自社でブランディングを実施する際に、ブランディング戦略が上手く立てられないケースは少なくありません。ブランディング戦略で困ったときは、フレームワークの活用がおすすめです。
本記事では、ブランディングに役立つフレームワークについて詳しく解説します。手順や活用時のポイントなども紹介しているので、ブランディング戦略でお悩みの方は参考にしてください。
Contents
ブランディングにフレームワークが必要な理由
フレームワークとは、ビジネス上の考え方や意思決定、分析、課題解決などをチームで共有するための方法です。ブランディングにおけるフレームワークでは、具体的なブランディング手法や課題の解決方法などを担当者に伝える役割があります。
また、スムーズにブランディング戦略を立てるためにも、フレームワークは不可欠です。活用することで、ブランディングの精度や効率性が改善されます。
ブランディングでフレームワークを活用するメリット
ブランディングでフレームワークを活用するメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- ブランディングにかける時間が少なくなる
- 客観的な意見を取り入れられる
フレームワークでは決めるべき項目が明確なため、ブランディングにかける時間を最小限に抑えることが可能です。また、主観的な意見が入りづらく、中立な立場でブランディング戦略を立てられます。
ブランディングにかける時間が少なくなる
フレームワークを導入することで、ブランディング戦略の考案からブランディングの実施までにかかる時間を短縮できます。フレームワークでは、考えるべき項目や決めるべき項目があらかじめ明確であるため、無駄な会議や議論をなくすのにも有効です。
ブランディングを行うまでのフローが短縮され、人的・金銭的コストの削減につながります。
客観的な意見を取り入れられる
自社でブランディング戦略を立てると、主観的な意見が入ってしまう傾向があります。フレームワークでは客観性が取り入れられるため、中立的にブランディング戦略を立てられるようになります。
ブランディングでプロの視点も取り入れたい場合は、ブランディングの専門会社に依頼するのも一つの手です。最適なフレームワークやフレームワークの組み合わせを提案してくれるため、自社にノウハウがない場合でもブランディングが成功しやすくなります。
ブランディングに役立つ4つのフレームワーク
ブランディングに役立つフレームワークとして、以下の4つが挙げられます。
- SWOT分析
- 3C分析
- PEST分析
- ポジショニングマップ
上記以外にも、ブランディングに役立つフレームワークは数多くあります。ブランディング戦略の精度を上げるためには、自社に合ったフレームワークを選ぶことが大切です。
SWOT分析
SWOT分析とは、自社や業界などの現状を分析したいときに役立つフレームワークです。SWOTは「強み(Strength)・弱み(Weakness)・機会(Opportunity)・脅威(Threat)」
の頭文字を取った言葉であり、市場の流れや競合他社との比較をプラスとマイナスで分けて分析します。
自社の強みや弱みを理解し、社外との関係性を客観的に把握することが可能です。また、強みをさらに強くする戦略や弱みや脅威を掛け合わせた解決策を考える際にも役立ちます。
3C分析
3C分析とは、「競合(Competitor)・自社(Company)・顧客(Customer)」をそれぞれ分析し、自社ブランドのターゲットとなる市場や顧客層を特定するためのフレームワークです。
自社の強みと弱みを発見し、新たな強みを作ったり、弱みを補強する方法を考えたりすることができます。また、ユーザーが求めるものと自社でしか提供できないものが見えてくるため、独自のブランド価値を創造するために役立ちます。
PEST分析
PEST分析とは、経営戦略やマーケティング手法の策定に利用するフレームワークです。「政治(Politics)・経済(Economy)・社会(Society)・技術(Technology)」の4つをそれぞれ分析し、自社のマクロ環境(外部環境)が将来に与える影響を予測します。
長期的な目標や中期的な方針を設定する際に利用される場合が多く、PEST分析の精度が高いほど効果的なブランディングが可能です。ただし、マクロ的な分析となるため自社だけではなく、外部データも積極的に取り入れる必要があります。他の分析よりも時間と費用がかかることを念頭に置いておきましょう。
ポジショニングマップ
ポジショニングマップとは、自社の立ち位置を確認するために利用するフレームワークです。独自のポジションを作り出し、他社と差別化を図ることを目的としています。
縦軸と横軸による2次元の座標で構築され(例えば縦軸で価格、横軸で耐久性など)、自社と競合他社の商品・サービスがどの位置にあるのか客観的に把握できます。目指すポジションから、行うべき施策を逆算することも可能です。
ただし、ポジショニングマップの縦軸と横軸に関連性があると、グラフが一直線になってしまい、他社との差別化が上手くできないため注意が必要です。
ブランディングを実施する手順
ブランディングを実施する際は、以下のステップがあります。
- 自社の課題を洗い出す
- 自社のターゲットを決める
- 自社の立ち位置を明確にする
- ブランドイメージを明確にする
