
株式会社エンリージョンは、新潟を起点に8県で地方特化型のUIターン転職支援を展開する人材紹介会社です。代表取締役の江口勝彦氏は、プロバスケットボール選手からリクルートでのセカンドキャリアを経て、2010年に同社を設立。金銭だけに頼らない報酬設計や、社長自らが講師を務めるキャリアデザイン研修など、独自の取り組みで「働きがい」を追求する同社の取り組みについて詳しくお話を伺いました。
弊社は地方へのUIターン転職の支援を行う人材紹介業を展開しています。2010年に新潟で創業し、現在16期目を迎えました。新潟からスタートし、長野・富山・石川・福井の5県、山梨、群馬、滋賀と、今では8県にエリアを展開しています。
どの県にも18歳になると半数以上が大学進学で県外に出ていくという共通の社会課題があります。地元には国公立大学が1つか2つ程度で、私立大学の選択肢も少ないため、どうしても大学入学を機に首都圏に転出して、そのまま都市部で就職する人がほとんどです。
ところが結婚や子育てを考えたとき、実家が遠く、頼る先がないという不安に直面したとき、地元で暮らしたいという気持ちが芽生えます。そういう方々に、地元にも素晴らしい企業があることを伝え、転職という形で橋渡しをすることが我々の仕事です。
私は、千葉大学卒業後にプロバスケットボール選手として新潟に来ました。26歳でプロを引退しセカンドキャリアを考えたとき、地方に行ってまで働きたい会社はあるのかと正直思いました。
しかし大手企業に入社し、求人広告の営業として地域の経営者にお会いするうちに、知らなかっただけで、面白い会社はたくさんあると気づきました。高校までの記憶では地元の企業を10社挙げてくださいと言っても、ほとんどの人が答えられません。その情報の断絶を埋めたいという思いが、この事業の原点です。

大手企業での経験が大きいと感じています。驚いたことにその会社は、年齢も性別も年次も契約形態も一切関係ないフラットな組織だったことです。社員が生き生きしていて、これほど面白い会社があるのかと衝撃を受けました。
しかし同社は、成長機会に恵まれた魅力的な職場である一方で、長期的に同じ場所で働き続ける前提の会社ではありませんでした。出世を目指すのであれば転勤が不可避であり、特定の地域に根差してキャリアを築くことは難しいという現実に向き合う中で、この社風を持つ会社を自ら地方でつくればいいのではないかという発想に至りました。
働きがいのある職場であること、誇れる仕事を信頼できる仲間とともにできること、地域の相場以上の報酬を得られるなど、自分自身が「ここで働きたい」と思える環境を整えることを創業当時から目指しています。
最近では、グローバルな評価機関であるGPTWの「働きがいのある会社」ランキングで中部1位に選出されました。日本では約700社がエントリーしている中から認定企業が選ばれ、さらに「トップ100」として企業規模によって部門が分けられます。
当社は小規模企業部門で選出され、エリア分類では中部地方1位という評価をいただきました。
正直、地方企業でエントリーしている会社はとても少ないです。働きがいに対する感度は、都内であれば広報の一環として「みんなでやっていこう」となりますが、地方ではまだその意識が広がっていないのが現状です。
だからこそ、地方企業がもっと働きがいを発信していくべきであり、その先頭に私たちが立っていきたいと思っています。
ベンチャー企業である以上、報酬を重視する姿勢は欠かせないと考えており、成果に応じた評価制度を整えています。
実際に、渋谷からUターンで入社した23歳のメンバーが、入社1年未満ながら高い成果を上げ、前職の倍程度の報酬を得ている事例もあります。年次や経験に関係なく、成果に対して正当に評価し還元する仕組みが根付いています。
一方で、私たちは非金銭的な報酬も重視しています。前職で体験した拍手と握手の文化を取り入れ、成果を上げた社員を称賛する風土を醸成しています。表
彰の場では、仲間からの拍手とともに、上司から直接握手を交わし、その努力と成果を称えます。信頼する仲間からの祝福や、尊敬する上司からの感謝の言葉は、金銭では代替できない価値を持つ報酬だと思っています。
私たちが掲げる経営理念は物心両面の幸せです。金銭的な報酬によって物質的な充足を実現し、仕事のやりがいや達成感によって精神的な満足を得るという両輪が揃ってこそ、真の意味での働きがいが生まれると考えています。

