会社をやめた人の中には「会社をやめて起業したいけど失業保険はもらえるのか?」と考えている人もいるのではないでしょうか?

 

実は、会社をやめて起業しようとしていても失業保険が受給できるかもしれません。しかし、失業保険を受給できないケースもあります。

起業して成功するためには、少しでも資金を用意しておかなければいけません。失業保険で少しでも資金を受け取れれば、起業の支えになることでしょう。

 

今回は、起業準備の場合に失業保険がもらえるのかどうかや失業保険の受給資格について解説します。この記事を参考にすれば、起業準備時点での失業保険がもらえるかどうかを判断できるでしょう。 

起業準備の場合は失業保険がもらえる可能性がある

 

起業準備をしている場合であれば、失業保険がもらえる可能性はあります。しかし、失業保険をもらうためには「求職活動中」でなければいけません。起業準備をしているからと言って、求職活動をしていない状態だと失業保険は受け取れないため注意しましょう。

 

失業保険を受け取れるのは、求職活動中に起業の準備や検討している場合です。すでに起業しているわけでなければ、失業保険を受け取れる可能性が高いです。ただ、起業すると失業保険を受け取れなくなってしまうため注意しましょう。

 

退職後に失業保険受け取りたいなら、起業のタイミングを調整する必要があります。

 

退職後の起業で失業保険がもらえないケース

 

退職後に失業保険がもらえないケースとしては、下記4つが挙げられます。

 

  • 求職活動をせずに起業準備する場合
  • 起業準備が終了したとみなされる場合
  • 会社の役員に就任した場合
  • 起業準備中に一定以上のアルバイトをした場合

 

退職後に起業を考えている場合でも、求職活動をしていなければ失業保険は受け取れません。他にも、起業に必要な書類の提出によって起業準備が終了したと判断された場合や受給条件以上のアルバイトをした場合なども受け取れなくなってしまいます。

 

「本当はもらえたのに理解していなかったからもらえなかった」となると、自分自身が損をしてしまうでしょう。失業保険を受け取り、起業資金を少しでも増やすためにも、失業保険がもらえなくなるケースを理解しておくことが大切です。 

 

そもそも失業保険とは?

 

失業保険とは、雇用保険の1つであり、健康保険や厚生年金保険と同様の「公的保険制度」に分類されます。正式名称は失業保険ではなく「雇用保険」です。

 

会社員であれば、毎月自動で源泉徴収されており、就業できない状況に陥った時に失業給付金が支給されます。失業保険の金額や日数は、下記の項目によって異なります。

 

  • 年齢
  • 被保険者期間
  • 退職理由

 

失業保険は、申請から支給開始まで最短7日間必要であり、退職理由によって前後します。貯金が全くない状態で退職してしまうと、数ヶ月の生活資金がなくなってしまうため注意しましょう。

 

また、失業保険を受け取るための流れは、下記の通りです。

引用:雇用保険の失業手当(失業保険)を受け取る条件と手続き<社労士監修

 

失業保険について詳しく知りたい人は、ハローワークのホームページを参考にしてみましょう。

 

ハローワークインターネットサービス – 雇用保険手続きのご案内

 

失業保険の受給資格

 

失業保険は、誰でも受け取れるわけではありません。失業保険を受け取るためには、受給資格を満たす必要があります。失業保険の受給資格としては、下記4つが挙げられます。

 

  • 「失業の状態」にあること
  • 就職の意思があること
  • 雇用保険の被保険者期間が12ヶ月以上あること
  • 「特定受給資格者」または「特定理由離職者」で、被保険者期間が通算して半年以上あること

 

一般的な会社員として働いており、やむを得ない事情で失業してしまった場合には、上記に当てはまる可能性が高いです。しかし、上記の受給資格を満たしていても、失業保険を受け取れないことがあります。

 

失業保険の受給資格を満たしていても、失業保険を受け取れないケースは下記の4つです。

 

  • 体調面が原因ですぐに就職できないと判断される場合
  • 定年退職後に休養しようと考えている場合
  • 専業主婦となったことで就職できない場合

 

また、自営業や個人事業主として働いている人も失業保険の対象外です。失業保険を受け取りたいなら、対象期間中に起業するのは避けましょう。 

 

起業を失敗した場合の失業保険の受給資格

 

基本的に、退職後すぐに起業した場合は、失業保険を受け取れません。しかし、起業後に事業が失敗した場合は、失業申請することで失業保険がもらえるようになりました。制度の改正により、会社員でも起業しやすい環境が整っています。

 

今までは、失業保険を受け取れる期間は「退職日の翌日から1年間」と定められていました。しかし、退職後4年以内であれば申請可能となったため、廃業しても失業保険を受け取れることを理解しておきましょう。

 

