ノリトク 桃山学院大学  起業部メンバー 宮﨑  昌也  氏

ノリトクは、車内外に広告を掲載することで、大学生が無料または非常に安価に利用できる新しいレンタカーサービスです。利用者からではなく広告出稿によって運営費をまかなうため、通常より大幅に安く車を借りられる独自のビジネスモデルが特長です。今回は、桃山学院大学 ビジネスデザイン学部 起業部メンバーである宮﨑昌也氏に、0円レンタカーを成立させる仕組みや、事業に込めた寄付への思いについて伺いました。

広告でまかなう、大学生のための0円レンタカー

事業の内容をお聞かせください

私たちが展開している「ノリトク」は、大学生向けの新しいレンタカーサービスです。大学生が基本無料、または非常に安価で利用できる仕組みを提供し、友人との旅行やレジャーなど、車を必要とする場面で気軽に利用できる環境をつくっています。

 

従来のレンタカーは、利用時間や走行距離に応じて料金を支払うモデルが一般的ですが、ノリトクでは料金面のハードルを大きく下げることで、これまで車の利用をためらっていた大学生にも新しい移動手段を提供しています。

 

現在は大学生を中心にサービスを展開していますが、単に安いレンタカーを提供するのではなく、若者が自由に移動や体験を楽しめる新しいレンタカーの形を目指しています。 

 

大学生向けに無料で提供する広告型レンタカーという点では、直接的な競合はほとんどありません。一方で、価格の安さという観点では、既存の格安レンタカーサービスが比較対象になります。

 

ただし、無料・低価格というだけではなく、「大学生に特化する」という明確なターゲット設定を持つことで、従来のレンタカーとは異なる価値を提供できる点が、私たちの強みだと考えています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

この事業の原点は、私自身の学生時代の体験にあります。まだ運転免許を持っていなかった頃、友人と旅行へ行く計画を立てた際、「レンタカー代をどう割り勘するか」が話題になりました。運転する人も同じように負担するのか、それとも免除するのか。

 

そんなことで悩むくらいなら、レンタカー代そのものが無料になればいいのではないかと考えたことが、このサービスを着想したきっかけです。  

 

そのアイデアを形にしたのが、桃山学院大学ビジネスデザイン学部の授業でした。EO大阪(Entrepreneurs’ Organization)に所属する経営者の方々が参加し、企業から提示された課題に対して新しいサービスを企画・提案するプログラムがあり、私たちは大学生向けレンタカーサービスを提案しました。その企画が評価され、コンテストで優勝することができました。

 

チームで議論を重ねる中で、「せっかくなら期待を超えるサービスにしたい」という思いから、広告モデルを活用すればレンタカー代を0円にしても事業として成立するのではないかというアイデアにたどり着きました。そこで、現在の「0円レンタカー」というビジネスモデルを企画・提案したところ、その企画が評価され、コンテストで優勝することができました。

 

優勝後は、事業化に向けて株式会社ユニオンエタニティの安部社長にサポートいただけることになりました。その際、安部社長からは「まずはワンコインで展開してはどうか」というご提案もいただきました。しかし、私たちは当初から「0円レンタカー」というアイデアの実現を目指し、安部社長からのご支援をいただきながら、事業化に向けた取り組みを進めてきました。

 

現在まで1年以上にわたり、事業化に向けた支援をいただきながら、「0円レンタカー」のサービス実現を進めています。

 

安全運転を採点し、差額は寄付へ。

仕事におけるこだわりを教えてください

ノリトクは、利用者から一切料金をいただかない仕組みではなく、安全運転を促す工夫を取り入れています。完全無料にすると、いたずら予約が発生する可能性があるほか、運輸局の許認可の観点でも課題があるためです。

 

そこで、利用時に一度料金をお預かりし、安全運転の評価に応じて全額をキャッシュバックする仕組みを採用しています。急ブレーキや急発進などが少なく、安全運転だった方には全額を返金し、運転状況によっては一部のみのキャッシュバックとなります。

 

安全運転の評価には、法人向けモビリティサービス「SmartDrive」のドライブレコーダーや運行管理システムの活用を予定しています。運転データをもとに減点方式で採点することで、安全運転を促しながら、実質無料で利用できるサービスを目指しています。

 

さらに、私たちが大切にしたいのは、キャッシュバックされなかった金額の活用方法です。例えば2,000円をお預かりし、安全運転評価の結果1,500円を返金した場合、残る500円は運営費には充てず、全額を寄付する仕組みを構想しています。

