Nature 株式会社 代表取締役 塩出 晴海

家庭のエネルギーマネジメントを実現する魅力的なプロダクトの開発から販売まで手がけるNature 株式会社。代表の塩出氏は、起業家である父親の影響を受け自身の素質を活かして理系の道へ進み、「自然との共生をドライブする」という壮大な、しかし日々迫りくる課題と向き合うべく起業しました。

 

今回は、事業内容や起業の経緯、今後の展望などについて、塩出氏より詳しくお伺いしました。地球規模の壮大な課題を自分ごととしてとらえ、日々向き合い続けられている理由や、モチベーションの源泉についても記載しています。事業をしたいけれど、何をすれば良いのかがわからない、「自然との共生をドライブする」というテーマに興味があるという方はもちろん、意欲的に取り組める仕事を探している方にとっても、魅力ある情報を掲載しています。

 心地良く、かつ自然と共生していけるサステナブルな暮らしを提案

事業の内容をお聞かせください

事業内容は主に2つです。

 

1つ目は、コンシューマー向けのデバイス開発・販売事業。プロダクトは大きく2つありまして、スマートリモコン「Nature Remo」シリーズとスマホHEMS「Nature Remo E」シリーズです。

「Nature Remo」シリーズは、赤外線リモコンに対応した家電をスマートフォンのアプリで操作できます。外出先から家電を操作できたり、決めた条件に従って自動で稼働するよう設定できたりします。家庭内での電力使用をコントロールできるプロダクトです。

「Nature Remo E」シリーズは、電力の使用量を見える化することで、電力の無駄な消費を防げます。また、太陽光発電や蓄電池を導入しているご家庭であれば、電力の自家消費率を上げ、電力会社から供給される電力の使用量を極力抑えるようコントロールすることもできます。

2つ目は、前述したデバイスを活用したデマンドレスポンスサービス支援事業。電力小売事業者の顧客に対して、電力のピーク需要を抑えるためのサービスを提供しています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

 

父親が起業家で自分の会社で商品をつくり、販売していた姿を幼少期から見ていたことがきっかけです。 セガサターンやパナソニック3DOなど、3Dゲームが盛り上がっていた小学5年生の時に、父の会社では、父を含めた3人で、プレステの3Dレーシングゲームを作っていました。 

 

父は、他社の様々なゲームを購入し、僕と一緒に実際にプレイしてみることで、インスピレーションを湧かせていました。だいたい父の中でイメージが湧いてからは、実際に開発に入るわけですが、まず初めに道路ができて、次に車、そして背景やBGMが付いて、というように、日に日に完成に近付いていく様子を近くで見ていました。父がとても情熱的に仕事をしていたことを、今でも覚えています。

 

マーケットリサーチやバグテストを一緒にしたり、その月の売れ行きなども教えてもらったりする中で、父のような起業家としての生き方は面白そうだなと思い、小学生の頃には起業家になりたいと思っていました。

 

またある日、僕が古いパソコンでプログラミングをして遊んでいたところ、父に「そのパソコンでインベーダーゲームをプログラミングしたら新しいパソコンを買ってやる」と言われました。そこからは、もう夢中で取り組みましたね。そのパソコンは当時でも相当古いもので電源を抜いたら全てソースコードが消えてしまうようなものでした。なので、私は、ノートにひたすらソースコードをメモしていましたね(笑)そして、数ヶ月かけてかろうじてインベーダーと認識できるゲームが作れました。約束通り新しいパソコンを買ってもらい、C言語を学ぶようになりました。

 

それから、コンピュータサイエンスを学ぶため、北海道大学へ進学しました。入学当初から、海外の大学へ行くことも考えていました。アメリカの大学に留学すると、Computer Scienceの教育があまりにもレベルが高くて衝撃を受けると同時に、海外で学ぶ必要性をより強く感じました。 

 

その後、将来は起業家になることを見据えて、国内外で事業の立ち上げを手がけている商社で、事業の作り方を学ぶべく三井物産へ就職しました。働きながら今一度どの領域で勝負するかを考えた結果、これまでの人生経験や自分の感性にもフィットする自然をテーマとした事業で、且つ自分が実業家としてピークをむかえるであろう10〜20年後に、時代の波に乗れそうなクリーンテック業界に身を置くことを決意しました。

