
この記事の答え
経営者とは、会社や組織の経営に責任を持ち、方針を決める人のことです。会社では代表取締役(一般に社長)が中心で、起業・昇進・事業承継などでなれます。経営者としての資質には、論理的思考やコミュニケーション力、先見性などがあります。年収は会社の規模で大きく違い、国税庁の調査では役員の平均給与は約762万円(2024年)でした。
経営者として、会社を成功に導くために求められる資質とは何でしょうか?経営者には、さまざまな役割が求められます。しかし、その中でも特に重要なのは、どのように会社を成長させ、企業価値を増大させるかということです。
本記事では「経営者」とは何か、どのような方法で経営者になれるか、経営者の役割や仕事内容、そして会社を成功に導くために必要な5つの資質を解説します。また、経営者におすすめの資格についても紹介しますので経営者としてのスキルアップにつなげてください。ベンチャー.jpが取材した経営者が大事にしていることも紹介します。
経営者は、組織の経営に責任を持つ者とされています。経営者には、会社法上の代表取締役や役職上の社長といった呼称がありますが、最高経営責任者という狭義の意味で捉えることもできます。
広義には、複数の経営者が集団で意思決定したり、経営の仕事を分割して分担することもあるため、経営集団の一員として経営の役割を担当する者も含まれます。
使用者は、労働基準法の用語で、「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」をいいます(労働基準法第10条)。
(出典:e-Gov法令検索「労働基準法」)
また、「社長」は会社法の用語ではなく、社内の役職名です。会社法でいう役員は取締役・会計参与・監査役で、会社を代表するのは代表取締役です(会社法第329条・第349条)。多くの会社では、代表取締役が社長を名乗っています。
(出典:e-Gov法令検索「会社法」)
個人事業主とは自身が経営する事業の責任者であり、個人でビジネスを行い、収益を得ることになります。この場合、個人がすべての決定を自己責任で行うため、事業を経営する上での責任も大きくなります。
経営者になる方法として、以下の3つを紹介していきます。
このほか、親や親族の会社を引き継ぐ「事業承継」で経営者になる人もいます。
従業員が「出世」で経営者になるパターンは、特に珍しくありません。アルバイトから「叩き上げ」で経営者になった人もいます。しかし、出世するには時間が必要であり、努力や資質、運といった要素も大きく影響します。
出世するためには、主体的に自己啓発をし、独自の人脈を作ることも必要です。しかし、出世するからといって、その人物が必ずしも優秀であるとは限りません。
「ピーターの法則」という法則がありますが、昇進し続けると無能になる可能性があるといわれています。そのため、経営者になることだけに執着せず、何事においても常に向上心を持ち、自己成長を続けることが肝要です。
起業することが経営者になる最もシンプルな方法であると言われていますが、その一方で、資本金の用意や手続きが必要になります。資本金は、ビジネスを開始するために最初に必要な資金であり、会社設立時には所定の手続きを行う必要があります。
また、経営者には様々なスキルや知識が求められます。ビジネスの計画を立てることはもちろん、事業の成長戦略を検討することが必要であり、常に新たなアイデアを求め、顧客との良好な関係を維持することが求められます。
起業を考える場合には、自身のビジネスのアイデアやビジョンを明確にし、必要なスキルや知識を習得することが重要です。
経営者として活躍する方法には、自分でビジネスを起こす方法だけでなく、「雇われ社長」として働く方法があります。
雇われ社長とは、オーナー(株主)から経営を任される社長のことです。出資のリスクはオーナー側が負うことが多い一方で、経営の結果には責任を持ちます。
しかし、会社の所有権は元のオーナーが持っており、経営者としての権限は制限される場合があることも忘れてはなりません。
そのため、経営戦略や意思決定において、オーナーとの調和が求められます。雇われ社長から実績を積み、成功した起業家として有名になる人もいますが、実際に成功するためには、ビジネスの知識や経営スキルを磨く努力が必要です。
