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ベンチャー・スタートアップ企業の成功例には、AIのPreferred Networksや、フリマアプリのメルカリなどがあります。成功の形は1つではありません。投資家から資金を集めて急成長する、自己資金で早く黒字にする、事業を変えて立て直す、といった型があります。この記事では、ベンチャー.jpが取材した起業家の実例も紹介します。
スタートアップ・ベンチャー企業を成功に導くには、実際に成功している企業を参考にすると効果的です。しかし、各企業で具体的にどのようなサービスを行っているのか知らないという人も多いのではないでしょうか。
本記事では、日本のスタートアップの具体的な事業例や、実際に成功している企業例について紹介していきます。また、スタートアップを成功させるポイントと、ベンチャー.jpが取材した起業家の実例についても解説していきますので、参考にしてみてください。
日本のスタートアップ企業の事例を10社紹介します。
まずは、フォースタートアップス株式会社が公表した2023年1月4日時点の評価額ランキングを、下記の表でまとめました。同社のこれより新しい評価額ランキングは、2026年10月時点で公式サイトに見当たりません。
評価額とは、原則として直近の第三者割当増資における株式の発行価格に、発行株式の総数を掛けて出した数字です。株式の総数には、ストックオプション(新株予約権)などの潜在株式も含みます。
| 順位 | 社名 | 評価額 |
|---|---|---|
| 1 | Preferred Networks | 3,539億円 |
| 2 | ADVASA | 2,301億円 |
| 3 | GVE | 2,245億円 |
| 4 | スマートニュース | 2,004億円 |
| 5 | SmartHR | 1,732億円 |
| 6 | TRIPLE-1 | 1,650億円 |
| 7 | スリーダムアライアンス | 1,527億円 |
| 8 | クリーンプラネット | 1,457億円 |
| 9 | Spiber | 1,457億円 |
| 10 | TBM | 1,339億円 |
| 11 | Mobility Technologies(現GO株式会社) | 1,244億円 |
引用:国内スタートアップ評価額ランキング最新版(2023年1月)|フォースタートアップス株式会社(2023年1月4日時点。クリーンプラネットとSpiberは小数点以下で順位が決まっている)
2位のADVASAは、福利厚生ペイメントサービス「FUKUPE」を手がける企業です。本記事では、ほかの10社を紹介します。
各企業で具体的に何をしているのかを、以下の章で解説します。
Preferred Networksは、日本にあるAI企業の中でも大きく注目されているAI開発のベンチャー企業です。機械学習と深層学習を使い、交通システム・製造業・ライフサイエンス・ロボティクスなど、多くの分野でイノベーションを起こすことを目指しています。
評価額は、3,539億円(2023年1月時点)にも上り、ランキングの1位です。2017年8月には、トヨタ自動車株式会社から約105億円の出資を受けました。モビリティ分野のAI技術の共同研究・開発を加速させるためです。2019年6月には、JXTGホールディングスから約10億円を調達し、石油精製プラントの共同研究も始めました。2024年12月には、SBIグループをリード投資家とする第三者割当増資と融資で、総額190億円を調達しています。
GVEは、CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)のプラットフォームの開発を主力事業とする企業です。CBDCは、暗号資産とは異なり、中央銀行が発行する通貨をデジタルにしたものです。評価額は、2,245億円(2023年1月時点)です。
2020年5月には、米ファンドのエボリューション・ファイナンシャルグループなどから総額約2,500万ドル(約28億円)の資金調達に成功しています。同社のCBDCプラットフォームは、あらゆる法定通貨のリアルタイム決済に対応する基盤とされています。また、空港で予防接種の記録を確かめる仕組み「VICSA」も手がけています。同社によると、VICSAは2024年に、WHOのDigital Clearinghouseで世界10の解決策の1つに選ばれました(GVE)。
スマートニュースは、主にスマートフォン向けのニュースアプリ「SmartNews」を開発・運営している企業です。ニュースメディアと連携して、無料のニュースアプリを配信しています。
評価額は2,004億円(2023年1月時点)です。2021年9月には、同社として過去最大級となる251億円の資金調達を行っています。
SmartHRは、人事・労務の業務効率化や人材マネジメントで使える、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供している企業です。入社手続きや年末調整、給与明細などを、紙を使わずに進められます。
評価額は1,732億円(2023年1月時点)です。2021年6月には、Light Street Capitalをリード投資家とし、新株予約権付社債・第三者割当増資により約156億円の資金調達に成功しました。人事・労務分野の業務効率化と、人事・労務情報のデータ活用を進めるための調達です。
