株式会社カンム 代表取締役 八巻 渉

株式会社カンムは、アプリから1分でVisaプリペイドカードを発行できる「バンドルカード」を中心に、テクノロジーを活用した個人および、法人向け金融サービスを展開しています。バンドルカードは、2016年のサービスリリース以来、累計1400万ダウンロードを突破し、クレジットカードを持たない層や使いすぎを防ぎたい層を中心に幅広いユーザーにご利用いただいています。近年では法人向けに将来債権を買取る形の資金繰り支援サービスにも進出し、BtoCとBtoBの両軸で事業を拡大しています。今回は、慶應義塾大学在学中から起業を志し、2011年に同社を設立した代表取締役の八巻渉氏に、事業内容や創業の経緯、今後の展望などを詳しくお聞きしました。

「足りない」を「使える」に変える、4つの金融体験

事業の内容をお聞かせください

当社は現在、大きく4つの事業を展開しています。

 

1つ目は「バンドルカード」です。アプリをインストールするだけでVisaのプリペイドカードが発行され、チャージした分だけ使える仕組みになっています。クレジットカードを持てない方や、持ちたくない方に多くご利用いただいており、2026年1月には累計1400万ダウンロードを突破しました。

 

クレジットカードのように使いすぎてしまう心配がなく、チャージした金額の範囲内で利用できる点が、多くのユーザーにご支持いただいている理由です。

 

2つ目は「Pool(プール)」です。こちらは資産運用で年利2%※の利回りが期待できるサービスで、カード自体はVisa加盟店での決済にも使えます。バンドルカードがライト層向けであるのに対し、Poolは資産形成にも関心のあるユーザー向けのサービスとして展開しています。(※税引前の数字です。運用成果を保証するものではありません

 

3つ目と4つ目は、中小事業者向けの金融サービスです。「サクっと資金調達」は、将来の売上を先に買い取る形で資金化するレベニュー・ベースド・ファイナンス(RBF)のサービスで、最短4営業日で資金を手元に用意することができます。

 

また「サクっと分割」は、請求書の支払いを分割できるサービスで、主には建築資材の仕入れやなど、資金が入るよりも前に資材の準備が必要となる業種の事業主の方にご利用いただいています。いずれも融資とは異なり、資金繰りをサポートするキャッシュフロー・ソリューションとして提供しています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

学生の頃からベンチャー企業家やエンジェル投資家の方々と関わる機会があり、そういった方々の話を聞くうちに起業をしたいと考えるようになりました。そこから自分の中で「日本のリソースにレバレッジをかけられる領域がいい」という結論に至り、それが「人」か「お金」だろうと思いました。

 

当時データ解析のエンジニアを目指していたことから、データとの相性が良い金融分野に目を向けました。日本には個人金融資産が当時で1000兆円以上あり、それをもっと効率的に世の中に回すことができれば、日本全体への大きな貢献になるのではないかと考えたのです。そうした想いから、金融領域での起業を決意しました。

 

更に別会社の決済系事業に携わっていたこともあり、そこで培った人脈を利用してカード関連の事業に乗り出しました。当時の日本のクレジットカードは非常にレガシーな仕組みで、Webの明細画面のID・パスワードを変更するだけでもハガキが必要な時代でした。「もっと使いやすいカードが欲しい」という自分自身の原体験が、バンドルカード誕生のきっかけになっています。

 

 

「自分が欲しいサービスを作る」という揺るがない信念

仕事におけるこだわりを教えてください。

意識していることとしては、やはり自分自身が欲しいサービスを作る、ということです。BtoCでもBtoBでも、自分が本当に使いたいと思えるものを事業にすることが、結果的に一番早く良いプロダクトにたどり着ける方法だと考えています。

 

また金融業では、利用者からの信頼が非常に重要になります。とはいえ、堅実な信頼関係の構築にはどうしても時間を要します。この信頼性と事業開拓のチャレンジ性とをいかに両立させるかというところで、長い期間にわたってサービスを安定して運営し続けられる組織作りも意識しています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

会社を立ち上げてすぐの話ですが、前例のないビジネスだったこともあり、カード会社のパートナー探しには苦戦しました。連携機能の開発プロセスにも多くの時間を要しています。

 

また、2023年3月に株式会社三菱UFJ銀行と資本業務提携を行いました。しかし、経営の自由度が大きく変化したわけではありません。当社は引き続き上場を目指しており、このような状況の下でいかに新しい価値を生み出していくかが、今の課題であり挑戦です。

 

 

新しいものを作り続け、世の中を驚かせたい

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

新しいものを作り続けること、そして世の中を驚かせることが、私のモチベーションです。金融という領域は一見堅いイメージがありますが、テクノロジーを活用することでまだまだ変えられる部分がたくさんあります。その可能性を追い続けることが、日々の原動力になっています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

金融というものを意識せずに、結果的に金融サービスを使っている、という状態を作りたいと考えています。お金が自動でやり取りされるようなインフラを整えることで、個人の資金効率は大きく向上するはずです。

 

また、三菱UFJ銀行と連携しながら、より使い勝手の良い新しい銀行の形を一緒に作っていくことにも関心があります。大手金融機関のリソースとスタートアップのスピード感を掛け合わせることで、これまでにない金融体験を届けられると考えています。

 

 

起業はタイミングが命。準備を怠らず好機を待て

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

事業はタイミングが非常に重要です。どんなに優れたアイデアやチームがあっても、タイミングが合わなければ事業は成功しません。逆に言えば、タイミングさえ合えば大きく伸びる可能性があります。

 

今すぐに起業の環境が整っていなくても、焦る必要はありません。市場の動向をしっかりと観察しながら、来るべきタイミングに向けて準備を進めることが大切です。タイミングを意識するということが、起業において一番重要なことだと考えています。

 

採用に力を入れているそうですね。どんな人材を求めていますか。

30-45歳程度を目安とした実務経験者、とくにスタートアップでの経験を持つ方を募集しています。職種はさまざまですが、共通して求めているのは、変化の速い環境の中でも主体的に動き、挑戦を楽しめる人材です。

 

当社は技術起点で金融サービスを展開しているため、一般的な伝統的金融機関とは異なる環境があります。金融領域への理解を深められるだけでなく、社内ではAI活用にも力を入れており、実務を通じてAIスキルを伸ばせる点も特徴です。

 

こうした環境の中で、技術や金融に関心を持ち、新しいチャレンジに前向きな方をお待ちしています。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

 

起業家データ:八巻 渉 氏

慶應義塾大学を卒業後、2011年に株式会社カンムを設立。2016年にアプリから1分で作れるVisaプリペイドカード「バンドルカード」をリリース。2026年1月には1400万インストールを突破。2022年3月に第二種金融商品取引業を取得し、同6月に「手元の資産形成に活用できるクレジットカード」Poolをリリース。2023年3月に株式会社三菱UFJ銀行と資本業務提携を実施。

企業情報

法人名

株式会社カンム

HP

https://kanmu.co.jp/

設立

2011年1月

事業内容

個人向けサービス「バンドルカード」(Visaプリペイドカード)や法人向けサービス「サクっと資金調達」「サクっと分割」など、テクノロジーを活用した金融サービスを提供

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