経営者は、会社を安定的に運営し、倒産などのトラブルを未然に防ぐ責任を担っています。
また、事業に関わるすべての人々(従業員・顧客・取引先・株主・債権者など)に対して責任を持ち、社会に寄与することも求められます。
一方で、経営者自身もストレスや過労などの健康問題を抱えることがあります。そこで、経営者は自身の健康管理も重視し、経営者としての適切な役割を果たすためにバランスのとれた生活を送ることが必要です。
また、経営者は社員の雇用を守ることも大切です。従業員の信頼を得るためにも、経営者は従業員とのコミュニケーションを密にし、働きやすい環境を整備することが求められています。
自身がリーダーであることを自覚し、常にトップダウンの経営ではなく、社員の意見も聞き入れることが重要です。経営者が適切な役割を担い、経営計画を成功させることで、会社や事業が健全に発展し、社会に貢献することができます。
経営者の仕事内容として、主に以下5つが挙げられます。
従業員の育成や評価は、経営者にとって重要な仕事です。中小企業や個人事業主の場合、従業員数が少なく育成に携わることができますが、大手企業では従業員数が多くなり、一人一人を評価することが難しい場合もあります。
従業員育成には、社会人としての基礎から育てることが大切です。新人教育を徹底し、職場でのマナーやビジネススキルを身に付けることで、社会人としての基礎を築くことができます。
さらに、企業理念に沿った運営ができるように従業員を教育することが重要です。
社員が企業理念を理解していることで企業文化を共有することができ、仕事に取り組む姿勢も大きく変わるでしょう。
経営者として、事業の拡大や推進するためには、社長自身が主導権を握り重要な指示を出すことが必要不可欠です。しかし、営業や日々の運営を従業員に任せることも良い手段です。
ただし、単にタスクを割り振るだけでは社員たちは共通の目標を見つけられず、事業の長期的な目的に沿った取り組みができません。
そのため、中長期的な計画を策定し、そこから生じる課題や具体的な対策を含め、事業計画を立てることが大切です。
従業員の処遇や職場環境の改善は、企業の成功に欠かせない要素です。経営者は、人材の獲得と維持を目的とした戦略的措置を講じなければなりません。労働時間や休暇制度の改善は、従業員の働き方に対する効果的な対応です。
これは、従業員の適度な休息を促し、健康維持につながるだけでなく、生産性の向上に役立ちます。また、従業員にとってプライベートな時間を確保できることは、モチベーションの向上につながり、生産性や離職率の低下にも貢献します。
企業が資金調達を実施する上で、経営者の役割は重要です。経営者は常に数字を見ながら経営判断を行うことが求められます。このような判断基準によって、企業の経営は一貫性が保たれ、将来の安定的な発展が期待できます。
特に、社長は資金繰りに関する判断を行うのが重要です。会社の将来を見据えながら、どのような資金調達を行うかを判断し、常に全社員の雇用を守るために、支払いができなくなる状況を避けなければなりません。
経営者にとって意思決定は重要であり、会社の成功を左右する要素となります。経営方針を決定することは、経営者の重要な役割であり、会社の方向性を示す上で欠かせないものであると同時に、重要な意思決定の一つでもあります。
経営方針を明確にすることによって、経営者は自分自身だけでなく、従業員にも明確な企業ビジョンを示せます。経営者が従業員に経営方針を伝えることで、従業員は「何のために働いているのか」「自分のやっている仕事が会社のどのような目的に繋がるのか」などを理解することができます。
つまり、従業員が会社のビジョンに共感し、自らの業務に対するモチベーションが高まることによって、会社の業績向上に繋がることが期待されます。
経営者としての資質には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは以下の5つについて解説していきます。
現代の経営環境は常に変化しており、経営者は多くの選択肢の中から最適なビジネス戦略を選択することが求められます。そのため、論理的思考能力が重要なスキルとなっています。論理的思考力に優れた経営者は、環境変化にも適応し、最良の決断を下すことができます。
