株式会社AREYO 代表取締役CEO 田中 悠

株式会社AREYOは、BtoB企業向けのリファラルマーケティングSaaS「Jolt(ジョルト)」を提供するスタートアップです。既存顧客やビジネスパートナーからの紹介・口コミを活用したリード獲得という、国内ではほとんどプレイヤーが存在しない領域に着目し、紹介契約の締結から報酬の支払いまでを一気通貫で自動化するサービスを展開しています。今回は、代表取締役CEOの田中悠氏に、事業の内容や起業の経緯、そして今後の展望について詳しくお話を伺いました。

BtoBの「紹介」を科学する。リファラルマーケティングSaaS「Jolt」が解決する課題

事業の内容をお聞かせください

当社は、「Jolt」というBtoB企業向けのリファラルマーケティングSaaSを提供しています。リファラルマーケティングとは、既存顧客やビジネスパートナーといった第三者からの紹介・口コミを活用して新規顧客を獲得する手法のことです。

 

BtoB企業では紹介によるリード獲得はよくある手法ではあるものの、その管理は煩雑になりがちです。スプレッドシートで誰が誰をいつ紹介したかを手作業で管理し、紹介契約の締結や報酬の支払いまで担当者が個別に対応するというケースが非常に多く、スケールさせようとした際に限界を迎えてしまいます。

 

「Jolt」を活用することで、紹介パートナーとの契約締結から、紹介の管理、報酬の設計・支払いまでを自動化できます。報酬の設定も非常に柔軟で、ショット払いや継続払い、固定金額やパーセンテージなど、パートナーごとに異なる条件を細かく設定することが可能です。

 

これにより、これまで業務の煩雑さからスケールさせられなかった紹介プログラムを、10社から100社、200社へと拡大させていくことができるようになります。また、「Jolt」には紹介者ごとにユニークな紹介リンクを発行する機能があり、自社でアフィリエイトの仕組みを構築することもできます。

 

紹介者がLinkedInやXといったSNS、あるいはnoteなどでリンクを活用してサービスの良さを発信することで、紹介者を通じた広報活動が実現します。紹介の管理・効率化という守りの機能だけでなく、バイラル的な拡散を促す攻めのマーケティング機能も備えているのが「Jolt」の大きな特徴です。

 

国内においてBtoB向けリファラルマーケティングに特化したサービスはほとんど存在していません。商談の場でも「こういうサービス、初めて聞きました」「ずっと待っていたサービスです」というお声をいただくことが多く、確かなニーズを実感しています。

 

導入いただいた企業からは、部署をまたいだ紹介業務のコミュニケーションコストの削減や、業務の効率化・ミスの低減という点でご好評をいただいています。

 

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

もともと学生のころから起業したいという気持ちはありました。祖父も父親も医者という家庭環境の中で、祖父は開業医として病院を立ち上げており、そうした起業家像へのあこがれが心のどこかにあったのだと思います。学生時代には多くの起業家の本を読み、「自分の力で価値を生み出し、それを人に届けてやりがいを感じたい」という思いが次第に強くなっていきました。

 

その後、キヤノン株式会社や複数のSaaS企業で10年以上のビジネス経験を積みましたが、起業への思いはずっと持ち続けていました。37歳、子どもが1人いて35年ローンを抱えているタイミングでの起業でしたが、「やらない理由はこれからどんどん増えていく」という考えから、2025年4月に株式会社AREYOを創業しました。

 

事業テーマを考えるにあたり、SaaS企業でのビジネスを通じて最も大きな課題と感じていたのが「リードの枯渇」でした。広告やアウトバウンド営業はコスト効率が悪いケースも多い一方で、パートナーや既存顧客からの紹介による案件は受注率が高く、LTVも高い傾向にあることを経験として知っていました。

 

「企業の周りには、そのサービスを応援してくれる人がたくさんいるはずなのに、実際に紹介が生まれているのはそのほんのわずかにすぎない」ことに気づいたとき、紹介をもっと科学すればスケールさせられるという確信が生まれ、「Jolt」の開発・提供に至りました。

 

プロダクト開発にあたっては、リリース前からマーケットや現場に近い方々へのヒアリングを徹底的に行い、POC(概念実証)の形で実際に使っていただきながら、小さな修正を積み重ねて現在の形に仕上げていきました。

 

 

顧客目線を徹底し、表層でなく本質の課題に向き合う

仕事におけるこだわりを教えてください。

仕事における最大のこだわりは、徹底的に顧客目線でいることです。一時的なテクニックや属人的な工夫ではなく、お客様の立場に立ってプロダクトを見たときに本当に必要なもの、本質的なものをきちんと捉えられているかどうかを常に意識しています。

