自社の商品やサービスを展開するときに、ブランディング戦略が重要になります。しかし、「そもそもブランディングとは?」「ブランディング戦略の立て方は?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ブランディング戦略について詳しく解説します。自社に合った戦略を立てられると商品・サービスの認知度や売上アップだけでなく、企業価値の向上も期待できます。
ブランディング戦略でお悩みの方はぜひ参考にしてください。
Contents
ブランディング戦略とは
ブランディング戦略とは、ブランディングを行うために立てる戦略のことです。そもそもブランディングとは、消費者に対して商品やサービスについて共通のイメージを持ってもらうことを指します。
近年、新しい商品やサービスが数多く登場しているため、自社が生き残るためには他社との差別化が不可欠です。そこでブランディングによって、競合他社との差別化を図り、独自のアイデンティティを確立させます。
ただし、ブランディング戦略は数多く存在します。企業によって最適な戦略は異なるため、ターゲティングやブランド・ポジショニングなどをしっかり行うことが重要です。
ブランディン戦略を立てるメリット
ブランディング戦略を立てるメリットとして、以下の5つが挙げられます。
- 顧客ロイヤリティの獲得につながる
- 他社との差別化を図れる
- 利益率を高く設定できる
- 認知度が向上する
- 宣伝費用が抑えられる
ブランディング戦略のメリットを把握しておくことで、その効果を最大化できるようになります。
顧客ロイヤリティの獲得につながる
顧客ロイヤリティとは、顧客のブランドに対する信頼や愛着のことです。単にリピート率が高くなるだけでなく、消費者が消費者へ宣伝したり、多少値上がりしても買い続けてもらえたりする可能性があります。顧客ロイヤリティを獲得するためには、消費者がブランドに対して良いイメージを持ってもらうことが不可欠です。
他社との差別化を図れる
ブランディング戦略によって、自社ならではの価値を消費者に伝えられます。近年、商品やサービスでの差別化が難しくなっているため、ブランディング戦略は非常に重要です。同じスペックや価格の商品であれば、イメージが良く、信頼できるブランドを選ぶ傾向があります。
利益率を高く設定できる
ブランディング戦略によってブランド価値が構築されると、価格設定が市場の平均より上回っていても消費者は購入してくれるため、利益率が上昇しやすくなります。また、競合他社との価格競争に巻き込まれることもありません。
代表的な例がAppleで、他の端末よりも高い価格設定ですが、新しいモデルが出るたびに買い替えるファンは多くいます。顧客ロイヤリティを獲得しているうえ、価格競争とは無縁なケースです。
認知度が向上する
ブランディング戦略によって認知度が向上すると、消費者に手に取ってもらいやすくなります。知らないブランドよりも、聞いたことのあるブランドや周りが使っているブランドの方が安心して使えるからです。
「〇〇といえば〇社」というように、製品と企業が紐づいている状態であれば、自社に合ったブランディング戦略を立てられた証拠となります。
宣伝費用が抑えられる
ブランド価値が構築されてリピーターがつくと、最小限の宣伝でも商品を購入してくれるようになります。宣伝費用が抑えられる分、他の部分に費用を割り当てることが可能です。
また、ブランドのファンになった消費者が、自発的に商品やサービスをSNSに投稿してくれることも多く、広告を出さずに宣伝できる場合もあります。
ブランディング戦略を立てるデメリット
ブランディング戦略を立てるデメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- 効果が出るまでに時間がかかる
- 効果測定が難しい
ブランディング戦略の策定にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。ブランディングを成功させるためにも、事前に把握しておくことが大切です。
効果が出るまでに時間がかかる
ブランディングは基本的に長期戦で、ブランドイメージを定着させるのに数年かかります。また、ブランディングが成功しても、数年後に時代の変化に合わせてリブランディングを行わなければならないケースは少なくありません。
少しでも早く効果を出すためには、企業全体にブランドイメージを浸透させることが大切です。
効果測定が難しい
ブランディングは目に見えないため、効果が出ているかどうか簡単に把握できません。効果測定は、ブランドリフトとサーチリフトという方法で行うのが一般的です。
ブランドリフトとは、ブランドに接触したことがある人とない人を比較する方法です。一方で、サーチリフトとは、特定のキーワードの自然検索数がどれくらい上がったかを測定する方法を指します。
ブランディングを成功させるためには、効果測定が不可欠です。定期的に効果測定を行い、必要に応じて改善を繰り返します。
ブランディング戦略の立て方
ブランディング戦略を立てるときは、以下のステップに沿って進めていきます。
- ターゲット層を明確にする
- ブランドの強みを明確にする
- ブランドの在り方を明確にする
- ブランドのクリエイティブをつくる
- ブランドの広め方を決める
事前に流れを把握しておくことで、ブランディング戦略をスムーズに立てられるようになります。
ターゲット層を明確にする(ターゲティング)
ブランディングは、自社の商品・サービスの価値を消費者に分かりやすく伝えるマーケティング活動です。そのため、ターゲット層を明確にする必要があります。世代や性別などの属性を始め、好みやニーズなども十分に見極めたうえで、ターゲットが購入してくれるようにブランド設計を行います。
