
株式会社SISIは、スキンケアブランド「SISI」の商品企画・販売をしています。天然由来成分とサイエンスの力で敏感肌を思う機能性スキンケアに加え、自宅にいながら精密な肌診断が受けられる遠隔肌解析サービス「SISI LAB」を持つことが強みです。今回は、代表取締役である澤田 実加氏に、機能と感性を両立させた商品づくりや、起業からの歩みについて伺いました。
当社は、スキンケアを中心とした化粧品の企画・販売を行っています。
ブランド「SISI」では、クレンジングや泡炭酸パックなど幅広いアイテムを展開しています。
商品づくりでは、敏感肌でも使いやすい処方でありながら、高い機能性も実現することを大切にしています。成分を一つひとつ慎重に選び、攻めるケアと守るケアの両立を目指しています。
また、高機能でありながら、使い方はできるだけシンプルにすることで忙しい方でも無理なく使っていただけることを重視しています。例えば、シリーズ累計100万本を超えるクレンジングはW洗顔が不要で、拭き取るだけでケアを終えられます。炭酸パックも、一般的には2剤を混ぜて使うものが多い中、当社の商品は1剤で発泡する技術を採用しています。
環境への配慮も大切にしており、廃棄予定だった原料から有効成分を見つけてアップサイクルしたり、リサイクルしやすい容器を採用したりしています。商品を使うことで綺麗になるだけでなく、地球環境にも良い状態を目指しています。
もう一つの柱が、遠隔肌解析サービス「SISI LAB」です。自宅にいながら、かなり正確な肌診断を受けられるキットを提供しています。肌診断に興味があっても、デパートやエステなどでは気軽に受けにくいという声があるため、自宅で気兼ねなく診断できるサービスにニーズがあると考えました。
利用方法もとても簡単です。当社商品をサブスクリプションでご利用の方には1回無料でお渡しし、それ以外の方もキット単体でお買い求めいただけます。3つのチップを動画を見ながら肌に貼り、同封の封筒で送り返すだけです。
その後、LINE上のマイページで、毛穴の数や大きさなどを含む詳細な解析結果を確認できます。毛穴が目立つ原因などもデータから把握でき、その状態に適したケアまで提案します。肌解析をきっかけに当社の商品を知り、購入される方もいます。
直近では、パナソニック株式会社の美容家電とのコラボレーションによるヘアケアブランド「UNITE!」を立ち上げました。当社はスキンケアのノウハウを持ちながら美容デバイスを持っておらず、先方はデバイスを持ちながら化粧品を持っていません。一方で、両社のお客様には、美容に対して表面的なケアだけではなく、根本的な改善を求めているという共通点がありました。
そこで、先方のドライヤーで髪を乾かすところから逆算し、シャンプーやヘアミルクなどを組み合わせて、髪を綺麗に保ち続けられるヘアケアラインを開発しました。当社にとって初めてのヘアケア事業だったため、ゼロからの商品開発には苦労しましたが、これまで培ってきた商品設計のノウハウを生かし、納得のいく商品に仕上げることができました。
当社の強みは、肌解析と化粧品の両方を自社で手がけていることです。肌の状態をデータで把握し、その結果を商品やケアにつなげられる点に加え、感性と機能性を両立した商品設計にも強みがあります。見た目や使い心地だけでなく、成分や機能にもこだわりながら、実際に使いやすい商品として形にできることが、当社ならではの特徴です。

この事業を始めたきっかけは、前職でスタートアップ支援に携わり、その中で化粧品事業の立ち上げを任されたことです。当時はテレビCMを手がけるなど、楽しく仕事をしていました。そこで初めて、プロダクトをつくることと事業を立ち上げることの両方を経験しました。
実際にやってみると、化粧品は競合が多いレッドオーシャンである一方、マーケットは大きく、自分の仕事が人に喜ばれている実感がありました。特にBtoCの事業やファッション・美容の領域での、自分で生み出したものが直接誰かに喜んでもらえる経験を通じて、自分で新しい価値やカテゴリーをつくっていくことの面白さを強く感じました。
一方で、会社の中で子会社を運営していると、自分で売上をつくることはできても、採用や資金の使い方など、組織や会社そのものを自由につくることには限界があります。そこで、もっとこうすれば良くなる、もっとこういう価値を提供できるのではないかと考えることが増えていきました。そして、それなら自分でやったほうがいいと考えるようになり、気づけば会社を立ち上げていました。
