企業は情報発信を通して、自社の情報を正しく伝えたり企業のイメージ向上させたりできるなど、さまざまなメリットがあります。そのため、現代のビジネスにおいて、企業の情報発信は極めて重要です。
しかし、情報発信するメリットや方法、注意点が分からずどのように取り組んでいいものか迷っている企業も多いかもしれません。今回は企業が情報発信するメリットや注意点、おすすめのツールについて解説します。ぜひ、本記事を参考に、良質な情報発信に取り組んでください。
Contents
企業の「情報発信力」が求められる理由
企業の「情報発信力」が求められる理由には、インターネットが普及し、ユーザーが自ら情報を得ようとしていることが挙げられます。
そのため、新聞広告やテレビだけでなく、WEBメディアやSNSなど、多様化した情報発信ツールに対応しなければ、企業の認知拡大のチャンスを逃す可能性があります。一方で、中小企業や小規模事業所でもSNSやWEB広告を活用することで、潜在顧客の目に止まり、新規顧客を獲得することが可能です。
企業の情報発信は、商品やサービスの説明だけでなく、経営者のビジョンや企業理念を伝える目的もありますが、情報の正確性やコンプライアンスなどの配慮を怠ると、たとえ大手企業であっても意図しない誤解や批判に晒されることもあるでしょう。
企業は、さまざまな情報発信ツールに適切に対応し、正確かつ魅力的な情報を提供することで、顧客の信頼を獲得し、認知拡大につなげていく必要があります。
企業が情報発信ツールを活用することで得られるメリット
企業が情報発信ツールを活用することで得られるメリットには以下のようなことが挙げられます。
- サービスや商品の認知度向上
- ブランディング
- 顧客獲得
- 採用につながる
- ユーザー視点のサポート
これらのツールを適切に活用し、顧客のニーズに合わせた情報や意見を取り入れることで、ROI(投資対効果)や顧客満足度の向上などが期待できます。
サービスや商品の認知度向上
企業がSNSやWEB広告、テレビCMなどを活用し、情報発信を行うことで、サービスや商品の認知度を高めることができます。特に、近年ではSNSが広く普及していますが、SNSは無料でアカウントの開設ができ、拡散性も高いため、低コストでのプロモーション活動をすることが可能です。
顧客にアピールする機会を大幅に増やすことができるため、今後ますます企業にとって必要不可欠なマーケティング手段となることが予想されます。
ブランディング
企業が情報発信ツールを活用することで、ブランディングの効果を得ることができます。ブランディングは、主に企業の社会的イメージを良くするために行われる活動であり、その効果は企業の競争優位性を高めたり、顧客ロイヤルティを向上させたりすることができます。
例えば、SNSでは製品開発の裏側を公開することで、自社の専門性や独自性をアピールできます。また、ブログでは業界のトレンドやニュースを取り上げたり、役立つコンテンツを作成することで、自社のファンを増やすことも可能です。
顧客獲得
積極的な情報発信によって、目的に合わせたターゲット層へのアプローチが可能になります。
例えば、メルマガやSNSなどを活用することで、自社サイトへ誘導でき、新規顧客の獲得へと繋がります。また、展示会やセミナーなどの告知を行えば、既存顧客との深い信頼関係を構築できる可能性もあります。
ただし、情報発信ツールを上手に活用し、顧客獲得につなげるためには、タイミングや配信方法、コンテンツの質などを十分に把握したうえで戦略的なアプローチをしていかなければなりません。発信方法を誤ると、顧客獲得の機会を逃すだけでなく、かかったコストも無駄になってしまうため注意が必要です。
採用活動につながる
近年では、求職者が就職活動においてインターネット上で求人情報を収集することが一般的であり、企業が情報発信ツールを活用することは非常に重要な意義を持っています。
求人サイトへの掲載だけでは伝えきれない社風や社内の雰囲気を、企業の公式ブログやSNSアカウントを通して発信することで、求職者に対してより詳細な情報提供をすることが可能です。社員の声や職場の様子など、求職者が知りたいと思うポイントを押さえて発信することで、より良い採用活動につながります。
ユーザー視点のサポート
企業が情報発信ツールを通じて、ユーザー視点のサポートに取り組むことは、重要なマーケティング戦略の一環となっています。例えば、検索エンジンを使って、顧客が自社の商品やサービスに関する評判を調べた場合、企業は悪い評判や不満を素早く把握し、改善することができます。
また、SNSを活用してコミュニケーションを行うことで、企業と顧客のつながりを強化し、サービスや商品の品質改善につなげることができます。顧客満足度や信頼度を高めることで、良い口コミや評判につながりますので、ぜひ積極的に取り組んでいきましょう。
