近年、働き方が変化しつつある中、シェアオフィスやコワーキングスペースの利用が増加傾向にあります。しかし、違いが分かりづらく、何を基準に選べば良いのか、どちらか自社に適しているのか疑問に感じる人も多いでしょう。
そこで今回、シェアオフィスとコワーキングスペースの違いについて紹介します。また、利用する際のメリット・デメリットについてや選び方についても解説していきます。
シェアオフィスとコワーキングスペースの違い
リモートワークが一般的になった近年、出社人数に合わせてオフィスを縮小・拡大できることから、シェアオフィスやコワーキングスペースの需要が高まっています。しかし、シェアオフィスとコワーキングスペースはどちらも似ている部分が多く、違いが分かりにくいと感じる人も少なくありません。
結論から述べると、シェアオフィスは作業が軸のオフィスであり、コワーキングスペースでは他者とのコミュニティを形成するのが軸といえます。
そこで、この章ではシェアオフィスとコワーキングスペースが具体的にどのようなオフィスなのか、詳しく解説します。
シェアオフィスとは
シェアオフィスとは、ひとつのオフィスを複数の企業や個人で利用するオフィスを指します。フリーアドレス形式もあれば、個室を契約できる場合もあります。フリーアドレス形式とは、個人が固定の席を持たず好きな席に自由に座るといったワークスタイルです。
シェアオフィスでは共有スペースの他にも、施設内にある個室を必要に応じて利用するのが一般的です。そのため、他社と交流したい場合には共有スペースを利用し、一人で作業したい場合には個室を利用するなど、目的によって使い分ける事ができます。
また、シェアオフィスではオプションとして電話対応や郵便物対応を依頼できる場合もあり、ニーズに合わせて利用できることが特徴となります。
シェアオフィスについて詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。
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シェアオフィスとは?メリットとデメリットや選び方をわかりやすく解説!
コワーキングスペースとは
コワーキングスペースとは、さまざまな人がフリーアドレス形式で仕事ができるワーキングスペースです。シェアオフィスと似ていることから、よくシェアオフィスの一つの種類として解説されていることもあります。
しかし、コワーキングスペースは主に個室ではなくオープンスタイルになっている事が多いため、他者とのコミュニティ形成がしやすいように設計されています。そのため、新しいアイデアなどの意見交換や、人脈形成にも繋げる事が可能です。
シェアオフィスとコワーキングスペースのメリットの違い
シェアオフィスとコワーキングスペースについて分かったところで、それぞれのメリットについて比較していきます。
シェアオフィスのメリット |
コワーキングスペースのメリット |
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メリットを比較することで、自社が求めるサービスを検討しやすくなります。
シェアオフィスのメリット
シェアオフィスのメリットは、主に以下の通りです。
- 賃貸オフィスより固定費が抑えられる
- 法人登記ができる
シェアオフィスでは、賃貸オフィスよりも固定費を抑える事ができます。例えば、リモートワークなどでオフィス内の不必要なスペースを省くことにより、賃料や電気代、ネット代を抑えることが可能です。
また、シェアオフィスによって異なりますが、法人登記をすることができる点も大きなメリットです。法人登記とは、会社を法人化する際に登録しなければならない制度で、取引上重要な情報を公開するため法務局に登録する必要があります。法人登記をすることで自宅バレを防ぐことができ、都心などの一等地で住所登録できた場合には、会社の信頼性がアップするだけでなくブランディングにも繋がります。
コワーキングスペースのメリット
コワーキングスペースのメリットは、以下の2つが挙げられます。
- 必要な時間のみ利用できる
- さまざまな人と交流できる
