ベンチャー企業という言葉は知っているものの、意味や特徴まで理解できていないという方も多いでしょう。また、ベンチャー企業を転職先の候補に入れている方は、特徴を理解した上で、ベンチャー企業が自分自身に合っているのか判断が必要です。

本記事では、ベンチャー企業の意味や特徴、他の企業形態との違いや、ベンチャー企業で働くメリットについて詳しく解説します。また、ベンチャー企業に向いている人の特徴も紹介しますので、参考にしてみてください。

ベンチャー企業の意味とは?

ベンチャー企業とは、一般的に独自のアイデアや技術をもとにして新しいサービスを展開する企業のことです。「資本金◯円以下」「従業員◯人以下」などの定義はありませんが、主に成長過程にある新興企業と同じ意味で使われています。

例えば、最先端の商品やサービスを生み出したり、今まで無かったビジネスモデルで、新たな価値の創造に取り組む企業などがこれに当たります。会社規模は小規模〜中規模であることがほとんどです。

また、ベンチャーキャピタルなどの投資機関から資金援助を受けている企業をベンチャー企業と呼ぶ場合もあります。

 

ベンチャー企業と他の企業形態の違い

ベンチャー企業と似ている企業形態も存在しており、その違いが分からない方も多いでしょう。

ベンチャー企業と似ている企業形態には以下の4つが挙げられます。

  • 中小企業
  • スタートアップ企業
  • 社内ベンチャー
  • ジョイントベンチャー

 

この章では、それぞれの企業形態の特徴とベンチャー企業との違いを解説します。

 

ベンチャー企業と中小企業

中小企業とは、企業の規模を表す分類の仕方のことで、中小企業基本法によって定義されています。具体的な中小企業の分類は以下の通りです。

  • 製造業、建設業、運輸業、その他の業:資本金3億円以下 従業員数300人以下
  • 卸売業:資本金1億円以下 従業員数100人以下
  • 小売業:資本金5千万円以下 従業員数100人以下
  • サービス業:資本金5千万円以下 従業員50人以下

 

業種によって資本金額や従業員数は異なりますが、上記に当てはまる企業が中小企業に分類されます。

ベンチャー企業の特徴は、独自のアイデアや技術をもとにして新しいサービスを展開する企業であることです。多くのベンチャー企業が、小規模〜中規模であることから、法律上、中小企業と分類できるベンチャー企業は多く存在しています。ベンチャー企業の規模によっては大企業にも中小企業にも分類することができます。

 

ベンチャー企業とスタートアップ企業

スタートアップ企業とは、新しいサービスを展開し、短期間で急激に成長している企業のことです。スタートアップ企業とベンチャー企業は似ている部分も多いですが、目指すゴールが決定的に違います。

ベンチャー企業は新しいビジネスを持続し、そこから利益を獲得するという考え方が基本です。そのため、中長期的に企業を存続させるための事業展開を目指しています。

一方で、スタートアップ企業は短期的に急速に成長することを目的としているため、市場での需要を一気に獲得して事業を終了させることが多いです。基本的に、企業の中長期的な存続は目指さず、事業売却を行い、新たな事業の立ち上げを繰り返しています。

 

ベンチャー企業と社内ベンチャー

社内ベンチャーとは、企業が新規事業を作り出すために社内に設けた独立の組織のことを指します。

ベンチャー企業と社内ベンチャーの違いは、法人であるか否かです。社内ベンチャーは新たに会社を設立している訳ではないため、法人登記が行われることもなく、あくまでも社内の組織の一部です。企業が持つ資金やノウハウを活用して、自社の社員で事業を作り出します。

一方で、ベンチャー企業は、法人登記を行った上で新しいサービスを展開する企業です。事業を展開していくためには、資金調達や新たな人材確保などが必要となります。

 

ベンチャー企業とジョイントベンチャー

ジョイントベンチャーとは、複数の企業が出資をしあうことで作り出した新しい企業のことです。ジョイントベンチャーは「合弁会社」とも呼ばれています。

ジョイントベンチャーの特徴は、出資を行った会社ごとの強みを利用し、自社に足りないスキルや資金、情報を補い合いながら事業を展開できることです。

ジョイントベンチャーを設立する理由が「独自のアイデアや技術をもとにして新しいサービスを展開すること」であれば、設立した企業もベンチャー企業に含まれます。ジョイントベンチャーは「大手企業×ベンチャー企業またはスタートアップ企業」のような組み合わせて、設立されるケースもあります。

 

ベンチャー企業で働くメリット

ベンチャー企業で働くメリットには、以下の2つが挙げられます。

  • 成長速度が早くさまざまな経験ができる
  • 経営者の近くで働きながら考え方も学べる

 

一般企業では経験できないような経験が積めることが、自分自身の成長に繋がりやすいことがメリットの特徴です。それぞれのメリットについて詳しく紹介します。

 

成長速度が早くさまざまな経験ができる

ベンチャー企業は、一般企業と比べて事業が成長する速度が早いため、それに伴い幅広い経験を積むことが可能です。また、少数の社員で事業を立ち上げており、若手でも裁量の大きい仕事を任せてもらいやすいという特徴があります。

