株式会社4kiz 代表取締役CEO 本山 勝寛

株式会社4kizは、15歳以下の子ども向けSNSアプリ「フォーキッズ」を開発・提供する会社です。「フォーキッズ」は、子どもたちが安全な環境下において、自身の創作品をショート動画や画像で投稿し、創造力を伸ばす場として、全国の保護者やメディアから注目を集めています。株式会社4kiz 代表取締役CEOの本山 勝寛氏に、詳しい事業内容や今後の展望をお聞きしました。

 

子どもたちが安心して使い、可能性を伸ばせるSNSを

事業の内容をお聞かせください

当社は15歳以下の子どもを対象としたSNSアプリサービス「フォーキッズ」を開発・提供する会社です。

 

現代の子どもたちは、子どもの頃からタブレットやスマートフォンなどを利用するのが当たり前となっています。しかし、Instagram・TikTok・XなどのSNSは、利用規約上13歳以上でないと使えないため、12歳以下の子どもは利用できない状況にあります。それは、不特定多数の人が利用するSNSは子どもにとって安全ではないと考えられているからです。

 

とはいえ、実際には12歳以下の子どもであってもSNSにアクセスできてしまうため、規約違反して利用している子どもも多いのが事実です。そして、性犯罪やいじめなどの深刻なトラブルが発生し、決して安全とは言えない状況にあるのです。

 

そこで、我々が開発したのが「フォーキッズ」です。想定する対象年齢は4〜15歳の子どもとその親となっており、アプリ登録時は必ず親がアカウントを作成し、子どもを紐づける形となっています。投稿の公開前に親が確認できる設定や、子どものコメントやフォローの可否、コミュニティへの参加の可否、利用時間の制限などを設定できる機能も充実させています。

 

また、誹謗中傷やいじめに繋がる可能性のあるNGワードを設定しており、そういった投稿ができないようにしたり、使用しようとした子どもには注意喚起を行ったりしています。NGワード以外にも、不適切と思われる投稿をAIによる自動検知と人の目で常にチェックし、投稿を未然に防いでいます。

 

そして、「フォーキッズ」は子どもの創造性や可能性を伸ばすプラットフォームとして、ショート動画や画像の投稿、チャットで交流できるコミュニティなどの機能を提供しています。

 

イラストや自由研究、歌やダンス、プログラミングなど自身の創作品をショート動画・画像で投稿し、子ども同士お互いの作品を見たり、応援のコメントをもらったりすることで刺激を受け、創造性やモチベーションを高めることができます。

 

また、好きなテーマで複数人とチャットができるコミュニティ機能では、自分と同じ趣味や関心のある全国の子どもたちと交流することができます。

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

私にはまさに「フォーキッズ」を使う世代の子どもが6人います。数年前、当時11歳の娘にタブレットを購入したところ、タブレットでたくさんの絵を描いて楽しむようになりました。

 

親として「多くの人に自分の作品を見てもらい、反応をもらえたら、子どもはモチベーションが上がり、もっと才能を伸ばすことができるのではないか」と感じました。

 

そこで、子どもが自身のアカウントを保有して投稿できないか調べたところ、世界のどのSNSも規約上13歳以上でないと使用できないことがわかったのです。子どもが当たり前にスマホやタブレットを活用しているこの時代に、世界のどこにも安全に使用できるSNSがないことに非常に驚きました。

 

そして「好きなこと、夢中になっていることを、安全な環境で自ら発信できれば、子どもの創造力や可能性をもっと伸ばすことができるのに。そんなSNSを世界で誰も提供していないのであれば私がしよう!」と一念発起したのです。

 

実はもともと私は、18歳の頃に人生50年計画を立てており、40代で起業するというビジョンを持っていました。その時私はまさに40歳を迎えており、起業するのに適したタイミングでした。さらにこの時、尊敬する投資家が起業に関する書籍を出版し、その際に開かれ起業塾にも参加するチャンスがあり、「今起業に挑戦すべきだ」と最後の一押しをしてもらったような感覚がありました。

 

このように全てのタイミングが重なり、「フォーキッズ」の事業立ち上げを決意したのです。

「この事業を実現・継続させる」という強い使命感

仕事におけるこだわりを教えてください。

当社は「子どもたちの可能性を無限に引き出す世界中のつながりをつくる。」をミッションに活動しています。このミッションの実現こそ、我々の使命であり、ゆずれない想いとなっています。

 

私はハーバード教育大学院の学生時代から、「子どもの教育に関する分野の事業をいつか立ち上げたい」という想いがありました。しかし、100年以上続く学校教育だけでは、これからの時代に十分ではないと考えており、時代に合った子どもの成長を支えるプラットフォームの存在が必要だと考えていました。

 

このような想いが当時からあり、「そんなプラットフォームを実現させるのは自分しかいない」という使命感を持ち続けているため、常にミッションの達成に向けて突き進むことができているのです。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