コワーキングスペースでは、30分〜利用できる場所もあり、必要な時間のみ利用できるのがメリットです。また、1ヶ月プランのような月額固定制のプランもあり、長期的な利用にも適しています。自分自身のワークスタイルに合わせて、利用時間やプランを柔軟に変更できるのが魅力です。
また、コワーキングスペースは交流を軸としたスペースとなるため、さまざまな人と交流できるという大きなメリットがあります。コミュニケーションが取りやすいことにより、意見交換ができるだけでなく、新しいビジネスチャンスに繋げることも可能です。
シェアオフィスとコワーキングスペースのデメリットの違い
シェアオフィスとコワーキングスペースにはメリットだけでなく、デメリットもあります。
シェアオフィスのデメリット |
コワーキングスペースのデメリット |
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メリットだけではなく、デメリットも把握した上で比較検討しましょう。
シェアオフィスのデメリット
シェアオフィスのデメリットは、主に以下の2つが挙げられます。
- セキュリティリスクがある
- 作業に集中できない場合がある
シェアオフィスでは、さまざまな人が利用し出入りするため、少なからずセキュリティ面に不安があります。例えば、席を外した際に書類が紛失してしまうことや、電話などの会話から情報が漏洩してしまうリスクが発生します。
また多くの人が利用するため、周囲の雑音などにより作業に集中できない場合もあるでしょう。
セキュリティリスクや騒音対策として、必要に応じて個室やブースを利用するなどの対策を取ることをおすすめします。個室やブースでは、プライバシーが守られているため、会話から情報が漏れる、うるさくて作業に集中できないなどの状況を防ぐことが可能です。
コワーキングスペースのデメリット
コワーキングスペースのデメリットは、以下の通りです。
- 業種によって向き・不向きがある
- 満席で使えない可能性がある
コワーキングスペースは多くの人が出入りするため、個人情報や機密情報を取り扱うような業種にはおすすめできません。また、コワーキングスペースはコミュニケーションを図ったり、意見交換がしやすいワーキングスペースのため、業種によっては周りがうるさくて作業が進まない、人がいて重要な会議ができないなど、デメリットが大きと感じるケースも多いです。
必要な時間のみ利用できるコワーキングスペースは、気軽に好きな時に好きな場所で作業ができるため、満席で使えないおそれがあります。また、フリーデスクに座れたとしても、利用者が多いと十分な作業スペースを確保することは難しい可能性があります。
シェアオフィス・コワーキングスペースの選び方
ここでは、シェアオフィスとコワーキングスペースの3つの選び方について紹介します。
- サービス内容
- 料金設定
- 立地条件
一般的な賃貸オフィスよりも費用を抑えられといっても、選び方を失敗してしまうと余計なコストが発生したり業務に支障が出てしまう可能性もあるため、選ぶポイントを理解しておくことが大切です。
サービス内容
シェアオフィスやコワーキングスペースでは、すぐに業務を始められる基本的な設備は揃っていますが、それ以外に提供しているサービスは異なっています。主に提供されているサービスは、以下のものが挙げられます。
- 来客対応
- 電話対応
- 液晶モニターのレンタル
- 郵便物対応
- シュレッダー
- ドリンクサービス
- 会議室・ブースの利用
自社に必要なサービスがあるのか、内容を照らし合わせて選ぶことが大切です。また、法人登記や住所などを利用する場合は、事前に確認しておくと安心です。
また上記のサービスは、シェアオフィスやコワーキングスペースの常駐スタッフがいる場合のみに限られるケースが多いです。
料金設定
オフィスを選ぶ際に、まずは利用料金が自社の予算内に収まることが大切です。シェアオフィスとコワーキングスペースの料金には席単価で数千円から数万円と幅があるため、適切な予算を設定しておく必要があります。
また、料金形態には月額固定制と利用した時間分を都度支払うドロップインの2種類があります。利用する予定の時間や期間を事前に明確にし、月額固定制とドロップインのどちらの価格が自社に適正か比較して選ぶと良いでしょう。
立地条件
自宅からのアクセスや取引先へのアクセスなどを考え、立地条件を重視して選ぶことも大切です。立地条件によって、自分や社員の業務遂行におく負担を抑える事ができます。
