
アートと採用という一見かけ離れた2つの事業を軸に、独自の世界観を切り拓いてきた株式会社NOMALは、「好きに進む人が増えていく社会」というビジョンを掲げ、オフィス壁画制作から採用コンサルティング、お笑い事業、プロ野球独立リーグ球団の創設まで、型にはまらない挑戦を続けています。今回は、代表取締役の松本祥太郎氏と、取締役副社長の平山美聡氏のお二人に、事業の詳細や起業の経緯、そして今後の展望について伺いました。
松本 祥太郎氏(以下松本氏):株式会社NOMALは、採用コンサルティング事業とアートビジネス事業の2軸を中心に展開しています。
採用コンサルティング事業は、業界特有の追い風もあって創業当初から堅実な売り上げを実現しています。多くの企業が、事業戦略に対して適正な人件費がいくらであるかを把握できていない現状があるため、企業の採用戦略策定から内定・配属後のフォローまで、いわば「人事部長の代行」として機能しています。
幅広い業種で利用されていますが、中でもエンジニア採用・介護士採用・施工管理職採用など、求人募集のハードルが高いと言われている企業にご利用いただくことが多いです。
平山 美聡氏(以下平山氏):アートビジネスは、通販サイトの「WASABI」とオフィスの壁画事業を主軸としていて、アーティストが手がけるオーダーメイドの壁画は企業のオフィス移転・新設の機会に多くご利用いただいています。
アーティストにただ制作を委託するのではなく、社員を巻き込みながら一緒にモノづくりをするそのプロセスを多くの企業に高く評価いただいています。
壁画はオフィスだけでなく、屋外の壁面を活用して壁画広告事業としても展開しています。アーティストがその企業のことを考えて描くことや制作にかかる時間そのものを通じて、企業のストーリーは自然と伝わりやすくなります。企業のブランディング戦略としてとても有効的なのです。

松本氏:さらに、お笑い芸人を支援するライブ主催・メディア運営事業、プロ野球独立リーグ球団「堺シュライクス」の立ち上げ(現在は株式の大半を譲渡済み)など、多様な事業に携わってきました。
松本氏:弊社は設立当初は、私が前職で採用コンサルティングに携わっていたことから、採用コンサルの会社として立ち上げました。
私たちは大学時代に行っていたインターンで出会い、卒業後もお互い一般企業に勤めながら親交を深めていました。その頃から平山はSNSで自分の描いた絵をよくアップしていたため、いずれはデザイナーやアートを描く仕事をするのではないかと感じていました。
平山氏:私がNOMALに参画したのは、松本が採用コンサルティングで事業を立ち上げてから一年が経ったタイミングでした。
当初は私も採用事業を手伝うつもりでしたが、入社前に訪れたサンフランシスコでアートの世界に触れ、「アート事業をやりたい」と直感的に思ったのがこの事業に乗り出したきっかけです。
初めは通販サイトのみを運営していましたが、今日の事業の核となるオフィスの壁画事業を始めたのも、過去に自分が働いていた時に感じた「オフィスにアートがあったらいいのに」という思いがもとでした。

平山氏:アート事業に携わっているからこそ、ほかの業種とは違い、当たり前の提案が求められるというわけではありません。そのため、あえて場を揺さぶる視点を持ち込むことで、クライアントの新たな可能性を引き出すように意識しています。このスタンスは、アートという業界の在り方そのものを体現しているとも言えます。
松本氏:正直、自分の中でこだわりはあまりないのですが、日ごろから社員に伝えているのは「まずやってみる」ということです。その姿勢が今のNOMALにみられる多様な事業形態につながっているのだと思います。
もう一つの大切な軸が、「好きに進む人ファースト」という考え方です。アーティスト、お笑い芸人、プロ野球選手など、NOMALが関わるすべての「好きに進む人たち」を最優先に考える姿勢は、社内で共通する価値観となっています。
松本氏:これまでで最も大きな危機は、コロナ禍に訪れました。当時は採用コンサルティング事業が売上の柱でしたが、緊急事態宣言とともにほほ全ての企業が採用活動を停止したことで、わずかな期間で売り上げが消失しました。新規の案件獲得が不可能な状態で、蓄えてきた貯金も半年経たないうちに底をついてしまい、手の打ちようがない状態が長らく続きました。
しかし、この苦境がかえってアート事業の飛躍のきっかけとなりました。「おうち時間」ブームでアート通販の需要が伸びたり、オフィス縮小移転の際に「せっかく移転するなら、空間をおしゃれにしたい」という企業からの壁画事業への問い合わせが急増しました。狙って様々な事業を展開していたわけではなかったのですが、多種多様な事業をやっていてよかったと感じた瞬間でもありました。