私自身が講師となり、全社員にキャリアデザイン研修を展開することにも力を入れています。
UIターン転職を支援する事業を手がける立場として、求職者の人生の分岐点に関わる以上、どの求人が得かなどの表面的な判断だけでは本質的な支援にはなりません。
どのような人生を送りたいのか、どこで暮らし、どのように子育てをしたいのかという問いに向き合い、自分自身を深く理解することが不可欠です。
研修は1対3の少人数制で行い、全3日間、合計約25時間をかけて実施し、自身の価値観や志向を言語化します。また、内容を他者からのフィードバックを通じて深め、自分は何を大切にしているのかという気づきへと落とし込んでいきます。
その後、終わりを描くというテーマのもと、人生の最期にどのような状態でありたいかを考えます。そして最後に20年後の未来像を具体的に描いていきます。
この取り組みの中で私たちが特に重視しているのが、キャリアデザインと人事評価を切り離すことです。評価と結びつけてしまうと社員がどう見られるかを意識した発言に偏ってしまう恐れがあるためです。
そのうえで、自分自身の意思でキャリアを選択し、納得感を持って働き続けられる状態をつくることが重要だと考えています。結果として、社員が長く働き続けたいと思える組織であることが理想です。
社員一人ひとりの人生をより良いものとするために、あえて評価とは切り離したキャリア支援を大切にしています。
組織としての考え方を揃えることを目的としたもので、担当者が自身の体験をまとめて発表し、それに対して全員でフィードバックを行います。
営業で成果を上げたとしても、それが共有されず、何も反応がなければ、達成感は十分に得られません。一方で、「今日どうだった?」と声をかけられるだけでも、自分の存在や努力が認められているという実感につながります。
こうした日常的なフィードバックの積み重ねが、自分はここにいていいんだと思える安心感や承認につながっているのです。
さらに、拠点が分かれていても一人にさせないという考え方を大切にしています。コロナ禍以前からオンラインでのコミュニケーションを積極的に取り入れ、各拠点をZoomで常時接続する体制を構築してきました。
画面越しにいつでも声をかけられる環境を整えることで、考え方の共有やフィードバック、賞賛が、拠点の垣根を越えて自然に行われています。

現在は前職でのネットワークを活かし、北海道から沖縄まで10社・28拠点のグループで連携しています。
今後は、47都道府県すべてをカバーすることを目標に、9県目、10県目へのエリア展開を進めていきます。また、これまで社内で実施してきたキャリアデザインの研修事業を、今後は都内を中心に外部にも広げていきたいと考えています。
UIターン転職は今後さらに増えていくと見ています。共働き世帯が当たり前になり、夫婦それぞれがキャリアを築く中で、子育てや住居費をめぐる課題がより複雑化し、様々な選択を迫られている方々が非常に多いです。
そんな時に、地元に実家があり親御さんの支援を受けられるという環境は、そうした新たな選択肢を社会に提示していくことこそが、私たちの役割であると考えています。
地方企業の多くが人材の確保に課題を抱えています。働きやすさを整えることはもちろん重要であり、オフィス環境の整備はその第一歩だと考えています。
しかし、そこからさらに一歩踏み込み、働きがいをいかに創り出すかに向き合うことこそが、都市部で働く方々にこの会社で働きたいと思っていただくための最大の武器になると考えています。
また、報酬のあり方についても、金銭的な側面だけで捉えるのではなく、多様な価値として捉えることが重要だと感じています。
オフィスづくりや表彰の場づくり一つをとっても、そこに明確な意図と意味を持たせ、その積み重ねが、企業としての魅力を高め、地方に目を向けていただくきっかけになると考えています。
私たちは、こうした取り組みが地方企業の可能性を広げていくと信じています。

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法人名 |
株式会社エンリージョン |
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HP |
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設立 |
2010年10月 |
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事業内容 |
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