経営者とプロ経営者は似ている言葉なので同じだと思っている方も多いのではないでしょうか。どちらも判断力や行動力は必要ですが、経営者とプロ経営者は、それぞれ求められる資質やキャリアが異なります。
本記事では、経営者とプロ経営者の違いや求められる資質やキャリアアップのポイントについて解説しています。
経営者とプロ経営者の違い
経営者とプロ経営者は似ているようで異なります。
経営者は、会社や事業の代表として経営を行う最高責任者です。企業によって呼称は「代表取締役」「使用者」「社長」「個人事業主」とさまざまですが、いずれも最高責任者であることに変わりはありません。
一方、プロ経営者とは経営者とは異なり、複数の会社を経営者として経験を積む人のことです。日本では2014年頃から大手企業で採用される傾向にありましたが、近年では中小企業でも経験豊富な人材を起用する動きが進んでいます。
経営者に求められる資質とは
経営者は会社や事業を成功させるための正しい判断が必要です。そのために、求められる資質の特徴を以下6つ紹介します。
- リーダーシップ
- 自信と熱意
- 楽観的な観点
- 先を見通す力
- 常に勉強する姿勢
- 競争心
リーダーシップ
経営者はさまざまな場面で指揮官になることがあります。そのため、人々を動かすリーダーシップが求められます。
周りの人から、リーダーとして認められることはもちろん、人々を引っ張っていく力も必要です。同じ業種の経営者と情報交換などを行う際は、社員にどう指示しているのかなどについても参考にしてみましょう。
また、業種によってマネジメントの形は変わるため、ワンマン指揮官にならないよう、部下の意見などを尊重する民主型のスタイルなどにも柔軟に対応できる環境も大切です。
自信と熱意
経営者は、事業を成功させるために銀行に融資を依頼したり優秀な人材を確保したり、さまざまな仕事があります。これらを成功させるためには自信を持ちながら進めることが大切です。
自信がある経営者には熱意も備わっているため、相談相手などからは好印象を得られます。また、熱意を持って行動することで、自分の目指すところまでの努力が苦にならず成功しやすくなるでしょう。
楽観的な観点
経営の仕事は、うまく事が進むばかりではありません。時には壁にぶつかることもあるでしょう。
しかし、壁にぶつかるごとに凹むばかりしているとうまくいくことも余計マイナスに働きます。そのため、ある程度楽観的な観点は大切です。
壁にぶつかっても、モチベーションを保ちながら楽観的な観点で乗り越える姿勢はどのような仕事でも効果的です。
先を見通す力
どんな職種でも、先を見通す力は大切です。先を見通すことができればピンチの際は事前に対処できます。
反対に、チャンスの際には積極的に対応することで他社より先手を打つことも可能です。さまざまな場面に対応できるよう、情報収集やコミュニケーションを怠らないようにしましょう。
経営者にとって受け身になることは何事も人の真似になる可能性があり、印象を悪くしてしまうこともあります。
常に勉強する姿勢
ビジネスの世界は日々変化します。そのため、常に勉強し自分の目標を立てて行動することは大切です。
壁にぶつかった際の対処法や、自発的に動く際には日頃の勉強が役に立つでしょう。実際に成功している経営者の多くは職場で過ごしている時間を大切にしています。
勉強が苦手な人は細かく目標を設定し、達成するごとに自分へのご褒美などで気分を高めて環境を整えることも大切です。
競争心
事業を成功させるためには他者と競争心を持つことも必要です。常に競争心を持っていると自分自身、情報収集のアンテナを広げるでしょう。
すると、自然と競合他社の動向や市場の分析結果が耳に入りやすくなります。その結果、製品やサービスの開発で遅れを取ることなく先手を打って自社の製品やサービスを売り込むことが可能です。
遅れを取ることなく自社の戦略を広告や宣伝などで活かせるでしょう。
経営者になるためのキャリアアップ方法
経営者になるためにはさまざまな経験が必要です。ここからは経営者になるためのキャリアアップ方法を3つ紹介します。
- 異動や昇進を繰り返す
- 転職をしながら経営層に近づく
- 自分で起業する
異動や昇進を繰り返す
経営者になるためには、異動や昇進を繰り返しさまざまな仕事の経験が必要です。上場企業や大手企業では、同僚と競争心を持って異動や昇進ができます。
経営者を目標とする場合の異動や昇進で大切なことは、経営者の近距離に身を置くことです。経営者の近くで経験を積むと、大事な場面の意思決定に触れられる可能性もあるでしょう。
ただ、異動や昇進を繰り返すだけでなく大事な場面に同席できる環境作りも大切です。
転職をしながら経営層に近づく