また、論理的思考力がある経営者は、社員に対して経営方針や理念を的確に伝えることができます。
社員が企業の目標やビジョンを共有、共感することは、企業の成功に不可欠です。従って、論理的思考力に加えて、コミュニケーション能力も重要であることが示唆されます。
経営者に求められる最も重要なスキルの1つは、優れたコミュニケーション能力です。成功する企業を運営するには、社内外問わず優れたコミュニケーションが欠かせません。
従業員とのコミュニケーションがスムーズであることは、生産性を高め、従業員のモチベーションを向上させるためにも重要です。
また、社員同士がコミュニケーションを取りやすい環境を整えることも大切です。
さらに、社外へ自社の価値やビジョンを積極的に発信するためにも、コミュニケーション能力が必要です。
経営者は、自社のメッセージを明確に伝え、オーディエンスの理解を確保することや、クライアント、顧客、パートナーなど企業外部の関係者とのコミュニケーションも重要です。
現代においては、先見性が成功する経営者にとって欠かせない能力となっています。これは、大量生産、大量販売の経済成長期が終わるとともに、VUCA(不確実性、複雑性、曖昧性、不安定性)時代が到来したからです。
先見性を持った経営者は、将来のリスクを予測し、事業の柔軟な運営や戦略の転換を行うことで、競争力を維持し事業の持続的な成長を実現することができます。
多様性を尊重し、意見を受け入れることは、経営者にとって重要なスキルの一つです。多様な意見を受け入れ、視点の異なる選択肢を考慮することは、企業の成長や競争力に影響を与えます。
多様性に力を入れる会社では、個人が最大限のパフォーマンスを発揮し、チーム内の関係性が良好になるため、仕事に対する満足度が高まると考えられています。
また、多様性を推進する企業は、企業イメージの向上や社会からの信頼度が高まるなどのメリットがあります。
成功する経営者には、優れたリーダーシップが不可欠です。良いリーダーは、社員に対して敬意を持ち、彼らを高めようとする強い意志を持っています。
企業変革を行うことは大変な試練であり、時に痛みを伴うこともありますが、リーダーは協力を得るために社員の士気を高める必要があるため、社員とのコミュニケーションを重視し、彼らとお互いに理解しあえるように心がけることが大切です。
また、経営の実績も重要であり、数字的成果を挙げることは必要不可欠です。しかし、社員からの支持を得るためには、経営者自身が魅力的であることも必要です。
社員から「この人にどこまでもついていきたい」と思われることが理想的な状態であり、経営者はこのような目標を掲げ、その実現に向けて努力する必要があります。
経営者に関するよくある質問には、以下の3つが挙げられます。
大企業の社長の年収については、人事院の「民間企業における役員報酬(給与)調査」があります。令和5年の調査によると、従業員500人以上の企業の社長の平均年間報酬は、令和4年で5,196.8万円でした。
一方、国税庁の「民間給与実態統計調査」では、中小企業を含む役員(取締役・監査役など)の平均給与は、令和6年分で761.9万円です。会社の規模によって、経営者の年収は大きく異なります。
経営者(社長・役員)の年収の目安
|
調査 |
対象 |
平均 |
|---|---|---|
|
人事院「民間企業における役員報酬(給与)調査」(令和5年) |
従業員500人以上の企業の社長 |
5,196.8万円(令和4年の年間報酬) |
|
同上 |
うち従業員3,000人以上の企業の社長 |
8,602.6万円 |
|
同上 |
うち従業員500人以上1,000人未満の企業の社長 |
4,225.5万円 |
|
国税庁「民間給与実態統計調査」(令和6年分) |
1年を通じて勤務した役員(取締役・監査役など) |
761.9万円 |
|
同上 |
資本金2,000万円未満の株式会社の役員 |
665.0万円 |
|
同上 |
資本金10億円以上の株式会社の役員 |
1,665.7万円 |
出典:人事院「民間企業における役員報酬(給与)調査」第3表、国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」第6表(2026年10月時点)
