民泊の始め方を現役事業者が9つの手順で解説!2つの営業スタイルと注意点も紹介

コロナ禍で落ち込んだ外国人観光需要の回復や、ワーケーションなど観光目的以外の宿泊需要により、民泊事業に参入する方が増えています。民泊は個人で副業から小さく始められ、撤退する場合でも物件を売却や賃貸へ切り替えられる低リスクで始められ魅力が多い事業です。

そこでこの記事では、民泊を始めるために必要な準備や失敗しないための注意点を現役の民泊運営者が具体例を交えて解説します。民泊を始めるにあたっての不安が解消できる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。

民泊を始める方が増えている3つの魅力

近年、民泊事業が注目されている理由が気になる方は、多いのではないでしょうか。民泊事業に参入する方を増やしている理由として、以下の3つの魅力があります。

  • 民泊自体の需要が増えている
  • 個人で副業的に始められる
  • 売却や賃貸への切り替えができる

一つひとつ解説します。

1. 民泊自体の需要が増えている

 

コロナ禍を経て、インバウンドをはじめ観光界が勢いを増しています。日本政府観光局の統計発表によると、2023年11月時点での訪日外客数は2019年の同月と同じ水準まで回復しています。国際線定期便についてもコロナ禍前の約8割まで回復し、今後も増便や従来便の再開が続く見込みです。

外国人が選ぶ宿泊先として民泊は人気です。観光庁の訪日外国人消費動向調査(2023年1~12月)の結果を見ると、外国人が日本滞在中に利用した宿泊施設のうち「有料での住宅宿泊(Airbnbなど)」は、7~9月期において旅館(15%)に迫る8%もの外国人に利用されています。日本人の働き方も多様化したことで、ワーケーションなどで民泊を活用するケースが増えています。

参照元:日本政府観光局JNTO 訪日外客数(2023年11月推計値)

参照元:国土交通省観光庁 統計情報・白書 訪日外国人消費動向調査

2. 個人で副業的に始められる

民泊は、個人の副業からでも始められます。これまで宿泊ビジネスに携わるには、旅館業法に準じた申請を経て営業許可を得る必要があり、法律面や金銭面でのハードルが高かったです。

しかし、2018年に施行された民泊新法によって行政手続きが簡易化され、個人でも民泊ビジネスに参入しやすい環境が整いました。たとえば、使わなくなった子ども部屋を一室のみ、副業で民泊運営している方もいらっしゃいます。民泊運営における主な仕事内容は、以下のとおりです。

  • 予約管理
  • 清掃
  • チェックイン・アウト対応
  • 買い出し
  • 売上管理

このようにゲスト対応する時間を除いて時間の融通が利きやすく、本業や子育てとも両立しやすいことが特徴です。

3. 売却や賃貸への切り替えができる

仮に民泊事業を終了することになった場合でも、使っていた物件を売却したり賃貸に切り替えたりできます。不動産には多様な運用方法があるため、民泊を始めるリスクを軽減できます。

リノベーションを行うことで資産価値が上がるケースもあり「安く買って高く売る」といった出口戦略をイメージしやすいのもメリットです。

外部リンク:【徹底解説】民泊を副業で始めるメリット・デメリット9選!失敗しないコツを紹介

民泊の3つの種類を解説

民泊と一口に言っても、以下の3つの種類があります。

  • 住宅宿泊事業法(民泊新法)における民泊
  • 旅館業法における民泊
  • 国家戦略特区法における民泊

規制される法律により営業ルールが異なるため、自身がどの法律に基づいた民泊を行うかイメージしながらお読みください。

1. 住宅宿泊事業法(民泊新法)における民泊

民泊新法は2018年に施行された比較的新しい法律で、最も民泊を始めるハードルが低い方法です。民泊新法のメリットは手続きの負担が少ない点であり、都道府県の許可は不要で届出のみで始められます。また、住居専用地域に区分される用途地域においても営業が可能です

用途地域とは土地の使い道のことで、自治体で調べることができます。住居専用地域では旅館業法による民泊は営業できませんが、民泊新法であれば可能です。民泊新法の注意点は、1年で180日を超えて宿泊させてはならないことです。

