化までできるビジネスコンテストの仕組みがあり、私もそこに応募しました。

 

そのとき提案したのは教育系の事業でした。採択はされたものの、その後の事業検証期間でまったくうまくいかなかったのです。振り返ると、最初は自分の妄想ドリブンで事業をつくっていて、お客様が本当に使いたい、お金を払ってでも使いたいと思える事業案ではありませんでした。

 

そこから方向転換を重ねました。いわゆるピボットを4回ほど繰り返すうちに、いつの間にかリサーチ事業をやることになっていたのです。そうして生まれたのがユニーリサーチでした。初めてお客様から、お金を払ってでも使いたいと言っていただけたサービスで、当時は類似のサービスもなかったため「こんなサービスがあったのですか」と驚かれ、感謝されることも多く、社内の新規事業として立ち上がりました。

 

その後、この事業をスピンアウトして株式会社プロダクトフォースを創業しました。 

「Make WOW!!」に込めた、期待を超える独自性への執着

仕事におけるこだわりを教えてください

当社にはバリューが4つありますが、社員も私も特に大好きなのが「Make WOW!!」です。当社はスタートアップのため規模ももちろん大事ですが、それ以上に大切なのは新しい価値を生み出し、カテゴリーを創出するイノベーションだと考えています。そこにこそスタートアップの本来的な存在意義があるからです。

 

「Make Wow!!」には、イノベーションを起こしてお客様に驚かれ、感謝されるような最高のプロダクトをつくろうとの思いを込めています。とにかく良いプロダクトを磨き、より多くの人に使っていただいて社会を変えていく。この考え方は譲れない部分で、売上や利益はその結果としてついてくるものだと社内でもよく話しています。

 

例えば、商談で一番嬉しいのは、使う前に「こんなサービスがあったのですか」と言っていただける瞬間です。裏を返せばまだ知られていないということでもありますが、それは想像もしていなかった価値である表れでもあります。

 

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

最も苦しかったのは、初期にピボットを繰り返していた1年半ほどの期間です。お客様は求めていないし、自分自身も心の底では合わせ鏡のように「駄目なのではないか」と感じてしまう瞬間もありました。誰もそのプロダクトを信じていないけれど、やると決めたことを覆すのも難しく、ぐるぐると悩み続けました。

 

動いても事態が好転しない状態が続き、事業を諦めたい気持ちになったのは、後にも先にもこのときだけです。逆に言えば、それ以降は壁があっても、仲間もいるので乗り越えること自体が楽しいくらいで、それほどハードだと感じることはありません。

 

ユーザーの集客も、最初は確かに苦労しました。ビラを撒いたり、友達を失うのではないかと思うほど知り合いにメッセージを送って登録をお願いするところから始めました。クライアント集めも同様で、いろいろな場に出向いて「こんなサービスをやります、課題はないですか」とひたすら営業していました。それでも、前に進む目標があるうちは楽しかったのです。何を信じていいか分からなかった、その手前の時期のほうがつらかったのだと思います。

プロダクトの力で社会を変える

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

原動力は、やはりプロダクトづくりが好きな一点に尽きます。社名をプロダクトフォースとしているとおり、社内では「プロダクト」の言葉が飛び交っています。良いものをつくってお客様に喜んでいただき、その裏側にある大きな市場や業界、社会を変えていくという一連の営みが好きなため、続けることはもはや当たり前の感覚です。

  

仲間のモチベーションを支えているのも、突き詰めればプロダクト愛だと思います。価値あるものをつくること、それを広げることにモチベーションを持てる仲間を集めているつもりで、採用の段階でもバリューフィットするかどうかをとても重視しています。だからこそ方向性がぶれず、良い事業をつくりたい、お客様から良い声が返ってきたら喜ぶ、という感覚が全員に強くあります。

 

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください

最近は「リサーチの民主化」だけでなく、「顧客理解の民主化」という言葉も使うようになりました。誰もがリサーチ上手になる必要はなく、大事なのは顧客理解ができる状態をつくることだと考えているからです。究極的には、わざわざお客様の声を聞かなくても良い意思決定ができる状態もあり得ますが、社会の変化が速い中では、常に声を聞き続ける必要があります。だからこそ、リサーチはあくまで手段だと捉えています。

 

日本には、本来リサーチが必要でありながら、スキルやマインドセット、コストや時間の制約によって顧客の声にアクセスできていない企業が数多くあります。現在はメーカーやコンサルティング会社、スタートアップ、大企業の新規事業部などに利用いただいていますが、今後はこうした制約をさらに解消していきたいと考えています。

 

そのためのキラーコンテンツが『ユニーリサーチ AIインタビュー』です。募集設計からインタビュー、文字起こし、分析、レポートまでを自動化できるため、特別なスキルをほとんど必要としません。実際に100人ほどのインタビューがわずか3時間で終わるケースもあり、大きなイノベーションだと感じています。

 

現在はまだ顧客の声を収集するレイヤーが中心ですが、今後は設計から実査、分析、レポーティングまでをAIで完結させたいと考えています。AIエージェントに依頼すれば翌日にはレポートが届き、蓄積された顧客の声を必要なときに意思決定へ活用できる。そうした状態をつくることで、リサーチにアクセスできる人は一気に広がるはずです。

 

また、当社のビジョンは「プロダクトの力で社会を変える」であり、リサーチだけをやる会社とは定義していません。リサーチは良い意思決定やプロダクトづくりのための手段の一つです。

 

そのため、社名とサービス名もあえて統一していません。ユニーリサーチで終わるつもりはなく、今後もテクノロジー主導でさまざまな課題を解決するプロダクトやインフラをつくり、そのための仲間も集めていきたいと考えています。

 

 

でき心からでいい。小さな一歩と一次情報から始める

起業しようとしている方へアドバイスをお願いします

小さな形で構わないため、まず一歩を踏み出してみるのが良いのではないかと思います。最初から「これがやりたい」と明確な人もいますが、大半の人は動き出してから学び、覚醒していくものです。少しでもチャレンジしたい気持ちがあるなら、リスクの少ない一歩を踏み出してみると、だんだん気持ちが乗ってきて勝手に進めるようになります。

 

世の中の起業家像は、初日から崇高なビジョンや強烈な原体験があるように語られがちです。しかし、原体験がある方でも、事業をやっていく中で得た原体験のほうがウェイトは大きくなっていくものだと思います。結局、動かなければ何も始まりません。でき心からまず始めるくらいでいいのではないか、とよくお伝えしています。

本日は貴重なお話ありがとうございました。

起業家データ:浜岡 宏樹 氏

筑波大学卒業。新卒で株式会社LIFULLに入社し、法人営業で年間トップセールスを受賞。その後、社長補佐として複数のプロジェクトマネジメントを経験する。社内新規事業としてインタビュープラットフォーム「ユニーリサーチ」を起案・立ち上げ、2023年1月に同事業をスピンアウトして株式会社プロダクトフォースを創業、代表取締役CEOに就任。

企業情報

法人名

株式会社プロダクトフォース

HP

https://productforce.co.jp/

設立

2023年1月5日

事業内容

  • ダイレクトリサーチプラットフォーム「ユニーリサーチ」の開発・運営

 

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