 

寄付先としては、交通事故で家族を亡くした子どもたちを支援する団体などを想定しています。大学生に車を身近に感じてもらう一方で、交通事故のリスクや安全運転の大切さについても考えるきっかけを提供したいという思いから、この寄付の仕組みはサービスを設計する上で実現したい重要な方針の一つとして考えています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

事業を進める上で大きな課題は二つあります。

一つ目は、レンタカー事業を運営するために必要な許認可の取得です。実際に車を貸し出すには、各種許可の取得やレンタカー協会への入会など、制度面の手続きを一つひとつクリアしていく必要があります。

 

二つ目は、広告主となるスポンサー企業の獲得です。当初は、桃山学院大学周辺で協力していただける企業を見つけることに苦労しました。

 

現在は、桃山学院大学のキャリアセンターにもご協力いただきながら、スポンサー企業の開拓を進めています。スポンサーは現在も募集しており、多くの企業と連携しながらサービスの実現を目指しています。

応援してくれる人への恩返しが原動力

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

やはり、応援してくれる周りの方々のおかげです。

 

右も左も分からなかった私に、1年以上にわたって毎週のように相談に乗ってくださった安部社長をはじめ、学校の桃山学院大学 起業部の皆さん、そして応援してくださる多くの方々には、本当に感謝しています。 

 

だからこそ、事業を成功させることで皆さんに恩返しをしたいという思いが、私の大きな原動力になっています。

 

その第一歩として実現したいのが、「ノリトク」の広告を載せたレンタカーが実際に街を走ることです。その光景を見た皆さんに、「よくここまで形にしたね」と喜んでもらえることが、今の一番のモチベーションになっています。

今後やりたいことや展望をお聞かせください

今後は、この新しいレンタカーのビジネスモデルを全国へ広げていきたいと考えています。まずは大学をはじめとする教育機関への展開を進め、その先には学生以外の方にも利用いただけるサービスへと発展させていきたいと考えています。

 

また、安全運転に応じてキャッシュバックを受けられる仕組みをさらに進化させ、金融サービスのようなポイント制度も構想しています。安全運転そのものが利用者にとってメリットとなる仕組みを、より充実させていきたいと考えています。

 

さらに、中古車販売店との連携も視野に入れています。中古車販売店は全国に数多く存在しており、こうした店舗と連携することで、レンタカーの拠点を効率的に拡大できるのではないかと考えています。

 

この事業は、移動手段を提供するだけでなく、社会課題の解決にもつながる可能性があります。中古車の中には、傷やへこみが理由で再販売が難しい車も少なくありません。一方、私たちのレンタカーは車体に広告ステッカーを貼るため、多少の傷があっても活用しやすいという特徴があります。

 

こうした車に新たな価値を与えることで、中古車の有効活用やサーキュラーエコノミーの推進、SDGsへの貢献にもつながる事業へと育てていきたいと考えています。

 

まず一歩、思い切って踏み出す

起業しようとしている方へアドバイスをお願いします

とりあえず一歩踏み出す力が大事だと思います。

 

「失敗したらどうしよう」と考え込まずに、まずは踏み出してみることが大切です。仮に失敗してしまったとしても、失敗の方が学びは多く、踏み出し得だと思っています。思い切り挑戦してみてください。

 

本日は貴重なお話ありがとうございました。

起業家データ:宮﨑昌也 氏

桃山学院大学 ビジネスデザイン学部の授業発のプロジェクトとして、広告付き低価格レンタカー事業「ノリトク」を立ち上げる。2025年度の学内ビジネスプランコンテスト(20周年記念)で入賞し、「IDEA PITCHコンテスト」本選で準グランプリを受賞。2026年7月には京都で開催された日本最大規模のスタートアップカンファレンス「IVS2026」に出展し、企業関係者・投資家から高い関心を集めた。現在は実証実験とスポンサー獲得に向けて社会実装を推進している。約140名が登録する桃山学院大学 起業部のメンバー。

企業情報

法人名

ノリトク(桃山学院大学 ビジネスデザイン学部 発のプロジェクト)

HP

https://www.andrew.ac.jp/newstopics3/2026/jbo7mq000002h6yz.html

設立

2024年度(桃山学院大学 ビジネスデザイン学部の授業から誕生)

事業内容

  • 広告付き低価格レンタカー事業「ノリトク」の展開

 

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