社内で異動や昇進が難しい場合、転職をすることも経営者に近づくための手段です。近年の日本でも、転職をしながらキャリアアップしていくのは一般的になりつつあり、最も多いケースでもあります。
経営層に近づき、どのような経緯で事業のために決定するのかを間近で体験することは将来自分が決定する立場になった際のポイントになるでしょう。
自分で起業する
経営者に一番早くなる方法は自分で起業してみることです。自分自身を代表とする立場で経験を積むとよいでしょう。
初めは上手くいかないかもしれませんが、自分自身で会社の経営方針を決めることや事業戦略を立てることは必ず将来への糧になります。
また、他社との信頼を築くことはたやすくないことも実際経験できるため、仕事への関わり方も経営者らしく芯を持って行動できるでしょう。
プロ経営者になるために必要な資質とは
プロ経営者はさまざまな起業を渡り歩く場合が多いため、多様な目線で成功へ導く力が欠かせません。プロ経営者になるために必要な資質は以下の4つが挙げられます。
- 決断力
- 実行力
- 周りを見渡す力
- コミュニケーション力
決断力
プロ経営者は、外部から呼ばれている場合がほとんどです。そのため、内部の人間にはできない革新的な判断や行動が必要でしょう。
社内のしがらみや感情を抜きにした決断力ができるのもプロ経営者ならではなのです。とくに、グローバル化が進む業界では古い体質から抜け出すことも必要で、社内のしがらみに囚われない経営改革が必要なこともあります。
実行力
プロ経営者となると、株主や社外取締役から要望され招かれている場合もあります。どのように起用されても、数字として結果を出すことは必然です。
結果を出すために、ときには事業や人材の大胆な改革を行う必要もあります。気になることがあればすぐに行動に移せる人がプロ経営者には必要な資質です。
行動を起こせる人が成功への波に乗れるのです。
周りを見渡す力
複数の企業を経験しているプロ経営者は、周りを見渡す力を持っている人が多くいます。そのため、広い視野で現在の企業の置かれた状況を分析できるでしょう。
内部にいる人間は、自社の製品やサービスに誇りを持っている場合が多いため、変えるべき点の判断が不十分なこともあります。このような場合、プロ経営者なら客観的に判断できるため新たな戦略を打ち出せるのです。
コミュニケーション力
プロ経営者の役割は落ち込んだ業績の回復が一番ともいえます。しかし、プロ経営者といっても、100%必ず結果を出せるわけではありません。
また、結果が出るために時間がかかることもあります。その際、株主や取引先に理解を得ることも重要です。
その際に必要なことがコミュニケーション力です。株主や取引先はその道のプロともいえるため、説明を十分にしないと納得してもらえないでしょう。
コミュニケーション力には、社員や取引先の人などから情報収集し人と関わりやすい環境を作ることも重要です。
プロ経営者になるために必要なキャリアとは
プロ経営者は企業を渡り歩けばなれるものではありません。プロ経営者になるために必要なキャリアは以下の2つです。
- 経営戦略や経営計画で結果を残す
- 同じ業界で複数の結果を残す
経営戦略や経営計画で結果を残す
過去に業績などで結果を残している場合、それはただ単純に好景気な時だっただけかもしれません。そのため、景気に左右されない経営実績で目標を達成した結果が必要です。
将来的な正確な経営戦略や経営計画で目標を達成したという事実が重要です。そのために、常に社内コンサルティングをする能力も必要になるでしょう。
企業だけでなく業界全般の流れをいち早く察知する分析能力が求められます。企業理念を忘れず成長戦略や業界内での差別化ができるのが理想的です。
また、企業の経営戦略は、3年に1度程度の見直しが求められるのが一般的です。
同じ業界で複数の結果を残す
プロ経営者になるために必要不可欠なのは、同じ業界で複数の結果を残すことです。同じ業界で結果を残せば噂はすぐに伝わりヘッドハンティングもされやすくなります。
また、プロ経営者を選ぶ企業側も同じ業界なら実績を比較しやすいのも理由の一つです。いち早くキャリアを積みたいなら、同じ業界で結果を残すことを重要視してみましょう。
経営者を目指すならキャリアを積み上げてプロ経営者も目指してみよう!
経営者になるための近道は、自分自身で会社を経営してみることです。しかし、経営者になるためには求められる資質もあります。
また、さらにキャリアアップを目指すならプロ経営者にも目を向けてみましょう。ただし、プロ経営者になるには経験と実績が必要で、求められる資質も高くなります。
プロ経営者は受け身ではなく攻めの姿勢が重要です。目に見える結果を残したいなら、プロ経営者を目指してみましょう。