株式会社ファインズ 代表取締役社長 三輪 幸将 

2009年にガラケー向けウェブサイト制作会社として創業し、動画×DXを軸に累計2万5,000社超のマーケティング支援を手がけてきた株式会社ファインズ。今回は代表取締役社長・三輪幸将氏に、2つのプラットフォームの詳細からLBO・上場の経緯、そして従業員の声から生まれたパーパスと組織変革の実像についてを伺いました。

ガラケーから始まり、累計2万5,000社のデータを武器に。VideoクラウドとRaiseが生む、動画×DXの循環モデル

事業の内容をお聞かせください。

弊社は動画マーケティング支援の「Videoクラウド」と、広告・Web解析データを活用する「Raise」という2つのマーケティングプラットフォームを軸に、中小企業向けのマーケティングDX支援を提供しています。

 

この2つのプラットフォームから得られるデータをもとにDXコンサルティング・マーケティングコンサルティングを行うところまでがメインの事業です。DX関連の派生として、eラーニングによるリスキリング事業も展開しています。

 

中小企業が抱える課題は、大きく集客と採用の2つに集約されます。弊社のお客様もこの比率はほぼ半々です。しかしその多くは、「何に投資すべきかが分からない」「社内にノウハウや時間がない」という状態に置かれています。

 

インターネットは本来、情報収集と比較検討を同時に行う媒体です。それにもかかわらず、自社の魅力や強みを適切に発信できていない企業が多く、比較の土俵にすら上がれていないケースが少なくありません。

 

そんな企業様に対して、弊社はダイレクトマーケティングで潜在的な課題を掘り起こすことから始めます。Videoクラウドでは動画を活用した集客・採用の訴求を支援し、Raiseでは広告運用データやアクセス解析を一元管理して具体的な改善提案を行います。

 

例えば同業他社の平均ページビューや滞在時間と自社を比較し、コンテンツが足りていない部分を特定した上でSEO対策やAIによる自動記事生成サービス等をご提案します。2つのプラットフォームのデータを組み合わせたDXコンサルティングが、弊社の提供する価値の核心です。

 

累計の取引社数は2万5,000社を超えており、業種業態を横断して蓄積してきたデータと知見が提案の精度を高めています。顧客満足度調査でも高い評価をいただいており、反響が出ているお客様が多数いらっしゃいます。

 

現在は自社内でもAI化を積極的に推進しており、1年以内にミドル・バックの最適化を目標にしています。これが実現できれば、そのノウハウをそのままお客様への提案に活かせるショーケースモデルとして機能します。

 

 

「型にはめても人は成長しない。」任せて伴走する組織哲学と、IPO後の成長鈍化から得た教訓

仕事におけるこだわりを教えてください。

正直に言えば、特別なこだわりというものはあまりありません。ただ、ここ最近社内で言い続けているのは、「現場を尊重し、現場に任せる」ということです。会社の売上や利益を実際に生み出しているのは現場の一人ひとりですから、責任者には「若いメンバーに任せてみよう、何事も経験だ」とよく話しています。

 

もっとも、「任せる」というのは「やらせる」とは違います。その人が成し遂げたいこと、やりたいことを会社全体で全面的にサポートし、達成まで一緒に伴走する。私が言う「任せる」はそういう意味です。

 

そうすると、従業員一人ひとりが自分の仕事に前向きになっていきます。実際に離職率は大幅に改善し、エンゲージメントも上がってきました。「働きやすくなった」という声を聞くことも増えています。

 

 

創業から今までの最大の壁を教えてください。

一番の壁は、IPO後に成長が鈍化してしまったことです。原因はいくつもありますが、最大の要因は私たち自身の見立ての甘さでした。動画マーケットはこの先もずっと拡大し続ける、と当然のように想定していたのです。しかし実際には、AIをはじめさまざまな技術が登場するなかで動画はどんどんショート化していきました。

 