 

 

幸い、三井物産は太陽光や風力発電の機器を販売したり、発電所の建設も行っていました。しかしながら、電力部隊に異動はできたものの石炭火力発電所の開発(投資含む)を担当する部署に配属されました。そこでの業務を通して、いかに今の電力供給が多くの犠牲の上に成り立っているかを知り、電力インフラの効率的な活用という分野に興味を持ち、今手がけているデマンドマネージメントへ辿り着きました。

 

そして、退職後はアメリカ、ハーバード大学に留学し、在学中に「Nature Remo」のプロダクトのコンセプトに辿りつき、起業に至りました。

 

新たな可能性を追求し、自然との共生に一歩、また一歩と確実に近づいて行く

仕事におけるこだわりを教えてください。

「自然との共生をドライブする」というミッションの実現からぶれないように、会社の事業を継続することです。

 

また、三井物産で働いていたときに組織運営において重要だと感じ、「人に任せる」ということを日頃から意識しています。社内体制としてホラクラシーを取り入れ、試行錯誤しながらも、社員一人ひとりの思いを尊重できる環境を整えています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

 

「自然との共生をドライブする」という大きなミッションを設定しているが故に、たどり着くのが大変であることでしょうか。もちろん、近づいている実感はありますが、「完全に達成した」といえるところには、なかなかたどり着きません。

 

ただ、すぐに達成できないミッションを創業当時に意図的に設定したのであって、結果的になかなかたどりつけない、という訳ではありません。ビジョンの大きさが会社の成長余地を決めると考え、現在のような大きなミッションに決めました。

 

理想的なミッションを掲げられたことは良かったものの、スケールが大きいからこそ、なかなか辿り着けず、日々成長が求められています。

 

2〜3年でさらなる飛躍を目指し、目先の失敗にとらわれずチャレンジを続ける

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

「自然との共生をドライブする」というミッションを達成するための仕事ができていること、そして、少しずつでもそんな理想の世界に近づいていると感じられることが、モチベーションの源泉です。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

これから2〜3年の間に、会社が10倍大きく成長できるような新しい事業展開を始めることです。当然、目の前のことを着実にこなしていくことも大切です。しかし、飛躍的に成長するためには、これまでの延長線上を進むだけでは足りません。目先の失敗や成功に固執せずに、新しいことにトライすることが重要だと考えています。

 

 

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また、弊社は事業拡大に伴い、正社員とインターン生の採用を強化しています。

 

正社員は、事業開発やプロダクトマネージャー、マーケティングなどの部署で働いてくれる人材を探しています。社員同士はフラットな関係性であり、自由度も高いと思います。我々がつくる、これまでにないサービスやプロダクトは、今まさに地球の大きな課題となっているカーボンニュートラルにつながります。お仕事にやりがいを求めている方、自然が好きな方など、ぜひご応募いただけたら嬉しいです。

 

また、インターン生も募集しています。ビジネス部門はもちろん、エンジニア部門も採用しています。

 

採用にあたり重視していることは、ミッションに対する共感と好奇心、粘り強さの3点です。意欲のある方、ぜひ一緒に新たなことに挑戦していきましょう。

 

採用ページはこちら

https://nature.global/careers/

自分の心の声を大切にして、好きなことや使命感を持って取り組めることを選ぶ

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

​​ひとえに、好きなことを突き進んでいくことが大切です。起業には、大変なことが付きまといます。しかし、自分で納得して選んだ道であれば、進み続けられます。

 

自分の中の声を大切にして、選択し、それに向かって突き進むことが、起業して会社を存続させるために必要なことだと考えています。

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:塩出 晴海氏

13歳の頃にインベーダーを自作、2008年にスウェーデン王立工科大学でComputer Scienceの修士課程を修了、その後3ヵ月間洋上で生活。三井物産に入社し、途上国での電力事業投資・開発等を経験。2016年ハーバード・ビジネス・スクールでMBA課程を修了。ハーバード大学在学中にNatureを創業。

 

企業情報

法人名

Nature 株式会社 (Nature Inc.)

HP

https://nature.global/about/

設立

2014年12月10日

事業内容

Nature Remoシリーズの開発・製造・販売、及びそれを用いた電力事業

 

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