
形が不揃いな野菜や余った食材をレトルトカレーに変え、食品ロス問題に挑むMOTTAINAI BATON株式会社は、幼稚園から大学まで全国の教育現場と連携しながら、47都道府県の食材を生かしたカレーづくりを広げています。今回は代表の目取眞興明氏に、事業の詳細や起業の経緯、そして全国制覇を目指す展望について伺いました。
私たちは、本来の価値が十分に発揮されていない、いわゆる「もったいない食材」をレトルトカレーにすることで、食品ロス問題の解消に取り組んでいます。食材の価値は、誰かに美味しく食べてもらうことで初めて最大限に発揮されます。しかし、形が不揃いな野菜や規格外品などは、市場に出回らず廃棄されてしまうことも少なくありません。そうした食材を活かすため、レトルトカレーの製造・販売を行っています。
カレーを選んだ理由は、どんな食材でも美味しく活かしやすいからです。野菜や果物、肉や魚など幅広い食材と相性が良く、本来であれば廃棄されてしまう食材の魅力を引き出すことができます。また、レトルト化することで長期間保存できるため、食品ロスの削減にもつながります。
現在は100種類を超えるレトルトカレーを展開しており、今年もさらに50〜60種類の新商品を追加する予定です。
また、全国の学校と連携し、食を通じた学びの場づくりにも取り組んでいます。幼稚園から大学までを対象に、もったいない食材を活用したカレーの商品企画を子どもたちと一緒に行っています。
子どもたちは、使用する食材の選定やコンセプトづくり、パッケージデザインなどを担当します。そのアイデアをもとに、当社の管理栄養士がレシピを開発し、工場で製造した商品を子どもたちに確認してもらいながら完成させていきます。
これまでには、幼稚園児が考えたもずくのバターチキンカレーや、広島の高校生が企画したシカ肉カレーなど、その地域ならではの食材を活かした商品が生まれています。
また、東京・小平市で実施した取り組みでは、各クラスが「小平の魅力をカレーで表現する」というテーマに取り組みました。子どもたちが地域の食材や魅力を調べてカレーづくりに挑戦する中で、「子どもから地元のことを教えてもらった」という保護者の声もいただいています。
さらに、企業向けには「置きカレー」というサービスも展開しています。レトルトカレーやパックライス、カトラリーをオフィスに設置し、社員がPayPay等で手軽に購入できる置き型の社食サービスです。セットで550円、レトルト単体では450円で利用でき、オフィス側の導入費用はかかりません。外出せずにコンビニより手頃な価格で昼食を済ませられるサービスとして、導入が広がっています。
もともと食べることが好きで、将来は食に関わる仕事がしたいという思いから、東京農業大学へ進学し、食料環境経済学を学びました。しかし、就職活動が思うように進まず、卒業後は一度、薬局に就職しました。
薬局で数年働いた後、やはり自分は食に関わる仕事がしたいという思いが強くなり、農業ベンチャーへ転職しました。社長と直接一緒に働く機会が多い環境の中で、自分でも事業をやってみたら面白そうだと感じるようになりました。それから起業塾に入り、自分自身のこれまでの経験や価値観を深く掘り下げていく中で、「食品ロス」というテーマにたどり着きました。
起業当初は、現在のようなレトルトカレー事業ではなく、「もったいないまつり」というイベントからスタートしました。地域の神社や飲食店を会場に、形が不揃いな野菜など廃棄されてしまう食材を活用した料理を提供したり、そうした食材を使った料理を出す出店者を募ったりする形で運営していました。
ところが、会社員として働きながらイベントを準備していたちょうどそのタイミングで退職とコロナ禍が重なり、イベントの開催ができなくなってしまいました。そこで今の自分にできることは何だろうと考えた結果、これまで数多くのレトルトカレーを食べてきた経験を活かし、自分でレトルトカレーを作ってみることにしました。
試しに一つ商品を作ったところ、次々と製造依頼をいただくようになり、気づけば事業として広がっていきました。もしコロナがなければ、今もイベント事業を続けていたかもしれません。そういう意味では、コロナ禍が現在の事業へとつながる大きな転機になったと思っています。

まず小さく始めるということを、一つの軸として持っています。やってみないと分からないことは必ずあるので、予め考えすぎて実行に移せなくなるよりかは、今の自分にできることから小さく動き始める方が大事だと考えています。