企業が情報発信する方法
ここからは、企業の情報発信ツールにおすすめのツールを紹介していきます。
- WEBサイト(ホームページ)
- メルマガ
- スマホアプリ
- SNS
- DM(ハガキ)
- 新聞広告・テレビCM
メリットや注意点にも十分に目を向け、自社にあった情報発信ツールを選び、情報発信を行うことが重要です。
WEBサイト(ホームページ)
現代のビジネスにおいて、Webサイト(ホームページ)は欠かせない存在となっています。
自社で運営するホームページやブログは、24時間365日稼働する営業スタッフのような機能を果たし、自社の魅力やこだわりを発信するのに適しています。ホームページやブログは「SEO対策」を行うことで、自社のホームページが検索上位に表示される可能性が高くなります。
デメリットとして、運用に時間やコストがかかることが挙げられます。更新を怠るとホームページの質が下がり、十分な集客効果を得られなくなるため、こまめな更新やコンテンツの作り直しが必要であり、運用リソースの確保が必要になります。
自社運営のブログにはnotoまたはnote pro(ノートプロ)の活用がおすすめです。両サービスともnote株式会社が提供しています。まずブログを始めるのであれば、完全無料版のnoteから始めるのがおすすめです。
法人向けのnoto proは高機能なプランが利用可能です。デザインのカスタマイズや分析機能、さらには経験豊富なカスタマーサクセスチームによるnoteの運用サポートも受けることができます。
noteは多くのユーザーが活用しているサービスのため、閲覧数を増やすことや、メッセージをとどけやすいところがとても魅力的です。さらに充実した独自機能を活用することでコンテンツをつくりやすく、さらにはカスタマーサクセスのサポートで運用をつづけやすいといったところがとても大きな特徴となります。
メルマガ
メルマガは、販促や顧客ファンの育成、イベント告知などに活用することができます。特に定期的に配信する場合、ユーザーは企業名やサービス名を見る機会が増えるため、企業の認知度があがりやすいといえます。
ただし、メルマガを活用する場合は、「特定電子メール法」に定められるルールを守ることが必要です。配信解除の方法を明示するなどが求められ、このルールを守らない場合は、懲役や罰金などの刑罰の対象となるため十分注意しましょう。
スマホアプリ
企業が情報発信する方法には、スマートフォンアプリの活用があります。アプリを使用して、店舗検索やクーポンの配信、商品の注文などが可能となるため、顧客との接点を増やし、企業価値を高めることができます。
アプリは、ユーザーの利用頻度が高く、長期的な顧客接点の構築に役立ちます。さらに、アプリの利用データから、顧客の嗜好や行動を把握することができ、マーケティング戦略の最適化につながります。
ただし、アプリのダウンロードには手間がかかるため、顧客にとって有益でなければなりません。ダウンロードすべき理由を明確にし、ストレージの圧迫やデータ使用などの不便さを上回るコンテンツの提供が求められます。また、アプリ開発にはかなりの費用や手間がかかるため、十分な検討が必要です。
SNS
企業が情報を発信するための方法として、SNSの活用が挙げられます。SNSを使うことで、リアルタイムで情報を発信し、ユーザーと双方向のコミュニケーションを取ることが可能になり、認知拡大やブランディング、購買行動にもつながります。
Facebook、Twitter、Instagram、YouTubeなど、様々なターゲット層に向けて情報を発信できるメディアがあるため、自社のサービスに合わせて選ぶことができます。また、情報を発信することでファンが増え、ユーザー自身が広告塔となるため、拡散によるリーチ数の増大を期待することができます。
ただし、SNSを利用するにあたっては、炎上を避けるため、配信内容に十分注意しなければなりません。情報を正確に伝えることはもちろん、「政治」「宗教」「ジェンダー問題」など、センシティブな内容には触れないといった配慮が必要です。
ベンチャー.jpでは、メディア運営の他にSNSでも情報発信をしています。コラム更新の情報発信や、起業家の皆さまとつながりを作るためのチャネルとして活用しています。
Twitterアカウント:https://twitter.com/venture_dot_jp
DM(ハガキ)
ハガキDMは新商品の紹介やイベントへの招待、セール情報やクーポン配布など、あらゆる販促に活用することができ、ユーザーにとっては開封の手間が少なく、手軽に情報を得られるため、開封・閲読率が高いことが特徴です。
また、インターネットが苦手な高齢のユーザーなど、幅広い年齢層に訴求することができるのも大きなメリットです。