このように、年齢や在籍期間など関係なく、さまざまな業務を担当する機会が多いため自分自身を成長させることが可能です。

さらに、社員数も多くないため誰の成果なのかが分かりやすく、評価も得やすい傾向にあります。そのため、やりがいアップにも繋がりやすいでしょう。

 

経営者の近くで働きながら考え方も学べる

ベンチャー企業は社員数が少ないため経営者の近くで働けることが大きなメリットの一つです。

経営者との距離が近いと、日々の業務の中で必然的に経営者と接し、意見交換や提案などができる環境が整っています。

大企業だと社員が社長や役員と顔を合わせたり意見交換をしたりすることは、課長や部長以上などの役職者にならない限りほとんどありまえん。そのため、ベンチャー企業で働くことは、将来起業や独立をしたい人に、経営手法や考え方を学べる良い機会となるでしょう。

 

ベンチャー企業で働くデメリット

ベンチャー企業で働くデメリットには、以下の2つが挙げられます。

  • 大手企業よりも将来性に不安がある
  • 収入や福利厚生などの待遇面が整っていない

大手企業や一般企業よりも給料や福利厚生などで不満が出やすいため、事前に理解しておく必要あります。ベンチャー企業で働くメリットだけを理解して入社すると後悔する可能性あるため、デメリットについても確認しておきましょう。

 

大手企業よりも将来性に不安がある

ベンチャー企業は、成長過程であり発展している段階のため、中小企業や大企業より経営基盤が安定していないことが、大きなデメリットの一つです。急成長している企業でも、経営が軌道に乗り安定するまでは、倒産するリスクがあると認識しておく方が良いでしょう。

ただし、設立から年数が経過しているベンチャー企業は、中小企業や大企業と同じように、倒産することなく事業を存続できているため比較的、安定性は高いといえるでしょう。

ベンチャー企業へ就職する場合は、会社が倒産するかもしれないというリスクも考えておくことが重要となります。

 

収入や福利厚生などの待遇面が整っていない

ベンチャー企業は中小企業や大企業に比べて、給料が低かったり退職金制度や社会保険などの福利厚生が整っていなかったりする場合がほとんどです。

会社によって経営状況や役職によっては、かなりの高給をもらえる可能性がありますが、赤字を計上しているなど経営がうまくいっていない場合は、給料が下がってしまうこともあります。

また、福利厚生も会社によって大きく異なります。最低限の社会保険だけ備えている会社もあれば、優秀な人材を確保するために、社会保険と合わせて「朝ごはん無料」や「サウナ代負担」など、ユニークな福利厚生を設けているところもあります。

給料や福利厚生については会社によって異なるため、転職する際は求人票をよく確認しましょう。

 

ベンチャー企業に向いている人の特徴

ベンチャー企業に向いている人の特徴は以下の3つが挙げられます。

  • 好奇心と向上心が強い人
  • 自分自身で考えて仕事をしたい人
  • 将来起業や独立を考えている人

 

上記の特徴はあくまでも一例のため、特徴にない=ベンチャー企業に向いていないという訳ではありません。特徴の一例として参考にして下さい。

 

好奇心と向上心が強い人

好奇心と向上心が強い人はベンチャー企業に向いています。

ベンチャー企業は、ひとりひとりの社員に裁量権があり、さまざまな仕事をする機会があるため多くの経験を積めるのが特徴です。そのため、一般企業よりも早い成長が期待できます。

ベンチャー企業は、働く上で「多くの経験を積みたい」「自分自身を成長させたい」と考えている人におすすめです。

 

自分自身で考えて仕事をしたい人

自分自身で考えて仕事をしたい人にはベンチャー企業が向いています。ベンチャー企業は、新しいビジネスやサービスを展開していく企業ため、新しいものを生み出すには何が必要なのかを考えながら事業を進めていく必要があります。

そのため、与えられた仕事をこなすのではなく、自らの意見やアイディアを発信しながら主体的に仕事に取り組むことが重要です。

「自分のアイディアを事業にしたい」「事業が成長するアイディアを考えたい」と間がている人にベンチャー企業がおすすめです。

 

将来起業や独立を考えている人

ベンチャー企業は将来、起業や独立を考えている人にも向いています。

ベンチャー企業は、やりたいことに挑戦させてもらいやすい傾向にあり、さまざまな経験を積める可能性があります。また、経営者との距離が近く、経営の手法や経営者の考え方などを身近で学ぶことができます。

そのため「経営に関する実務経験を積みたい」「独立した時に活かせる知識や経験を増やしたい」と考えている人におすすめです。

 

ベンチャー企業の意味を理解して違いを明確にしよう

ベンチャー企業には、明確な定義はありませんが、一般的に独自のアイデアや技術をもとにして新しいサービスを展開する企業を指しています。企業の規模によっては、中小企業に分類されることもあります。

ベンチャー企業は、成長速度が早いため幅広い経験を積めたり、経営者との距離感が近いことが特徴です。そのため、経営に関する知識やスキルを付け、自分自身を成長させたい方に適しています。

一方で、企業の安定感は一般企業に比べ劣ってしまうため、倒産のリスクや、給与低い、福利厚生が整っていない可能性があることを認識しておく必要があります。

ベンチャー企業の特徴や意味を理解した上で、自分自身に合っているのか判断しましょう。

送る 送る

関連記事