株式会社アト 代表取締役 奈須田 洋平

「株式会社アト」は、取引実績20,000社以上、年間配布枚数10億5千万部を超えるポスティング業界トップの実績を誇ります。「お客様からあずかった広告物を人の手でしっかりと届ける」という当たり前のことを当たり前にやれることが、いちばんの強みと代表取締役の奈須田 洋平氏は話します。

今回は事業内容や起業の経緯、今後のビジョンについて詳しくお伺いしました。

 

ポスティングはデジタルな世の中になっても有効な集客サービス

事業の内容をお聞かせください

お客様から預かった広告物を、各ご家庭のポストに届けるサービスであるポスティング事業をメインにお客様の集客のお手伝いをしています。

 

ポスティングはプッシュ型で情報を与えることができるため、認知の薄い層に対しても情報を届けるには有効的な手段です。現代ではデジタルマーケティングが主流ですが、それでは関心のない人に対して認知をしてもらうことが難しくなります。そのため、近年新聞の購読者数が減ってきていることもあり、ポスティングの需要が年々高まってきています。

 

ポスティングチラシからの集客率を上げるために、ターゲティングや制作面の提案にも力を入れております。ポスティング専用のクリエイティブを制作して、配布エリアの選定、効果測定を行い改善していきます。”ただ、配るだけ”ではなく、過去のデータや経験に基づいた提案をすることで、認知や反響の拡大に繋げることができます。

 

現在はアナログな方法だけでなく、紙媒体とデジタルどちらも対応して情報を伝える事業に変化してきています。

 

デジタル社会においてポスティングの強みは何でしょうか?

今これだけデジタルマーケティングが飽和しつつある中で、紙媒体は差別化になっている点が強みだと考えています。最近の例ですとスマホゲームのポスティングをしました。こちらはSNSでかなり話題になったチラシです。

 

ウェブマーケティングと合わせて、アナログな紙媒体での認知の拡大を目指しました。チラシをインパクトのあるデザインにしてポスティングをした結果、いままでとは違うユーザー層の獲得に繋がりました。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

大学生の時にアルバイトでポスティングをしたことがきっかけになります。当時は印刷された地図を渡され、ひたすらチラシを配っていました。

 

体力勝負なところもあり、とても大変な仕事でした。もう続けられないと思い、アルバイトを辞めることを伝えました。すると、社内の仕事をしてみないかと提案され、営業やシステム構築、ポスティングスタッフの管理、採用などに携わることになり、ビジネスの世界に強く惹かれました。

 

当時からポスティングは縁の下の力持ちとして、陰にかくれた存在であり、媒体としての認知度はまだ低い状況でした。しかし、実際に配っているとお客様から、反響が良かったというお声を沢山いただきました。そのため、プラットホームや管理システムを強化すれば、さらに集客効果は高まり、お客様のお役に立てると考え、独立をしました。

 

一番大事なのはポスティングスタッフ

事業において意識していることやこだわりを教えてください

ポスティングスタッフを大事にすることを意識しています。我々の会社が成り立っているのは、ポスティングスタッフが一枚一枚チラシを配っているおかげです。

 

ポスティングスタッフはさまざまなバックグラウンドをもつ方がいます。例えばミュージシャンを目指している方や、定年退職後に健康管理を兼ねてポスティングをしている方もいます。また家族を養われる方もいれば、主婦の方でお子さんを保育園に預けている間にポスティングしている方など、さまざまな方がいます。

 

そのため応募者の背景を理解し、仕事を提供したいと考えています。雇用の創出というと大げさかもしれませんが、仕事を生みだしているという気持ちを持っております。

 

もちろん全従業員が大事です。創業時は数名でしたが、今では200名以上の従業員がおります。ビジネスとして収益を出すことはもちろんですが、一人一人の個性を尊重しながら、チームとしてパフォーマンスを上げていくことを大切にしています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

先ほども申し上げたように、ポスティングはプッシュ型の広告になります。そのため一定の割合でクレームが発生します。今では少なくなりましたが、スタッフのモチベーションや士気が落ちてしまうことがありました。

 

しかし、クレームはどの仕事でもある程度の割合で起こりえる事象です。クレームから学ぶことも多々あるため、成長の糧にしてほしいと社員には伝えています。それでもクレームを減らす努力として、チラシには弊社の電話番号を入れてコールセンターを開設しています。

 

クレームを減らすためにも、ポスティングの価値を伝えることが必要だと思っています。しっかりとお客さんの情報をお届けしている大事な媒体だと理解してもらうことが、スタッフのモチベーションアップにもつながるはずです。

 

宅配事業の会社も創業当時は怪しまれていましたが、今では誰もが知る会社になり、世の中になくてはならない大事な事業として感謝されています。我々もそのような側面をもっているので、社会に向けてPRをしていき、認知してもらうことでより多くの方にご理解いただけるように取り組んでいきたいと思っています。

 

ポスティングが難しい環境の市場開拓はどうされていますか?

