会社経営を成功させるためには、経営者のスキルが重要です。資格や学歴がなくても経営者になることはできますが、スキルによって業績が大きく変わります。しかし、具体的にどのようなスキルが必要なのか分からない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、経営者に必要な8つのスキルについて詳しく解説します。スキルを磨く方法や必ずやるべきことなどについても解説しているので、経営者になりたい方はぜひ参考にしてください。
経営者に必要なスキル8選
経営者に必要なスキルとして、以下の8つが挙げられます。
- 速やかな決断力・判断力
- リーダーシップ
- 先見性
- コミュニケーション能力
- 論理的思考能力
- ポジティブマインド
- マーケティングスキル
- 経営に必要な会計・法務知識
経営者のスキルによって、会社の業績は大きく変わります。そのため、経営者になりたい場合は、最低限これらのスキルを身に付けなければなりません。
速やかな決断力・判断力
経営者は会社の方針を決める必要があるため、速やかな決断力と判断力が不可欠です。決断力が欠如している場合、長期的な事業の発展を妨げる可能性があります。判断能力には主観性と客観性のバランスが求められ、特にライバルの多い業界や市場の変化が早い業界ではこれらのスキルが非常に重要です。
リーダーシップ
リーダーシップは、周りの人たちを引っ張っていく力を指します。リーダーシップのある人は、目標を達成するために人を動かし、周りの人からもリーダーとして認められているのが特徴です。なお、リーダーシップを磨くためには以下のような方法があります。
- 過去の経験を振り返る
- 多種多様のマネジメントスタイルについて理解を深める
- 同行他社のリーダーについて調査する
- 自分に適したマネジメントスタイルを見つける
過去の経験を振り返り、自分のマネジメントスタイルを把握することが大切です。また、多種多様のマネジメントスタイルの理解を深めれば、より自分に適したものを見つけることができます。同行他社のリーダーが行っているマネジメントスタイルも参考になるはずです。
経営者に従業員を引っ張っていく力がなければ会社を大きくすることは難しいため、上記の方法でリーダーシップを身につける必要があります。
先見性
現代はグローバル化やIT化、働き方改革、技術革新など変化が激しい時代です。企業の維持と発展には、先読みする先見性が必要になります。また、優れた経営者は高い先見性だけでなく、鋭い洞察力も持っているのが特徴です。
洞察力とは、見えない部分も含めた物事の本質を見抜くスキルを指します。先見性と洞察力があれば先の課題を予測し、それに対して解決策を見つけることも可能です。時代の変化に合わせて、適切な行動を取ることができるようになります。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、従業員のパフォーマンスを最大化させるために必要なスキルです。従業員とのコミュニケーションが不足すると、経営者の意思が上手く伝わらない可能性があります。
コミュニケーション能力として観察力、ヒアリング力、伝達力を磨くことが重要です。中でも経営者には伝達力が求められ、伝達力が高ければ決断した内容をスムーズに従業員へ伝えることができます。
論理的思考能力
論理的思考能力は経営者だけでなく、近年のビジネスパーソンにも必要なスキルです。現代は変化が激しく、ライバルも多い時代であるため、直感だけで経営を成功させるのは不可能と言えます。経営者にデータや現場の報告を論理的に整理・統合して判断するスキルがなければ、経営は安定しません。
従業員の数が多く、会社の業績を左右する存在である経営者は、なおさら一般的なビジネスパーソンよりも高い論理的思考能力が必要になります。
ポジティブマインド
ポジティブマインドとは、良い面に目を向けて、悪い面があっても落ち込まない気持ちのことです。経営者は会社を経営していくうえで、さまざまな壁に直面します。
そのようなときでも、ポジティブマインドを持っていれば楽観的に物事を捉えられるため、スムーズにその壁を乗り越えられます。ポジティブマインドは経営者に必要な資質の一つであり、キャリア全体で身に付けるべきものです。
マーケティングスキル
会社経営を安定させるためには、消費者が欲しいと思う商品やサービスを提供する必要があります。そのときに求められるのがマーケティングスキルです。消費者を喜ばせるためには、どのようなことをすればよいのかを考案します。
マーケティングスキルを持っている従業員を雇うこともできますが、経営者もスキルを持っておくと、企業提携などのビジネスチャンスに繋げられる可能性があります。
経営に必要な会計・法務知識
日常的な帳簿作成は経理スタッフに任せられますが、経営者は財務諸表の内容を理解する必要があります。また、資金調達をする際、財務予測を含めた事業計画書の提出が必須です。ただし、ゼロの状態から会計や法務知識を身につけるのは現実的ではありません。
財務諸表や損益計算書など業務で使う書類の意味が分かり、検証しながらPDCAを回せるレベルまでになるのが望ましいです。
経営者に必要なスキルを磨く方法
経営者に必要なスキルを磨く方法として、以下の3つが挙げられます。
- 日常的に意思決定を行う
- 感情をコントロールする
- プライベートでもコミュニティを広げる
経営者に必要なスキルは、日常生活から身につけることができます。ただし、短期間で身につけられるものではないため、継続的に行うことが大切です。
日常的に意思決定を行う
業界の現状や競合他社の動向、製品やサービスのライフサイクルなどの要因を理解したうえで、冷静かつ連続的な経営判断を行うことが大切です。経営者の意思決定は、会社の業績を大きく左右します。
過去の成功に固執せず、常に最善の方法を模索する必要があります。日常的に意思決定を行い、発想力と決断力を磨くとよいです。