ブランドの強みを明確にする(ブランド・ポジショニング)
価格や品質、デザイン性、機能性など、競合ブランドと比較したときに勝てるポイントを明確にします。市場において、どんな立ち位置を目指すかを決める重要なステップです。
特定したブランド・ポジショニングを活かせるように、ブランディング戦略を立てるのが基本的な流れとなります。
ブランドの在り方を明確にする(ブランド・アイデンティティ)
ブランド・アイデンティティとは、ブランドに対してどのようなイメージを持って欲しいのか、達成したいことは何か、顧客に提供したい価値観は何かなど、ブランドのコンセプトを明確にしたものです。
競合ブランドと差別化できるようなブランド・アイデンティティを策定する必要があります。ただし、自社の強みを活かし、企業文化や企業理念に沿ったコンセプトにすることが大切です。
ブランドのクリエイティブをつくる
ブランドのクリエイティブには、企業ロゴや商品デザイン、キャッチコピーなどが該当します。自社と競合他社との見分けがつきやすくなるようにするのがポイントです。
クリエイティブはブランドの「顔」になるため、時間をかけてつくる価値があります。
ブランドの広め方を決める
ブランディング戦略を実施するには、メディアへの広告展開や広報活動、SNSの活用など、さまざまな方法があります。自社のブランドイメージに合った方法を選択し、独自の価値を生み出すことが大切です。ターゲットの利用率が高い媒体を想定し、集中的に実施するのも一つの手段と言えます。
ブランディング戦略の成功事例
ブランディング戦略の成功事例として、以下の3社が挙げられます。
- 無印良品
- Apple
- 星野リゾート
自社に合ったブランディング戦略を立てるためには、実際にブランディングに成功した企業の事例を把握することが大切です。
無印良品
無印良品は、アパレルから日用品、文房具、家具まで、幅広い商品を扱っているブランドです。企業理念である「自然と。無名で。シンプルに。地球大。」を軸としたブランドコンセプトによって、一貫した商品を展開しています。
どの商品もシンプルなデザインが特徴です。商品の統一感が独自のブランド価値を確立し、国内のみならず海外でも多くのファンを獲得しています。
Apple
Appleは、iPhoneやiPad、MacBookなどを展開しているブランドです。今まで数多くのブランディング戦略によって、新作が出るたびに購入してくれるファンを獲得しました。中でも効果的だった戦略は、自社製品を販売する店舗「Apple Store」を設立したことです。
商品の購入後も、修理受付や新作のデモなどで、消費者が自然と集まるようになりました。Appleのファン同士でつながりも生まれた結果、顧客ロイヤリティの獲得に成功しています。
星野リゾート
星野リゾートは、全国各地にリゾートホテルを運営する企業です。複数のサブブランドを持っており、顧客のニーズを満たせるようになっています。ブランドによってコンセプトが異なるため、客層を奪い合うこともありません。
また、コンセプト通りに質の高いおもてなしをすることで、顧客満足度が上がり、同じ施設のリピーターを増やすのではなく、グループ全体でリピーターを増やすことに成功しています。
ブランディング戦略を成功させるポイント
ブランディング戦略を成功させるポイントとして、以下の3つが挙げられます。
- ブランディング戦略の成功事例を確認する
- 消費者の意見を把握する
- ブランディング会社を利用する
ポイントを押さえた上でブランディング戦略を立てることで、ブランディングが成功しやすくなります。
ブランディング戦略の成功事例を確認する
ブランディング戦略で成功している企業は数多く存在します。他社の成功・失敗事例は自社で行うときの参考になるため、事前に確認すると良いでしょう。なお、事例は自社が扱う商材やターゲットが似ている方が参考になりやすいです。
消費者の意見を把握する
ブランディング戦略を成功させるためには、定期的に自社ブランドに対する消費者の意見やイメージを確認する必要があります。BtoB事業であれば、既存顧客や見込顧客へのインタビュー、自社営業担当者へのインタビューが役立ちます。
求める結果が出ていないときは改善が必要です。場合によっては、新たなブランディング戦略を立て直します。「実行→効果測定→改善」のサイクルを繰り返すことが、自社のブランド価値を確立させるのに欠かせません。
ブランディング会社を利用する
ブランディング戦略に関するノウハウが自社にない場合は、ブランディング会社を利用する方法も一つの手です。専門知識を持つ人が自社に最適なブランディング戦略を提案してくれるため、効率的かつスピード感のあるブランディングが可能となります。
また、ブランディングを実施するときにサポートもしてくれるので、今までブランディングの経験がない企業でも安心して依頼できます。
ブランディング戦略は認知度や売上アップに不可欠
ブランディング戦略とは、消費者に対して商品やサービスについて共通のイメージを持ってもらうために立てる戦略です。近年、商品やサービスでの差別化が難しくなっており、ブランディングは欠かせないマーケティング活動となっています。
ブランディング戦略を立てることで他社との差別化を図るだけでなく、顧客ロイヤリティの獲得や高い利益率の設定、認知度・売上アップなども期待できます。ただし、効果が出るまでに時間がかかるうえ、効果測定が難しいです。
自社にノウハウがない場合は、ブランディング会社に依頼することをおすすめします。専門知識を持ったプロが最適なブランディング戦略を提案してくれるため、自社で行うよりも成功しやすいです。自社で行う場合は本記事を参考にして、ブランディング戦略を立ててみてください。
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