例えばタワーマンションはセキュリティが高く、コンシェルジュが常駐している場所が多いです。そのためポスティングが難しくなります。この点は我々も大きな課題でした。そこで解決手段として自社で2024年2月に「yoff」(ヨフ)という媒体を作りました。配布はポスティングではなくてDM形式を取っています。「yoff」には、富裕層の方が読みたい情報を載せています

 

まだ配布できていないマンションもありますが、少しずつ課題を解決しながら、企業努力でポスティングをしていきます。

 

ポスティングは拒否するようなものではなく、本当に必要な情報をお届けしていることを世の中に伝えていきたいです。

 

ポスティングが世間にもっと必要なものだと認識してもらう

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

未成熟で伸びしろがポスティングにはあります。その可能性の高さと、先ほどお話したようなイメージを変えていくことがモチベーションになっています。

 

ポスティングは媒体としての価値が非常に高いと考えております。デジタルマーケティングでは、スマホやパソコンを経由して、主に顕在層へ情報が届きます。しかし、ビジネスを拡大していくには潜在層にもアプローチが必要です。お客様からも「商圏内にいる潜在的なユーザーにリーチがしたい」というご相談を数多く頂いております。こういった課題を解決するために、独自のデータやシステムを活かしてポスティングをしています。その結果、有難いことに取引社数は2万社を超えました。しかし、まだまだポスティングのニーズがありますので、非常に可能性を感じています。

 

今まででは、ポスティング関連のことが取り上げられることはありませんでしたが、最近取材を頂くことが増えてきております。より多くの方へポスティングの集客効果が、伝われば嬉しいです。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

社会のデジタル化が進んでいる中で、真摯に向き合いお客様のニーズにあったサービスを提供したいと思っています。具体的にはスマホやPCで24時間いつでも発注できるプラットホームを制作中です。

 

ポスティングだけでなく我々の強みである新聞折り込みやフリーペーパー、サンプリングといったフィールドワーク、そしてDSP配信(ターゲットをピンポイントに絞って配信)をお客様がWeb上の地図から発注できるシステムになります。それがもうすぐリリースされるので広めていきたいです。

 

このプラットホームを通じ、一定の集客ができれば、全国各地に広げていくこともできます。自社でも50拠点もっていますが、今後フランチャイズやM&Aも進めて、各地に拠点を広げていきたいと考えています。

 

そしてこのプラットフォームは集客のお手伝いが目的なので、国内だけでなく海外にも展開していきたいです。

 

ちゃんと当たり前のことをするのが差別化になる

起業しようとしている方へのメッセージをお願いします

ちゃんと当たり前に仕事をすればあらゆるビジネスで通用すると思います。このことは前職で役員になったことで営業を受ける側になり気づいたことです。当時、営業を受けている中で不安を感じてしまう会社もありました。

 

その経験から、しっかりと当たり前をやるだけでビジネスは成り立つのではないかと感じました。ですので「ちゃんとやることが差別化になる」ことを私もビジネスにおいて大事な指針にしています。

 

あとは今の時代に大事なのは「システム化」です。その知見をつけて良質なサービスを提供できれば成功できると思います。常に勇気を持ってチャレンジしてほしいです。そして起業家が増えれば国も盛り上がっていき、国際競争の中で日本も勝ち残っていけると思います。悩んでいるなら、どんどん起業してほしいです。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

 

起業家データ:奈須田 洋平 氏

1975年東京都杉並区生まれ(2023年現在47歳)。

1994年早稲田大学法学部に入学。在学中にアルバイトをしていたポスティングの仕事に魅了され、アルバイト先の社員、その後取締役になり大学を中退。

2002年独立して、2003年株式会社アトを設立。

取締役副社長を経て、2019年、株式会社アト代表取締役に就任。

2023年創業20周年を迎え、業界NO.1の広告取扱量とスタッフ数を誇る。

 

企業情報

法人名

株式会社アト

HP

https://www.ato-co.jp/

設立

平成15年6月11日

事業内容

ポスティング・DTP・WEBデザイン・印刷等・SP事業全般

沿革

2003年6月 株式会社アトを設立 新宿・池袋支社 新設

2006年 ポスティング 商標登録を取得

     (商標塘登録番号 4984197号)

     川崎支社 新設

2009年 年商10億円突破

     錦糸町・世田谷・品川支社 新設

2013年 設立10周年 年商20億円突破

     浦和・足立・江戸川・大阪・名古屋・横浜・仙台・

     立川支社 設立

2018年 設立15周年 年商30億円突破

     練馬・調布・なにわ・渋谷支社 設立

2022年 年商40億円突破
     上野・福岡支社 鶴見倉庫 設立

2023年 設立20周年 年商50億円突破

     (グループ連結売上 2023年04期)

     博多・町田支社 設立

 

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