- ブランディングを実施する
基本的な手順を把握しておくことで、効率的かつ精度の高いブランディングが可能となります。
自社の課題を洗い出す
ブランディングを実施するときは、まず自社の商品・サービスの課題や改善方法を明確にする必要があります。自社の課題を洗い出す際は、フレームワークの活用がおすすめです。フレームワークによって、効率的かつ精度の高い分析が可能となります。
自社の課題を洗い出したら、チーム内で共有します。その他、ブランディングの目的も事前に浸透させておくことが大切です。それぞれのメンバーが異なる方向を向いていると、ブランディングにブレが生じる可能性があります。
自社のターゲットを決める
ブランディングでは、自社の商品やサービスを売り出すターゲット層が非常に重要です。ターゲットによって最適なブランディングが異なるため、しっかりターゲティングを行いましょう。ターゲティングとは、ターゲットとなりうるペルソナを設定することです。
年代や性別などの属性に加えて、価値観やこだわりなどのパーソナリティ、ライフスタイルなども細かく設定します。ペルソナを設定するのは、ブランディングに関わるメンバーがペルソナに共感しやすくするためです。ペルソナが曖昧だとブランドコンセプトが大きくブレて、ブランディングも失敗に終わってしまう可能性が高くなります。
自社の立ち位置を明確にする
ブランディングでは、自社の目指すポジションを明確にすることも重要です。世間にどのような企業として認知されたいのか、市場においてどんなポジションで事業を展開したいのかを明確にします。
ポジショニングを行う際は、競合他社との差別化を図る方法も一緒に考えておくことで、独自の強みを活かしたブランディングが実現されやすくなります。
ブランドイメージを明確にする
消費者に抱いて欲しいブランドイメージを明確にすることも、ブランディングにおいて重要なステップです。ブランドアイデンティティが曖昧だとブランド価値が定着せず、イメージを浸透させるのが難しくなります。
それに対してブランドイメージであれば、キャッチコピーやブランドロゴ、WEBサイトのデザインなどもそれに合わせて考案できるようになり、ブランドイメージもさらに統一しやすくなります。
ブランディングを実施する
上記のステップで立てた戦略を基に、ブランディングを実施します。ブランディングの実施方法は、広告展開やSNSの活用、イベントの開催などさまざまです。ターゲット層に対して効果的にアプローチできる方法を選択します。
ブランディングの実施後、ある程度時間が経ったら効果測定も欠かせません。求める効果が出ていない場合は、修正や改善を行う必要があります。
ブランディングでフレームワークを活用するときのポイント
ブランディングでフレームワークを活用するときのポイントとして、以下の4つが挙げられます。
- フレームワークで集める情報に一貫性を持たせる
- 社内全体に目標を浸透させる
- 消費者の視点に立つ
- 定期的に効果検証を行う
フレームワークを活用すれば、ブランディングが成功するわけではありません。下記で解説するポイントをしっかり押さえることが大切です。
フレームワークで集める情報に一貫性を持たせる
フレームワークを活用する際は、集める情報に一貫性を持たせることが最も重要です。自社に都合の良いデータばかりを抽出したり、効果が出ている分野だけ見たりする活用方法だとブランディングは成功しません。
自社の弱みなどもしっかり明確にすることで、精度の高いブランディングが可能となります。
社内全体に目標を浸透させる
ブランディングの短期的な目標や長期的な目標などは、社内全体に浸透させることが重要です。同じ目標に向かって社員一人ひとりが業務を遂行することで、ブランディングが成功しやすくなります。
ただし、目標が共有できていても、社員のエンゲージメントやモチベーションが低ければ意味がありません。風通しの良い環境を作り、社員が働きやすいと感じる職場にすることが大切です。
消費者の視点に立つ
ブランディングは自社だけでなく、消費者の視点を分析して行うことが大切です。ただし、消費者からの視点を把握する際、自社に関するアンケートだけでは不十分です。ターゲティングした消費者がどのような基準で、商品やサービスを選択しているかなどのリサーチも必要になります。
定期的に効果検証を行う
ブランディングの効果を最大化するためには、定期的な効果検証が不可欠です。改善すべき点が浮き彫りになるので、軌道修正が行いやすくなります。ブランディングは中期的・長期的な施策ですが、効果検証の結果を短期的目標の再設定に活用することも可能です。
フレームワークを活用してブランディングを成功させよう
フレームワークを活用することで、効率的かつ精度の高いブランディング戦略を立てられます。ブランディング戦略は、ブランディングの成功を左右する重要な要素です。
ただし、フレームワークを活用すれば、ブランディングが必ず成功するわけではありません。企業によって適したフレームワークやフレームワークの組み合わせは異なるため、しっかり選定することが大切です。
自社にブランディングのノウハウがない場合は、専門会社の利用を検討してみましょう。専門知識を持ったプロが、ブランディング戦略の立案から実施までサポートしてくれます。自社で行う場合は、本記事を参考にしてフレームワークを活用してみてください。
関連記事