
介護や外食、農業、建設といったブルーカラー領域で深刻化する労働力不足に対し、特定技能外国人と企業のマッチングを通じて本質的な課題解決を目指している株式会社Tancee。大手人材会社での経験を経て2025年に創業した代表取締役CEOの西雅也氏に、事業の詳細や起業のきっかけ、そして今後の展望について伺いました。
当社は、介護や外食、農業、建設といったブルーカラー領域の企業に対して、特定技能の在留資格を持つ外国人人材のマッチングサービスを提供しています。特定技能とは、特定の業種のみで働ける在留資格のことで、建設や介護、農業、漁業など、決められた分野の現場で働くためのものです。
現在、国内で最も多いのはベトナム国籍の方で、全体の約半数を占めています。そのほか、インドネシア、ミャンマー、カンボジア、ネパールなど、二国間協定を結んでいるアジア各国の方が中心です。
当社の最大の強みは、集客チャネルの圧倒的な多さです。他社と比べて桁違いの数のチャネルを保有しており、かつ内部の自動化を徹底することで、チャネルを10倍に増やしても手間が変わらない仕組みを構築しています。この供給力を背景に、最短翌日からの人材紹介を実現しているのも、当社ならではのスピード感です。
そしてチャネルの量が多いことで実現できるのが、紹介する人材の質です。多くの働きたい人材の中から厳選し、企業様が求める人材をご紹介してます。
さらに、企業が外国人人材の採用・管理を自社で内製化できるよう支援するサービスも展開しています。入社後の月々のコスト負担を軽減したいという企業のニーズに応えるものであり、将来的にはその支援を通じて当社のサービスをご活用いただくことで、支援先のさらなる拡大につなげていきたいと考えています。

元々広告系の会社で4年半ほど働いており、不動産業界や外食業界にて集客を支援する仕事をしていました。その中で、集客だけでなく採用支援をセットで行うことで売上がぐっと上がったといった事例を経験したとき、ビジネスにおける「人」の力を強く実感しました。
しかし同時に、それは業界内でパイを奪い合っているだけで、日本全体として労働力が減っている根本的な問題の解決にはなっていないとも感じました。本質的な解決策を考えた結果、ギグワークや主婦の活用、シニア活用、障害者雇用などいくつかの選択肢の中から、外国人材の活用が最も可能性があると感じました。
最初は「なんとなくグローバルに行きたい」という程度の動機でしたが、思い立った日にチケットを取りました。現地へ足を運んでみると、そこには日本を目指す20歳前後の若者たちがいました。彼らの思いを直接聞くことで強い感銘を受け、この領域で挑戦したいと決意しました。また、移民問題をはじめ課題が山積している分野だからこそ、やりがいがあると感じています。

お金だけには興味がなく、自分の価値観に則って「これは本当に価値がある」と自分が納得できるものをビジネスとして成立させることが、譲れない軸です。
最近ご紹介したインドネシアの方から「日本にすごく感謝しています」という言葉をいただきました。その方は非常に優秀で日本語も上手なのですが、高卒で、インドネシアでは人口爆発の影響でなかなか就職できない状況でした。就職できたとしても16時間労働で給料も低く、食事と睡眠の繰り返しだったそうです。
日本に来てからは労働時間が半分になり、給料も上がり、家族への送金もできるようになったと話してくださいました。そういった話を聞くと、やっていてよかったと心から感じます。
介護の現場からも良い反応をいただいています。特定技能の外国人の方は、かつての日本の介護従事者のような接遇の精神を持っており、利用者さんへの気遣いや声かけが高く評価されています。また、利用者さんにとっては、ひたむきに頑張る外国人スタッフに少しばかり日本語を教えてあげられることが、「サポートしてもらう存在」から「少しお返しができる存在」への変化となり、双方にとって良い関係が生まれているのです。
そういったすべての関係性の中に、当社が追い求める「本当の価値」があると、確信しています。

