株式会社FURAI 代表取締役社長 鈴木 悠峰

eスポーツチーム「FURAI」を経営する株式会社FURAIは、選手のリクルーティングから資金管理、トレーニングなどを率い、競技に集中できる環境づくりに取り組んでいます。特に日本で発展途上のWeb3/GameFi領域を主力に置き、Web3ゲームとeスポーツの掛け算による未開拓市場のパイオニアを目指す会社です。鈴木社長自らも高校時代から国内eスポーツの競技シーンにおいて活躍している同社で、仕事へのこだわりや進み続けるモチベーションについて伺いました。

 

Web3ゲームに特化したeスポーツチームで未開拓フロンティアを切り拓く

事業の内容をお聞かせください

私たちは、主にWeb3ゲームに特化したeスポーツチームを運営しております。

 

Web3ゲームは、ゲーム内で獲得した資産を暗号資産やNFTとして獲得できるのが特徴です。従来のゲームでは、ゲーム内でプレイヤーが入手した資産はゲーム内でのみしか価値が発生しなかったため、大きな改革だと言えます。

 

ただWeb3ゲームは仮想通貨が絡むため、企業がゲーム配信者に案件として依頼しても受け入れられないケースが多く、Web3ゲームを促進したい企業とプレイヤーがつながりにくいのが現状です。

 

そこで当社ではチームの運営の他に、Web3ゲームに好意的である配信者の方を集めたコミュニティの実現を促進しています。コミュニティとWeb3ゲームのプロモーションや大会運営をおこなうクライアントとの懸け橋になることで、Web3×eスポーツ領域の発展に貢献していきたいと考えております。

 

また私自身が現在、東京理科大学4年に在籍する学生のため、学生中心のコミュニティづくりにも取り組んでいます。Web3ゲームは金銭が絡むため、困りごとやトラブルがあってもリアルの友人には相談しづらいという声が少なくありません。そこで同じWeb3ゲームを楽しむ学生のコミュニティを運営することで、問題を抱え込んでいる学生の助けになったり、Webゲームの未来を担う学生たちの育成に繋がったりするのを目指しております。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

私自身が高校時代からeスポーツ選手としてプレイしていたのも、eスポーツで事業を始めた理由のひとつです。しかし、eスポーツ領域で起業をしようと決意した最大のきっかけは、大学でeスポーツに関心が深い柿原教授との出会いです。

 

柿原教授は長年国内外でマーケティング実務に携わって来た、マーケティングのエキスパートです。eスポーツにも興味を持たれており、2022年4月に東京理科大学の教授に着任してすぐに、eスポーツに関係する研究プロジェクトを立ち上げられました。そのプロジェクトのなかで、柿原教授と現役のeスポーツ選手である私で共同経営会社を創設し、チームを拡大していこうという話が持ち上がりました。

 

実はそのタイミングで、私が主にプレイしていたモバイルゲームのサービスが終了してしまい、しばらく事業を継続していくべきなのか悩みました。しかし私自身がeスポーツ選手として続けたいという思いが強く、選手として活躍し続けるためにも事業を続けていくべきだと考え、現在に至ります。

 

今のeスポーツ業界は、大学や高校を卒業するタイミングで選手を引退してしまうケースがほとんどです。やはり収入や将来性が不安定なeスポーツ業界よりも、将来を見据えて安定した仕事に就きたい方が多い傾向にあります。その業界の実情に立ち向かうという意味も込めて、自ら事業を立ち上げました。

 

先ほど述べた通り、Web3はゲーム内の資産が暗号資産やNFT等になりそれを現金化できます。実は高校時代から、米国株式や暗号資産に関する投資も始めていたためその延長線上にあるWeb3ゲームにも興味もち実際にプレイや投資を始めました。eスポーツとWeb3ゲームどちらにも関係がある領域を見つけられたこともきっかけの一つかもしれません。

(画像は2024年4月に実際に香港で行われた世界大会に出場した時の写真)

 

会社の利益よりもチームや選手の想いを大切にしたい

仕事におけるこだわりを教えてください。

やはり私自身が選手であり、選手や配信者側の実情も理解しているため、彼らの気持ちを大切にするのが第一です。共同経営をしているため「もっと利益を取るべきだ」という意見も上がりますが、それでも選手ファーストにこだわり、当社のチームらしさを維持していきたいと考えております。

