
日本最高水準の介護付き有料老人ホームを展開する株式会社アライブメディケアは、ご入居者一人ひとりの尊厳を守り「真の望みを叶える」というミッションのもと、独自のウェルビーイング経営と先駆的な人財採用で業界に新しい風を吹き込んでいます。今回は代表取締役社長である安田雄太氏に、事業への思いから高円寺への移転に込めた哲学、そして今後の展望までを伺いました。
弊社は、日本で一番高級な介護付き有料老人ホームを企画・運営しています。入居一時金3,000〜4,000万円、月々30〜40万円という価格帯で、東京都内(杉並区・新宿・渋谷・世田谷・大田区等)に12事業所を展開しています。入居者の平均年齢は90歳で、8割の方が認知症を患っています。
弊社の特徴は、30〜40室という少人数制の施設規模と、入居者1.5人に対してスタッフ1人という手厚い人員配置です。通常の有料老人ホームでは3人に1人のスタッフ配置であるのに対し、倍以上のスタッフを配置することで、一人ひとりのご様子やリクエストにきめ細かく対応できる環境を整えています。
かつての介護現場は、住み慣れた邸宅を離れざるを得なかった方々が、一部屋に6〜8人が収容されカーテン一枚で仕切られた、およそ生活する場所とは言えない状況でした。25年ほど前まで、認知症や介護が必要な方には、人間としての尊厳が認められない世界しか選択肢がなかったのです。
私自身が研修で目にしたのは、行動が制限され、精神薬での過剰な鎮静や身体拘束が当たり前に行われる現実でした。日本を築き上げてきた方々の人生の最後が、これほど不適切な場所であってはならない。この強い問題意識こそが、私の原点です。
私たちは「社会インフラとしての箱」ではなく、尊厳が守られ、これまで以上に自分らしく可能性を見出せる場所を作ることに命を懸けました。価値に見合うコストを追求した結果が、日本最高水準の価格帯です。
現在、私たちはこの信念のもと、25年かけて磨き上げてきたお一人ひとりと向き合った介護を12の事業所を都内中心部で展開し、「超高齢者×富裕層」の方々の「最後の人生に、ワクワクを。」提供しています。

弊社の福利厚生の根底にあるのが、ウェルビーイング経営という思想です。スタッフ全員が安心して働き続けられる環境を整えることが、最高のケアの提供につながると考えています。
全体約500名のうち400〜420名が介護業務に従事しており、そのうち40%がインド・インドネシア等の海外人財です。育休・産休制度も積極的に整備しており、子育て中のスタッフとそれ以外のスタッフが互いを理解し合えるコミュニケーション環境づくりにも力を入れています。
また、認知行動療法を応用したCBTトレーニングを導入し、自分の思考の癖や認知の偏りを理解するためのワークを定期的に実施しています。日々の取り組みを共有するアプリ「Talknote」も活用しており、スタッフの頑張りを私が承認する仕組みも整えています。
最も注力している施策の一つが、インド北東部からの海外人財採用です。2017〜18年から取り組みを開始し、国内の介護士不足と質の課題に対する独自の解決策として打ち出しました。
私が問題視していたのは、介護士の数の不足だけではありませんでした。日本人介護士の質のバラつき、つまり世の中への否定的な思いを持つ方が介護の現場に増えていること、その方が弱者のケアをした時に問題が生じることの方が、より深刻な課題だと感じていたのです。
インドネシア・ベトナムが一般的な選択肢の中で、インド北東部(アルナチャルプラデシュ州)に着目したのは、日印2国間協定と現地の奉仕精神・家族への強いコミットメントが介護の理念と合致すると判断したからです。
現地政府と連携し借金なしで来日できるスキームを構築することで、志を持った人財だけを採用できる体制を整えました。採用面接では、独自に定めた「礼節・ナラティブ・大善」の3つのバリューを基準とし、国籍を問わず一貫した基準で人物を見極めています。

取り組みの成果として、ご入居者からの声に変化が生まれています。海外のスタッフの方が優しい、ちゃんと聞いてくれるという声が届くようになりました。技術や知識ではなく、人間性のところで評価していただいていることが、この採用の方向性の正しさを示していると感じています。
採用基準として明確化した3つのバリューも組織に浸透しつつあります。礼節(自分の実力と位置を客観的に把握したうえで人と接すること)、ナラティブ(心と心のつながりを持った関係を築く力)、大善(相手のために難しいことも伝えられる力)を徹底することで、弊社に合わない方は来なくなり、成長したい方が来てくれるようになっています。
弊社が目指すのは、ご入居者の尊厳を守り、ワクワクを作ることです。ピークエンドの法則、つまり人生の最後の時間が幸せであれば全体の満足度が高くなるという考えを経営の根幹に据え、一人ひとりの人生最後の夢を叶えることをミッションとしています。
余命1ヶ月の入居者が主人のお墓に行きたいとおっしゃれば、医療面のリスク管理を徹底したうえで実現します。介護によって下がってしまったマズローの欲求段階を、技術とリハビリで押し上げていく。そうした姿勢が、ケアするスタッフ自身にも深い幸福感をもたらしています。
ケアする側がお金では変えられない価値をいただける仕事、それが介護だと思っています。IQよりEQ、感情の知能を大切にしたいという思いが、経営の根底にあります。

