【#364】業界初の中小企業向け人材シェアリングサービスで、固定費削減&スキルアップと人手不足を同時解決|山本 凌大(CLEAR INNOVATION株式会社)

CLEAR INNOVATION株式会社 代表取締役CEO 山本 凌大
CLEAR INNOVATION株式会社は、中小企業向け人材シェアリングプラットフォーム「99サポート」を運営しています。従業員を企業間で柔軟に共有できるモデルにより、貸す側は固定費削減や従業員のスキルアップ、借りる側は人手不足対策という双方向のメリットを実現します。今回は同社の代表取締役CEOを務める山本凌大氏に、事業内容や今後の展望なども含めて詳しくお聞きしました。
中小企業の課題に特化した人材シェアリングプラットフォーム
事業の内容をお聞かせください
現在、コンサル事業に取り組みながら、今年の4月頃から新たに始める「99サポート」の準備を進めています。これは、現在の人材業界の課題に対応したサービスです。
現在、新卒で一人を雇うのには百万円、中途採用だと何百万円ものコストがかかると言われています。雇用後も固定費の負担が大きく、かつ人材の流動性が高まっている今、すぐに辞めてしまうリスクもあります。
大手企業やハイクラス転職の領域では、人材も資金もあるので対応できますが、中小企業やベンチャー企業は人に関する問題を解決しきれていません。また、人材ビジネスは儲かるため、サービスも大手企業やハイクラス転職の領域に集中しがちです。
そこで、逆をついて中小ベンチャー企業をサポートするサービスを作りました。内容としては、企業様に会員になっていただき、会員同士でお互いの従業員を様々な条件や期間でレンタル・異動・貸し借りできるマッチングプラットフォームです。
このビジネスの特徴は、新規性の高さです。多くの中小企業は大手企業のように仕組み化・組織化されておらず、それぞれ特性が異なります。そのため、中小企業をターゲットとした人材サポートに取り組んでいる企業は少なく、大手もあえてニッチな領域には展開していないのが現状です。
だからこそ、私たちは独自のネットワークを活かして、誰も取り組んでいない中小企業同士のマッチングを最初に押さえ、そこにコミュニティを作ることでサービスの価値を高めていきます。そうすることで、既存の大手から中小へ、あるいは他業界から中小へとマーケットも展開できると考えています。
実際に、大手企業から中小企業への人材移動や、フリーランス・派遣会社から中小企業へのマッチングは既にありますが、中小企業同士のマッチングは誰も行っていません。そのため、マッチングの仕組みやデータの取り扱いについてビジネスモデル特許を取得し、権利化して守っています。
現在、ローンチ前のクローズドな段階ながら、非常に注目されており、先行会員企業も増加しております。料金体系は非常に手頃な月額料金を設定しており、さらに初期段階では月額料金を無料とし、成果報酬型で発生料金の一部のみをいただく明確な仕組みとしています。業界の不透明な料金体系を変えるため、すべてのコスト構造を開示し、参入しやすい環境を整えています。
具体的にどのような働き方ができるのでしょうか?
このサービスでは、企業同士で人材を柔軟に活用できる仕組みを提供しています。私はわかりやすく「人材のシェアリング」や「レンタル異動」と呼んでいますが、実態は「企業間での業務委託」です。例えば、週3日は自社で働き、週2日は他社の業務を担当するという柔軟な働き方が可能です。
契約内容については企業同士で決めていただきます。私たちは仲介に徹し、企業で一般的にある協業や業務委託の形で進めていただきます。機密情報の取り扱いやプライバシーに関しても、「この業務はお願いできるが、このデータには触れない」などの条件を当事者同士で設定していただくので、齟齬は生じません。
また、人材派遣との違いも明確にあります。派遣業は派遣会社が自社社員を送り込むモデルですが、当サービスでは会員企業が自社人材のデータを登録し、他の会員企業が「このスキルを持つ人材を期間限定で借りたい」という形でマッチングします。
マッチングが成功すれば、人材を貸す側には固定費削減や従業員に対しての更なる成長機会を提供できるメリットがあり、「人材を雇ったが任せる業務がない」といった中小企業の課題を解決できます。一方、借りる側は一時的な人手不足に柔軟に対応でき、正社員雇用のコスト負担を避けられます。
実際のニーズとしては、決算期の会計人材の一時的な補強などがあります。最近の事例では、物流企業とPR会社がマッチングし、PR会社の若手社員が週2日、半年間にわたって物流企業で勤務しました。その結果、小規模会社では経験できない採用業務を学ぶことでスキルアップを図りながら、物流企業の人手不足も解消するという、双方にメリットのある取り組みが実現しました。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
大学1年生の時、1年浪人して入学した明治大学でサークル活動に熱中する中で、次の共通の壁として就活の存在を意識し始めました。しかし、形式的な就活に違和感を感じていた私は、大学の起業家養成講座で出会った経営者に弟子入りしました。その後約1年間修行し、自分で食えるだけのスキルを身につけた状態で、大学2年生で起業しました。
起業当初は就活支援事業を試みましたが、残念ながら失敗に終わりました。そこで立ち止まって考えたとき、私の強みは、500人を超える経営者との対話経験だと気づいたのです。そこで、周りの中小企業経営者に話を伺ったところ、中小企業だからと人材面での課題解決を諦めているケースが多いことがわかりました。
実際に、人材ビジネスは利益獲得のため大手企業向けサービスに偏っていますが、日本企業の99.7%を占める中小企業に特化したサービスは不足しています。経産省も厚労省もリスキリングの重要性を強調する中、雇用を維持しながら社外でスキルアップできる仕組みを提供することで、企業と個人、そして社会全体のレベルアップに貢献したいと考え、このサービスを立ち上げました。
