「ベンチャー企業の生存率が低いのは本当か?」や「生存率の低いベンチャー企業の特徴を知りたい」と考えている人もいるのではないでしょうか?

 

生存率が低いベンチャー企業には特徴があり、生存率を上げることも可能です。ベンチャー企業として生き残りたいのなら、生存率の高い企業の特徴を真似する必要があります。

 

今回は、ベンチャー企業の生存率や生存率が低いベンチャー企業の特徴を解説します。この記事を参考にすれば、ベンチャー企業の生存率を左右する要因を理解でき、適切な対策をしやすくなるためおすすめです。

ベンチャー企業の生存率は何%?

ベンチャー企業の10年以内における生存率は、10%以下と言われることがあります。ただ、日本のベンチャー企業が、10年以内に潰れる可能性における行政の調査はありません。

 

しかし、日経ビジネス「【創業20年後の生存率0.3%】を乗り越えるには」によると、ベンチャー企業の生存率は、創業から5年後は15.0%、10年後は6.3%。20年後は0.3%と明記されています。

 

また、日本の中小企業の5年後の生存率は、81.7%と突出して高いです。

 

引用:平成29年度中小企業白書「起業の実態の国際比較」

 

中小企業だけでなくベンチャー企業も、数十年後の生存率はかなり低いことがわかります。生存率が低くなるのには理由があり、適切な対策を行うことが大切です。

 

ベンチャー企業の生存率が低い3つの理由

ベンチャー企業の生存率が低い理由は、下記の3つです。

 

  • 成長に合わせた資金調達ができていないから
  • 経理の知識を持っている経営者が少ないから
  • ベンチャーキャピタルからの出資を得づらいから

 

ベンチャー企業の生存率が低い理由を理解していないと、適切な対応ができずに倒産してしまいます。潰れる企業と潰れない企業には明確な違いがあるため、自社が当てはまっているかどうかを判断することが大切です。

 

成長に合わせた資金調達ができていないから

ベンチャー企業の成長に合わせた資金調達ができていないことが、生存率が低い原因となります。ベンチャー企業には、ベンチャー特有の「死の谷」が存在します。死の谷とは、ベンチャー企業が成長する段階で、必要資金の増加と調達資金に差が生じてしまうことです。

 

例えば、商品やサービスを開発する段階や販売を増やす段階が挙げられます。開発費や広告費が必要なのにも関わらず、適切な資金調達ができていなければ潰れてしまう可能性が高いです。

 

引用:Forbes Japan「死の谷」を越えた起業家たちが当たり前にしている14のこと」

 

大手企業はベンチャー企業とは異なり、信用度が高いため資金調達もしやすいです。融資や投資を受けづらいベンチャー企業だからこそ、倒産しやすくなり、生存率も低くなります。

 

経理の知識を持っている経営者が少ないから

経理の知識を持っている経営者が少ないことも、ベンチャー企業の生存率が低い理由の1つです。経理の知識が乏しければ、経営を進める上で適切な資金管理ができません。

 

例えば、どんぶり勘定をしたことで適切な経営判断ができなかったり、正しいタイミングと方法で資金調達ができなかったりします。

 

経理ができる人を雇用するのもおすすめですが、経営者自身が経理の知識を身に付けることが大切です。経営者自身に経理の知識があれば、スピード感を持った決断ができます。

 

ベンチャー企業の経営者には営業出身者が多く、経理に関する内容を疎かにしがちです。反対に、大手企業の経営者は過去の経営から経理の知識を身に付けているだけでなく、社員にも経理のプロフェッショナルがいることも多いため、安定した経営を続けられています。

 

ベンチャーキャピタルからの出資を得づらいから

ベンチャー企業の生存率が低い理由は、ベンチャーキャピタルからの出資を得づらいことも挙げられます。信用度が低いため、銀行からの融資を受けづらいです。ベンチャーキャピタルからの投資に頼ることがほとんどですが、ベンチャーキャピタルからの出資が得づらいと資金調達ができません。

 

ベンチャーキャピタルは、企業に投資することで将来リターンを得るために出資しています。そのため、ベンチャー企業のように将来が不透明な企業は、資金調達自体が難しいです。

 

大手企業なら、ベンチャーキャピタル以外の出資も得やすいため、資金調達に困ることはありません。クラウドファンディングやファクタリングなどを利用して、資金調達の手段を複数持っておくことが大切です。

 

生存率が低いベンチャー企業の特徴

生存率が低いベンチャー企業には、下記のような特徴があります。

 

  • 経営者が財務関係の数字に弱い
  • 会社全体の営業力が弱い
  • 移転先のオフィスが縮小している

 

ベンチャー企業の潰れる確率が高いかどうかは、事前情報だけで判断できることもあります。上記の特徴に当てはまらなければ、生存率が高い可能性が高いです。

 

ベンチャー企業の経営者だけでなく、ベンチャー企業へ転職する際の指標になるため、事前に確認しておくことが大切です。

 