仲間集めには苦労しています。介護や外国人材という領域は、特に高学歴の方やハイレイヤーの方にとって接点が少ない領域です。AIをやっていますと言えば関心を持ってもらえることもありますが、この分野にはなかなか優秀な人材が集まりにくい現実があります。移民問題に関わる政治的な側面も絡んできますし、直接的な接点も少ないためハードルが高いのです。
今いる主要メンバーには、この領域自体への関心よりも、「自分と一緒にやること」への共感や、大企業の一部分ではなく小さな会社で全体を見ながら成長させていく面白さを伝えて集めました。
あらゆる角度から誘いますし、その人にとって来たほうがいいと心から思っているので、それを正直に伝えるようにしています。今後はこの業界に携わる価値や弊社のビジョンの魅力などで訴求できるよう日々邁進してまいります。
やればやるほど知識が深まっていくことが、大きなモチベーションになっています。介護の現場の実態も1か月前には知らなかったことですし、当社は介護だけをやっているわけではないので、他の業界でも日々新しい発見があります。
移民問題は先進国共通の課題であり、途上国との関係性や地政学的な背景、各国の国策なども深く関わってきます。なぜベトナムからの人材が多いのか、なぜアフリカの多くの国が途上国のままなのかといった問いに向き合う中で、グローバルな視点が自然と身についていきます。広くて深いテーマだからこそ、一生学び続けなければなりませんが、知的好奇心として純粋に楽しいです。
より多くの人に価値を届けたいと考えています。身の回りの数人だけではなく、構造として良い方向へ変えられる存在になりたい。そのために、お仕事のマッチングだけでなく、生活支援、住居、金融といった領域にもサービスを広げ、価値の「面積」を大きくしていきたいです。喜んでくれる人を最大化することがただただやりたいことです
また、業界全体の仕組みを変えていくことにも取り組みたいと思っています。現在この業界はほとんどがアナログで、企業側も求職者側もITリテラシーが低く、FAXや紙文化が残っているのが実態です。求職者が仕事を探す際も知人への問い合わせに頼る形が多く、情報の透明性が低いことで不正が起きやすい構造になっています。こうした現状を変えるために、DXやAIの力で透明化し、仕組みごと変えていきたいと考えています。

2つお伝えしたいことがあります。1つ目は、起業しようと思ったコアの理由を大切にしてほしいということです。社会性を持たせたい、リーダー的なポジションにいたい、上司が嫌だ、稼ぎたい、やりたいことをやっている会社がないなど、理由はさまざまだと思いますが、そのコアの部分をぶらさないことが大事です。
2つ目は、「起業したい」と言っている時点で、おそらく絶対にやりたいことはまだ見つかっていないはずだということです。でも、それは多くの起業家も同じです。外から見ると皆、明確な原体験があってそれに基づいて事業をやっているように見えますが、実際にはたまたま今の形になっているだけということも多いのです。
だからこそ、今の時点で一番やりたいことを、まずやってみてほしいです。一発で当てる必要はありません。1年やってみれば、次にもっとやりたいことが見つかることもあります。この一歩を踏み出さないと、5年経っても「起業したい」と言い続けて、気づけば家族を持ち背負うものが増え、結局できなくなる人がほとんどです。やりたいと思ったコアに忠実に、今時点で一番やりたいことをやる。それが、過去の自分にも伝えたいことです。
神戸大学卒、新卒で大手人材会社へ入社。不動産・外食業界の集客・採用支援を通じ、労働人口不足の深刻さを痛感。解決の糸口を求め、アジア各国へ。日本就労を夢見る人々の情熱に打たれ、株式会社Tanceeを創業。
日本の課題解決と外国人材の人生支援に挑んでいます。
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法人名 |
株式会社Tancee |
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HP |
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設立 |
2025年7月 |
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事業内容 |
外国人HRプラットフォーム事業 |
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