THINGMEDIA株式会社 代表取締役CEO 田中博之

映像プロダクション/コンテンツスタジオのTHINGMEDIA株式会社(シングメディア)。ゲーム業界のプロモーション映像制作に特化した専門チームを擁し、大手ゲームメーカーの著名タイトルで多数の制作実績を持つ。累計制作本数は約1,000本、年間約150本。

 

2024年にはMIXI・プレイド・DramaBoxからシリーズAで2億円の資金調達を実施し、累計調達額は約3億円に。ANOBAKA、ニッセイ・キャピタル、MIXI、プレイド、DramaBoxの各社から出資を受ける。次なるステージとして、ショートドラマIPの企画・制作・配信を手がけるコンテンツスタジオ事業を本格始動している。代表取締役CEOの田中博之氏に、事業内容や今後の展望について話を聞いた。

 

ゲーム業界に特化した映像プロダクションと、IP保有型ショートドラマスタジオの二本柱

事業の内容をお聞かせください

当社は2つの事業を展開しています。1つ目が、企業向けにTV CM・Web CM・ブランディングムービーなどを制作するBtoBの映像プロダクション事業です。広告代理店や事業会社を主なクライアントとし、プロモーションやブランド価値の向上を目的とした映像を提供してきました。

 

特にゲーム業界のプロモーション映像制作に特化しており、大手ゲームメーカーの著名タイトルで多数の制作実績があります。ゲーム内映像の収録(画面撮影)では、デバッグ機に触れてきた豊富な経験を活かし、キャラクター演技、カメラワーク、演出まで自社で一貫して行えることが最大の強みです。また、SaaS・デジタルプロダクト領域にも強みを持ち、主要SaaS企業との制作実績もあります。

 

2つ目が、ショートドラマIPの企画・制作・配信を手がけるコンテンツスタジオ事業です。DramaBox、BUMPなど複数のプラットフォームで作品を配信しており、上場企業との共同製作実績もあります。自社ファイナンス型の制作モデルでIPの権利を自社で保有し、映画・Webtoon・アパレルなどへのメディアミックス展開を目指しています。

 

依頼をいただくタイミングとして多いのは、ゲームの新作トレーラーやプロモーション映像、WebサービスやSaaSの機能説明動画、そして企業の周年やリブランディングといった節目のタイミングです。近年のサービスは機能が高度化・複雑化しているため、言葉で説明するよりも動画で見せた方が短時間で正確に伝えられます。

 

ショートドラマ事業は、従来のドラマ制作とは全く異なる設計思想で取り組んでいます。ソーシャルゲームを設計する感覚に近く、1作品あたり約80話を制作し、合計すると2時間程度のボリュームになりますが、無駄な間を極力排除し、テンポと情報密度を徹底的に高めています。カット割りの速さ、展開のテンポ、会話量や情報量の密度を細かく設計し、常に次が気になるクリフハンガー構造を持たせることで、視聴者が離脱しないコンテンツを生み出しています。

 

 

Webメディア起業から映像プロダクション創業へ——3度の起業で見つけた「勝てる領域」

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

今回の起業が初めてではなく、THINGMEDIA株式会社は3度目の起業になります。

 

1社目は25歳の時に起業したWebメディアの会社でした。起業後はWebデザイン/プログラミングも1から学び、5つほどのサービスを立ち上げました。その中の1つのメディアが立ち上がり、サイバーエージェントのAmeba Blogと提携が決まり、一気に成長していきました。その会社を7年間経営し、2つのサービスを事業譲渡しました。その後、個人でWebサービスを立ち上げ、その事業も売却に成功しました。

 

3社目は全く異なる分野に挑戦したいと考えていました。そんな時、共同創業者の佐藤一樹と出会いました。佐藤はAOI Pro.出身のプロデューサーで、JAC AWARD「プロデューサー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した実力者です。佐藤の映像制作現場での経験と、私のWebメディア運営の経験を掛け合わせ、2018年3月にTHINGMEDIA株式会社を創業しました。社名の「THING」には「コト化」「自分事化」という意味を込めています。見た人が現実世界で行動を起こしたくなるようなメディアをつくりたいというのが創業時の原点です。

 

ショートドラマ事業を始めたきっかけは、日本でショートドラマが初めて導入された時期に遡ります。当時立ち上がったショートドラマアプリの代表が当社の元インターンだったことから、最初の看板作品を一緒に制作してほしいという相談を受けました。それが非常にうまくいき、ショートドラマという形式とこの市場が、自分たちの映像制作のケイパビリティと非常にマッチしていると実感しました。さらに、映像・動画というソリューションを使ってスタートアップを立ち上げられる時代が初めて到来したとも感じました。だからこそ、リスクを取って資金調達に動き、スタートアップとしてショートドラマ事業を推進する意思決定をしました。

 

JAC AWARD受賞者が2名在籍。広告・CM制作で培った技術力が生む品質基準

仕事におけるこだわりを教えてください。

質の高いものを作ること、質の低い作品は絶対に出さないというこだわりが、私だけでなく会社全体に浸透していると思います。

 

当社には、JAC AWARD「プロデューサー・オブ・ザ・イヤー」受賞者である佐藤一樹(取締役COO)と薬師寺多聞(執行役員)の2名が在籍しています。いずれもAOI Pro.出身で、広告やTV CM制作の第一線で活躍してきた人材です。こうしたトップクラスのメンバーでチームを構成しているため、技術力・制作体制ともに高い水準を維持しており、品質には一切妥協しません。 

