この記事の答え
起業に役立つのは、創業1年以内の人向けの「持続化補助金(創業型)」(上限200万円)や、東京都の「創業助成事業」(上限400万円)などです。どちらも原則返済は不要ですが、審査があり、お金を受け取れるのは事業を終えた後です。それまでは自己資金や融資で立て替える必要があります。

起業する際には、助成金や補助金を利用することで資金繰りを安定させやすくなります。助成金や補助金には様々な種類があり、知らずに損をしている場合も多いです。

ただ、助成金や補助金を利用する際の注意点を理解していないと、かえって資金繰りが厳しくなる恐れもあります。

今回は、起業に役立つ助成金や補助金の種類だけでなく、利用時の注意点についても解説します。起業を考えているなら、対象となる助成金や補助金があるかどうかを確認しておくことが大切です。

起業に役立つ助成金・補助金とは?

補助金・助成金は、融資や出資と並ぶ資金調達の方法の1つです。国や自治体が後押ししたい事業や雇用を支える役割があり、原則として返済は要りません(ミラサポplus)。

 

補助金と助成金の大きな違いは、審査があるかどうかです。

 

厚生労働省の雇用関係の助成金は、要件を満たして申請すれば原則として受け取れるものが多いです。一方、経済産業省・中小企業庁などの補助金は、要件を満たしても審査で選ばれなければ受け取れません(ミラサポplus)。名前が「助成」でも審査があるものもあります。

起業時に助成金や補助金を利用するメリット・デメリット

助成金・補助金の利用は、メリットだけではありません。利用前に、下記の表で確認しておきましょう。

助成金や補助金を利用するメリット 助成金や補助金を利用するデメリット
原則として返済義務がない
継続的に受けられるものもある
社内体制の充実に繋げられる
条件が厳しく定められている
手続きに手間がかかる
補助金は審査があり、必ずもらえるとは限らない
課税対象となる
後払いである

補助金や助成金を利用する最大のメリットは、原則として返済しなくてよいことです。返済義務がなければ、資金の足しにできるため事業を安定させやすくなります。

 

ただ、補助金には審査があり、申請しても受け取れないことがあります。また、基本的には後払いとなるため、計画的に利用しなければ資金繰りに困ってしまう恐れがあるため注意が必要です。受け取った補助金は課税の対象です(国税庁)。

起業で使える助成金・補助金の種類

起業で使える助成金・補助金の種類としては、下記4つが挙げられます。

  • 経済産業関連の助成金・補助金
  • 厚生労働省関連の助成金・補助金
  • 各地方自治体関連の助成金・補助金
  • 行政以外の助成金・補助金

資金調達先によって、目的や条件が異なるため理解しておきましょう。

起業直後に検討しやすい主な制度は、次のとおりです(2026年10月8日時点)。

制度 補助上限 補助率 主な対象 2026年度の受付
持続化補助金(創業型) 200万円(特例で最大250万円) 2/3 創業1年以内の小規模事業者(特定創業支援等事業の受講が必要) 第4回:11月5日〜12月15日
持続化補助金(通常枠) 50万円(特例で最大250万円) 2/3 小規模事業者(個人事業主も可) 第20回:11月5日〜12月15日
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(革新的新製品・サービス枠) 750万〜2,500万円(従業員数による) 中小企業1/2、小規模事業者2/3 新製品・サービスの開発や設備投資をする中小企業 第1回:10月30日締切
デジタル化・AI導入補助金(通常枠) 450万円 1/2以内 ITツールを導入する中小企業・小規模事業者 事務局サイトで確認
東京都 創業助成事業 400万円(下限100万円) 2/3以内 都内で創業予定〜創業5年未満(指定の創業支援を受けた方) 年2回(4月、9〜10月)

出典:中小企業庁「小規模事業者持続化補助金(創業型)」、ミラサポplus、各補助金の事務局サイト、東京都(いずれも2026年10月8日確認)

経済産業関連の助成金・補助金

経済産業関連の助成金・補助金としては、下記の4つが挙げられます。

  • ものづくり補助金
  • デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)
  • 事業再構築補助金(2025年3月で受付終了)
  • 小規模事業者持続化補助金

経済産業関連の補助金は、中小企業の設備投資や販路開拓、新しい事業への挑戦を支えることを目的としています。

 

ものづくり補助金

ものづくり補助金(正式名:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業の新しい製品・サービスの開発や、そのための設備投資を支援する補助金です。

 

最新の第23次公募(2026年2月〜5月)では、上限が従業員数に応じて750万〜2,500万円、補助率は中小企業1/2・小規模事業者2/3でした(公募要領)。

 

対象は中小企業者で、製造業なら資本金3億円以下または従業員300人以下です(中小企業庁)。

 

2026年度は、新事業進出補助金と一体で運用する「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」で受け付けています。第1回の締切は2026年10月30日です(ミラサポplus)。

 

デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)

デジタル化・AI導入補助金は、業務の効率化のためのITツールの導入を支援する補助金です。2026年版で、IT導入補助金から名前が変わりました。通常枠では最大450万円、補助率は1/2以内です(事務局)。

 

事業再構築補助金(2025年3月で受付終了)

事業再構築補助金は、2025年3月の第13回公募で新規の受付を終えました(事務局)。後を継ぐのは、上で紹介した「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」です。

 

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者等が継続的な経営計画のもと、販路の構築や事業性の向上を図るための取り組みに対する補助金です。個人事業主も対象です。通常枠の上限は50万円で、賃上げなどの特例を使うと最大250万円、補助率は2/3です(ミラサポplus)。

