
株式会社モカブルは、コーヒー豆をまるごと微粉砕し、見た目も口溶けもチョコレートさながらの食品「MOKABLE」を製造・販売しています。ドリップ後に7割以上を捨てる従来の「飲む」コーヒーとは異なり、豆を丸ごと使うことで廃棄を出さず、豆本来の香りと余韻を味わえるのが特長です。今回は、代表取締役社長である糸山彰徳氏に、缶コーヒーの開発から独立に至った経緯や、産地の個性を生かすものづくりへのこだわりについて伺いました。
当社は、「コーヒーを食べる」をコンセプトにした事業「MOKABLE(モカブル)」を展開しています。メイン商品のモカブルは、コーヒー豆を使ってチョコレートのように仕上げた、新感覚の食品です。
この事業を始めた背景には、華やかなコーヒー業界の裏側に、まだ多くの課題が残っているという問題意識があります。当社はその一つである「豆かす」にフォーカスしています。実際にコーヒーを飲むとき、豆の7割から8割はドリップした後のカスとして残ってしまいます。実のところコーヒーは、豆の大半を捨てることを前提としているのです。
そこで当社は、そもそも豆かすを出さないよう、最初からコーヒー豆を丸ごと微粉砕して商品に加工しています。豆を捨てる前提のコーヒー文化そのものを変えたい思いから生まれたのがMOKABLEです。
製造工程は、まずコーヒー豆を焙煎し、焼き上がったものを抹茶ほどの細かさまで微粉砕します。それをチョコレートの製造と同様に、油脂や砂糖、ミルクと混ぜて捏ね、テンパリングをとって固めていきます。カカオは一切使っておらず、いわばカカオ豆をコーヒー豆に置き換えたイメージです。
ただし、コーヒーはカカオに比べて油分が少なく、そのままでは滑らかさが出ません。そのため、サステナブルな調達をしたパームフルーツの油やシアの油を少量加えて口溶けを整えています。
現在は2種類のメインフレーバーを複数の形態で販売しています。個人で楽しんでいただくパウチタイプに加え、ギフト需要に応えて箱に入れた形でもお渡しできます。見た目も味もチョコレートに似ているため、特にバレンタインなどの贈り物として選ばれています。
これまでは、バーやホテルといったBtoBを中心に展開してきました。ドリンクの添え物として提供したり、客室のウェルカムスナックとして置いていただいたりしています。一方で、百貨店の催事などを通じて「どこに店舗があるのか」との声を数多くいただき、お客様と直接コミュニケーションをとりながらブランドを育てる大切さを感じました。
そこで、今年の秋冬に東京の蔵前でオープンする実店舗を皮切りに、商品ラインナップの拡充とtoC展開を本格化していく方針です。
MOKABLEは、一口食べていただくと豆をそのまま食べているような香りの豊かさを感じていただけます。コーヒー豆が持つ豊かなオイルが口の中に残ることで、通常のコーヒーを飲むよりも遥かに強い余韻が生まれるのが特徴です。この体験を何より大切にしているため、あえてSNSマーケティングなどには頼りすぎず、イベントなどで実際に食べていただく機会を重視しています。
私はもともと大手飲料会社で缶コーヒーの開発していました。
コーヒーの豆かすを出すことなく、豆の個性をまるごと届けたいという強い想いが、MOKABLE着想の原点です。当初は豆かすの再利用も検討しましたが、水分を含む豆かすの輸送には余分な環境負荷がかかってしまいます。それならば、そもそも豆かすを出さない新しいコーヒー文化を作ろうと考え、豆を丸ごと活かす現在の形に行き着きました。
私自身、最初からコーヒーの道を志していたわけではありません。もともとは生物学の研究をしていましたが、商品を通じて人の気持ちや行動を動かす仕事がしたいという想いから、飲料会社へ入社しました。
そこで巡り合ったのが、缶コーヒーの開発部門です。まったくの未経験からのスタートでしたが、コーヒーが持つ底知れない奥深さに一気に魅了されていきました。商品開発への想いと、コーヒーと出会えた巡り合わせ。その2つが重なったからこそ、現在のMOKABLEという新しい挑戦へと繋がっています。

