ディーツフードプランニング株式会社 代表取締役 髙田 智泰

ディーツフードプランニング株式会社は、こんにゃく粉とおからを独自の「HUG製法」で結合させ、植物性でありながら本物の肉や魚に近い食感と味わいを実現するプラントベースフード素材を開発・製造しています。今回は、金融業界から転身し同社の経営を担う代表取締役の髙田智泰氏に、事業内容や今後の展望などを詳しくお聞きしました。

おからとこんにゃくが生み出す、驚きのおいしさ

事業の内容をお聞かせください

弊社はプラントベースフードと呼ばれる、植物性の素材を使って畜肉や魚肉に代わる食品素材を製造している会社です。こんにゃく粉とおからを結合させることで、植物性でありながら肉のような食感を持つ素材を作り出しています。

 

代表的なプラントベースフードに大豆ミートが挙げられますが、これは豆由来のそぼろ状の素材を固めて成形していくアプローチをとっています。ひき肉からハンバーグを作るようなイメージです。

 

一方で、私たちは大きめの塊であるこんにゃくをベースとし、そこにおからなどの有機繊維を抱き込ませることで、繊維質のある食感を実現しています。

 

こんにゃく粉の主成分であるグルコマンナンが持つ、さまざまな素材を抱き込む性質を使ってこんにゃくとおからを結着させる技術を「HUG製法」と名付け、商標登録もしました。

 

このHUG製法を活かすことで、例えばトンカツのように厚みのあるチャンキーなものも作ることができます。また、おからの他にもキャベツの芯やトウモロコシの芯など、多様な有機繊維と組み合わせることも可能です。

 

ちなみに、社名の頭文字であるDはDietary fiber(食物繊維)からとっていて、食物繊維を食べてスリムになろうという意味が込められています。

 

従来のプラントベースフードには、後味や食感においてどうしても素材っぽさが表れてしまうという課題がありました。それに対し、私たちの製品はこんにゃくんのグルコマンナンの匂いを吸着する特性も関係し、言われなければ気づかないほど実際の肉や魚に近い食感やおいしさを実現しています。

 

現在は機内食やスーパーの弁当、冷凍食品の原材料など、toBのシーンを中心に展開しています。

 

私たちの商品はヴィーガンにも対応していますが、そのことを大々的に銘打っているわけではないため、ヴィーガンではない方にも選んでいただいています。そのためホテルでは、ヴィーガン用と通常用でメニューを分けずにどちらの方にもおいしく食べていただけるという理由で採用されるケースもあります。

 

ここ数年の物価上昇により、コスト面での優位性も高まっており、価格を理由に導入を検討される企業も増えてきています。

 

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

私は公認会計士としてキャリアをスタートし、その後は外資系投資銀行、プライベートエクイティファンド立ち上げと、金融業に携わってきたため、食品業界とは全く縁がありませんでした。

 

もともと食べることは好きでしたが、もし「おからとこんにゃく」と聞かされただけだったら、おそらくこの事業に関わることはなかったと思います。

 

今から三年ほど前に、かねてからの飲み仲間であった創業者から事業の紹介を受けました。Deatsを実際に食べてみて、「これは絶対に海外で通用する」と直感したのです。

 

日本食ブームやSDGsへの関心の高まりに加え、味のクオリティも非常に高く、大きな手応えを感じました。 海外のベジタリアンやヴィーガン市場は日本よりもはるかに規模が大きく、強い可能性を感じました。

 

同時期にロンドンへの移住を検討していたことから、「ぜひ手伝わせてほしい」と参加したのが最初のきっかけです。

 

しかし入社してみると、さまざまなところから問い合わせが来ており、資金調達も進んでいました。もはや個人商店のような運営では回らない規模になっていたため、私がこれまで培ってきた経営のスキルを活かし、会社としての体制整備を引き受けることになりました。

 

創業者は素材の開発や関西での営業に注力し、私が経営全般を担うという形で、それぞれの強みを活かした最適な体制になっています。

感謝と筋を通す姿勢が、全ての土台になる

仕事におけるこだわりを教えてください。

私がずっと大切にしているのは、感謝の気持ちと筋を通すということです。振り返ると、学生時代からさまざまな転機がありました。

 

その時はそれほど大きな意味があるとは思わなかったことが、後になってみると今の自分につながる大きなきっかけだったと気づくことがたくさんあります。周りの方々がいて今の自分がいるという思いは常にあり、お世話になった方にはきちんとお返しをするという姿勢を大事にしています。

 

社長就任から今までの最大の壁を教えてください

現在進行形の最大の壁は、おからとこんにゃくで作った食品に対する消費者の先入観です。

 

「所詮偽物だろう」「おいしいわけがない」というイメージが先行してしまい、食べてもらう前の段階で敬遠されてしまいます。この先入観をどう突破するかが大きな課題です。

 

まずはがむしゃらに訴えるのではなく、原材料という裏側から素材の良さを浸透させていく戦略をとっています。

 

かつてはメーカーとの間でも同様の問題があり、食べていただければおいしいと自信を持って言えるものの、言葉だけではなかなか良さが伝わらず、「時間があったらね」と流されてしまうことが多くありました。