 

創業1年以内の方には「創業型」があり、上限200万円(特例で最大250万円)、補助率2/3です。市区町村の創業セミナーなど「特定創業支援等事業」を受けた証明書が必要です(中小企業庁)。

どちらも、商工会・商工会議所の支援を受けることが申請の条件です。

 

厚生労働省関連の助成金・補助金

厚生労働省関連の助成金・補助金は、下記の2つです。

  • キャリアアップ助成金
  • 人材確保等支援助成金

厚生労働省関連の助成金・補助金は、仕事の高度化や技能の向上などを目的としています。要件を満たして申請すれば、原則として受け取れるものが多いのが特徴です。

厚生労働省関連の助成金・補助金は「雇用」に集中しているため、起業時に人材確保を考えている場合は、事前に調べておくことをおすすめします。

 

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、有期雇用・短時間・派遣で働く人を正社員にしたり、待遇を良くしたりした事業主に支給される助成金です。業務委託の人は対象ではありません。内容に応じて、下記6つのコースに分かれています。

  • 正社員化コース
  • 障害者正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 賃金規定等共通化コース
  • 賞与・退職金制度導入コース
  • 短時間労働者労働時間延長支援コース

具体的な申請手順や申請様式をダウンロードしたい方は「厚生労働省のHP」から確認してみましょう。

 

人材確保等支援助成金

人材確保等支援助成金は、魅力ある職場づくりのために労働環境を良くする事業主や事業協同組合等が対象です。人材の確保と定着を目的としています。

受給可能金額や条件はコースによって異なるため、詳しく知りたい方は「厚生労働省のHP」を確認してみましょう。

 

各地方自治体関連の助成金・補助金

各地方自治体関連の助成金・補助金の代表例は、下記の2つです。

  • 東京都の場合:創業助成事業
  • 大阪府の場合:大阪起業家グローイングアップ事業

地方自治体によって、内容は大きく異なります。

資金繰りを安定させるためにも、起業しようとする地域の制度について調べ、利用可能な資金援助があるかどうかを確認することが大切です。

 

東京都の場合:創業助成事業

創業助成事業は、都内で創業を予定している方や、創業して5年未満の中小企業者等を対象としています。個人事業主も対象です。賃借料や広告費、人件費などに対して、上限400万円(下限100万円)、助成率2/3以内が交付されます(令和8年度、東京都)。

申請できるのは、TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援など、指定された創業支援を受けた方です。受付は年2回(令和8年度は4月と9〜10月)のため、早めに準備しておきましょう。

 

大阪府の場合:大阪起業家グローイングアップ事業

大阪起業家グローイングアップ事業は、大阪府内の事業者や府内で起業しようとする方が応募できるビジネスプランコンテストです。優勝者には最大100万円、準優勝者には最大50万円の補助金(補助率1/2以内)が交付されます。

 

行政以外の助成金・補助金

国や地方自治体のような行政機関以外でも、助成金や補助金を設けていることもあります。具体的には、大企業や政府系銀行、複数の慈善団体などが挙げられます。

ただ、目的や条件、審査の基準は団体ごとに大きく異なります。応募する前に募集要項をよく読み、自分の事業と合っているかを確かめることが大切です。

 

起業時に助成金や補助金を利用する際の注意点

補助金は、原則として後払い(精算払い)です。申請から入金までは、おおむね次の流れになります(中小企業庁)。

事業計画をつくる → 申請 → 審査・採択 → 交付申請・交付決定 → 事業を実施 → 実績報告 → 検査で金額が確定 → 入金

公募の締切から採択までは、通常2か月ほどかかります(ミラサポplus)。

入金されるまでは自己資金や創業融資で賄わなければいけないため注意しましょう。

 

ベンチャー.jpが取材した起業家は、補助金・助成金をどう使ったか

Space Tech Accelerator株式会社 平賀元気さん

2023年の創業当初から大型の補助金を2年連続で獲得し、初年度は事業費として約6,000万円の支援を受けたそうです(本人談)。ところが採択が決まった途端、提案を一緒に考えた現地のパートナーから「半分分けてほしい」と求められ、弁護士に相談して切り抜けました。

→ インタビューを読む:https://venture.jp/news/2026/06/02/21612/

株式会社イチドキリ 徳永崇志さん

補助金の申請を支援する立場から、補助金は国・都道府県・市区町村で制度が違うと話しています。採択の見込みが低い案件は引き受けず、補助金のデメリットや事業を進めるうえでの制約も必ず伝えているそうです。

→ インタビューを読む:https://venture.jp/news/2025/07/20/17220/

株式会社AX 石綿文太さん

「助成金が出るから研修を受ける」という発想では意味がない、と語っています。助成金の対象は原則として要件を満たす職業訓練に限られ、研修後の個別の業務支援は対象外になる場合があるためです。

→ インタビューを読む:https://venture.jp/news/2026/08/31/27696/

助成金や補助金を利用すれば資金面の負担が減る

助成金や補助金をうまく活用できれば、資金面での負担が減り、今まで以上に事業を安定させやすくなります。

この記事のポイントは次の3つです。

  • 起業直後なら、持続化補助金(創業型)や自治体の創業助成を確認する
  • 補助金は審査があり後払い。入金までの資金を用意する
  • 制度は毎年変わるため、申請前に公募要領を確認する

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執筆:ベンチャー.jp編集部
この記事の情報は2026年10月20日時点のものです。

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