2. 旅館業法における民泊

旅館業法は1948年に施行された法律で、大規模な民泊ジビネスを行いたい方におすすめの方法です。旅館業法における営業形態は、以下3つの種別からなります。

  • 旅館・ホテル営業
  • 簡易宿所営業
  • 下宿営業

この中で民泊は「簡易宿所営業」に該当します。簡易宿所営業として民泊を運営するメリットは、宿泊日数の制限がなく大きな収益を狙える点です。

旅館業法で民泊を始める際は、届出では不十分で許可が必要な点に注意しましょう。申請書類の中身は法律が絡む専門的な内容となるため、行政書士へ依頼して準備を進めるのが一般的です。また、旅館業法における民泊は住居専用地域での営業はできません。

3. 国家戦略特区法における民泊

国家戦略特区法とは、2014年に公布された法律です。民泊を行いたい地域が国家戦略特区に該当している場合は、都道府県知事の特定認定を受けるかたちで旅館業法の適用が除外され、営業しやすくなる仕組みです。

以下の地域は民泊新法と旅館業法に加えて「特区民泊」の認定を受ける選択肢もあります。

  • 東京都大田区
  • 千葉市
  • 新潟市
  • 北九州市
  • 大阪府
  • 大阪市
  • 八尾市
  • 寝屋川市

国家戦略特区法は「世界で一番ビジネスをしやすい環境を作ること」を目的としており、大胆な規制緩和や税制優遇をもたらす改革と位置づけられています。メリットは「宿泊日数制限がないこと」と「住居専用地域でも営業可能な点」です。デメリットは、最低2泊3日以上の滞在が条件になっていることが挙げられます。

特区民泊では「賃貸借契約に基づき一定期間以上使用させる事業に該当すること」といった内容で利用期間に関する規定があります。以前は6泊7日から9泊10日までの範囲内でしたが、現在は緩和されて2泊3日です。

参照元:内閣府国家戦略特区 旅館業法の特例(特区民泊)について

外部リンク:【徹底比較】民泊新法(住宅宿泊事業法)と旅館業法の違い7選!おすすめな人の特徴を紹介

民泊新法を始める際の2つの営業スタイル

民泊新法における民泊では、以下の2つの営業スタイルから選ぶ必要があります。

  • 家主滞在型
  • 家主不在型

ご自身の事業への考え方や環境に合うのがどちらなのか、具体的にイメージしながらお読みください。

1. 家主滞在型

 

家主滞在型は「ホームステイ民泊」とも呼ばれています。たとえば自宅にある空き部屋をゲストに提供し、同じ住宅内で過ごすケースはこちらに該当します。

メリットは「改めて大きな設備投資をする必要がないこと」「アットホームな雰囲気でゲストと仲良くなれること」などが挙げられます。一方でデメリットは「単価が安くなりがちなこと」「プライベートが確保しにくいこと」です。

風呂やトイレ・キッチンなども共同で使うことになるため、ライフスタイルやセキュリティについて考えておく必要があります。また、家主滞在型であっても5室を超える部屋数で運営する際には、住宅宿泊管理業者への委託が必要となり、その分のコストが発生します。

2. 家主不在型

家主不在型は、ホストが暮らしていない住宅で民泊を運営するスタイルです。たとえばマンションやアパートの一室を提供する、建物を丸ごと一棟貸し出すといったケースが該当します。

メリットは「単価を高く設定しやすいこと」「ホストとゲストのプライバシーが確保されること」です。運営代行業者に依頼すれば、ご自身の手間がかからない形態で運営することも可能になります。

デメリットは、ご自身で住宅宿泊管理業者にならない限り、専門業者へ委託する費用が発生することです。家主不在型で民泊を運営する場合、住宅宿泊管理業者との契約が義務付けられています。

外部リンク:【完全版】住宅宿泊管理業者に委託できる6つの業務!費用相場や手続きを解説

民泊の始め方9ステップ

ここでは、具体的な民泊の始め方を流れが掴みやすいように9つのステップに分けて解説します。また、ここでの民泊とは「住宅宿泊事業法に基づく民泊」を指します。

  • 物件選び・設備要件の確認
  • 物件のリノベーション
  • 消防法令の対応
  • 都道府県への届出
  • 民泊制度運営システムの登録
  • 近所への挨拶回り
  • アメニティ類の用意
  • OTAへの掲載
  • 必要があれば開業届を提出

旅館業法に基づく民泊については専門的な法律知識や図面作成が必要なため、行政書士への依頼を前提に準備を進めることが一般的です。なお、アメニティの用意やOTAの掲載などの手順については、住宅宿泊事業法でも旅館業法でも変わりません。