また、アクセスの面だけでなくオフィス周辺の施設、飲食店、郵便局、銀行などがあるのか意識することも業務遂行に大切なポイントとなります。このような施設が近くにあることで、従業員の業務への負担を減らせるだけでなく快適に過ごすこともできます。
その他シェアオフィスと似ているオフィス
シェアオフィスやコワーキングスペース以外にも、似ているオフィスがいくつかあります。一般的に、さまざまな働き方に合わせて利用できるオフィスのことを総称して「フレキシブルオフィス」と用いられています。ここで紹介するシェアオフィスと似ているオフィスは、以下の通りです。
- レンタルオフィス
- バーチャルオフィス
- サテライトオフィス
レンタルオフィス
レンタルオフィスとは、シェアオフィスと同様にネット回線やデスク、チェアなど業務ができる環境が整っているオフィスです。シェアオフィスとの違いは、レンタルオフィスでは個室を月額で借りることを主にしています。
専用の個室を利用するため、他の人が出入りできず共有スペースよりもセキュリティ面で安心できるというメリットがあります。そのため、個人情報や機密情報を取り扱う業種におすすめです。
デメリットとしては、レンタルオフィスでは賃貸オフィスよりも坪単価が高いため、長期間利用すると費用が予想以上に高くなる可能性がある点です。一時的なコストだけではなく、長期的な視点で、レンタルオフィスが適しているか判断する必要があります。
レンタルオフィスについて、詳しく知りたい方は以下を参考にしてください。
■関連記事
レンタルオフィスとは?利用するメリットとデメリットや他のオフィスとの違いを解説
バーチャルオフィス
バーチャルオフィスとは、仮想の事務所とも呼ばれる物理的にスペースを貸し出すのではなく、事務所用の住所のみを貸し出すサービスとなっています。そのため、法人登記や住所だけを利用したい人におすすめのオフィスです。
事務所用の住所を利用することで、自宅の住所が公開されることを防ぐだけでなく、都心の一等地の住所も選択可能なためブランディングに繋げることもできます。その他にも、インターネット・SNS・名刺にも記載できるため、ビジネス上の利便性が高いというメリットがあります。
デメリットとしては、バーチャルオフィスは住所のみの貸し出しのため、仕事をするスペースは別で確保する必要がある点です。また、バーチャルオフィスの住所を利用することで、仕事場から距離があると郵便物や荷物が届くまでに時間がかかるため注意が必要です。
サテライトオフィス
サテライトオフィスとは、企業や団体などの会社の拠点から離れた場所に設置された小規模オフィスのことを指します。組織の機能を保持した支社や支店とは違い、サテライトオフィスでは多種多様な働き方に対応するために必要最低限の環境を保持しています。
サテライトオフィスはテレワークの一種に含まれることもあり、本社に出社しなくても同様の業務が可能です。そのため、従業員の出社人数に合わせて低コストでオフィスを設置したい人におすすめです。
サテライトオフィスを利用するメリットとしては、従業員が本社に通勤する時間や移動時間の削減により生産性の向上を期待できることです。また、支社や支店を置くよりも低コストで環境を開設できるため、無駄なコストを削減することも可能です。
デメリットとしては、会社の拠点から離れていることにより、業務指示や勤怠管理が難しくなる点です。そのため、細かい業務指示や突発的な会議などには対応しづらい可能性があります。
シェアオフィスとコワーキングスペースの違い知ろう
作業に集中したり必要に応じて他者と交流したい場合はシェアオフィスを利用し、他者と交流することを目的とするならコワーキングスペースの利用がおすすめです。
業種によって適したオフィスが異なるため、それぞれのメリット・デメリットを理解しサービス内容などを比較して、自社が必要とするオフィスを明確にすることが大切です。
また、オフィスを選ぶ際には、サービス内容・料金設定・立地条件を重視することがオフィス選び成功への重要なポイントとなります。本記事を参考に、シェアオフィスやコワーキングスペースを上手く活用してみてください。
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