2026年2月、神宮前(宮下パーク前)の高賃料オフィスから現在の高円寺に移転しました。新オフィスのコンセプトは、本社を教育スペースにするということです。
介護の現場が一番尊い場所です。本社はその現場をサポートする場所であるべきで、それはつまりスタッフがスキルを上げるために来る場所だということです。実際のベッドや介護機器を設置したシミュレーション研修スペースを整備し、これまで現場に行かないと練習出来なかったケア技術を本社で習得できる環境を実現しています。
前のオフィスはよくある一般的なオフィスでしたが、今は生き生きと学べる空間に変わっています。オフィス設計にあたっては同じウェルビーイング経営を進めるコマニー社に依頼し、組織内のコミュニケーションの流れや無駄を分析したうえで設計に落とし込みました。賃料が下がった分そういった空間づくりやスタッフへの還元に回せていると実感しています。

オフィスのこだわりの一つが、私の席の位置です。一般的に社長室は奥に設けられることが多いですが、私の席はあえて入り口に最も近い場所に置いています。誰でも気軽に声をかけやすい雰囲気を大切にしているためです。
テクノロジーへの投資も積極的に行っています。日本で最高性能のAIカメラを各施設に導入しており、転倒時には右肩を下にして、この強度で打った、対策はこう、というレベルまで状況をレポーティングします。スタッフの業務負担を減らしながらケアの質を高める取り組みです。
さらにコミュニケーションロボットの共同研究も進めています。ご入居者との自然な会話を通じて状態観察や記録を行うプロトタイプの開発が始まっており、介護とテクノロジーの融合を実践しています。
短期的には、在宅介護へのノウハウ展開を中心に考えています。施設内で培った高品質な介護を、訪問看護や在宅サービスとして地域に広げていくことが次のステージです。
もっと俯瞰的に考えると、とにかくこの介護業界を変えていきたい、いいものにしていきたいという思いがあります。
私たちが実践するウェルビーイング経営や理念経営とは、思想によってスタッフの行動を変容させ、成功体験を積み重ねることで「やってよかった」という深い実感を創り出すプロセスに他なりません。アライブが掲げるのは、まさに「IQよりEQ」、人間の心にある感情を何よりも大切にすることです。
しかし、業界の現状では多くの企業が資本の論理により収益追求を最優先し、数字や「ルール」でスタッフを縛りがちです。それでは働く喜びは消え失せ、残るのは強制感だけになってしまうでしょう。
数字をすべて否定するわけではありませんが、介護の世界はそれだけで語れるほど甘くはありません。現場の真実を理解している人間こそが経営を担い、そうした志を持つ者が次世代のリーダーとなる。私たちは現場第一主義の信念を、業界全体に広めていきたいのです。

資格も経験も、全く必要ありません。何よりも大切なのは、あなた自身の「想い」や「人柄」です。 その方の最期の時間をワクワクさせて、人生生きてきてよかったと言わせたい。そういう思いを持っている方であれば、飲食業であれどの業界出身であれ、誰もが輝ける仕事です。
ただし、楽そうだからという理由で来る方には向きません。一人ひとりの夢を叶えることには相応のリスクとエネルギーが伴います。介護職として来るのではなく、人の人生を変える仕事がしたいという気持ちで門を叩いてください。技術と知識は全て私たちが教えます。
他業界から来てくれる方も、この業界を変えていきたいと本気で思っています。そういった方々と一緒に、弊社のミッションを実現していきたいです。
2001年 株式会社荒井商店へ新卒入社、介護現場に従事
2002年 株式会社荒井商店がセコムグループ入り
(以降14年間)介護職員や複数のホーム長を経験
2014年 本社へ配属。経営・組織運営に携わる
2021年 代表取締役社長に就任。企業理念・行動指針・人事評価制度を刷新し、組織改革を推進
|
法人名 |
株式会社アライブメディケア |
|
HP |
|
|
設立 |
1980年 |
|
事業内容 |
|
関連記事
関連記事