1. 物件選び・設備要件の確認

まずは、住宅の居住要件を満たした物件を用意する必要があります。具体的には、以下の項目のいずれかに該当するかを確認しましょう。

  • 現に人の生活の本拠として使用されている家屋
  • 入居者の募集が行われている家屋
  • 随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋

現在人が住んでいるのか」または「住める状態であるのか」がポイントです。登記簿の種類が「居宅」またはそれに類するもの(離れなど)であることも目安となります。

設備要件については、以下の4つが揃っている必要があります。浴室はシャワーのみで、浴槽がなくても問題ありません。

  • 台所
  • 浴室
  • 便所
  • 洗面設備

この4つがないと住宅とはみなされないため、必ず設置されている必要があります。

2. 物件のリノベーション

民泊に利用する物件は、必要に応じてリノベーションを行いましょう。特に水回りは、ゲストがレビューや口コミで言及する場面が多く、清潔に保つと印象が良いです。

コストを抑えるためにDIYで対応するのか、安全性(建物的・人的)と工期の見通しを優先し大工さんに依頼するのかを判断しましょうコストが負担に感じる方には、申請から採択までの期間は数ヶ月単位で要することが多いですが、補助金が活用できるケースもあります。

リノベーションを行う際は、工事内容と所在地によって建築確認が必要となり、時間や費用がかかることを想定しておきましょう。また自治体によっては、リノベーション後に固定資産税が上がることも考えられます。

3. 消防法令の対応

民泊の届出書類には「消防法令適合通知書」など消防法に関連するものがあります民泊を行うにあたっては、消防法令に適合している必要があり、書類の添付が必要になる場合があります。

自治体により消防法令適合状況の確認手続きは異なるため、この書類が必須かどうかは各都道府県へご確認ください。書類自体は、物件エリアを管轄する消防署の職員が現地確認を行い、問題がないと判断されれば発行してもらえます。

現地確認では、以下のような消防法で定められた消防用設備が用意されているかがチェックされます。

  • 火災警報器
  • 消火器
  • 防火物品
  • 誘導灯

営業スタイルや面積に応じて準備物が異なるので、事前に消防庁の資料を参照してください。たとえば、宿泊室(人が寝るスペース)が50㎡以下の一戸建て住宅で家主滞在型を運営する場合、住宅用火災警報器のみが必須の消防用設備となります。

参照元:総務省消防庁 民泊を始めるにあたって

4. 都道府県への届出

 

届出書類の提出先は、物件の所在地である都道府県です。自治体によって異なりますが、生活衛生や保健福祉関連の課が担当する場合が多いです。民泊新法は制定されて間もない法律のため、担当者の方と相談しながら柔軟に手続きを進めていく場面もあります。

添付書類は国土交通省の民泊制度ポータルサイトに分かりやすく示されていますので、初めての方でも安心です。

参照元:国土交通省 各自治体の窓口案内(条例等の状況等)

参照元:国土交通省 届出の際の添付書類|民泊制度ポータルサイト「minpaku」

5. 民泊制度運営システムの登録

届出が受理されたら、民泊制度運営システムへの登録が可能となります。観光庁が運営する、民泊制度ポータルサイト内で使える事業者用のシステムです。システムに登録すると、2ヶ月に一度事業者へ義務付けられた定期報告が、オンラインでできるようになります。

郵送でも定期報告は可能ですが、リマインドメールが届いたり、年間宿泊日数の管理が容易にできたりとメリットが多いため、登録することをおすすめします。

6. 近所への挨拶回り

実際にゲストを迎えるにあたり、事前に近所への挨拶回りを行います。具体的な方法としては、届出受理後にその他の郵送物と同時に届くチラシに、苦情などの申し出先として事業者や管理業者の連絡先を書いて渡します

近所の方にとってみれば、自宅の近くに見慣れない人が頻繁に訪れる状況になるため、不審に思われないためにも丁寧に対応しましょう。

7. アメニティ類の用意

アメニティについては、家屋や設備のように定められた要件は特にありません。タオルなど最低限の洗面用具は設置するとゲストに喜ばれますが、いずれも必須ではなく持参を促す宿もあります。

「ホテルレベルの空間を提供するのか」「ゲストハウスのようなラフなテイストで運営するのか」によって準備するアメニティを決めてもよいでしょう。2022年からは「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が始まり、宿泊事業者は以下の5つはできるだけ提供削減を求められている点も参考にしてください。

