
株式会社WOGO 代表取締役CEO 秦 竟超
株式会社WOGOは、独自の3D技術やAI技術を活用した、東京大学発のスタートアップ企業です。新たな技術を積極的に取り入れ、協業企業とともに社会にイノベーションを届けることをモットーとしています。今回は、同社の代表取締役を務める秦竟超 氏に起業の経緯やサービスの概要、今後の展望などを詳しくお伺いしました。
3D技術とAI技術を活用した未来志向のプロダクト開発
事業の内容をお聞かせください
弊社は3D技術やAI技術などの先端技術を活用した、プロダクトの開発を行っています。特に3D技術の活用については、日本国内でもトップクラスの技術力があると自負しています。
弊社の大きな特色としては、営業・販売部門をほとんど持たず、主にインバウンドによる顧客獲得を行い、特色のある独自ソリューションをカスタマイズして提供しています。一般的なプロダクト開発会社が自社内に営業・販売部門を有しているケースが多い中、弊社は開発力に注力することで、他社とは一線を画す独自のアプローチを構築していると言えるでしょう。
弊社で開発をしているプロダクトは、BtoB向けおよびBtoC向けのどちらも手がけています。創業から約3年間で、15プロジェクトほどのプロダクト開発の実績・継続中案件を推進しています。
過去手がけたBtoB向けのソリューションとしては、いずれも3D技術を活用した「製品設計の効率化ソフトウェア」「出荷時の製品自動検査ソフトウェア」があります。
製品設計の効率化ソフトウェアは、製造業や建築業で主に利用されており、製品や建築物の3D設計を作成支援するプロダクトです。
出荷時の製品自動検査ソフトウェアは、設計図を基に制作・建築された製品や建築物が、設計図通りに構築しているかを自動的に検知します。
製品設計ソフトウェアや自動検査ソフトウェアは、、業界内に類似サービスが存在する中でも、弊社の技術は、AIをはじめとする先端技術を積極的に取り入れることにより、一歩進んだ自動化、効率化を実現している点で、競合他社のプロダクトより優れています。
また、既存の3Dソフトウェアでは十分に取り込めていない、製造現場でしか取得できない現場独自のデータやノウハウを取り込むことによって、独自設計図の完全自動作成・製品自動検査の精度向上を実現しています。
将来的には、3D技術やAI技術を活用してリアルとバーチャルデータの連携をさらに強化し、誰もが理想の製品を簡単に形にできる時代を目指して事業を推進してまいります。
BtoC向けのプロダクトとしては、2021年にスマホで3Dスキャンができるアプリを世界に先駆けて開発しました。当時は3D技術のプロでないと3Dデータの作成が困難でしたが、一般の方にも気軽に3Dデータのスキャンと作成ができるようになりました。世界で約100万人以上の利用者がいるサービスとなっています。
また、2023年には「VPal」と呼ばれる、AIキャラクターと利用者がチャットで会話でき、そのキャラクターに一貫した性格を持たせることによって、よりリアルなコミュニケーションを可能とするアプリもリリースしました。
現在は外部パートナー様とも連携して、3Dスキャンスタジオを利用して自分の3Dのアバターを作成したり、工場に設置した3Dプリンタと連携して、自分自身のフィギュアを作ったりできるプロダクトを開発中です。例えば、子どもの成長記録をフィギュアで残すといったニーズがあると考えています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
株式会社WOGOは、私が大学を卒業するタイミングで、大学の同期10名程度に声をかけて、東大発のスタートアップ企業として起業しました。
新しい技術を積極的に活用して面白く、かつ世の中の役に立つようなものを作りたい、という技術者としてのロマンを追い求めたくて起業を決意しました。自分自身で新たな技術を活用し、どこまで社会の発展に寄与できるのかというチャレンジをしたかったことも起業した理由の一つです。
新規技術の中でも3D技術にこだわった理由としては、大学2年のときに入った3D技術の研究室での経験が挙げられます。実際に3D技術を学んでみると、数学やアルゴリズムの英知が凝縮されていて、たいへん奥深い技術だと感じました。
当時は3D技術の研究を行う人は少なかったのですが、3D技術には技術者のロマンをくすぐる要素があると感じました。それから2年ほど集中して3D技術の研究を行い、企業に至りました。
品質と創造性を追求し、独自の技術で社会に革新を提供
仕事におけるこだわりを教えてください。