事業を進める上では、2つのバリューを軸にしています。 1つ目は、美味しさと情熱です。一口食べたときに「美味しい!」と驚いてもらえるクオリティにこだわりを持っています。2つ目はスピードです。失敗を恐れず検証と改善を最速で回すことを重視しています。
そのため、豆の選定も、一口で違いがわかる際立った個性と美味しさを持つものだけに厳選しています。浅煎りの華やかなフレーバーから深煎りの苦味まで、産地の個性を100%引き出す製法にこだわっており、今秋オープンする店舗では多様なフレーバーを展開していく予定です。
壁については、それが大きな壁になってしまう前に、小さいうちからスピード感を持って芽を摘み、解決してきた感覚があります。そのうえであえて挙げるなら、製造の立ち上げと、独立に向けた一歩を踏み出す決断です。
MOKABLEは最初は構想のイメージはあっても、私自身はこれまでドリンクの開発経験しかなく、チョコレートの製法とは勝手がまったく異なり、作り方すらわかりませんでした。そのため、チョコレートのプロの手を借りながら、試行錯誤を重ねて味を完成させていくプロセスには大きな苦労がありました。パートナー企業を見つけ出し、協力体制を築いていくこと自体も一つの大きなハードルでした。

モチベーションの原動力は、単純に仕事が楽しいということに尽きます。
自分が手掛けたプロダクトに対して、一人でも多くのお客様から「モカブルって美味しいね」と言っていただけることや、自分の挑戦が社会に認められることには何物にも代えがたい喜びがあります。そして何より、このブランドはきっと成功すると信じて集まってくれたチームの仲間たちと、想いや成果を共有できること自体が私にとって大きな推進力になっています。
また、チーム全体のモチベーションを育む上では、誰か一人の成功に留めず、みんなで目標を追いかけ、達成感を分かち合う姿勢を大切にしています。今のフェーズだからこそ味わえる、会社が大きくジャンプアップしていく瞬間や、試行錯誤を重ねる成長プロセスを全員で楽しむこと。その情熱と体験の積み重ねこそが、私たちが止まらずに走り続けられる一番の力になっています。
長期的には、MOKABLEを世界中の新しい食文化として定着させたいと考えています。現在は日本やカナダのトロントからスタートしたばかりですが、今後はアジアやヨーロッパも含め、10年後・20年後には「コーヒーを食べる」こと自体が人々の生活の中で当たり前の選択肢になっている状態を目指しています。
そのための短期目標として、私たちは日本と海外でそれぞれ異なる戦略を描いています。
まず日本での展開においては、お客様と直接コミュニケーションを取り、ブランドの説明や世界観を丁寧にお伝えできる、店舗ビジネスの確立を最優先としています。まずは店舗という場を通じてブランド認知とファンを増やすことに注力します。
一方で海外での展開においては、小売市場をベースにした拡大もミックスさせています。北米はプレミアムスーパーの市場が大きく、高価格帯の商品も日常的に手に取られる文化があるため、小売起点の方がスピード感をもって浸透させられるからです。
また、現地での展開にあたってはカナダに子会社を設立し、メンバーを現地採用しています。机上の調査にとどまらず、現場のカフェや店舗で迅速にトライ&エラーを繰り返すことで、北米市場での着実な成長を目指しています。

事業を進めていく上で何より大切だと感じているのは、スキル以上に「とりあえず何でもやってみる」というマインドセットかなと思います。法務や経理など、経験のない分野にも一人で向き合わなければならない場面は多々ありますが、その際に壁を作らず挑戦していく姿勢こそが、新しい道を切り拓く推進力になります。
そして、その中で自分の好きなものや楽しみを見つけた結果が「仕事」と結びついているのであれば、起業という選択肢はとても自然なものだと思います。本当にやりたいことが仕事そのものにあるのなら、ぜひ一歩踏み出して、一度思い切って挑戦してみてほしいですね。
現在、秋の店舗オープンに向けてまさに事業が加速しているタイミングで、一緒にブランドを育ててくれる仲間を求めています。
私たちが重視しているのは、高度なスキルよりも「モカブルへの強い熱量」です。実際に食べて「美味しい!自分もこの商品を広めたい」と心から思ってくださる方を最優先で迎えたいと考えています。
働き方は非常に柔軟です。たとえば、元大手食品メーカー出身のメンバーは、その知識を生かして開発生産部長として活躍しています。新フレーバーの開発や工場との調整を担っており、秋にオープンする蔵前店舗のキッチンも開発拠点となる予定です。オフィスにとらわれず、「一番成果を出しやすい場所で動く」のが当社のスタイルです。
昨日までのやり方がダメならすぐに次の挑戦へ向かうような、スタートアップならではの成長フェーズを丸ごと楽しめる環境です。「コーヒーや美味しいものが大好き」「新しい挑戦がしたい」という方は、ぜひ一度モカブルに触れてみてください。
大学院で生物学を専攻。研究の道を経て、人のマインドを動かすビジネスや商品開発に挑戦したいと考え、食品・飲料の大手企業へ入社。サントリーホールディングス株式会社のR&D部門でキャリアをスタートし、缶コーヒー「BOSS」の開発などに従事。2025年4月に独立し、株式会社モカブルを創業。
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法人名 |
株式会社モカブル |
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HP |
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設立 |
2025年4月 |
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事業内容 |
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