  • ヘアブラシ
  • くし
  • かみそり
  • シャワーキャップ
  • 歯ブラシ

また、寝具に取り付けるシーツや枕カバーについては、ご自身で毎回洗濯をしていると大変な手間となるため、納品から回収までを行ってくれるリネンサプライの利用がおすすめです。

8. OTAへの掲載

 

OTAとは「オンライントラベルエージェント」の略で、旅行者用の予約サイトです。ホスト側は宿情報を掲載し、ゲスト側は予約や支払いが行える仕組みで、本人確認や支払い設定が必須となるため安心して利用できます。

さまざまなOTAがありますが、とくにAirbnb やBooking.comなどが有名です。Vacation STAYは、楽天トラベルなど他サイトへの転載も行ってくれます。また、各OTAによって手数料は異なります。

複数サイトへの掲載は予約機会が増えるものの、各サイトでのダブルブッキングを防ぐサイトコントローラーへの登録に費用が発生することがあります。また、どのOTAを選ぶにしても掲載写真は重要な要素です。

まずは民泊が初めてでも登録手順がわかりやすく王道のOTAである、Airbnbへの登録を行うのがおすすめです。Airbnbにはレビュー文化が根付いており、ホストとゲストはお互いを評価する仕組みになっています。

そのため、ゲストはマナー意識が高いことが多いです。ゲストの過去の評価一覧はいつでも閲覧できるため、悪い評価やコメントが付いていて不安なときは、理由を添えてホストが宿泊を拒否することもできます。

9. 必要があれば開業届を提出

民泊事業を個人で始める際に必須ではありませんが、税務署へ開業届を提出しておくことをおすすめします。自治体や国の補助金を活用する予定があるのなら、開業届の写しが求められることが多いです。補助金を活用すれば、自己負担を抑えて民泊施設のリノベーションや修繕を行えます。

コロナ禍において売上が減少した宿泊事業者に対して補助金が投入されましたが、こうした非常事態における事務手続きでも開業届は役に立ちます。

外部リンク:【保存版】民泊運営にかかる9つの費用!始め方を5ステップで解説

民泊を始める際の6つの注意点

ここでは、民泊を始める際の注意点を6つ解説します。

  • 180日ルール
  • マンションの場合は管理規約を確認
  • 民泊以外の使い方の制限
  • 宿泊者名簿の備え付けと定期報告
  • 苦情等への対応が必要
  • 外国人観光客への対応

営業を開始した後に「こんなはずじゃなかった」とならないためにも事前に確認しておきましょう。

1. 180日ルール

民泊新法での届出を行った場合、1年間で宿泊させることができるのは180日までとなります。180日というのは、そのあいだ「必ず施設をオープンさせておいて予約の有無を管理しなければならない」という訳ではありません。

必要なときにオープンし、難しいときはクローズするなど運営者の都合に合わせて柔軟に対応し、1年間で180日を超えなければ全く問題ありません。「180日の制限がある中でどの程度の事業規模にするのか」を考えて、以下の内容を検討しましょう。

  • 物件数
  • 部屋数
  • 最大宿泊人数
  • 値段

民泊制度運営システムへ登録すれば、180日の日数管理を行うことが可能です。

2. マンションの場合は管理規約を確認

マンションの一室を民泊として運営することは可能です。しかしマンションごとに定められた管理規約によっては、民泊のような事業目的では行えない場合もあるので、必ず事前に確認するようにしましょう。

届出の際には「規約の写し」が求められますが、民泊新法は制定されて間もない法律のため、管理規約に記載されていない可能性があります。その場合は、管理組合に禁止する意思がないことを証する書類を提出する必要があります。

 手順としては、まずマンション管理規約の「専用部分の用途に関する規約の写し」を参照し、住宅宿泊事業を許容する内容があればそれで完結します。定めがなければ「住宅宿泊事業を禁止する方針が総会や理事会で決議されていない旨を確認した誓約書」または民泊新法成立以降(2017年6月以降)の「総会及び理事会の議事録等」を添付する必要があります。

3. 民泊以外の使い方の制限

民泊施設は、その他の収益化はできません。たとえば、筆者は以前古民家の民泊を運営していたことがあり、趣のある建物だったため映画やドラマ撮影のためのロケ地提供を検討していました。通常、ロケ地の依頼は地域のフィルムコミッションから不定期にくるものですが、このように継続反復しない収益化でも不可となります。