TRIPLE-1は、半導体システム「KAMIKAZE」を開発している企業です。主にシステム事業・エンジニアリング事業・プロダクツ事業の3つの事業を行っています。
評価額は1,650億円(2023年1月時点)です。2021年5月にはローカル5G市場に参入し、「TOKI」シリーズを発表しました。週刊東洋経済の『すごいベンチャー100』2021年版にも掲載されています。
スリーダムアライアンスは、革新的なセパレータ(絶縁体)の技術をもとに、次世代の電池を開発している企業です。
評価額は1,527億円(2023年1月時点)です。日本経済新聞によると、エンジェル投資家を中心に資本金約81億円を集めています(2021年8月の記事)。
クリーンプラネットは、凝縮系核反応を用いた新しい水素エネルギー(同社は「量子水素エネルギー」と呼ぶ)の実用化を目指している企業です。同社は燃やさない文明を目指し、次世代社会のインフラ構築を進めています。
評価額は1,457億円(2023年1月時点)で、2019年1月には三菱地所から出資を受けました。2026年7月には、田中貴金属グループからも出資を受けています。
Spiberは、タンパク質素材「Brewed Protein(ブリュード・プロテイン)」を開発しているバイオベンチャー企業です。アパレル・ファッション事業も展開しています。
評価額は1,457億円(2023年1月時点)です。2021年9月には、グローバルな量産・販売網の強化に向けて総額344億円を調達しました。内訳は第三者割当増資が244億円、事業価値証券化が100億円です。事業価値証券化のアレンジャーは、三菱UFJモルガン・スタンレー証券です。
TBMは脱炭素社会を目指し、石灰石を主な原料とする「LIMEX」という新素材を使用している企業です。プラスチックや紙の代わりになる製品の製造や、リサイクルを目指しています。
評価額は1,339億円(2023年1月時点)です。2021年7月には、韓国SKグループの4社が共同出資するSK Japan Investmentから、資本業務提携で135億円を調達しました。ESG領域でベストカンパニーになるという目標を早めるためです。LIMEXは、国内で6,000以上の企業や自治体に使われています(2021年7月時点)。
GO株式会社は「移動で人を幸せに。」をミッションに、タクシーアプリ「GO」などのITサービスを展開する企業です。2023年4月に、株式会社Mobility Technologiesから社名を変更しました。
評価額は1,244億円(2023年1月時点、ランキングの11位)です。2020年7月13日には、NTTドコモ・東京センチュリー・電通グループの3社と資本業務提携を行いました。これにより、2020年の累計調達額は最大266.25億円となりました。
ここでは、ベンチャー企業の成功例でよく挙げられている企業を2社紹介します。紹介する企業は、以下の通りです。
メルカリやラクスル株式会社は、どちらもインターネットを活用し誰でも簡単に利用できるサービスで成功を遂げています。
株式会社メルカリは「限りある資源を循環させ、より豊かな社会をつくりたい」という問題意識により生まれた、今や誰もが知っているフリマサービスです。2013年2月に設立されました。資本金は47,349百万円(2024年6月末時点)、主な事業内容はアプリの企画・開発・運用です(会社概要)。
テクノロジーを使って世界中の個人と個人をつなぎ、誰もが簡単に物品の売買を楽しめるサービスを展開しています。メルカリは、インターネット技術の活用やアプリのUI設計を改善・追求したこと、出品が無料などのアイデアを使い成功へとつなげています。商品が売れたときは、販売価格の10%が販売手数料としてかかります。
ラクスル株式会社は、「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンを掲げて創立されました。2009年9月に創立され、資本金は47億3,611万9,239円(2026年1月31日時点)です(会社概要)。主な事業は、印刷・広告・物流・コーポレートITなどです。
印刷の「ラクスル」では、ネットで簡単に印刷物を注文できるシステムを提供しており、小さな注文でも頼みやすくしました。これにより、今まで印刷を依頼したくても出来なかった中小企業をターゲットに、小規模な印刷の需要を大量に拾い上げることに成功しました。
2018年5月に東証マザーズに上場し、2026年5月にはMBO(経営陣による買収)にともない上場を廃止しています(沿革)。
ベンチャー.jpではさまざまな業界の起業家にインタビューしています。起業した経緯や成功のポイントを詳しく知りたい方は「起業家インタビュー」をご覧ください。
中小企業白書(2023年版)によると、日本で起業した企業の5年後の生存率は80.7%です。ただし白書は、実際の生存率より高めに出ている可能性があるとしています。欧米では、5年後の生存率が50%を下回ります(中小企業庁)。
成功させるポイントは、以下の3点です。
スタートアップは人や資金が少ないため、以下で紹介するポイントを押さえることで成功へとつながります。成功させる起業家は大きな夢だけでなく、現実的に実行するプランを構築する能力が必要です。
また、成功の形は1つではありません。ベンチャー.jpの取材では、次のような型が見られます。