弊社は、プロダクトの開発に特化した会社であるため、品質の良いプロダクトを開発することが大前提にあります。
その上で、人の創造性が発揮できるような会社にしていくことにもこだわっています。具体的には、創意工夫するといったことや、新しい技術に積極的にチャレンジすることによって、社会へイノベーションを提供していきたいと考えています。
また、エンジニアのエンジニアによるエンジニアのための会社を目指しているため、人材についてもこだわっています。会社の創立時に優秀な大学の同期と起業できたことが、弊社が成功した要因の一つといえるでしょう。
起業から今までの最大の壁を教えてください
技術力には自信があったのですが、プロダクトのターゲットとなるユーザーニーズを的確に把握することに苦労しました。また、社会に弊社のプロダクトを届けるチャンネルを構築する点も難しかったです。
そのためお客様に対して営業することよりも、技術面に注力することにより、お客様のニーズを満たせるようにすることでこれらの課題を解決していきました。
技術への先行投資のため、資金面での課題も様々な点でありましたが、もともとBtoBの受託開発を行っていたことや、toC向けの製品に注力するために資金調達を行うなどしてその都度工夫して解決していました。
技術革新への挑戦と社会に貢献するモノ作りへの情熱
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
新しい技術を積極的に活用して試行錯誤を繰り返しながらプロダクトを開発し、そのプロダクトが社会に届くことによって、生活が便利になり人々から喜ばれることが、モチベーションの源泉といえます。
また常に新しいものや良いものを作り続け、それらのテクノロジーがどのように社会を豊かにしていくのかということを追求していくこともモチベーションとなっています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
常に新しい技術にチャレンジし、その技術を活用してプロダクトの開発に特化することを掲げた経営方針は、今後も堅持していきたいと考えています。いわば「モノ作りファースト」の精神で、いいプロダクトを開発し続けたいです。
そして、これから10年後も20年後もイノベーティブな会社であり続けたいです。また、今後は新たな発明ができるような組織作りを行ってみたいとも思っています。
これから起業する方へ—成功への3つのアドバイス
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
私が今まで培ってきた経験・実績を踏まえて、これから起業をしようと考えている方へのアドバイスとしては、「好きなことをやり続けていく」「興味があることを深く追求していく」この2点です。
また、起業をしてみて何か壁にぶつかるようなことがあった場合には、その壁に対する解決策を様々に考えて試行錯誤して、自分自身を変えていくことが必要になってくると思います。
他者の話などを聞き、それらを参考にすることも大切ですが、何が必要なのかそうでないのかは自分自身が経験してみないと分からないことばかりです。そのため自分自身での試行錯誤が必要不可欠となってきます。
それでも自分一人で解決できないと思ったら、周りの人に助けを求め協力を得るようにしてください。
どのようなメンバーを募集していますか?
現在営業職や技術者に限らず新しいメンバーを募集しています。
特に技術力を持っている人や新しい技術に対して興味を持っている人、新しいものを作り出したいと思っているような向上心がある人が弊社に向いていると思います。
また弊社では新しい技術をどうやってお客様に届けるのか、どんな技術が社会から求められているのかを追求できる環境が整っています。
新しい技術を吸収したり、それらの技術を活用して業界を問わず現代社会にイノベーションを届けたいと考えている方は、ぜひ一度ご連絡ください。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:秦竟超 氏
東京大学工学部電子情報工学科卒業。大学2年生より会社を立ち上げ、様々な業界にITコンサルティング/システム開発サービスを提供。2020年より本格的に法人としての活動を開始し、現在は受託から自社サービスWIDARを始めとする自社独自技術の開発に会社をシフトさせる。
企業情報
法人名 |
株式会社WOGO |
HP |
|
設立 |
2021年1月 |
事業内容 |
3DやAIを始めとする最先端技術開発と社会実装 |
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