
10pct.株式会社は、宿泊施設や飲食施設の運営・経営を手がけるホテル運営会社です。自社開発のホテル予約システム「Be.」で集めた詳細な顧客データを、マーケティングだけでなくホテルの企画開発の段階から生かし、施設ごとにDXを設計できる点が強みです。今回は、代表取締役である中堀友督氏に、データを活用したホテル運営や、地域と共に観光経済を循環させる取り組みについて伺いました。
当社は、ホテルや旅館の運営会社です。ホテルのオーナーから施設を借りたり、運営を委託されたりする形で、フロント業務からマーケティング、ファイナンス、DXまで、ホテル経営に関わる業務を一貫して担っています。現在は、京都の老舗旅館や群馬・みなかみエリアの温泉旅館、白馬のグランピング施設や一棟貸し施設などを運営しています。
特徴の一つが、自社開発のホテル予約システム「Be.」です。一般的な予約サイトでは、あらかじめ用意された宿泊プランから選ぶことが多いですが、「Be.」では、部屋のタイプや眺望、露天風呂の有無、食事内容などを一つひとつ選びながら、自分に合った宿泊体験を組み立てられます。昔、旅行代理店で旅のプロと一緒にプランを考えていたような体験を、オンライン上で再現するイメージです。
また、予約の過程で、お客様が何を重視し、どこで迷ったのかというデータも蓄積されます。例えば、部屋にはあまり予算をかけなくても食事にはお金をかけたいといったニーズを把握できるため、マーケティングだけでなく、新しいホテルを企画・開発する際にも活用しています。
ホテル運営では、AIやDXも積極的に取り入れています。ただし、単純に無人化や省人化を進めるのではなく、ホテルのコンセプトや来ていただくお客様に合わせて使い方を変えています。京都や群馬の温泉旅館では、あえて無人チェックインにはせず、フロントの裏側にある事務作業をAIで効率化し、おもてなしに使える時間を増やしています。
一方、白馬のグランピング施設では、チェックインをシンプルにした分、スタッフを減らすのではなく、サウナの楽しみ方を案内する「サウナコンシェルジュ」として配置しています。人を減らすためではなく、その施設ならではの体験価値を高めるためにAIやDXを活用していることが特徴です。
また、DXを現場に定着させるうえでは、スタッフへの還元も大切にしています。京都の旅館では、給与が33%上がったスタッフもおり、成果を分かち合うことで、現場からも経営改善に向けた提案が生まれるようになっています。
さらに、ホテル単体の運営だけでなく、自治体と連携したエリアブランディングにも取り組んでいます。徳島県鳴門市や兵庫県南あわじ市などと連携し、食や景色、アクティビティといった地域全体の魅力を発信しています。
ここでも「Be.」を通じて得られる顧客データを活用していく予定です。どの地域から来るお客様が何を目的に訪れているのかを分析することで、限られた予算の中で何を打ち出すべきかを判断し、データに基づいた地域プロモーションにつなげています。

もともと大学時代から起業には興味がありました。デロイトトーマツベンチャーサポートでのインターンを通じて多くの起業家と接する中で、起業の面白さを感じ、自分でもいつか挑戦したいという思いが強くなっていきました。
そのうえで、自分が起業するならどの業界が良いかを考えました。業界を選ぶ際に重視したのは、ある程度市場が大きく、今後も成長が見込め、日本が世界と戦える分野であることです。その中で、自分が一番取り組みたいと思ったのが観光業界でした。
新卒では星野リゾートに入社し、その後、シンガポールのデベロッパーであるキャピタランドに転職しました。両社では、ホテルの取得や運用など、投資に関わる業務を経験しています。
そうした仕事を続ける中で、次第に投資家側よりもホテルの現場そのものに関心が向くようになりました。単純に無人化を進めるのではなく、もっと根本的なところからホテル経営の仕組みそのものを変えられるのではないかと感じたからです。
ホテル運営の効率化や、経営の仕組みそのものを変えるための取り組みについて、社内でも何度か提案しました。ただ、さまざまな考え方がある中で、なかなか前に進まない部分がありました。それなら自分で実現しようと考えたことが、起業の直接的なきっかけです。
仕事をする上では、特定の考え方に縛られすぎず、その時々の状況に合わせて判断することを大切にしています。決まった型に当てはめるというよりも、ケースバイケースで最適な方法を考えるスタンスです。
一方で、採用については明確に重視していることがあります。それは、旅行やアドベンチャーが好きかどうかです。当社には、投資ファンドとやり取りするメンバーやAIを開発するメンバー、ホテルの現場でお客様をおもてなしするメンバーなど、さまざまな職種がありますが、この点は職種を問わず見ています。
面接では、最近どこへ旅行したのか、どのような旅をするのかといったことを聞きます。同じ場所への旅行でも、その土地ならではの体験を楽しんだり、新しいことに飛び込んだりする方もいます。そうした旅や冒険を心から楽しめる人かどうかは、正社員採用において大切にしているポイントです。