 

お客様からいただく要望は爆速で開発に生かしていきますが、同時に「お客様が言語化できていない課題」が必ずあると考えています。多くのフィードバックの中でも、表層的な部分と本質的な部分をしっかり見極め、本質的な課題から解決していく姿勢を大切にしています。

 

こちら側の論理だけで進めるのではなく、常にお客様の目線でプロダクトを見ることが、本当に価値あるサービスを生み出すために欠かせないことだと感じています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

開発体制の構築には特に苦戦しました。創業初期は正社員を大勢雇えるわけではなく、これまでの繋がりの中から副業・業務委託という形でメンバーに参画してもらいながら開発を進めてきました。

 

本業を持つメンバーで構成されているため、開発スケジュールが予定通りに進まないこともあり、途中で離脱したメンバーのコードを読み解くところからキャッチアップしてもらうという場面もありました。

 

次に来るであろう壁は組織だと思っています。規模が拡大していく中で、組織カルチャーをどう作り、そのカルチャーに合った人材を採り続けられるかが大きなテーマになると考えています。前職での組織運営の経験を活かしながら乗り越えていきたいです。

 

 

「ゼロから生み出したものが使われる瞬間」が原動力

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

自分がゼロから生み出したサービスがお客様に使われ、役立っていると感じる瞬間がモチベーションになっています。これまでのキャリアでは、誰かが作り上げた価値の上で仕事をしてきました。それはそれで大きな成長の機会であり、感謝しています。

 

しかし、今は結果が見えない0→1の船を自ら漕いでいて、リスクを取っているからこそ「Jolt」がお客様に求められていると感じる瞬間や少しでも役立っていると実感できる瞬間のやりがいはひとしおです。

 

まだ世の中への貢献という意味では小さいかもしれないです。それでも「もっとこのお客様のために頑張りたい」「日本のためにやりたい」という気持ちが自然に湧いてきます。自分が作ったものが使われて喜ばれるというシンプルな体験が、毎日の推進力になっています。

 

また、社員には会社の「未来を見せること」を大切にしています。会社としての方向性、「Jolt」がどのように展開されていくのか、それが社会にどう貢献するのかというビジョンをチームと共有することで、一体感のある組織づくりを目指しています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください

まずは「Jolt」をしっかりと成長させていくことが直近の目標です。現在はBtoB領域に特化していますが、紹介・口コミはBtoC領域でも当然必要とされるものであり、将来的には領域の拡大も視野に入れています。

 

一方で、AIが急速に進化する現代において1つのプロダクトだけに縛られず、その時々に必要とされるプロダクトをマルチに展開していく必要があると思います。テクノロジーの変化のスピードに柔軟に対応しながら、AIには代替できない「人と人との繋がり」という価値をいかに強化していくかが、今後のカギになると見据えています。

 

紹介というのは、人と人との信頼関係の上に成り立つものです。そこはAIには作れない領域だからこそ、もっと強くしていきたいと思っています。

 

 

行動力こそが、現代の起業家を分ける唯一の差別化要因

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

起業しない理由は、これからどんどん増えていきます。結婚、子ども、住宅ローンなど人生のステージが上がるにつれて、リスクを取りにくい状況は確実に増えていきます。やらない理由が増え続ける前に動ける勇気を持つことが大切です。

 

今の時代、AIの登場によって知識やスキル、経験の差はどんどん縮まっています。かつては豊富な知識や経験を持つ人が起業するものでしたが、今はそういった差がほとんどないです。では、何が差になるかというと、行動力です。まず動くことが今の時代の起業家に最も求められる力だと思います。

 

ただし、勇気を持って踏み出すためには準備も欠かせません。起業を覚悟したのであれば、資金、仲間、人脈、アイデアといった基盤をしっかり整えた上で行動することが重要だと思います。「まず行動する」という気概と、それを支える地に足のついた準備の両輪が、起業家として歩み続けていくために必要です。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:田中 悠 氏

キヤノン株式会社に新卒入社後、一眼レフカメラのグローバルマーケティングを担当。その後、株式会社プレイドに参画し、セールス、カスタマーサクセス、プロダクトマネジメントを横断し、主にアパレル企業のCX向上を支援。2020年6月より株式会社バニッシュ・スタンダードに参画し、執行役員としてビジネス全体を統括。2025年4月株式会社AREYOを創業し、リファラルマーケティングSaaS「Jolt」を通じて、リファラルマーケティングの戦略策定から紹介プログラムの導入を多方面から支援。

企業情報

法人名

株式会社AREYO

HP

https://areyo.co.jp/

設立

2025年4月3日

事業内容

リファラルマーケティングSaaS「Jolt」の企画・開発・運営

 

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