松本氏:私は、今ある事業が、誰かが好きに向かって進むためにどんな形であっても役に立っていると信じています。その事業がなくなってしまわないように、今後も続けられるようにしていきたいという気持ちが、私が前に進むモチベーションになっています。
平山氏:私としては、第一にアーティストのためにという思いがありますし、制作を通じてアーティストと関わることができてよかった、というクライアントからの言葉も前向きになることができているので、それがモチベーションになっています。
松本氏:直近の目標は「アートといえばNOMAL」と顧客に認識してもらえるように、シェアを広げることです。アート×ビジネスの領域はまだ小さなマーケットですが、だからこそ先駆者として確固たるポジションを築きたいと考えています。
平山氏:アート事業を手掛ける会社として、ニュース性のある面白い切り口の仕組みを作って、それらを世間にアピールしていきたいと考えています。
松本氏:まずは今好機を迎えているアート事業で着実に利益を上げ、お笑いなど様々な事業に着手していきたいと考えています。
平山氏:事業を継続させる観点で、互いにリスペクトし続けられるパートナーを探すことは肝になると思います。私たちは創業の前から交友関係にありましたが、友人でありつつも最終的には上下関係を設定しておくことが大切だと感じています。
松本氏:私の場合、友人を起業に誘った以上は絶対に失敗できないというプレッシャーがうまく作用してより熱心に事業に励むことができました。
また、金銭感覚が一致するかどうかも重要です。各々のお金の使い方に理解ができなければ、関係性はどこかで破綻してしまいます。これは使い方にとどまらず、お金をどれだけ生み出すかという収入資質の価値観にも当てはまります。
これらは、立ち上げのタイミングでしっかりと取り決めておかないと後々苦労してしまうでしょう。
平山氏:また、起業の人数にかかわらず、外部からのアドバイスは聞いても聞きすぎないことが大事だと思います。他人の意見を反映させるほど、元の自分の発想とはかけ離れたものになってしまうため、一定の軸を自分の中で保つといいと思います。

法政大学経済学部を卒業後、株式会社毎日コミュニケーションズ(現株式会社マイナビ)に入社。新卒採用事業部にて法人営業を担当し、新人賞をはじめ全国新規契約者数第1位・プレーヤー賞金賞など多数受賞。大手企業から中小企業まで150社以上の採用コンサルティングで実績を残す。2015年7月、株式会社NOMALを設立し代表取締役に就任。2018年7月、プロ野球独立リーグチーム堺シュライクスを立ち上げ球団オーナーに就任。「好きに、進む人が増えていく」社会を目指す。
慶應義塾大学環境情報学部(SFC)卒業後、2010年に株式会社資生堂に入社。アートへの情熱を胸に28歳で退社し、株式会社NOMALを創業して取締役副社長に就任。当時ほとんど市場が存在しなかったアートビジネスの領域に参入し、2016年にアート通販「WASABI」を立ち上げる。2017年にはオフィス壁画事業を展開し、これまで200件以上の導入実績を重ねる。2024年にはアート×ビジネスの融合をテーマに「ART LIVE TOKYO」を主催。
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法人名 |
株式会社NOMAL |
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HP |
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設立 |
2015年7月10日 |
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事業内容 |
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