これまでの経験は、今にとても生きていると感じます。元をたどると実家が石材屋を営んでおり、父が商売をする姿を小さい頃から見て、物がどうやったら売れるのかを不思議に思いながら育ちました。最初に入ったコンサルティング会社ではコスト削減やCRMのプロジェクトに携わりました。
一見、現在の化粧品事業とは畑違いに見えますが、コストをどう考えるか、顧客との関係をどうつくるかという視点は、今の経営にも生きています。 消費財メーカーではマーケティングを経験し、商品ができてから、どのようなコンセプトをつくり、どのようにお客様へ届けるのかという一連の流れを学びました。
そして最後のスタートアップ支援では、自分と同世代の人たちが会社をつくっていく姿を身近に見たことで、自分にもできるのではないかと思えるようになりました。さらに、そこで実際に化粧品事業の立ち上げまで経験できたことで、それまでの経験が一つにつながり、起業へのハードルが下がったのだと思います。
振り返ると、父の姿を見て商売に興味を持ったことから、コンサルティング、マーケティング、スタートアップ支援、そして化粧品事業の立ち上げといったこれまでの経験がすべてつながって、今の起業にたどり着いたのだと感じています。
こだわっているのは採用です。とにかく素直で前向きな人と働くことを大切にしています。事業や会社は生き物なので、一緒に事業を伸ばしてくれる仲間選びが何より重要だからです。人が足りない時期でも妥協せず、時間をかけて良い人を選ぶようにしています。
選考は、実際に会って感じ取ることを重視しています。面談を通じて、参加したメンバーでそれぞれの印象や良い点を共有します。適性検査も参考にしますが、最終的には人と人との相性や、素直さ、前向きさを大切にしています。
入社後に共有する価値観は、ミッション・ビジョン・バリューに集約されています。
「一人ひとりが自分を大切にできる社会を実現する」というビジョンと、「美容をイノベーションしてより良い人生を提供し続ける」というミッションに共感して入社してくれる方が多いです。
プロダクトづくりでも、誰もが自分を大切にできる美容ブランドを目指しています。SISI(私思)という名前にも、自分の価値や力を信じ、自分自身を大切な存在だと思ってほしいという想いを込めています。
仕事や子育てなどで忙しく、自分のことを後回しにしてしまう人にも、SISIを使う時間を通じて自分を大切にしてほしいと考えています。産院や病院への提供など、売上だけを考えれば非効率に見える取り組みでも、そこに大きな意味があると信じています。
マーケティングでは、記憶に残ることを重視しています。化粧品は非常に数が多いため、短い接触時間でも覚えてもらえることが重要です。SISIという短く音で覚えやすい名前や、他のブランドと似ないパッケージデザインにも、そうした考えを反映しています。
UNITE!というブランド名にも、髪の結合を正しくつなぎ直すボンドケアの技術、デバイスと化粧品を組み合わせること、そして自分らしさを日々再構築していくことという3つの意味を込めています。ブランド名一つにも、私たちの考え方をしっかり込めています。
壁は、人・物・金のすべてです。正直に言えば、これまで全部で失敗してきました。よく生きていられるなと思うほどですが、それも今となっては楽しさの一部です。
人については、採用の経験がないまま起業したため、どういう人を採るべきかという基準もなく、手探りで採用しては失敗を重ねました。自分で採用や組織づくりをしたいと思って独立したものの、実際にやってみると想像以上に難しく、ボロボロになりながら過ごした時期もあります。
物については、有形商材ならではの在庫管理の難しさがあります。商品が異常に売れて、数ヶ月分の在庫が1週間ほどでなくなったこともありました。一方で、大量に仕入れれば過剰在庫となり、キャッシュフローを圧迫します。需要を見ながら適切な量を持つことの難しさを実感しました。
そして、最も怖かったのがお金です。キャッシュが尽きれば事業そのものが続けられません。最初の3年ほどは、常に吐きそうになるような感覚で仕事をしていました。それでも同じように起業した人に相談すると、それは普通のことだと言われ、そういう時期を乗り越えていくものなのだと知りました。
少しずつ状況が落ち着いてきた転機は、すべての矢印を自分に向けられるようになったことです。振り返れば、人についても、物についても、お金についても、きちんとやっているつもりで、実際にはまだまだ足りていませんでした。
そこで、人については一緒に働く仲間をより慎重に選び、お金についても以前より厳しく管理するようになりました。失敗して頭を打ち、そのたびに次はどうするのかを考える。その繰り返しを、この6年間続けてきた感覚です。