失業保険の受給期間

 

失業保険の受給期間は、自己都合退職か会社都合退職かによって異なります。ケース別の失業保険の受給期間は、下記表の通りです。

引用:ハローワークインターネットサービス – 基本手当の所定給付日数

 

自己都合退職か会社都合退職によって、受給期間は異なります。しかし、受給資格決定日から7日間は「待機期間」と呼ばれています。待機期間は、退職理由に関わらず全ての人が支給手当を受給できません。

 

会社都合退職の場合は、最短で申請から約1ヶ月で受給が可能です。一方、自己都合退職の場合、待機期間後には約2〜3ヶ月の給付制限が設けられています。

 

また、失業保険の給付金額は「給付日数×基本手当日額」で決められています。失業保険として支払われる金額の計算方法は、下記の通りです。

 

  1. 退職前6ヶ月の給与総額÷180(6ヶ月×30日)
  2. 基本手当日額=賃金日額×45~80%(年齢や賃金日額によって異なる)
  3. 基本手当の総額=基本手当日額×所定給付日数
  4. 毎月の基本手当額=基本手当日額×28日分

 

引用:『失業手当の計算』

 

受給期間中にアルバイトをする場合

 

受給期間中にアルバイトをすると、失業保険がもらえない可能性があります。 アルバイトをしたことによって失業保険がもらえなくなるケースは、下記の通りです。

 

  • 待機期間中にアルバイトをする
  • 雇用保険加入の条件に当てはまっている
  • 受給期間以上のアルバイトをしている
  • 1日の受給額の80%以上を稼いでいる

 

アルバイトをした場合に失業保険がもらえなくなるかどうかは、人によって異なります。自分自身で判断するのではなく、一度ハローワークに相談するのがおすすめです。

 

知っておきたい再就職手当とは?

 

再就職手当とは、失業手当の給付期間が残っている状態で再就職した場合に支給される手当のことです。再就職手当として支給される金額は、未受給の日数の60〜70%程度となります。

 

ただ、起業前や再就職の前日時点で、残りの給付日数が「失業保険をもらえる全日数の3分の1以上」残っていることが条件です。失業手当受給中に起業をしようと考えている人は、申請を忘れずに行いましょう。

 

起業した場合でも、適切な手続きを行えば再就職手当を受け取ることは可能です。起業前には、再就職手当の受給資格を理解しておきましょう。 

 

再就職手当の受給資格

 

再就職手当の受給資格としては、下記が挙げられます。

 

  • 待機期間満了後に、就職、起業したこと
  • 失業保険を受給できる全日数の3分の1以上残っていること
  • 1年を超えて働くことが決まっていること
  • 直近の企業に再び雇用されていないこと
  • 3年以内に再就職手当などの支給を受けていないこと
  • 受給資格が決定される前から就職することが決まっていないこと
  • 原則、雇用保険に加入する雇用であること

 

「再就職手当を受け取れるのは会社員として就職した場合のみ」と勘違いしていることが多いです。しかし、再就職手当の受給資格には、待機期間満了後に起業したことも条件として含まれています。

 

適切な手続きを行えば、自分自身で起業した場合でも再就職手当を受け取れるため、起業してももらえる条件について理解しておくことが大切です。

 

起業して再就職手当をもらえる条件

 

起業する場合は「待機期間満了後に起業すること」で再就職手当を受け取れます。起業して再就職手当を受け取る際の注意点は、起業する時期です。再就職手当を受け取れるのは、待機期間後に失業認定を受けた後、基本手当の受給資格を得てからです。

 

つまり、会社都合で退職した場合には、待機期間の7日と1ヶ月経ってから起業しなければ、再就職手当は受け取れません。具体的な期間に関しては、下記を参考にしてください。

引用:起業準備していても失業保険を受給出来る?再就職手当も解説 | マネーフォワード クラウド会社設立

 

全く同じように起業をしても、起業するタイミングが異なるだけで、再就職手当が受け取れなくなってしまうかもしれません。起業してから再就職手当を受け取ろうと考えているなら、書類を提出するタイミングに注意しましょう。 

 

起業時も失業保険や再就職手当を受給できる可能性がある!

 

起業する前や起業した後でも状況によっては、失業保険や再就職手当を受給できる可能性が高いです。失業保険の再就職手当を受給できれば、起業資金や生活資金の一部となり、資金的な余裕が生まれます。

 

資金に余裕がないと、事業を進める上でも目先の利益ばかり気になってしまい、最適な戦略で事業を進められません。企業が倒産する理由として、資金繰りがうまくいかないことも挙げられます。

 

反対に、資金さえ豊富に準備できていれば、起業をしても成功する可能性は高いです。失業保険や再就職手当を活用して、起業前後での資金を確保しておきましょう。

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