経営者に向いている人の特徴として、前述の5つの資質だけでなく、真面目で勉強熱心であることが挙げられます。なぜなら、経営には、常に最新の情報やトレンドに敏感であることが求められるからです。
また、ポジティブ思考を持ち合わせ、悲観的になることなく挑戦的な状況にも前向きに取り組む姿勢が大切です。
さらに、忍耐力がある人も、経営者向きです。ビジネスは成功の連続でなく、失敗やトラブルがつきものですが、そうした場面でたじろがず、冷静に対処できる人が求められます。
フットワークが軽い人も、経営者に向いています。常に変化が激しいビジネスの世界では、敏捷性がなければ対応できないこともあります。
そして、周囲の意見に流されず、自分の信念を持って行動できる人も向いています。経営者は、社員やお客様やパートナーなど、さまざまな人々と接する機会が多いため、自分自身が持つビジョンを確固たるものとし、周りに影響を与えることが大切です。
経営に携わる方にとって、資格は必須ではありませんが、資格を持っていることによってビジネスにおいてメリットが生まれる場合があります。
特に金融や法律、会計や経営戦略に関する資格の取得は、経営において役立つとされています。
ファイナンシャルプランナーの資格は、資産運用や保険、相続や税金など幅広い分野において、クライアントに相談等を提供することができます。金融商品に関する専門的な知識を持つことで、企業の資金繰りにも役立つことができます。
日商簿記検定は、財務諸表の作成や帳簿の管理に必要な知識を持つことができるため、経理担当者や起業家におすすめです。また、資金繰りに関する問題解決にも役立ちます。
中小企業診断士の資格は、事業戦略や経営改善に専門的な知識を持つことができます。中小企業に経営改善の提案を行ったり、診断分析をすることができるため、自社のビジネスにも活かせます。
ビジネス実務法務検定は、企業法務に関する知識を持つことができ、契約書の作成や紛争解決などに役立ちます。
ITパスポートは、情報システムに関する基礎的な知識を持つことができるため、ITに関するビジネスの現場で活躍できるとされます。
宅地建物取引士の資格は、不動産取引に関する専門的な知識を持つことができるため、不動産業や建設業に従事する経営者におすすめです。また、自社に不動産資産を持っている企業にとっても役に立ちます。
株式会社AgeWellJapan 赤木 円香さん
大企業やスタートアップでの経験は、実際の経営には直接結びつかないことも多かったと振り返ります。そのうえで、経営で本当に大切なのは「余計なプライドを持たずに頼む力、間違ったら素直に謝る力、感謝を忘れず相手に伝える力」だと話します(本人談)。
株式会社デジタリフト 百本 正博さん
経営者として最も大切なのは「覚悟」だといいます。覚悟ができていれば準備が進み、目標が具体的になり、課題が出ても前向きに対処できる。自分ではコントロールできない外的要因はあっても、コントロールできる部分は経営者の覚悟しだいだと話します(本人談)。
株式会社ゼスト 一色 淳之介さん
KPI(重要業績評価指標)を明確にし、判断は数字に基づいて行う一方、数字だけにとらわれず、チームの雰囲気なども重視しています。「数字と感情のバランスをとること」が経営の重要なポイントだといいます(本人談)。
経営者は会社を成長させ、企業価値を増大させ、事業の存続のために、選択可能な施策の企画立案と実行を担っています。しかし、これは容易なことではありません。
経営者には、決断力や戦略的思考力、コミュニケーションスキル、責任感、危機管理能力など多岐にわたる資質が求められます。
また、時代の変化に敏感であることや、組織文化を牽引するリーダーシップなども重要な要素です。経営者は、これらの資質を備え、現代のビジネスの激しい競争に勝つために、常に研鑽を積む必要があります。
この記事の要点は、次の3つです。
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執筆:ベンチャー.jp編集部
この記事の情報は2026年10月21日時点のものです。
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