感情をコントロールする
経営者は自分の感情をコントロールし、安定させる必要があります。ネガティブな感情を出すと、社内の雰囲気が悪くなりやすいためです。従業員が経営者の顔色を常に伺って仕事をするような職場では、コミュニケーション不足が生じるだけでなく、従業員同士のコミュニケーションにも支障をきたします。
コミュニケーションが取りづらい職場はパフォーマンスを発揮するのが難しく、離職率も高くなりがちです。経営者はポジティブマインドを持つことで、従業員が働きやすい環境を構築できます。
プライベートでもコミュニティを広げる
仕事関係のコミュニティだけでは視野が狭くなり、得られる情報も限られてしまいます。常に広い視野を持っておくためには、外部のコミュニティとの繋がりを築くことが重要です。
趣味のコミュニティなどに参加することで、幅広いコミュニケーション能力が身に付けられます。また、多角的な視点も得られるため、ビジネスにおける意思決定に活かすことも可能です。
経営者や社長が必ずすべきこと
経営者や社長が必ずすべきこととして、以下の3つが挙げられます。
- パーパスを明確にする
- 事業計画を立てる
- 「ヒト・モノ・カネ」を適切に生かす
経営に必要なスキルを身につけるだけでなく、活動方針を明確にしたり、事業計画を立てたりすることも重要です。会社経営を始める前にやるべきことも多いので、計画的に進めることをおすすめします。
パーパスを明確にする
パーパスとは、経営者の思想や信念に基づく活動方針や軸を明文化したものです。一言で表すと存在意義を指します。パーパスを作成する際は、「What(何?)」と「Why(なぜ?)」の2つを検討することが大切です。
一度策定したら基本的には変わらないため、しっかり検討したうえで決めることをおすすめします。パーパスを明確にしたうえで経営すると、以下のようなメリットがあります。
- 意思決定のスピードが上がる
- 従業員のエンゲージメントやモチベーションが向上する
- ステークホルダーからの支持を得やすくなる
- イノベーションが生まれやすくなる
パーパスでは「自社は何のために事業をしているのか」を明確にしています。判断基準がパーパスとなり、迅速な意思決定が可能です。また、従業員のエンゲージメントやモチベーションが向上することで、業績の向上や離職率の低下に繋がります。
ステークホルダーとは、顧客や従業員、株主、投資家など経営を支える人たちです。このような人たちに対して、自社のパーパスを表明し経営を行うと共感が生まれます。結果的に、支持が得やすくなり、サポートを受けることができます。
なお、イノベーションとは、モノやサービス、仕組みなどに新たな考え方や技術を取り入れて新たな価値を生み出し、社会に革新をもたらすことです。パーパスを明確にすることで、社内において目的意識が強くなります。
「どうしたら実現できるか」という思考のもと、より柔軟性のあるアイデアや考え方を持てるようになり、イノベーションが生まれやすくなります。
事業計画を立てる
事業計画は、経営理念とビジネスモデルの構築後に作成します。数年先のビジネス展開まで考え、具体的な目標を設定することが大切です。事業計画を立てる際は、「年ごとの目標」「数値目標」「数値化できない目標」の3つが参考になります。
例えば、5年後に教育関連のビジネスを3つ展開したいという目標を立てたとします。そのためには、3年後に2つ目の事業を始め、その2年後には3つ目の事業を始めるというように、目標から遡って年単位で考えるとよいです。
年ごとの目標を踏まえた上で、数値目標を1年後、3年後、5年後に分けて考えていきます。数値目標とは、売上や経費、利益などの数値化できる目標です。ただし、なかには顧客からどう評価されたいかなど、数値に現れない目標も存在します。そのようなときは、3つ目の「数値化できない目標」として考えます。
「ヒト・モノ・カネ」を適切に生かす
「ヒト・モノ・カネ」は、経営の成功に欠かせない資源です。
ヒトは人材のことで、経営資源の中で最も重要です。人材がいなければ、商品やサービスを売ったり、利益を上げたりすることはできません。会社を経営していくうえで、必ず人材は必要になります。
モノとは経営で使う設備や製品のことです。ヒトがモノを生産し、それを売ることで利益を得ます。また、業務を遂行するうえで、パソコンなどのデバイスやOA機器などのツールも必要です。
カネは経営資金のことで、会社を維持するために欠かせません。経営を始めるときや事業を拡大させるときなどで、資金調達が必要になるのが一般的です。金融機関からの融資やベンチャーキャピタル、クラウドファウンディングが主流の調達方法となっていますが、自社にとって最適な方法を選択することが大切です。
最近では、「ヒト・モノ・カネ」以外に、情報や時間、知的財産なども経営資源として考えられています。技術や顧客の情報は、会社の経営を成功させるために欠かせないものです。また、時間は価値の提供や会社の成長スピードに多くの影響を及ぼすため重要視されています。
意思決定や商品・サービスの提供に時間がかからない会社は、競合よりも先に認知度を挙げられ、先行者利益を得やすくなっているためです。知的財産は、アイデアやブランドなどを指します。どれも目には見えませんが、会社の経営を成功させるために不可欠な資源です。
経営者に必要なスキルを磨いて会社経営を成功させよう
資格や学歴がなくても経営者になることはできますが、スキルがなければ会社経営を成功させるのは難しいです。経営者には決断力やリーダーシップ、コミュニケーション能力など、さまざまなスキルが求められます。
これらのスキルは、日常生活で磨くことができるため常に意識することが大切です。また、スキルを身につける以外にも、パーパスを明確にしたり、事業計画を立てたりする必要があります。経営者になるために準備すべきことは多くあるので計画的に進めていきましょう。