ただし、賃貸と組み合わせることで一年間の利用率を上げることはできます。たとえば「長期的な出張者向け」「企業への期間限定貸し出し」として、マンスリーマンションのように1ヶ月以上の賃貸借契約を締結して運用する方法が考えられます。これは国土交通省が公に認めている活用方法です。

4. 宿泊者名簿の備え付けと定期報告

宿泊者名簿とは、利用者全員分の情報が記載された名簿です。名簿には以下の項目が記載されている必要があります。

  • 氏名
  • 住所
  • 職業
  • 宿泊日
  • 国籍
  • 日本に住所を持たない外国人の場合は旅券番号(パスポートのコピーも必要)

民泊事業者は、この名簿を3年間保存する義務がある点に注意しましょう。また、事業者は2ヶ月ごとに都道府県への定期報告が義務づけられています。名簿管理や定期報告など、民泊を始めると細かな事務作業が発生することも理解しておきましょう。

5. 苦情等への対応が必要

家主滞在型で住宅宿泊管理業者への委託を行っていない場合、近隣から騒音やごみ問題などで苦情を受けた際に事業者が責任を持って対応する必要があります。

苦情対策としては、日頃からご近所づきあいを良好に保っておくのが最善です。家主不在型で運営する場合も、こまめに近所へ声掛けを行う必要があります。民泊新法ができた背景の1つには、違法民泊における近隣からの苦情が多かったことがあります。そのため、住宅宿泊事業者としてマナーを心得て運営する意識が大切です。

6. 外国人観光客への対応

 

民泊を利用するのは日本人だけではなく、とくにAirbnbやBooking.comなどから予約するゲストには外国の方が多いです。外国人観光旅客である宿泊者の快適性と利便性の確保は、法令にも定められた重要な課題です。具体的には、以下に例を挙げた項目について丁寧に説明を行うことが必要です。

  • 設備の使用方法
  • 災害時の通報先
  • 火災防止のために配慮すべき事項
  • 移動のための交通手段

外国語を話せる必要はないですが、外国語の印刷物などは用意しておきましょう。一方で民泊を運営するうえで外国語ができると、OTAの宿情報にも外国語で施設の特徴を記載でき、他の施設と差別化を図ることができて予約成立へと繋がるきっかけになります。

また、過去に宿情報に「○○人はお断り」のような差別的表記を行って問題になった事例もあります。集客のコツとして、宿の名称を外国語にすると日本人だけでなく外国人に対しても歓迎の姿勢が読み取れるためおすすめです。

外部リンク:【これで解決】民泊運営の問題点5選!新法のポイントや向いてる物件の特徴を解説

事業規模やライフスタイルに応じて民泊運営の始め方を決めましょう

民泊は、対象となる法律によって3種類に分けられます。年間宿泊日数に180日という制限はあるものの、時間と費用をかけずに民泊を始めたい方は、行政手続きの負担が少ない住宅宿泊事業法(民泊新法)による届出から検討してみてはいかがでしょうか。

民泊新法における民泊には、家主滞在型と家主不在型の2種類の営業スタイルがあるので、ご自身の状況や運営方針にあった方法を選んでください。

本業や子育てなど民泊のほかに取り組んでいることがあっても、まずは副業的に業務を始められることや、定期的な収入を得られること(特にGW・夏休み・シルバーウィークはハイシーズン)など、民泊には魅力が数多くあります。

宿泊業の接客にはおもてなし精神が求められるイメージがありますが、家主不在型など営業スタイルを選べば必ずしもそうではなく、自分に合ったかたちで民泊に関われることも、多くの人におすすめしたい理由の1つです。

外部リンク:【必見】儲かる民泊経営のポイント7選!注意点や初期投資費用を解説

 

ライター紹介
戸谷豪志

アルゴレン合同会社 代表 戸谷豪志
宅地建物取引業者、住宅宿泊管理業者

空き家問題といった遊休資産活用の切り口として、民泊や旅館といった宿泊施設への転換を行っている。

相続したが活用方法がわからない、前借主が物件をゴミ屋敷にしてしまったなど、問題や不安を抱えている物件をお預かりし、既存の物件を活かした形での資産運用実績が多数ある。

物件を所有していない方対象の民泊・旅館業可能な物件紹介、民泊・旅館業の運営代行など、宿泊施設のサポートも実施中。

民泊総合研究所 https://minpaku.algoren.co.jp/
アルゴレン合同会社 https://algoren.co.jp/

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