スタートアップ企業にとって「資金調達」は大きな壁です。当社も事業の拡大・存続のため、投資家の方々から何度も資金投資を受けています。しかし、「この資金投資がなくなれば、会社が倒産してしまう」という危機が幾度もありましたし、これからもないとは言えません。

 

大企業であればこのような心配はほとんどないと思いますが、スタートアップ企業にはつきものです。安定したサービス提供を続けられるよう、「何がなんでも事業を継続させ、発展させるんだ!」という強い意志をもって日々事業を行っています。

 

また、アプリのリリースにあたり、開発を行うのも大変な作業でした。私はエンジニアではないので、開発を行ってくれるエンジニアに依頼する必要があったのですが、スタートアップの会社ゆえ、そこまで良い待遇で依頼できるわけではありませんでした。となると、「フォーキッズ」の事業に共感してくれるエンジニアに参画してもらう必要がありました。

 

また、2022年2月に開発をスタートしましたが、子どもたちの夏休みに合わせて同年7月にリリースを予定したため、短期間での開発となり、エンジニアのメンバーの大きな尽力なしでは、この事業を円滑にスタートさせることはできませんでした。

世界中の子どもたちが使えるプラットフォームへ

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

「『フォーキッズ』は世の中に絶対に必要なサービスである」という確信がモチベーションになっています。つい先日、オーストラリアで16歳未満の大手SNSの使用を禁止する法律が可決されるなど、「子どものSNSの使用は危険」という傾向はますます高まっており、世界的な社会課題となっています。

 

しかし、現代の子どもたちのSNSの使用を全面的に禁じるのは、時代の流れとして現実的ではありません。このような国内外の状況を見ても、子どもたちが安心して使用できるSNS「フォーキッズ」は明らかに必要なサービスです。

 

投資家の皆さんにはサービスや想いに共感していただける一方、ビジネスとして収益を上げていくことが難しい事業だと言われることもあります。しかし、大学院で学んだこと、これまでの経験、自分の子どもを含め世界中の子どもたちの可能性を伸ばしたいという強い想い、すべてひっくるめて私の天職だと考えているので、サービスの拡大に向けて進み続けることができています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

大型の資金調達を行って事業を拡大し、「フォーキッズ」を世界中の子どもたちに使ってもらえるSNSに進化させたいです。

 

現在、「フォーキッズ」の収益は広告・サブスクリプション・企業タイアップの3種類から得ています。中でも、次のフェーズでは企業タイアップに力を入れていきたいと考えています。子ども向けの商品やサービスを開発したい企業はたくさんありますが、そういった企業が子どもにアンケートを行ったり、直接意見を聞いたりする機会はほとんどありません。

 

「フォーキッズ」と提携していただくことで、アプリ上に企業も参加したコミュニティを作成し、子どもと直接交流し、アイデアを得ることができるでしょう。子どもたちにとっても、自分たちの意見が参考にされたり反映されたりするのは成功体験になりますし、小さいうちから社会勉強を積むことができます。

 

また、「フォーキッズ」は子どもたちが他の友達に勧めて、利用者が口コミで増えていく形が理想だと考えています。招待機能を使ってワンクリックで友達をアプリに招待できるようになっているため、「このアプリ楽しいよ!」と口コミを広めてもらいたいです。

 

現在、ユーザーは約5万人ですが、2031年までには1,000万人に成長させ、世界の子供たちが表現できる場、想像力をのびのびと成長させられる場を広げていきたいです。

強い情熱と意思をもって起業を

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

前職では新規事業の提案を行い、仕事の傍ら本の執筆にも挑戦しました。これらの経験や行動が、現在の起業活動に大いに役立っています。「このアイデアを形にしたい」「この課題を解決したい」という強い情熱がある方には、ぜひ起業に挑戦していただきたいと思います。その思いが強ければ強いほど、同じ志を持つ仲間がきっと現れます。まずは行動することの大切さも忘れないでください。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:本山勝寛 氏

東京大学工学部システム創成学科知能社会システムコース卒業、ハーバード教育大学院国際教育政策修士課程修了。極貧家庭に育ち、高校1年生から親が家にいないなかアルバイトで生計を立てる。塾や家庭教師に一切頼らず、独学で東京大学、ハーバード大学院に合格する。理系から文系、工学から教育学まで幅広く学ぶ。

 

アジア最大級の国際NGOである日本財団で、教育や人権、国際協力、障害者支援、パラリンピック支援、子ども支援事業を手がけ、これまで立ち上げた新規事業は30以上にのぼる。パラリンピックサポートセンターのディレクター、子どもサポートチーム、人材開発チームのチームリーダーを歴任。2021年11月に退職し、独立起業。

 

企業情報

法人名

株式会社4kiz

HP

https://4kiz.jp/

設立

2021年12月1日

事業内容

  • 子ども向けSNSサービス、WEBサービス
  • 子ども向け・親子向け事業のコンサルティング、広報支援、SNSマーケティング、商品開発
  • 教育、子育て、子どものSNS等に関する講演、研修、ワークショップ、出版

 

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