 

しかし、近年の物価上昇の波が大きな転機となり、畜肉や魚肉の価格が大幅に上昇した一方で、搾りカスであるおからや少量で多くを作れるこんにゃくを原料とする私たちの製品は、相対的にどんどん割安になっていきました。

 

その結果、以前営業していた先から逆に問い合わせをいただくようになりました。さらに昨年6月から、大手メーカーさんが私たちの製品を原料の1つとして使った商品を全国の棚に並べてくださったことが他の企業にとっても安心材料となり、ビジネスのターニングポイントにもつながりました。

 

 

成果と仲間と共に、大きな数字を目指す

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

モチベーションになっているのは「成果」と「仲間」の二つです。やはり何かに取り組んだ以上は、売上であれ報酬であれ、やった分だけの成果がほしいという思いがあります。

 

ただ、数字を作るだけなら一人でもできますが、それを仲間と一緒に成し遂げて、成果が出た時にみんなで喜び合えることが本当に楽しいと感じています。

 

振り返った時に「あの時は大変だったけど、あれがあったから今があるよね」と語り合えるような、そんなチームプレイがモチベーションの源泉です。

 

正直に言えば、まず自分自身や仲間が楽しくなければ、どんなに素晴らしいものがあってもモチベーションにはなりません。組織運営においても、先頭に立って全体を統率するというよりは、それぞれの分野で優れた人たちとつながり、チーム全体のレベルを上げていくことを大切にしています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください

今後の展望は大きく二つあります。

 

一つ目は海外展開です。海外、特に欧米ではベジタリアンやヴィーガンの存在は当たり前で、その市場の規模も日本のそれとは比較にならないくらい大きいです。

 

実際、昨年10月と12月にロンドンの外食チェーン10社以上に対してDeatsを営業した時には、Deatsを試食された方は皆驚き、前向きに検討していただきました。

 

また、海外の肉や魚の加工品市場は巨大なマーケットで、日本国内同様に原料価格の高騰という問題を抱えています。

 

そこで、原料の一部として、肉や魚をディーツに置き換え、原価の引き下げを図る提案をしていきたいです。わずかな割合でも採用されれば、Deatsの必要量は莫大であり、大きな売上を見込むことができます。

 

海外ではこんにゃくがヘルシーな食べ物として少しずつ認知され始めており、白滝などは「しらたきヌードル」としてこんにゃくを知らない方でもご存じの場合があります。おからにいたっては、欧米では食用として認知されていません。

 

現在の日本食ブームも追い風で、寿司やラーメンに続く新しいものが求められています。「日本発」というだけで注目していただけるチャンスがあり、本格的に海外展開をしている競合もほとんどいないため、この分野はいわばブルーオーシャンの状態だと感じています。

 

実際に農林水産省主催のピッチ大会では農林水産大臣賞をいただくなど、国内での評価も高まっています。

 

二つ目は、自社ブランドでの一般消費者向け販売です。現在はプラントベースであることをあえて訴求しない戦略をとっていますが、今後はまだ十分に知られていないDeatsの魅力を、Deatsブランドとして直接お客様に届けていきたいと考えています。

 

Deatsは食べれば食べるほど食品ロスの削減につながり、環境にも貢献できる製品で、高食物繊維かつ低カロリーという機能面の強みもあります。

 

さらに、アレルギー対応の幅広さも特長の一つで、大豆アレルギー以外のアレルギーにも配慮できるほか、宗教上の理由で食事に制限がある方にも召し上がっていただけます。そのため、一つのメニューを多くの方が分け隔てなく楽しめるという価値も訴求していきたいと考えています。 

 

 

流れに身を任せ、目の前のチャンスを掴む

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

時には流れに身を任せてみることも大切だと思います。

 

自分が思い描いていたものとは違うチャンスが目の前に現れた時、それを「違う」と切り捨てるのではなく、とりあえずやってみようという姿勢が大事です。

 

自分の想定にとらわれずにその場所で花を咲かせればいいと考えれば、こだわりすぎずに柔軟に動けるようになります。思いを持ち続けていれば、想像もしなかったところにたどり着いて花が咲くこともあります。

 

また、一人の力だけで起業を成功させることは絶対にできません。周囲の人からの厚意や提案を食わず嫌いせず、まずは受け入れてみることが重要です。

 

相手の厚意を無にせず「やってみようかな」と踏み出したところに、大きなチャンスが潜んでいることがあります。自分の努力を成果につなげるためには、最後に運の要素が絶対に必要ですが、その運は流れに身を任せることで巡ってくるものだと感じています。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

経営家データ:髙田 智泰 氏

中央大学法学部卒業。アーサーアンダーセン税務事務所(現KPMG税理士法人)、JPモルガン証券会社投資銀行部門、トライハード・インベストメンツ(PEファンド)を経て、2025年より現職。事業再生、事業承継、M&A、資金調達等、これまで多くの企業の経営支援業務に従事。

企業情報

法人名

ディーツフードプランニング株式会社

HP

https://deats.co.jp/

設立

2020年2月28日

事業内容

プラントベースフード素材の開発・製造・販売

送る 送る

関連記事

関連記事