決して平坦な道ではありませんでしたが、多くの方に助けていただきながら、なんとか6期目を迎えることができました。

辛いことはたくさんありますが、不思議と辞めたいとはあまり思いません。改めて考えてみると、その理由は事業ミッションに繋がっていると感じます。
当社のミッションは「美容をイノベーションしてより良い人生を提供し続ける」です。スタートアップだからこそ生み出せるサービスや商品を通じて世の中を良くし、使ってくださる方の人生をより良くしていくことには、大きな価値があると感じています。
だからこそ、苦しいときほど、そもそも何のためにこの事業をやっているのかと立ち返ると、ミッションが自分の志として心を支えてくれます。
また、当社のクレンジングは、口コミサイトでも評価がとても高く、数多くの口コミを書いていただいています。商品が世の中で話題になったり、お客様から率直に喜んでいただけたりする瞬間は、本当に嬉しく、大きなやりがいを感じます。
今後は、これまでの枠を一段越えた成長をしたいと強く思っています。ありがたいことに毎年成長している実感がありますが、もう一つ先のフェーズへ進むために、現在さまざまな準備を進めています。
その先に目指しているのが、ブランドの認知率を高めることです。現在、当社の認知率は調査で3〜5%ほどですが、大手ブランドでは50%程度に達するところもあります。対象となる人の半分が知っているという状態は、本当に大きなことだと思います。
誰もが知っていて、誰もが必要とする存在になれれば、事業として大きく飛躍できるはずです。売上はもちろん重要ですが、そこまでブランドが成長すれば、結果として売上もついてくると考えています。
もう一つ、より大きな視点で取り組みたいのが、美容業界における日本のプレゼンス向上です。日本の化粧品は非常にクオリティが高いにもかかわらず、業界全体としては海外に後れを取っていると感じています。海外の製品が日本市場に多く入ってくる一方で、日本から世界へ発信していく力には、まだ大きな可能性があります。
現在は国もJ-Beautyを掲げ、少しずつ動き始めています。韓国が美容産業に力を入れる中、日本もようやく本格的に動き始めた段階です。当社としても、国との取り組みなどを通じてJ-Beautyを盛り上げ、日本の商品はやはり良いと世界の人々に評価してもらえる産業をつくっていきたいと考えています。
一つのブランドを成長させるだけでなく、日本の美容そのものの価値を世界に広げていく。そこまで視野を広げて挑戦していきたいと思っています。

起業したいと思ったのであれば、そのタイミングで始めたほうがいいと思います。やりたいと思ったときこそ、挑戦するべきタイミングなのではないでしょうか。
もちろん、とても勇気がいります。私自身、最初は本当に怖かったです。収入がなくなることはもちろん、それまで大量に届いていたメールが急に来なくなったりと、孤独や不安もついてきます。
それでも、始めてみなければ何も始まりません。いつか起業したいと思っていても、そのいつかは待っているだけではなかなか訪れないものです。だからこそ、最初から大きなことをする必要はなく、小さなことでもいいので一歩を踏み出すことが大切だと思います。
岡山県出身。慶應義塾大学総合政策学部卒業。REVAMP(経営コンサルティング会社)を経て、MARS JAPAN LIMITED(外資系消費財メーカー)にてブランドマーケティングを担当。その後、スタートアップ・大企業のマーケティング戦略立案、TVCM開発、ブランド開発など複数のプロジェクトをリード。会社員時代にスキンケアブランドの立ち上げを経験し、「誰もが自分を大切にできる美容ブランドを作りたい」という想いから、2020年3月に株式会社SISIを設立。
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法人名 |
株式会社SISI |
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HP |
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設立 |
2020年3月16日 |
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事業内容 |
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