弊社のレトルトカレーは200食という小ロットから製造できます。まずはトライアルとしてハードルを低く始められることを大切にしており、子供たちや企業との連携を広げるうえでも重要な要素になっています。また、小ロットで柔軟に動ける仕組みがあるからこそ、圧倒的なバリエーションが実現しているのです。
実は、正式な1商品目であるおからカレーより前に、0回目と呼んでいる失敗があります。当時、じゃがいもを活用したレトルトカレーを作ろうと考え、産地から工場へ100キロのじゃがいもを送ることにしました。しかし、輸送コストを抑えるために常温便を選んだ結果、工場に到着した時にはすべてのじゃがいもから芽が出てしまい、商品に使えない状態になっていたのです。
もったいないを解消する取り組みをしているのに、自分自身が一番もったいないことをしてしまったという事実が、とにかくショックでした。加えて商品の売り先も決まっていたので、そちらへの説明もしなければならず、1週間ほど本当に落ち込みました。
ただ、起きてしまったことは変えられません。気持ちを切り替え、翌年に改めてじゃがいもカレーを作り直しました。
この経験以来、輸送時の品質管理や、事前加工・冷凍によるリスク対策を徹底するようになりました。やはり、実際にやってみないと分からないことは多いと実感した出来事でした。

正直なところ、強いモチベーションがあるから続けているという感覚ではありません。目の前のお客様からお仕事をいただいている以上、その期待に応えたいという気持ちで続けています。
寄せられた依頼に一つひとつ向き合い、その期待に応えていく。そうするとリピートにつながり、さらに次の仕事につながっていきます。そうした積み重ねの中で、事業を続けてきました。
もちろん落ち込むこともありますが、立ち止まっているわけにはいきません。気持ちを切り替えて、また次の一歩を踏み出します。そんな一喜一憂しながらも、目の前の仕事に誠実に向き合い続けていきたいです。
47都道府県それぞれのオリジナルレトルトカレーを作ることが直近の目標です。現在27都道府県分が完成していて、折り返し地点を過ぎたところです。まず、この目標を達成した先にまた次のステップが見えてくると思っています。
また、将来的には海外展開も視野に入れています。そのために、ビーガン対応など輸出しやすい商品の開発も進めながら、まずは日本国内でしっかりとマーケットを確立していく方針です。その土台を築いたうえで、海外にも展開していきたいと考えています。
まず1つやってみることが大事だと思います。1円でも売ってみる、アイデアを小さく形にして世の中に出してみてください。そこで得られる気づきや失敗があって、初めて次に進めます。
今はAIをはじめ様々なサービスがあるので、起業のハードルも以前よりずっと下がっています。大きく始めようとするより、まずは実験として小さくやってみることが大切です。私自身もまだやり続けている途中ですが、小さく始めて一つずつ積み重ねることで、色んなことができるようになっていくと感じています。できなかったらやめればいい、くらいの気持ちで踏み出してみてください。
1990年12月生まれ、沖縄県那覇市出身。東京農業大学 国際食料情報学部食料環境経済学科卒。累計2,000食以上のレトルトカレーを食べてきたレトルトカレー研究家。2018年7月より「もったいないまつり」を開催。規格外品の無料配布や、もったいない食材を活用した料理提供のイベントを主催。
2020年1月 農業ベンチャー企業を退職
2020年5月 オンラインショップ「メドルマフーズ」を開始
2021年10月 MOTTAINAI BATON株式会社を設立
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法人名 |
MOTTAINAI BATON株式会社 |
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HP |
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設立 |
2021年10月1日 |
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事業内容 |
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