経営者が財務関係の数字に弱い

経営者が財務関係の数字に弱いベンチャー企業は、生存率が低くなる可能性が高いです。数字に強くない経営者だと、感覚や勢いで経営判断をしてしまう恐れがあります。数字を分析し、適切な経営戦略を立てられなければ倒産してしまうでしょう。

 

経営者自身の能力が優れていても、財務関係の数字に強いとは限りません。営業力があっても経理ができないと、どんぶり勘定によって経営が回らなくなってしまいます。

過去の経営戦略と資金状況を確認すれば、経営者が数字に強いかどうかを判断できるためおすすめです。

 

会社全体の営業力が弱い

会社全体の営業力が弱いベンチャー企業も、生存率が低いです。営業力が弱ければ、会社として仕事を獲得できないため、売り上げが作れません。売り上げが作れないと、徐々に衰退してしまうでしょう。

 

会社全体の営業力が強いかどうかは、優秀な営業マンがいれば良いというわけではありません。会社全体で営業に強い組織・システムが必要です。

営業を組織・システムで取り組めば、長期的な安定にも繋がるでしょう。営業力については、求人でどんな職種を募集しているのかによって判断できます。

 

移転先のオフィスが縮小している

生存率が低いベンチャー企業は、移転先のオフィスが縮小している可能性が高いです。移転先のオフィスが縮小しているということは、資金繰りが安定していないという証拠です。

 

ベンチャー企業は成長も早いため、人手が増えて資金繰りが安定していれば、オフィスの拡大が必要になります。ただ、オフィスの移転状況だけを見て、ベンチャー企業の生存率を判断するのはおすすめしません。

 

近年では、レンタルオフィスの普及によって都会の一等地にオフィスを低額で借りることも可能です。そのため、オフィスの移転状況は、他のポイントと合わせて補足材料として考えることをおすすめします。

 

生存率の高いベンチャー企業になるためには

生存率の高いベンチャー企業になるためには、下記4つのポイントを確認しましょう。

 

  • ベンチャーキャピタルから資金調達できているか
  • 競合の少ない事業かどうか
  • 社員がやりがいを持って仕事をしているか
  • 適切な採用戦略が取れているか

 

生存率の高いベンチャー企業かどうかは、どの部分で判断するのかによって異なります。売り上げだけを見ても、今後生き残るかどうかの判断は難しいです。そのため、生存率の高さは、様々な材料を基に判断することが大切です。

 

ベンチャーキャピタルから資金調達できているか

生存率の高いベンチャー企業は、優良なベンチャーキャピタルから資金調達できていることが多いです。優良なベンチャーキャピタルは、投資先企業に対して、厳しい審査を行っています。厳しい審査に通り、資金調達ができているということは、将来性が高い企業だと判断できます。

 

ベンチャーキャピタルは、計画性や事業内容に将来性がない企業には投資をしません。ベンチャーキャピタルが出資しているかどうかは、HPからも確認できるため事前に確認しておきましょう。

 

競合の少ない事業かどうか

生存率の高いベンチャー企業は、競合の少ない事業を行っている可能性が高いです。競合が多い事業をしていると、知名度を伸ばして継続的な売り上げを立てられない恐れがあります。他社と明確な違いがあれば話は別ですが、大きな強みがないなら生存率は低いでしょう。

 

競合が少なければ、市場でのポジショニングが取れます。一定の顧客からは、長期的に利用される商品やサービスになるため、生存率も高くなるでしょう。

 

社員がやりがいを持って仕事をしているか

社員がやりがいを持って仕事をしているベンチャー企業は、生存率が高いです。社員がやりがいを持ってモチベーション高く仕事をしているということは、不満を抱えている可能性が低いです。

 

不満を抱えやすい点としては、求人と実際の給料の違いや待遇、福利厚生、社員同士の親密度が挙げられます。

社員に不満がなければ、ベンチャー企業特有の内部崩壊の心配もありません。企業としてだけでなく、企業の内部状況も把握することは、生存率の判断材料になります。

 

適切な採用戦略が取れているか

生存率の高いベンチャー企業は、適切な採用戦略が取れています。適切な採用戦略が取れていなければ、事業に失敗しやすいだけでなく、計画性がないことによって資金調達ができないなどのデメリットもあります。

 

採用戦略の具体例としては、人材採用の頻度から判断できます。「とりあえず人を増やそう」と考えていると、人件費だけが増えてしまうでしょう。採用戦略が明確化されていれば、1人に対する費用対効果までが綿密に計算されています。

 

ベンチャー企業の成長に見合っているかどうかが重要であり、募集状況や現在の経営状況から判断するのがおすすめです。

 

3年以上続けばベンチャー企業として生存率が高くなる

ベンチャー企業として生き残るためには、生存率の高いベンチャー企業を真似する必要があります。明確な戦略がない状態で経営を進めてしまうと、生存率の低いベンチャー企業の特徴に当てはまっていることが多いです。

 

ベンチャー企業の生存率は、5年後で約15%です。数十年後の未来ではなく、数年後生き残ることを考えなければいけません。まずは、3年間生き残ることを目標にしましょう。

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