絶対的な「中小企業ファースト」を貫く
仕事におけるこだわりを教えてください。
中小企業・ベンチャー企業ファーストの姿勢を貫くことにこだわっています。
「99サポート」という名前には、日本の99パーセントを占める中小企業の課題を、私たちが救急隊となって解決するとの意味が込められています。
私は事業構築で最も重要なのは「誰の何を幸せにするのか」との一点に尽きると考えています。私たちは「規模が小さいから」との理由で諦めてしまっている中小企業ならではの課題を解決したいのです。
だからこそ、たとえ収益性を追求するように求められても、サービス料金を不当に釣り上げるようなことは絶対にしません。株主からさまざまな意見をいただくことになるかもしれませんが、それは覚悟の上です。
起業から今までの最大の壁を教えてください
学生起業ならではの経験不足とメンタル面での脆さに壁を感じました。
起業を決断するとさまざまな人との関わりが増え、株式の話など複雑な問題が出てきます。その時、自分のビジネスリテラシーの低さが会社の運営に支障をきたすのではないかという危険性を感じました。
また、サービスの方向性についても苦労しました。
当初は今とは全く異なるサービス内容で、さまざまな人に相談すると否定的な意見が多く、その度に落ち込んでいました。一度就活の事業で失敗した経験もあったことにより、この時は「これではダメだ、ピボットしなければ」と悩み、軸がブレてしまっていました。
しかし、ある時「もう誰に何を言われてもやるしかない」と覚悟が決まってからは、状況が変わりました。サービスの収益性について否定的な意見を多くいただく中で、私は自分の信念を貫くことを決意しました。そこから「中小企業・ベンチャー企業ファーストで貫く」という信念が確立されていきました。
前人未到のチャレンジをし続ける
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
「非常識を新常識に変える」という思いがモチベーションになっています。
この言葉は当社のミッションにもなっています。世の中には破壊的なイノベーションが必要とされているにも関わらず、反対されることや潰されることを恐れて、実行する人は少なく、新しいことに挑戦しても諦める人が多いです。
「99サポート」のサービスも、過去に挑戦しようとした人はいたはずです。しかし、何らかの壁があってクリアできていなかったのでしょう。前人未到の領域に挑戦し、達成できるかという点が、私自身を強く突き動かしています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
今後は中小企業のためのインフラを作り、挑戦しやすい世界を創りたいです。
起業すると上場がゴールのように思われがちですが、私はそうは考えていません。上場はあくまでも手段なのです。実現したいことは、中小企業やベンチャー企業のための「99サポート」を提供し、それを当たり前のインフラにすることです。
このような世界が実現すれば、自然と人材業界も最適化され、中小企業も生き残っていけます。このようにお互いが助け合うエコシステムを作りたいと考えています。
現在、中小企業のインフラは、ほとんど存在していません。だからこそ、そこでポジションを確立し、デファクトスタンダードとなるものを作り上げたいです。これまでになかったけれど、もう既に浸透して当たり前になるような世の中を目指しています。
人に会わないとビジネスは始まらない
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
人にたくさん会うことをお勧めします。
ビジネスの絶対条件は、誰かの困りごとを解決することです。しかし、その解決策は自分の頭の中だけで考えていても見つからないことが多いです。だからこそ、たくさんの人と会って「今度こういうのはどうですか」と提案してみたり、「何か困っていることはありますか」と聞いてみたりすることが重要です。
そして、スタートアップの最大の強みは「スピード」です。これをやると決めたら、すぐに行動に移しましょう。実際、私も大学1〜2年生の頃、何百人もの経営者に直接会いに行きました。それは、実際に会って話をする価値があると考えていたからです。
恐れずに行動を起こしてください。失敗しても、それは次に繋がる経験になります。実際に動いてみて初めて見えてくるものが多くあるので、まずは動いてほしいです。
最後にサービスへの思いをお願いします
中小企業の経営者は1人で複数の役割を担い、限られた人材での運営に不安を抱えている方が多いです。「99サポート」も中小企業だから仕方ないと諦めている企業の課題を解決するために立ち上げました。
このサービスでは、一時的な人材ニーズの充足、余剰人材の有効活用、社員の成長機会創出が可能となります。求人企業、人材提供企業、人材本人の三者がメリットを得られる仕組みで、現在は初期期間の料金を無料とし、成果報酬型で運営しています。
このように、我々は中小企業ならではの人材課題に向き合い、具体的な解決策をご提案いたします。人材に関するお悩みがございましたら、ぜひ一度ご相談ください。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:山本 凌大氏
明治大学に入学後、在学2年生時に日本の人材業界に疑問を抱き、CLEAR INNOVATION 株式会社を設立。代表取締役CEOに就任。
企業情報
法人名 |
CLEAR INNOVATION株式会社 |
HP |
|
設立 |
2023年8月17日 |
事業内容 |
中小企業に特化した人材シェアリングプラットフォーム「99サポート」を運営。 |
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