ただし、DMは広告宣伝行為に該当するものであり、注意を払う必要があります。例えば、消費者に不利益を与えかねない誤解を招くような表現や、虚偽の内容を含む場合は、景品表示法違反に該当し、ペナルティを受けることになってしまいます。また、個人情報の取り扱いについても適切な管理を行う必要があります。
新聞広告・テレビCM
企業が情報発信する方法として、新聞広告やテレビCMなどのオフライン広告も忘れてはいけません。エリアを絞ったマーケティングができるため、地域限定の販促が可能であり、また、新聞広告やテレビCMは、閲読者層・視聴者層が広く、企業の認知度や信用度・イメージアップにつながります。
しかし、 特にテレビCMは、潜在層へのリーチ力が抜群である一方で、製作費や放映料など莫大な費用がかかるため、予算内で効果的に情報発信をするためには、配信先の視聴者層の特徴と合わせたメディア選定が肝要です。
新聞広告やテレビCMは、表現方法や法律、テレビ局の放送基準など、注意すべき点が多いですが、適切に運用することで、有効なマーケティング戦略を展開することができます。
ユーザー側が思う最適なツールは年代によって異なる
ユーザー側が選ぶ最適な情報発信手段は、ユーザーの年代によって異なります。
以下のデータは、株式会社WOW WORLDが生活者を対象に実施した「企業に求める情報発信とコミュニケーション方法」のアンケート結果の一部です。
あなたは企業と何でつながりたいと思いますか?【年代別分布】 ※複数回答可
引用元:【調査レポート】1,110人の生活者に聞いた「企業に求める情報発信とコミュニケーション方法」|株式会社WOW WORLD
20代や30代の若年層は「公式SNSのフォロー」が好ましいという結果が出ていることが分かります。40代以上の場合は、「企業のメールマガジン」を重要視していることが、データで読み取れます。
以上の調査結果から、年齢層によってコミュニケーション手段の好みが異なることがわかり、ターゲット層に合わせたマーケティング戦略の重要性が示されています。
企業が情報発信する際の注意点
企業が情報発信する際の注意点として、主に以下のようなことが挙げられます。
- 正確な情報であること
- 個人やプライバシーは守ること
- ソーシャルメディアガイドラインに違反しないこと
これらの注意点を守らずに運用を行えば、炎上などで会社の評判を落とすだけでなく、刑罰の対象になることもあるため、必ず守りましょう。
正確な情報であること
不明確な情報や信頼性に欠ける情報、および法律や医療、利害関係が絡む情報については避け、申し分のない情報源から得られた情報を発信することが望ましいです。
また、新しい科学技術における情報は不確かなものが多いため、個人的な見解や認識にも拘らず、慎重に判断することが必要です。
虚偽の内容を発信すること自体を規制する法律はありませんが、万が一嘘の内容で他人や他社の信用を落とすようなことがあれば、「信用毀損罪」や「偽計業務妨害罪」といった罪に問われる可能性があるため、決して軽く考えてはいけません。
個人やプライバシーは守ること
個人のプライバシーや特別な情報は公表すべきではありません。また「政治」、「宗教」、「ジェンダー問題」について発信することは、企業の広報業務では当然ながら、個人的なアカウントにおいても不適切と思われる可能性が高いです。
情報を受け取る側から見て、情報がパブリックなものかプライベートなものかということは関係がありません。
自己の発言によって人々に害を及ぼすことがあるかもしれないということや、個人情報の漏えいやプライバシーの侵害により法的責任を負うかもしれないということに、常に留意する必要があります。
ソーシャルメディアガイドラインに違反しないこと
ソーシャルメディア上での情報発信には、著作権法やプライバシー保護法などの法律に従う必要があります。
企業がソーシャルメディアガイドラインに従わずに、顧客のプライバシーを侵害するような投稿を行ったり、無断転載したコンテンツや、著作権を侵害するような投稿を行えば、相応のペナルティを受け、企業イメージに大きな影響を与え、顧客の信頼を失墜させてしまうでしょう。
企業は、ソーシャルメディアでのマーケティング活動を行う前に、ガイドライン策定から実施までの過程を明確にすることが大切です。
効果的な情報発信のためには企業のメディア化が不可欠
情報発信ツールを使うことで、企業は自社の情報を広く知らせることができるだけでなく、訪問者の動向を分析することができるため、戦略的な営業ツールとしても利用できます。
しかし、メディアは常に変化しているため、企業は常にニーズに合わせ柔軟にツールを変えていく必要があります。
情報発信は顧客目線で行うことが大切であり、企業のメディア化は今後ますます必要となっていくことが予測されます。
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