 

そもそもWeb3ゲーム業界自体が、選手個々の考えを尊重している雰囲気があります。

一般的なeスポーツチームは、ひとつのチームのみに属して活動するのが基本です。しかしWeb3ゲーム業界は複数のコミュニティを掛け持ちしている人が多い傾向にあり、その方針をeスポーツでも応用できないかと考え、ひとつのチームにこだわらなくても良いという方針で運営しております。

 

ただ選手がチームを掛け持ちしていると、選手同士でのトラブルなども発生しやすいデメリットもあります。その場合は僕が仲介に入り、選手としての視点を大切にしながらも経営者として取るべき対応をおこなっています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

eスポーツチームの運営はゲーム会社の開発状況などに依存してしまうため、こちらの計画や思惑通りに行かないときに壁を感じます。

 

また従来のゲームと違いWeb3は仮想通貨が関わるため、抵抗感を持つ方が多いのも課題です。近年新NISAなどのおかげで投資が流行し、寛容な方も増えてはいますが、まだ偏見の目は残っています。「仮想通貨=怪しい」という偏った見方ではなく、株式と同様に社会情勢等で価値が変動するものだと捉えてもらい、投資手段のひとつとして浸透して欲しいと願っています。

 

eスポーツ自体も、まだ「本当にスポーツなのか」と議論される場面が多く、社会的に不安定な立ち位置です。確かに身体を動かすスポーツと異なる点はありますが、人と人が対戦し、勝つためにチームメイトと協力して切磋琢磨していく様は変わりません。Web3と同様に、eスポーツがスポーツであるという認識を世間に広めていくためにも、弊社の事業を推進していきたいと考えております。

 

自分なら国内でWeb3ゲーム×eスポーツのパイオニアになれる

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

私は起業する以前からeスポーツ競技だけでなく暗号資産への投資も行っていたため、この2つが交わった瞬間に「これは私にしかできないジャンルだ」と確信しました。eスポーツと投資、どちらかに詳しい方は多くいますが、どちらにも明るい方はほんの一握りでしょう。このチャンスを絶対に見逃さず、この分野で成功を収めたいという思いが進み続けるモチベーションです。

 

また私自身がeスポーツ選手として在り続けるためにも、この業界に挑戦し続けたいと考えています。同じようにWeb3ゲームプレイヤーとして輝き続けたい方や、Web3関係者のニーズに応え、国内でのWeb3ゲームやeスポーツ業界の地位を確立したい思いを糧に、日々挑戦し続けています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

今後も選手の個性やチーム運営を第一に、世界のチームとも互角に戦える環境を整えていきたいと考えています。

 

学生コミュニティの規模も十分ではないので、毎月オフラインで100から200人が交流できる場を用意し、Web3とeスポーツの発展に貢献できる立場を確立するのが目標です。さらに営利・非営利双方でのさまざまな活動を通じて社会に還元できるよう、ビジネス企画の立案と実施、それを担う人材の開発や教育事業を進めていきます。

 

今は事業展開していなくても、eスポーツに関心を持ってくださったり、私のようにWeb3ゲームに関連した会社を作ってみたいと考えたりされている方も結構いらっしゃいます。

そのためeスポーツやWeb3ゲームに興味がある企業様と、この業界がさらに盛り上がるようなプロジェクトも検討しています。

 

よくeスポーツで聞くのが、「選手層が若いから若い層からのチケット購入しか望めないのではないか」という懸念です。スポンサーとしてついても、あまり利益を得られないだろうと敬遠される企業も少なくありません。

しかしWeb3ゲームのファン層は、20代後半から30代前半が多い傾向です。そもそも仮想通貨に投資できる層が集まっているので、金銭的に余裕がある方も多く、広告目的でスポンサーとしてついてもメリットは大きいのではないかと感じております。

 

今後Web3ゲームやeスポーツ事業を展開したい企業様はもちろん、20代後半から30代前半に広告を打ち出したい企業様ともwin-winな関係を築いていけたらと思っております。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:鈴木悠峰 氏

 

企業情報

法人名

株式会社FURAI

HP

https://www.furai.jp/

設立

2022年9月

事業内容

eスポーツチームの運営、コンテンツビジネスの企画立案・実施、人材開発・教育事業、および関連事業

 

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