最大の壁は、最初の1件目の運営案件を獲得するまでの道のりでした。現在運営している京都の旅館や群馬・みなかみ猿ヶ京の温泉旅館は、いずれも非常に上質な施設です。そうした施設の運営をすべて任せていただくのは、普通に考えるとかなりハードルが高いことだと思っています。
最初の案件となった京都の旅館につながったのは、ご縁とこれまでの経験の両方でした。学生時代からお世話になっていた先輩のつながりで、投資ファンドがホテルのM&Aを検討していることを知り、提案する機会をいただきました。そこで、この旅館なら自分ならこう運営する、ここを改善すべきだと具体的に提案し、最終的に任せていただけることになりました。
現在も、M&Aや事業承継を検討している旅館を見つけることは簡単ではありません。そのため、当社ではホテルに特化した売り手向けのFAサービスを無料で提供し、旅館との接点を増やしています。
実際に旅館の現場を見ると、後継者不在だけでなく、建物や設備の老朽化も大きな課題になっています。例えば、全館空調が故障すれば長期間営業できなくなり、売上が止まる一方で、数千万円規模の工事費が必要になることもあります。追加融資が難しい場合には、M&Aを通じて資本力のある新しいオーナーに引き継ぎ、必要な改修を行ったうえで運営を続けていくことも一つの選択肢です。そうした旅館が抱える課題にも向き合いながら、事業を継続できる形をつくっていきたいと考えています。
今の原動力になっているのは、星野リゾート・アセットマネジメント時代に経験した、星のや軽井沢での半年間の現場研修です。
当時の私は、投資業務をするために入社したという意識が強く、現場研修には正直あまり前向きではありませんでした。それでも、現場のスタッフや清掃スタッフの方々は温かく受け入れてくださり、経営について教えてほしいと声をかけてくれる方もいました。そうした姿に触れる中で、現場で働く方々の人柄や仕事への思いに強く惹かれるようになりました。
一方で、これほど素晴らしいスタッフが、Excelへの入力や紙への転記など、さまざまな事務作業に多くの時間を取られ、お客様と向き合う時間を十分に持てていないことに強い違和感を覚えました。お客様にもっと地域の魅力を伝えたり、会話を楽しんだりできるはずなのに、その時間が日々の事務作業によって削られていたからです。
こうした構造を根本から変え、現場の方々がホスピタリティを最大限発揮できる環境をつくりたいという思いが、起業の原点であり、今も事業を続けるモチベーションになっています。現在も、京都や群馬の旅館で働いてくれているメンバーのホスピタリティを最大化するために、もっと頑張らなければという思いで取り組んでいます。
現在運営している旅館やグランピング施設、ホテル、一棟貸し施設は、約1年間ですべての物件で売上が伸びています。中には、当社が運営に入る前と比べて、売上が約1億円伸びた施設もあります。
また、売上を伸ばすだけでなく、その成果を地域に還元することも大切にしています。実際に、給与が33%上がったスタッフもいるなど、観光によって生まれた利益が地域に還元される仕組みづくりを進めています。
今後は、当社が運営する物件に限らず、関わる地域そのものを増やしていきたいです。ホテル経営を中心に、さまざまな地域と連携しながら、観光経済がローカルで循環する仕組みを広げていきたいと考えています。
起業というと、アプリをつくってVCから資金調達するようなイメージを持つ方も多いと思いますが、それだけが起業ではないと思っています。
当社では、ホテルごとにコンセプトやDXのあり方を一から考えています。例えば、京都では幅広い年齢層に受け入れられる体験を考え、群馬では高級なおこもり宿として、その地域や施設に合ったコンセプトをつくっています。その地域で何をするのか、どのような方に何が響くのかを考え、それをホテルという舞台で実際に形にしていく。そうした仕事は、一つひとつ新しい事業を立ち上げることに近いと感じています。
そういう意味では、起業や事業づくりに興味がある方にとって、当社は一つひとつのホテルで起業に近い経験ができる環境だと思っています。

現在はさまざまなポジションを募集していますが、特に求めているのは、現地に入り込みながらDXや売上改善を最後までやり切れる方です。
旅行やアドベンチャーが好きで、情熱を持って周囲を巻き込みながら取り組めることに加え、ホテル経営そのものにも興味を持っている方を求めています。ホテル経営や地方創生に関心があり、地域に入り込んで新しい価値をつくっていきたい方には、ぜひ仲間に加わっていただけたら嬉しいです。
採用の詳細はこちら
慶應義塾大学在学中は、フルタイムのインターンで、デロイトトーマツベンチャーサポート株式会社にて、D2C のアパレルブランドの販売促進戦略の策定から実行。東京都が主催するアクセラレーショ ンプログラムなどの運営を通してスタートアップ支援に従事。また、 Tesla Japan 合同会社では日本エリアでのエネルギー事業の展開に 社長室インターンとして参加。全国の販売代理店と共に家庭用蓄 電池・電力系統規模の蓄電システムの Powerwall・Megapackを販売。
大学卒業後は、星野リゾート初の試みとなる、新卒から投資部門に入社。星のや、グランドハイアット、ANA クラウンプラザホテルなどの 経営・取得に携わる。その後、アジアの最大手不動産ディベロッパーである CapitaLand Japan の投資部門に入社。東京都港区の 再開発事業や日本国内の不動産のポートフォリオをマネジメント。 2023 年にアジアの観光ビジネスのポテンシャルに魅了され起業。
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法人名 |
10pct.株式会社 |
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HP |
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設立 |
2023年7月25日 |
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事業内容 |
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