Space Tech Accelerator株式会社 代表 平賀 元気

Space Tech Accelerator株式会社は「宇宙技術で世界平和に挑む」をビジョンに掲げ、衛星データと現地情報を掛け合わせた独自のアプローチで、宇宙技術の社会実装を推進しています。主力事業であるサステナブル調達支援では、日本企業が海外から原材料を調達する際の課題を、衛星データと現場の情報収集により解決。インドネシアと日本の双方で事業を展開し、持続可能な調達の実現に取り組んでいます。今回は、鉄鋼商社やコンサルティングファーム、メガバンクを経て宇宙業界に飛び込み、2023年に同社を創業した代表の平賀元気氏に、事業内容や今後の展望などを詳しくお聞きしました。

衛星データとサステナブル調達で宇宙技術の社会実装に挑む

事業の内容をお聞かせください

「宇宙技術で世界平和に挑む」をビジョンとし、当社は宇宙技術の社会実装をメインに事業を展開しています。宇宙の技術が少しでも人々の生活に寄与するような事業を目指しています。

 

現在、取り組んでいるのがサステナブル調達の領域です。日本企業が海外から原材料を調達する際、これまでは安くて良いものが基準でしたが、近年はサステナビリティの観点が求められるようになりました。

 

しかし、日本企業がそれらのチェックをするのは難しく、コストもかかります。そこで当社は、衛星データと現地の情報を掛け合わせ、現場の状況を正確に収集することで、日本企業のサステナブルな調達を支援しています。

 

特に焦点を当てているのがパーム油です。パーム油は植物油の一種で、サラダ油やカップ麺の揚げ油、化粧品、シャンプー、石鹸など、私たちの日常生活に広く使われています。

 

世界市場規模は約12兆円と非常に大きく、比較的組織化されて生産されているため衛星データとの相性も良い点が特徴です。ターゲットとなるのは、食品メーカーや日用品・化粧品メーカーなどの消費財企業です。

 

また、インドネシアの農家や農協向けのアプリも開発しており、衛星データで問題がありそうなエリアの実際の生産量データと照合することで、情報の確かさを担保できる点が当社の強みです。

 

パームヤシの健康診断や農園境界のAI測定なども手掛けており、現地と日本の双方でビジネスを進めています。現在はインドネシアが中心となっていますが、今後は徐々に対応する国を増やしていきたいと考えています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

新卒で商社に入社し、日本の鉄を海外に販売する仕事を3年間担当しました。その後、コンサルティング会社で鉄鋼業のクライアント向けコンサルティングに従事し、続いて銀行にも転職しましたが、そこでも鉄鋼分野を担当しました。

 

鉄鋼業はスケールが大きく、非常に好きな業界でした。しかし、かつて世界をリードした日本の鉄鋼業も、中国やインドの台頭により厳しい状況に置かれています。

 

そこで子どもたちの世代が誇れるような産業を作りたいという思いから、宇宙スタートアップに転職しました。ここでは約4年間、お客様の衛星をお預かりして宇宙に届ける打ち上げサービスに携わりました。

 

宇宙業界で感じたのは、衛星を打ち上げること自体が先行してしまい、打ち上げた後にどう使うかを考えるケースが多いということでした。

 

本来は衛星を活用することがビジネスになるからこそ、衛星を作るという循環が必要なはずです。そこで私は、衛星を使って収益を生むビジネスに取り組み、そこから衛星開発につなげるという好循環を生み出したいと考え、2023年6月に当社を創業しました。

 

 

本質的な課題解決へのこだわりと、海外事業ならではの試練

仕事におけるこだわりを教えてください。

本当にその人のためになる提案をすることを大切にしています。何が一番大切なのか、本質的な所までを考え、助言をするようにしています。

 

この考え方は事業にも通じています。当社は衛星データを使ったサステナブル調達の支援を行っていますが、単に森林が減った・増えたというデータを提供するだけでは不十分です。

 

誰が、何の目的で、どのように伐採したのかまで踏み込んで現場を見て、状況が改善に向かうところまで含めてソリューションとして提供していくことを常に意識しています。本当に必要なものは何かを問い続けることを大事な軸としています。

 

組織運営においても同じです。私の口癖は「As you wish」です。やらされ仕事は良くないと考えていて、メンバーが本当にやりたいこと、本人がどう思っているのかを大事にするようにしています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

インドネシアで資金面でトラブルが起きたことが最大の壁です。当社は立ち上げの頃から大型の補助金を2年連続で獲得しており、初年度は事業費として約6,000万円の支援をいただきました。

 

その際、提案を一緒に考えてくれた現地のインドネシア人パートナーがいたのですが、補助金の採択が決まった途端に半分分けてほしいと要求してきたのです。

 

補助金の仕組みを何度説明しても理解してもらえませんでした。結果的には現地の弁護士にも相談し、特定の契約は結んでいなかったこともあり、無事にその状況を抜け出すことができました。

 

それ以来、現地でのやり取りには必ず日本語のわかる現地人に間に入ってもらい、丁寧にコミュニケーションを取るようにしています。また、文化の違いにも最初は戸惑いましたが、世界で仕事を.する以上、こうした壁は避けて通れないものだと感じています。

 

 

仲間と共に、社会にいいビジネスを楽しむ

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

一番のモチベーションは仲間の存在です。社内のチームメンバーはもちろん、日本やインドネシアで支援してくださっている多くの企業の方々のご期待に応えたいという思いが、大きな原動力になっています。

 

現場に足を運んでみると、環境やサプライチェーンの課題が非常に複雑で、解決が難しいことを実感します。一方で、宇宙技術にはそれを変えられるポテンシャルがあるのに、まだ十分に活用されていません。

 

この「使われていない可能性」を社会に届けたいという思いが、会社を続けているモチベーションです。技術を作るだけでなく、実際に使われて価値を生むところまでやり切ることにこだわり続けたいと考えています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

まずは地道に一歩一歩、一つ一つ丁寧に取り組んでいくことが基本です。

 

現在はパーム油を中心にインドネシア・マレーシアからの調達支援を行っていますが、今後はパーム油に限らず、東南アジアからの調達に課題を抱えている日本企業の皆様と幅広く連携していきたいと考えています。

 

まだまだお金をいただくほどのサービスが十分に整っているとは思っていません。だからこそ、一緒にどうすればいいのかを本気で考えてくださるパートナー企業と出会いたいですし、そうした方々と共にこの領域を切り拓いていきたいと思っています。

 

 

Think Big, Step Small。まずは一歩踏み出す

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

「とりあえず挑戦してみてください」というのが率直なアドバイスです。最初の一歩を踏み出すことが大事で、やっているうちに分かってくることもたくさんあります。

 

「Think Big, Step Small」という言葉があるように、大きく考えて小さく始めるという姿勢で進んでいけば、きっと面白い展開が待っていると思います。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:平賀 元気 氏

阪和興業・デロイトトーマツコンサルティング合同会社・三菱UFJ銀行にて、鉄鋼を中心とした素材産業における幅広いプロジェクトに従事後、2020年2月よりSpace BDに参画。事業統括として、主に大手企業や地方自治体向けに宇宙産業への進出支援などの新規事業の立ち上げを実施。2023年6月にSpace Tech Accelerator株式会社を創業。宇宙技術を活用して様々な領域において事業を行っている。

企業情報

法人名

Space Tech Accelerator株式会社

HP

https://spacetechaccelerator.com/

設立

2023年06月01日

事業内容

  • 宇宙技術の社会実装
  • 宇宙ビジネス開発
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