| 成功の型 | お金の集め方 | 良いところ | 気をつけること | 取材した例 |
|---|---|---|---|---|
| 投資家から集めて一気に伸ばす | ベンチャーキャピタルなどからの出資 | 早く大きく成長できる | 株を渡す。成長の約束が求められる | トリファ |
| 自己資金で黒字を目指す | 自己資金・売上 | 経営の自由がききやすい | 成長がゆっくりになりやすい | Luna |
| 事業を変えて立て直す(ピボット) | 状況による | 時代の変化に合わせられる | それまでの計画を捨てる決断が要る | V |
出典:ベンチャー.jpの取材(下の「ベンチャー.jpが取材した起業家は、どう成功をつかんだか」を参照)
スタートアップを成功させるには、事業の方向性を決める際に重要な「市場分析」が欠かせません。市場分析とは、市場の動向をリサーチし分析する業務です。顧客の課題は事業のモチベーションとなるもので、これを見つけることでやっとスタート地点に立つことができます。
市場分析で明確化すべき項目としては、市場規模・顧客の課題・競合他社の情報が挙げられます。まずは、自社が参入する市場の規模を把握し、市場に存在する潜在顧客の調査を行いましょう。調査結果を確認し、独自の製品やサービスを考案した後、それが本当にニーズに適合しているのか調査が必要です。
資金の少ないスタートアップは、確実な資金調達が重要なポイントとなります。スタートアップは一般企業とは異なり、業績が安定していない・実績がまだないなどの理由から、信用の問題により金融機関から融資を受けられない場合があります。
そのため、事業が安定していない状態の時から大きな規模でスタートするのではなく、企業の成長に合わせて規模を展開していくことが大切です。どれくらいの規模でスタートするのか、回収はどれくらいでできるのかなど、現実的なプランをしっかりと立てるようにしましょう。
具体的な資金調達方法が知りたい場合は、以下をご覧ください。
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ベンチャー企業の資金調達方法とは?具体的なやり方やメリットとデメリットを解説
スタートアップは短期間で実績や成果を出す必要があるため、優秀な人材の確保が成功への重要なポイントとなります。例えば、リーダーシップがあり鋭い見識のある創業者をはじめ、クリエーターやエンジニアなど専門的知識を持った人材を確保する必要があります。
さらに、スタートアップでは斬新なアイデアや技術革新が必要です。事業を成功させるためにも、各業界で特に能力の高い人材を集めることが求められるでしょう。
株式会社トリファ 嘉名雅俊さん
2020年に創業し、2021年にeSIMアプリ「トリファ」を出しました。2024年10月に総額12億円、2026年6月に総額約50億円を調達し、ダウンロード数は200万件を超えたそうです(本人談)。伸びた理由には「価格の安さに頼らない総合的な安心感」を挙げ、24時間365日の有人サポートなどに力を入れています。一方、創業直後は一人で事業を回し、孤独がいちばんこたえたと振り返っています。
→ インタビューを読む:https://venture.jp/news/2026/08/21/27451/
株式会社Luna 後藤慶士さん
同じ嗜好を持つ人が集まるマッチングサービス「Luna」を運営しています。公開から1か月で1万人が集まり、広告は一度も出していないそうです(本人談)。借入や資金調達に頼らず、初年度で黒字になりました(本人談)。2025年2月時点で、46か国の8万人が使っています(本人談)。一方で、大きな予算をかけたリニューアルはうまくいかず、新しいシステムの開発を白紙に戻しました。
→ インタビューを読む:https://venture.jp/news/2025/03/06/14796/
株式会社V 藤原光汰さん
創業時はファッションテックの事業でしたが、新型コロナの拡大で計画を「すべて白紙」にしました。その後メタバース事業に切り替え、2期連続で通期黒字を達成したそうです(本人談)。2024年9月には、日本ベンチャーキャピタルやソニーグループなどから資金を調達しています。メタバースの領域では、9割以上の企業が収益を上げられなかったと話しています(本人談)。
→ インタビューを読む:https://venture.jp/news/2025/05/19/15954/
3人に共通すること
3人とも、順調な時期だけではありませんでした。嘉名さんは創業直後の孤独、後藤さんはリニューアルの失敗、藤原さんはコロナによる計画の白紙を経験しています。それでも3人とも、うまくいかないときに方向を見直す判断をしています。後藤さんは新しいシステムの開発を白紙に戻し、藤原さんはメタバース事業に切り替えました。嘉名さんは、価格の安さに頼らない安心感を、伸びた理由に挙げています。
ベンチャー企業を成功させるには、新しい技術やイノベーションが必要なため、他社がどのような事業を行っているのかを把握することが大切です。
この記事のポイントは次の3つです。
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執筆:ベンチャー.jp編集部
この記事の情報は2026年10月16日時点のものです。
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