 

映像制作は、優秀なスタッフや制作パートナーと協業できるかどうかによって成果が大きく左右されます。一流のスタッフと仕事をするためには、実績や信頼が不可欠であり、それらがなければ継続的な協業は実現できません。当社は、長年にわたり第一線のクリエイターやパートナーとの信頼関係を築いてきたことも、大きな強みになっています。

 

加えて、品質を組織として担保するための仕組みづくりにも力を入れています。毎月開催している全社会議「EG会」では、制作事例を共有しながらクオリティに関する議論を行い、全社で品質基準を磨き続けています。また、ゲーム業界では開発中の未公開情報を扱う案件も多いため、厳格な情報セキュリティ体制を整備し、信頼に応えられる運営を徹底しています。

 

 

最も厳しかった2年間と、シリーズAで累計3億円の資金調達

起業から今までの最大の壁を教えてください

直近の2年間が最も大変でした。


ショートドラマ事業を立ち上げた当時、この事業でスタートアップとして大きく成長できるチャンスがある一方で、より安定的な選択肢もあり、会社として大きな意思決定を迫られていました。その中で、私たちはあえて挑戦を選び、ショートドラマ事業に本格的に取り組む決断をしました。

 

しかしその後、売上の多くを占めていた主要顧客の案件が停止し、会社として非常に厳しい状況に陥りました。それでも、自分たちの実力とチームを信じて事業を推進し続けた結果、MIXI・プレイド・DramaBoxからシリーズAで累計約3億円の資金調達を実現し、事業を立て直すことができました。

 

当時の経験を通じて、厳しい状況でも挑戦をやめずに進み続けることの重要性を強く実感しています。

 

周りの成長のために自分がリスクを取る

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

自分の周りの人たちを成長させていきたいという思いです。

 

自分自身のためのモチベーションはあまりありません。ありがたいことに能力や健康な体を持って生まれてきたからこそ、それらを自分だけのために使うのではなく、多くの人に還元し、成長の機会を生み出したいと考えています。
そのために、挑戦し成長できる環境を会社を通じてつくり続けることが、自分の責任であり役割だと思っています。

 

5億円以上のヒット作品を生み出し、IP保有型コンテンツスタジオとしての地位を確立する

今後やりたいことや展望をお聞かせください

まずは5億円以上のヒット作品を制作することです。

 

当社もすでにグローバル大手の配信プラットフォームと提携し、海外展開を進めていますが、ショートドラマ市場は中国が世界一のシェアを持ち、ヒット作品は数十億円規模に達します。そのため、まずは5億円以上のヒット作品を確実に生み出すことが、この業界で最初に達成すべき重要な目標だと考えています。

 

また、映像プロダクション事業としてもまだまだ成長の余地があります。特にAI活用について積極的に取り組んでおり、AIMS社と協業してAI Vcon(絵コンテ)自動生成システムの開発を進めています。

 

今後は、ゲーム業界特化の映像プロダクション事業と、IP保有型のコンテンツスタジオの二本柱で事業を展開し、映像業界における独自のポジションを確立していきます。

 

 

起業の理由は「自分がやりたい」で十分

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

起業を考えているのであれば、すぐに始めるべきだと思います。

 

起業のために就職して経験を積むという考え方もありますが、個人的には必ずしも必要ではないと感じています。私自身、1年でも2年でも早く起業しておけばよかったと思うことがあります。

 

起業は誰かに相談して決めるものではなく、自分がやりたいという意思があるかどうかがすべてだと思います。

 

やりたいと感じた時点で行動に移し、相談は壁に直面したタイミングで行えば十分だと考えています。

 

映像業界経験者のプロデューサー・プロジェクトマネージャーを募集

採用で募集されているポジションについてお聞かせください

映像業界で経験のあるプロデューサーとプロジェクトマネージャーを募集しています。現在は資金調達を経て成長フェーズに入ったタイミングのため、即戦力となる方を求めています。当社は働き方は自由ですが、責任と成果はしっかり果たしていただきたいと考えています。最大1,700万円の支給実績もあり、成果に見合った報酬を用意しています。

 

THINGMEDIAのバリューズ「圧倒的前向き」「全力アウトプット」「エクストリームギーク」に共感できる方を歓迎しています。

 

ご興味のある方はぜひ一度ご連絡ください。

▼採用情報はこちら

https://recruit.thingmedia.co/

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:田中博之 氏

1984年神奈川県生まれ。

2009年、25歳でWebメディアを開発・運営する会社を創業。

2016年6月、2017年9月に運営するサービスを2つ事業譲渡。

2018年に個人で立ち上げたWebサービスを事業譲渡。

2018年3月にTHINGMEDIA株式会社を創業し、代表取締役に就任。

企業情報

法人名

THINGMEDIA株式会社(シングメディア)

HP

https://thingmedia.co/

設立

2018年3月16日

事業内容

  • 映像プロダクション事業
  • コンテンツスタジオ事業
  • IPs & Licensing事業

累計調達額

約3億円

主要投資家

ANOBAKA、ニッセイ・キャピタル、MIXI、プレイド、DramaBox

 

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