短くなればなるほど、私たちの技術を使った動画よりも、TikTokのように個人が自分で撮影・投稿するもので事足りる領域が増えていく。当初想定していたような伸び率を描くのは難しくなりました。これはおそらく同業他社も同じ感覚だと思いますが、私たちは次の一手が少し遅れてしまった。加えて、営業が属人的になっていたことや、組織体制が脆弱だったことも一因だったと認識しています。

 

そこで考えたのが、安定的に売上を得るにはストックが大事だということです。今は足元のストック関連事業に集中投資をしています。具体的にはAIO、AIを絡めて記事を自動生成するSNS運用代行、そして動画制作の知見を活かして各企業が自分たちで簡単に動画をつくれるようにするコンサルティングなど、新しい取り組みへ舵を切っているところです。

 

同時に「経営改革プラン」として、人的資本経営をはじめ幅広い変革にも着手しました。7月からは評価制度を全社で刷新し、OKRを本格的に導入します。これまでは上から目標が落ちてくるトップダウンでしたが、現場のメンバーが「これをやりたい」「挑戦したい」と声を上げられるボトムアップへと、会社の雰囲気そのものが変わってきています。

 

パーパス・バリューの策定でも同じ姿勢を貫きました。経営層だけで作るのではなく、従業員20〜30名と1対1で対話し、良いところも改善してほしいところも含めて徹底的に聞きました。全従業員へのアンケートも実施し、今のパーパスの言葉はすべて従業員から出た言葉から作られています。自分たちが発した言葉が会社のパーパスになるという当事者意識が、浸透の速さに繋がりました。

 

 

パーパスの実現が、進み続ける原動力。北海道から九州まで、地域社会へのテクノロジーの追い風を届ける

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

ステークホルダーの皆さんへの期待に応えることは前提ですが、一番のモチベーションはパーパスの実現です。弊社のパーパスは「企業と地域社会の未来に、テクノロジーの追い風を。」というもので、DX・AI・動画を活用して企業と地域社会にどう貢献できるかというところが根底にあります。弊社は、北は北海道から南は九州まで支店を構えており、地域の企業を支援するという使命を持って動いています。

 

貢献の度合いが高まるほど、従業員のやりがいや生きがいも高まっていきます。そういう循環の中で、パーパスの実現を目指し続けることが自分たちを前に進めているモチベーションだと感じています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください。

今後の最優先事項は、ストック事業の拡大とショーケースモデルの確立です。SNS運用代行やAIOを伸ばしながら、AIを活用した自動記事生成やホームページ制作の効率化を自社でまず実現することに集中しています。

 

1年以内にミドル・バックの最適化ができれば、同じことをお客様に提案できる実績と信頼が生まれます。自社でできていないことを提案しても説得力はないので、まずは自分たちで体現することを大切にしています。

 

動画についてもショート動画への対応を強化しており、変化する市場に対応できる体制を整えています。企画構成された動画の需要はまだ十分にあり、さらにショートへの対応も加えることで、幅広いニーズに応えられる体制になってきています。

 

組織面では7月からOKRを全社導入し、パーパスを軸にした経営をより深く浸透させていきます。自分たちで発した言葉が評価の基準になっていくという納得感のある仕組みを完成させ、従業員一人ひとりが自分のやりたいことを実現しながら会社も成長するという循環を作っていきたいと考えています。

 

 

やりたいと思ったら、やればいい。創業メンバーとして歩んだ道から伝えたい、挑戦することの意味

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします。

やりたいと思ったら、やればいいと思います。

 

ただ、1つ正直に言えるのは、うまくいかないことのほうが圧倒的に多いということです。それでも頑張るしかありません。試行錯誤を繰り返しながら続けることで、その経験が後から必ず財産になります。とにかくどんどん挑戦してもらいたいと思います。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:三輪 幸将氏

営業現場からキャリアをスタートし、創業メンバーとして会社に参画

中小企業向けに動画×DXを軸としたマーケティング支援を展開

2018年 代表取締役社長に就任

2022年 グロース市場上場を達成

企業情報

法人名

株式会社ファインズ

HP

https://e-tenki.co.jp/

設立

2009年

事業内容

  • マーケティングDX支援

 

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